「腹痛」に強くなる 〜病態生理で臓器を横並びに診断する!〜

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上原 孝紀

上原 孝紀

千葉大学医学部付属病院総合診療科

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ERにおける腹痛診療に強くなるために病態生理で診断推論を進めるための考え方ベーシック編です。VINDICATE+Pという網羅的な鑑別診断ではなく8時間以内に悪化する疾患を見逃さず疾患のnatural courseとonset、重症化のtime courseを意識した考え方を学べます。vital sign正常の重症な腹痛をどう見分けるのか病態生理と解剖生理から考え、後半では尿管結石、急性虫垂炎を見分けられるようになります。

「腹痛」に強くなる 〜病態生理で臓器を横並びに診断する!〜

1. 「腹痛」に強くなる〜病態生理で臓器を横並びに診断する!〜 2017.08.12 Antaa 勉強会 at イシテラス 千葉大学 大学院医学研究院 診断推論学 医学部附属病院 総合診療科 上原 孝紀
2. 事前に頂いた質問 まず除外しなければいけない重症疾患とコモンな疾患 救急外来で除外すべき腹痛をきたす疾患 嘔気、下痢など他の症状があった時に鑑別をどう、絞るか 腹痛のフレームワークや使えるシチュエーション、診断における時間の使い方 鑑別診断のポイントをつかめるようになりたい 消化管穿孔で内視鏡検査適応があるか
3. 24歳男性 地域基幹病院ER 金曜21時 【主訴】 腹痛 【現病歴】6時間前から心窩部痛を自覚。3時間前からむかむかしてきて、夕食は普段の半分程度しか食べられなかった。痛みがなかなか良くならないので、ERへ受診した。 【既往歴】なし 【一般身体診察】体温36.8℃、脈拍72/分、血圧125/72mmHg、呼吸数14/分、SpO2:98%、心窩部に軽度の圧痛を認めるほか、特に異常所見を認めない
4. 本日の到達目標 救急外来の診断推論(ベーシック)を理解する 痛みの分類、とくに関連痛について理解する 修了試験 「UpToDateの誤記載を探せ!」に正解する
5. 総合診療医が考えるERの診断推論 (ベーシック) 8時間で死に至りうる,後遺症を遺しうる疾患を見逃さない そのためには,疾患のnatural courseの理解が重要。 特にonset。 次に重症化のtime course。
6. 8時間の疾患とは? ・vital signが崩れているとき やることやるのみ!、ICLSやJMECC! 必要と思われる検査は全出し! ・vital signが崩れていないとき 難しい!! 最悪、後医は名医でよいが、なんとか診断 したい!
7. VINDICATE+P V:Vascular I:Infection N:Neoplasm D:Degenerative I:Intoxication, iatrogenic C:Congenital A:Allergy/Autoimmune T:Trauma E:Endocrine・Metabolic/Electrolyte/Environment P:Psychiatric/Psychogenic 病態的考察 ・つまる ・破ける ・割れる ・ねじれる 解剖学的考察 ・消化器 ・泌尿器 ・婦人科 ・大血管 ・脊髄/神経 ・その他
8. 総合診療医が考えるERの診断推論 (アドバンスト) 徹底的に診断(解剖・病態生理)に拘る 高頻度な器質疾患にも精神疾患にも合致しないときに稀な疾患まで鑑別を拡げる  =引き算診断を可能とする
9. 痛みの病態生理 ・体性痛 ・内臓痛 ・関連痛 ・心因性疼痛 筋骨格系の痛み 神経痛 末梢神経、神経根 膜の痛み (準内臓痛) ある神経の支配を受ける内臓痛、あるいは体性痛が同じ高さの脊髄神経によって支配される別の身体部位の痛みとして感じられる現象
10.  尿管結石の嵌頓部位と関連痛発現部位の相互関係 臨床医のための痛みのメカニズム 南江堂 p.176 図149 上部尿管:Th11・12 下部尿管:Th12・L1
11. 急性虫垂炎のillness script 罹患率1000人/10万人・年、男女比1.4:1、年齢ピークなし、生涯罹患率7% まず、心窩部あるいは臍周囲の内臓痛 2-3時間後に吐気、食欲不振 6-24時間(平均17時間)で右下腹部へ限局化、38℃の発熱。穿孔まで平均34時間(発症48時間以内の重篤化は少ない)。 痛みが移動する典型例は64%、特異度82% その神経分布から、全部位の腹痛を呈しうる
12. 修了試験:UpToDateの誤記載を探せ! UpToDate 2017.07 Causes of abdominal pain in adults