テキスト全文
救急外来の作戦会議の重要性
#1. 「忙しい時ほど、
一度止まって考えてみる」 救急外来で“作戦会議”してますか?
ERブリーフィングのすゝめ Antaa 夏の自由研究 2026
#2. 2 ABOUT ME 番場 祐基 新潟大学医歯学総合病院 高次救命災害治療センター同 呼吸器・感染症内科 内科医
専門は呼吸器領域と感染症ですが、とりあえずなんでも診る
島🏝️暮らしをきっかけにブログ活動をスタート
ブログ「内科医のジレンマ」同Facebookページ
X:@LostphysicianYB
note: @md_dilemma
ICU/救命センター・感染症(抗酸菌・真菌・HIV)、呼吸器内科集中治療領域で内科医だからこそできること!を模索中(相談、質問、依頼などはDMでお願いします)
#3. 夏休みのERで変わるもの:人・疾患・流れ 人が動く 疾患が
変わる 出口が
揺れる 夏休みERでは、walk-inや非重症者が多い一方で、
再診動線の不安定化といった問題もある 旅行や帰省
地域外からの患者
渡航者 熱中症
食中毒
事故(水難事故を含む) かかりつけ医が休診
帰省中で再診先が不明 Acute Med Surg. 2015;3(2):74-80.
夏のERにおける診断エラーのリスク
#4. 多忙なERでは(診断、処方)エラーが起こりやすい 非重症患者で溢れる、再診タイミングが遅れがちな夏のERではより注意が必要 中断 PHS・家族・救急隊からの入電 マルチタスク 診察・処方・検査・説明 疲労 多人数診療・夜間・連休で人員が不足 認知バイアス(早期閉鎖、アンカリング) 最初の診断に固執してしまう
再診が遅くなり、修正がききにくい 個人の集中力だけに頼らず、
チームで一度立ち止まる仕組みを作る。 BMJ Qual Saf. 2018;27(8):655-663.
BMC Emerg Med. 2022;22(1):148..
Agency for Healthcare Research and Quality (US); 2022 Dec. Report No.: 22(23)-EHC043.
#5. 例) 熱中症Mimics 夏+高体温+意識障害 髄膜炎・脳炎 発熱+意識障害 レジオネラ肺炎 低Na・肝障害・CK 中毒 抗コリン・交感神経刺激薬 薬剤/内分泌 悪性症候群・セロトニン・甲状腺 Active Coolingを躊躇してはいけないが、
本当に熱中症?という視点を忘れない
(でも、ひとりでは難しい) Clin Case Rep. 2016;4(4):323-6.
熱中症診療ガイドライン2024 「熱中症」の触れ込みに騙されない
#6. 重症患者の蘇生におけるブリーフィング/ デブリーフィング Crit Care Med. 2008;36(10):2817-22.
J Trauma Acute Care Surg. 2016;81(1):184-9. 重症患者診療のチームビルディングにおいて、ブリーフィングは必要不可欠 【ブリーフィング】情報共有や意思疎通を図るために行われる短時間の会議
重症患者の蘇生におけるブリーフィングの役割
#7. 重症患者の蘇生におけるブリーフィング/ デブリーフィング Crit Care Med. 2008;36(10):2817-22.
J Trauma Acute Care Surg. 2016;81(1):184-9. 重症蘇生では、ブリーフィングとデブリーフィングがチーム認識、診療プロセス、CPRや外傷初療の質を改善する可能性がある。
(ただし、患者転帰に関するエビデンスの確実性は低い) 患者一人ひとりは軽症でも、複数患者を少人数で同時に診療する場面では? 重症患者診療のチームビルディングにおいて、ブリーフィングは必要不可欠 【ブリーフィング】情報共有や意思疎通を図るために行われる短時間の会議
・人(他の診療科医師、臨床工学技士や放射線技師は必要?)・資材(輸液、輸血、薬剤、器材など)・役割(コマンダー、気道管理、ルート確保、記録など)を準備・分担し、ホワイトボードなどに病院前の情報を共有し、まとめる。
また業務開始時にブリーフィング、コミュニケーションを行うことは、円滑なチーム形成に役立つ。
#8. 非重症セッティング、人が少ない場面こそ、コミュニケーションが大事 たとえば、医師、看護師1人ずつで運営するような救急当直、新患外来でも適宜ブリーフィングを行う 1 トリアージ
重症度だけでなく、
検査の必要性・待ち時間を含めて「見る順番」を調整する。 2 タスクの先行
採血・画像・点滴・必要物品を
先に動かし、待ち時間を診療に使う。 3 短い情報共有
誰を先に見るか、次に何をするか、どうなったら帰せるかを声に出して共有する。 軽症多数・少人数ERに特化した検証は乏しい。それでも、トリアージ、タスクの先行、短い情報共有(Huddles)は、外来全体の複雑さを管理する合理的な手段である。 重症患者に対するブリーフィングとは異なるコミュニケーションが必要(適宜、短め)。 Scand J Trauma Resusc Emerg Med. 2011:19:43.
J Gen Intern Med. 2021;36(9):2772-2783. Huddles!
軽症患者の効率的な診療フローの構築
#9. 声に出す 頭の中の予定は、まだ共有情報ではない 暫定診断・次のアクション・目標を、短く声に出す
情報共有でもあり、自分の臨床推論フレームワークの確認でもある 暫定診断
何を疑っている(いない)のか
見落としをチェック 次のアクション
先行して検査を行う
点滴終わったら再評価する 目標
検査が出たら帰宅
帰宅後にどうなったら再受診を促すか
#10. まとめ:軽症患者が続くERをどう回す?
患者は軽症でも、外来全体は複雑になる 外来全体を、誰か一人の頭の中だけに置かない
資源・時間を率的に運用できるように配慮する 1 バイアスリスクを認識する
「熱中症っぽい」でも一度だけそれ以外の原因を確認 2 順番を組み直す
重症度+検査の必要性+
結果までの時間 3 先に動かす
採血・画像・点滴・物品を
待ち時間の前に動かす 4 声に出す
暫定診断・次のアクション・
目標をチームで共有 忙しい時ほど、一度止まって「診断・流れ・役割・出口」をそろえる
まとめと今後の展望
#11. 暑中お見舞い
申し上げます。 令和八年 盛夏