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総合診療×更年期障害を紐解く

投稿者プロフィール
丸山陽介

長崎県上五島病院

373

1

概要

本スライドは、初期研修医や総合診療医、総合内科医、及び更年期障害に関心のある産婦人科医を対象に作成されました。更年期障害の基本的な知識から診断基準、治療戦略までを詳しく掘り下げます。更年期症状のメカニズムや、適切な診断と治療法に関しても触れ、医師としての理解を深めるための内容となっています。特に、ホルモン補充療法や精神的なアプローチについての重要性に焦点を当てています。これにより、医療現場での更年期障害患者に対する適切なケアが行えるようサポートします。

本スライドの対象者

研修医/専攻医

参考文献

  • 女性医学ガイドブック更年期医療編2019年度版

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テキスト全文

更年期障害と総合診療の概要

#1.

総合診療×更年期障害を紐解く 市立恵那病院 産婦人科/総合診療科 丸山陽介

#2.

本スライドの対象 ・初期研修医 ・総合診療医 ・総合内科医 ・総合診療に関心をもつ産婦人科医

#3.

本スライド作成者の情報 ・卒後11年目(留学のため1年間休職期間あり) ・産婦人科専門医(東京科学大学周産・女性診療科在籍時に取得) ・プライマリーケア認定医(長崎県上五島病院内科在籍時に取得) ・総合診療専門研修特任指導医(同上) ・現在は市立恵那病院で産婦人科と総合診療に従事

更年期の定義と重要性

#4.

もくじ ・更年期障害について ・総合診療×更年期障害

#5.

もくじ ・更年期障害について ・総合診療×更年期障害

#6.

更年期とは 日本産科婦人科学会:産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第4版, 2018 「閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間のこと」 性成熟期から老年期への移行期を指す用語として本邦では定着している。 閉経年齢±5年間のこと

閉経の定義とその影響

#7.

閉経とは 日本産科婦人科学会:産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第4版, 2018 閉経は「女性が性成熟期の終わりに達し、卵巣の活動性が次第に消失し、ついに月経が永久に停止した状態」と定義される。 その診断は最終月経より12カ月以上経過したことにより成される。 子宮摘出後などのように月経で判断できない場合には 「FSH値 40mIU/mL以上かつE2値 20pg/mL以下」をもって閉経とします。 閉経以降期から閉経後12カ月までの間を周閉経期と呼びます。

#8.

閉経はいつするの?(日本人) 閉経する年齢は大体50歳くらいと覚えてOK、しかし100人いたら10人は56歳以降に閉経する、つまりはそれくらいにいわゆる更年期症状(ホットフラッシュやめまいなど)を呈する人もいる、ということになります。 日本女性医学学会. 女性医学ガイドブック・更年期医療編2019年度版. 金原出版株式会社; 2019. しかしJapan Nurse’s Health Study(2012)のコホートでは閉経年齢の 中央値は52.1歳であった

#9.

日本産科婦人科学会:産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第4版, 2018 閉経、更年期、周閉経期

#10.

更年期障害とは その成因としては、内分泌的要因、加齢による要因、社会環境的要因、心理的要因が関連している。内分泌的要因は周閉経期としての卵巣機能の変化によってもたらされるが、社会環境的要因、心理的要因は周閉経期には限らない問題によって生じます。 日本女性医学学会. 女性医学ガイドブック・更年期医療編2019年度版. 金原出版株式会社; 2019.

更年期症状のメカニズムと変化

#11.

更年期症状を深堀する 病態的な話をすると、、、、 ホットフラッシュに関して、エストロゲンは視床下部の体温調節中枢におけるセットポイントの閾値の設定に作用しており、エストロゲンの低下が閾値を狭めるため通常の体温でも異常な反応が起こるとされている。エストロゲンの低下はセロトニンの減少に関与すると同時に5-HT1a/5-HT2aレセプターのバランスを崩し、わずかな体温上昇や外的刺激に反応してホットフラッシュを起こす。これらの事は臨床的にもSSRIのホットフラッシュに対する効果により裏付けられている。 日本女性医学学会. 女性医学ガイドブック・更年期医療編2019年度版. 金原出版株式会社; 2019.

#12.

更年期症状を深堀する 病態的な話をすると、、、、 抑うつに関して、抑うつはホルモンの変動が激しい時期に大きくなり、それぞれ思春期、産褥期の抑うつ、PMDDとして現れる。同様に周閉経期はホルモンの変動が激しい時期であり、閉経後の低エストロゲンの定常状態になるまでは抑うつ症状やうつ病に対して脆弱な時期(window of vulnerability)と言われる。閉経後には抑うつ症状の発生は減少する。セロトニン、ドパミン、GABAなども含めた神経伝達物質の調節はエストロゲンの影響を受け、その変動が影響を与える部位により気分の変調や不眠の一因になっていると考えられている。ただし、これらの神経伝達系の変化はエストロゲンの低下のみによって一元的に説明できるものではなくエストロゲンの影響度も症状によって大きく異なる。 日本女性医学学会. 女性医学ガイドブック・更年期医療編2019年度版. 金原出版株式会社; 2019.

#13.

更年期症状は移り変わる 更年期以降の女性における卵巣機能とエストロゲン欠落の変化には時間的関連性が存在する。 後半は老年期障害とも呼ばれ、更年期女性を診療する上では更年期症状の緩和だけではなく、こうした加齢性変化が加速度的に進行することを予防することも重要です。

#14.

更年期症状の変化 40歳 50歳 60歳 70歳 80歳 月経異常 自律神経失調症状 精神神経症状 泌尿生殖器の萎縮症状 心血管系疾患 骨粗鬆症 希発月経、機能性出血 のぼせ、異常発汗、めまい 頭重感、倦怠感、不眠、不安、憂うつ、記銘力低下 認知症 萎縮性(老人性)腟炎、外陰掻痒症、性交障害、尿失禁 動脈硬化、高血圧、脳卒中 脆弱骨折 日本女性医学学会. 女性医学ガイドブック・更年期医療編2019年度版. 金原出版株式会社; 2019.(一部改訂)

更年期障害の診断基準とプロセス

#15.

更年期障害の診断 前提として、国際的にも標準的な診断基準は存在しない。 更年期障害はある基準に従って診断するものではなく、更年期という女性のライフステージにおける状態としての症状、障害と考えて矛盾しないかどうかが判断基準となる。

#16.

更年期障害の診断 診断のプロセスは大きく分けて2つ。

#17.

更年期障害の鑑別疾患

#18.

yes 診断アルゴリズム 更年期障害の疑い 器質的疾患の除外 (身体所見、臨床検査) yes 器質的(機能的)身体疾患の疑い 周閉経期・閉経後早期の発症 No 更年期障害以外の疾患 yes メンタルヘルススクリーニング (質問表、心理テスト、支持的面接など) 中等度以上の抑うつ、不安障害精神疾患の疑い 専門科へ 更年期障害 No No 日本女性医学学会. 女性医学ガイドブック・更年期医療編2019年度版. 金原出版株式会社; 2019.(一部改訂)

#19.

器質的/機能的疾患の除外 前スライドでも表にして述べたが、器質的/機能的疾患の除外、という点に関して、総合診療をかじった医師としての私見を述べる。ガイドラインや一般的な指南書には当スライドに挙げたように甲状腺疾患と気分障害が注目される。確かにTSHとFT3,4、二質問法をして陰性なら婦人科に紹介だ、という流れで大きな問題はない。しかし、抑うつ、倦怠感、めまい、動悸・・・ときて、上記項目だけで主要な鑑別疾患を除外しきったと言えるだろうか、もちろん簡便な検査として胸部レントゲンや心電図検査を行い、不整脈や心不全のスクリーニングはするだろうが、標準12誘導心電図だけで不整脈が検知できる確率は決して高くないことは感覚的にも理解できるところだと思われる。甲状腺疾患と気分障害の除外はあくまで最低ラインであって、臨床像から疑われる鑑別疾患に関しては存分に検査してもらってかまわない、各個人のマネージメントとしてビタミン類や微量元素も入れている、場合によっては全身造影CTまで撮影する、生活歴をかなり詳細にとる、ということをしても全く許容されうるものだと考える。

更年期障害の重症度評価と治療法

#20.

更年期障害の重症度 重症度を評価する上では「日本人女性の更年期症状評価表」を使用する。評価表はある時点での複数の症状を整理し、日常生活への支障がどの程度かの重症度を知ること、また強弱の推移で治療効果を判定する上でも有用である。 注意事項としては診断のためのスコアリングシステムと違ってスコアによる基準値によって診断に結び付くわけではないことを理解する必要があります。あくまで重症度の判定と治療効果の確認に使用します。非産婦人科医が鑑別する上で重要なことは、あくまで他疾患の除外だと個人的には思います。

#21.

女性の更年期症状評価表 日本産科婦人科学会・生殖内分泌委員会:「日本人用更年期・老年期スコアの確立とHRT副作用調査小委員会」報告-日本人女性の更年期症状評価表の作成-, 日本産科婦人科学会誌, 2001.

#22.

更年期障害の治療 治療法はその成因を考慮して選択することが重要である。 更年期障害に対する治療法を紹介する。主に薬物療法とそれ以外とに分けて考える。

#23.

更年期障害の治療 ※ HRT: hormone replacement therapy ホルモン補充療法 特に血管運動神経症状にはHRTが著効することが多く、ホットフラッシュや発汗メインであれば同意が得られればHRTから開始することも多いです。イライラなどの精神症状が中心の場合はHRTのみでは効果は弱く、SSRIなども検討されますが、個人的には中等度以上のうつ病にならない程度の軽度の抑うつやイライラに対してはカウンセリングや生活習慣の改善、またマインドフルネスストレス低減法(ヨガ、座禅、読経、サウナなど)を勧めています。 日本女性医学学会. 女性医学ガイドブック・更年期医療編2019年度版. 金原出版株式会社; 2019.(一部改訂)

#24.

もくじ ・更年期障害について ・総合診療×更年期障害

症例紹介:更年期障害の実例

#25.

前書き

#26.

総合診療×更年期障害 更年期障害は産科婦人科学の1領域における「女性医学」の中で取り扱われる。女性医学は「女性の特有な心身にまつわる疾患を主として予防的観点から取り扱うこと」を目的とする。更年期障害以外の対象疾患として骨粗鬆症、脂質異常症、メタボリックシンドローム、排尿障害、骨盤臓器脱、婦人科心身症、セクシュアリティなどがあり、更には思春期、無月経女性のヘルスケア、産婦人科診療に必要な法律知識など、まさに女性の健康管理を女性の生涯にわたって実践する、全人的な医療を展開する領域であり、すべての産婦人科疾患のゲートキーパーの役割を担っている。 全人的医療を展開する点やゲートキーパーとしての役割という点に関して、総合診療とも親和性が高く、扱う疾患も総合診療の領域とオーバーラップするところが多い。

#27.

総合診療×更年期障害 これらの共通点から、日常診療でも一般内科外来や総合診療外来を最初に受診する更年期障害の患者に出会うことが多い。更年期障害は対象年齢が比較的定まっており、また特徴的なゲシュタルトをもつことから鑑別に挙げることは容易だと思われるが、そのマネージメントに関して、産婦人科になじみのない医師にとっては迷いが生じる場面かと思われる。以下の症例を通じてその対応を確認していく。

#28.

以下症例

症例分析:更年期障害の診断と治療

#29.

症例① 【症例】48歳 女性 【主訴】動悸、めまい、異常発汗 【現病歴】特記すべき既往のない48歳女性。1年前ごろより仕事中に時々動悸やめまい(ふわふわする感じ)、異常発汗を認めることがあった。しばらくすると収まるので様子をみていたが、夏場になり異常発汗をなんとかしてほしいと思い総合診療外来を受診した。診察時点ではめまいと動悸は収まっている。 【既往歴】特記事項なし 【内服歴】なし 【社会生活歴】喫煙なし 飲酒なし 職業:事務職 【月経歴】周期:直近1年は28-60日(もともと28日) 持続期間:5日間程度  量:もともと普通だったが最近少なったり多かったりするようになってきた 疼痛:軽度 最終月経 30日前

#30.

症例① 【症例】48歳 女性 【主訴】動悸、めまい、異常発汗 【現病歴】特記すべき既往のない48歳女性。1年前ごろより仕事中に時々動悸やめまい(ふわふわする感じ)、異常発汗を認めることがあった。しばらくすると収まるので様子をみていたが、夏場になり異常発汗をなんとかしてほしいと思い総合診療外来を受診した。診察時点ではめまいと動悸は収まっている。 【既往歴】特記事項なし 【内服歴】なし 【社会生活歴】喫煙なし 飲酒なし 職業:事務職 【月経歴】周期:直近1年は28-60日(もともと28日) 持続期間:5日間程度  量:もともと普通だったが最近少なったり多かったりするようになってきた 疼痛:軽度 最終月経 30日前

#31.

どう考える? まず注目すべきは、月経歴から月経周期の変調がみられること、また異常発汗(ホットフラッシュ)を認めること。 →Reproductive agingの観点より、周閉経期であることと卵巣欠落症状に特徴的な症状を認めました、既往歴や内服歴に特記すべきものはありませんね。 次に器質的/機能的疾患の除外を行います。身体所見と血液検査、また胸部レントゲンと標準12誘導心電図、念のため頭部CTまで行ってみます。

#32.

症例① 【身体所見】 BW 50kg BP 120/70 HR 70 SpO2 98%(RA) BT 36.5 GCS E4V5M6 瞳孔 3+/3+ 共同偏視なし 眼振 自発- 注視- 眼球運動障害なし 顔面左右差なし 構音障害なし 指鼻指試験 両側スムーズ Barre兆候陰性 眼瞼結膜貧血なし、眼球結膜黄染なし 甲状腺腫大や圧痛なし 咽頭発赤白苔なし 頭頸部リンパ節腫脹なし 胸部 肺音 両側清 左右差なし 心音 整 明らかな雑音なし 四肢 下腿浮腫 -/- 四肢末梢のしびれなし、巧緻動作障害なし 【検査所見】 血液検査:血算正常、電解質正常、肝腎機能低下なし、甲状腺ホルモン/刺激ホルモン正常、ビタミン類/ 微量元素正常 胸部レントゲン:心拡大なし、両側胸水貯留なし 頭部CT 明らかな出血性病変なし、占拠性病変なし 心電図:70bpm sinus no ST-T change

#33.

どう考える? 端的に言えば身体所見から中枢性のめまいを疑う所見は乏しく、画像検査、生理検査、血液検査で特記すべき異常所見なし、という結果でした。 本症例で言えばこれくらいで器質的/機能的疾患の除外を行った、といって良いかと思います。これら2点(周閉経期で卵巣欠落症状を認めること、器質的/機能的疾患の除外)より本症例は「血管運動神経症状が中心の更年期障害」と言えそうです。HRTの希望もあったことから婦人科に紹介。 更年期障害の診断となり、子宮卵巣に特記すべき異常所見がないことを確認 した上でHRTを開始したら症状改善が認めたとのことでした。

#34.

どう考える? 「HRT開始に際して婦人科コンサルトは必要か?」という問に答える。 ホルモン補充療法ガイドライン2025年度版の「HRT前・中・後の管理法」の項において、内診・経腟超音波断層法において子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍等の婦人科疾患の有無を確認する、また通常の子宮頸がん検診と子宮内膜細胞診または組織診を行う、病理学的検索ができない場合は経腟超音波断層法の内膜肥厚の評価を行う、と記載がある。 これらの評価が必要となる以上、HRT開始の際には産婦人科専門医ないし しかるべき修練を積んだ医師が診察する必要があると個人的には考える。 日本女性医学学会 編. ホルモン補充療法ガイドライン2025年度版. 金原出版株式会社; 2025.

症例分析:精神症状を伴う更年期障害

#35.

症例② 【症例】53歳 女性 【主訴】いらいら、気分が晴れない、便秘 【現病歴】高血圧、脂質異常症に対して当院内科定期通院中の52歳女性。最近気分が晴れないことやいらいらし夫にあたってしまうこと多く娘に勧められて総合診療外来受診した、便秘も気になっている。 【既往歴】高血圧 脂質異常症 【内服歴】アムロジピン5mg錠®、ロスバスタチン2.5mg錠® 【社会生活歴】喫煙なし 飲酒なし 職業:自営業 【月経歴】周期:もともと整 持続期間 5日間 量疼痛ともに軽度、最終月経は半年前

#36.

症例② 【症例】53歳 女性 【主訴】いらいら、気分が晴れない、便秘 【現病歴】高血圧、脂質異常症に対して当院内科定期通院中の52歳女性。最近気分が晴れないことやいらいらし夫にあたってしまうこと多く娘に勧められて総合診療外来受診した、便秘も気になっている。 【既往歴】高血圧 脂質異常症 【内服歴】アムロジピン5mg錠®、ロスバスタチン2.5mg錠® 【社会生活歴】喫煙なし 飲酒なし 職業:自営業 【月経歴】周期:もともと整 持続期間 5日間 量疼痛ともに軽度、最終月経は半年前

#37.

どう考える? 最終月経が半年前であり、更年期/周閉経期と言えそうです。ホットフラッシュなどのわかりやすい卵巣欠落症状は認めていませんね、また既往歴や内服歴にも症状に関連性の高そうなものはありません。 器質的/機能的疾患の除外を行いますが、今回は精神症状があるため、身体所見と血液検査に加えて2質問法や抑うつの評価としてPHQ9も行いました。 便秘もあるため念のため造影で腹部CTもやってみることに。

#38.

症例② 【身体所見】 BW 48kg BP 130/75 HR 65 SpO2 98%(RA) BT 35.8 眼瞼結膜貧血なし、眼球結膜黄染なし 甲状腺腫大や圧痛なし 咽頭発赤白苔なし 頭頸部リンパ節腫脹なし 胸部 肺音 両側清 左右差なし 心音 整 明らかな雑音なし 腹部 平坦・軟 腸蠕動音正常 圧痛なし 自発痛なし 四肢 下腿浮腫 -/-  【検査所見】 血液検査:血算正常、電解質正常、肝腎機能低下なし、甲状腺ホルモン/刺激ホルモン正常、ビタミン類/ 微量元素正常 胸部レントゲン:心拡大なし、両側胸水貯留なし  腹部造影CT 肝胆膵脾腎副腎 異常なし 腸管 拡張なし明らかな壁肥厚なし 子宮卵巣 異常なし 心電図:70bpm sinus no ST-T change

#39.

症例② 【検査所見】 ・2質問法  「ここ1ヵ月、気分が落ち込んだり、憂鬱な気分になりましたか」→はい(yes) 「ここ1ヵ月、何をしても楽しくないと感じますか」→そんなことはない(no) →2質問法陽性  →PHQ9を実施。

#40.

うつ病の重症度を評価する質問表。 合計点により、 1ー4点は軽微 5-9点は軽症 10-14点は中等度 15-19点は中等度ー重度 20-27点は重度 と判断する。 本症例は5点で軽症に分類されるが、興味関心の減退、抑うつ気分の頻度がそれぞれ3点未満であり、その時点でうつ病の診断基準は満たさないため、 抑うつ状態と判断できる。 PHQ9

#41.

症例② 【検査所見】 ・2質問法  「ここ1ヵ月、気分が落ち込んだり、憂鬱な気分になりましたか」→はい(yes) 「ここ1ヵ月、何をしても楽しくないと感じますか」→そんなことはない(no) →2質問法陽性 ・PHQ9 →5点 軽度 抑うつ状態 うつ病の診断基準(DSM5)に当てはまらなず、抑うつ状態と判断、念のため頭部MRIを追加。 頭部MRI 脳室拡大や脳炎、脳腫瘍を疑う所見なし。

#42.

どう考える? 2質問法、PHQ9を行い抑うつ状態と判断しました。夫にあたってしまい関係性の懸念があることから日常生活に支障を来たしうる状態と言えます。器質的/機能的疾患の除外という観点ではこれらの検査で除外した、と判断しても良さそうです。 以上より、本症例は「軽度の精神症状が中心の更年期障害」と診断できそうです。 HRTの希望があったため婦人科紹介とした上で、マインドフルネスストレス低減法を参考にしたストレスコーピング(瞑想、ヨガ、読経など)を提案しました。 婦人科でHRTを開始していただき、また自営業なだけあって マインドフルネスの実践が上手であったことから治療後2カ月 程で症状の改善が見られました。

閉経関連尿路性器症候群の理解と治療

#43.

症例③ 【症例】55歳 女性 【主訴】頻尿、排尿時違和感 【現病歴】脂質異常症に対して近医内科クリニック受診歴のある55歳女性。半年ほど前から頻尿と排尿時違和感を認めていた。1ヵ月前に定期受診している内科クリニックで相談したところ、膀胱炎が疑われ抗菌薬を処方されたが改善しないため総合診療外来を受診した。 【既往歴】脂質異常症 【内服歴】アトルバスタチン10mg錠® 【社会生活歴】喫煙なし 飲酒なし 職業:スーパーの店員 【月経歴】閉経50歳

#44.

どう考える? 今回の症例は5年前に閉経しています、 Reproductive agingの観点から、閉経後5年経過しており、泌尿生殖器の萎縮症状が出現し始めても良いころです。 今回も身体所見、各種検査が必要になりますが、腟粘膜の萎縮の所見などは婦人科診察が必要です。今回は総合診療外来というセッティングにつき、それらの所見はとれないという前提で進めていきます。

#45.

症例③ 【身体所見】 BW 60kg BP 125/70 HR 70 SpO2 98%(RA) BT 36.2 眼瞼結膜貧血なし、眼球結膜黄染なし 甲状腺腫大や圧痛なし 頭頸部リンパ節腫脹なし  胸部 肺音 両側清 左右差なし 心音 整 明らかな雑音なし 腹部 平坦・軟 腸蠕動音正常 圧痛なし 自発痛なし 四肢 下腿浮腫 -/- 下肢伸展挙上テスト -/- しびれ、知覚低下なし 【検査所見】 血液検査:血算正常、電解質正常、肝腎機能低下なし、甲状腺ホルモン/刺激ホルモン正常、ビタミン類/ 微量元素正常 尿検査:定性 潜血陰性、尿糖/蛋白陰性、尿ケトン陰性 沈査 WBC<5/HPF RBC<5/HPF 細菌- 円柱- 排尿後残尿測定(超音波):30ml程度

#46.

どう考える? 身体所見では特記すべき異常所見がなく、検査所見でも尿検査で細菌性の膀胱炎を疑う所見を認めませんでした。超音波検査での残尿測定でも異常な残尿は認めませんでした。内服歴、既往歴からも積極的に神経因性膀胱を疑う所見はありません。骨盤臓器脱や腟粘膜の萎縮の評価が必要であり婦人科に紹介しました。

#47.

症例③ 【婦人科診察】 腟前庭部 やや乾燥 尿道周囲は正常 腟鏡診 腟分泌物 透明少量 腟粘膜は乾燥し発赤を認める 子宮下垂なし 膀胱瘤/直腸瘤なし 内診 子宮鶏卵大 前傾前屈 圧痛なし 経腟超音波断層法 子宮は7cm程度で内膜肥厚なし 筋層肥厚なし、腫瘤性病変なし 両側卵巣腫大なし 帯下を鏡検してカンジダ菌糸認めない

#48.

どう考える? 婦人科診察で腟粘膜の萎縮の所見を認めました。骨盤臓器脱やカンジダ腟炎を除外した上で、閉経後5年経過し、腟粘膜萎縮の所見を認める泌尿器生殖器症状として 「閉経関連泌尿生殖器症候群」と診断しました。 治療として腟局所エストロゲン療法(エストロゲン腟座薬)を開始、以降徐々に症状改善し、3カ月経過した時点で気にならないほどまで改善を認めました。

#49.

閉経関連尿路性器症候群 閉経に伴うエストロゲン低下により下部泌尿生殖器に生じる多彩な症状・症候を包括的に考える疾患概念1)。外陰部、腟、下部尿路および性機能に関する症状に分けられる。 などが挙げられる。 1) Portman DJ, et al: Menopause 21: 1063-1068, 2024

#50.

閉経関連尿路性器症候群 1) Rahn DD, et al: Obstet Gynecol 124: 1147-1156, 2014 ※エストリール腟錠の添付文書では使用の際に注意すべき合併症、既往症に「乳がんの既往」記載があるが、「禁忌」ではないとされている。

#51.

まとめ ・更年期障害の診断はReproductive Agingの状態の把握と器質的/機能的疾患の除外によって成される。 ・更年期症状は時間的関連性によって多彩な症状を呈するためその臨床像を把握しておくことが大切。 ・多彩な症状を呈するため一般内科外来や総合診療外来を受診することもあり、 更年期の女性を見た際には常に鑑別に挙げる必要がある。 ・除外診断になるためお互い微妙なコンサルトになることが多い、他科とは常に良い関係性を。

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