#4.
⽬次 • • • • • • • • • • 異物誤飲の総論 病歴聴取のポイント 異物誤飲を疑ったら, 念頭に置くこと 異物誤飲の検査 緊急内視鏡の適応 注意が必要な異物 ⼩児患者の注意点 経過観察する場合の説明 “隠れ”異物誤飲 Take home message
#5.
異物誤飲 総論 • 異物誤飲=消化管異物である. • 消化管出⾎, 穿孔, 閉塞の原因となる. 敗⾎症に⾄るケースも! • 異物誤飲の⼤多数は⼩児で⽣じる. • 成⼈では⾼齢者, 精神疾患, アルコール中毒者, 囚⼈で多い • 80%以上の異物誤飲が経過観察でも対応可能である Progr Pediatr Radiol 1969;2:286-302
#6.
異物誤飲 総論 • 精神疾患患者等の意図的な消化管異物の場合は, 摂取から診察 及び介⼊までの時間が⻑いため, 内視鏡的介⼊や外科的介⼊の 必要性が⾼い. Gastrointest Endosc 2009;69:426-33 J Gastrointest Surg 2002;6:496-500 • 消化器異物のほとんどは⾃然排泄されるが10-20%で摘出術を うけ, 1%以下の頻度で外科⼿術が必要となる Gastrointest Endosc 2002; 55: 802-806, Gastrointest Endosc 1995; 41: 39-51
#7.
病歴聴取のポイント • 多くの場合, 異物誤飲であることは主訴や問診で分かる. • 誤飲した時間, 内容(形状とサイズ)を正確に把握する. • 不快感を訴える位置と, 実際の異物存在部位は異なることが多い. Clin Otolaryngol 1992;17:520-4. 具体的には, 「何時何分に, どのくらいの⼤きさの, どの様な形状のものを(鋭利かどうか)誤飲したか?」 ⼩児の場合は, 保護者に可能な範囲でそれらの情報を聞く. →誤飲したものが何か分からないケースもある.
#8.
異物誤飲を疑ったら, 念頭に置くこと ①気道閉塞の有無の評価 →問題があれば速やかに気道確保 ②消化管閉塞と腹膜炎の評価 →あれば内視鏡ではなく, 外科へ相談し⼿術
#9.
異物誤飲の検査 ①頚部〜腹部のX線 ⽬的:異物の存在有無と位置の確認, free airの評価 注意: • できるだけ, 正⾯像と側⾯像の⼆⽅向で撮影を⾏う. • ⾁や⿂の⾻, ⽊材, プラスチック, ガラス等は写らない可能 性がある.
#10.
異物誤飲の検査 ②胸部〜⾻盤CT ⽬的:異物の存在有無と位置の確認, free airの評価 →実臨床では, 異物誤飲のエピソードがあるにも関わらず, X線で異物が確認されない場合に施⾏することが多い. 注意: • 放射線透過性の異物は検出できないことがある. 例:⽊, ピーナッツなどの⾷べ物, プラスチック, ガラスなど
#11.
消化管異物の診断が付いたら, 次に考えること • 異物の内容の危険度を確認(次スライド参照) • ⾷道異物の評価
#12.
緊急内視鏡の適応 緊急内視鏡的異物摘出術の適応=危険度が⾼い ①消化管壁を損傷する可能性があるもの ≒鋭利なもの ②腸閉塞をきたす可能性があるもの ≒⼤きいもの, 硬いもの ③毒性のある内容物を含有するもの ≒電池, 薬剤など 消化器内視鏡ガイドライン 第3版
#13.
これだけは抑えておこう! ★緊急対応が必要な異物 ①消化管壁を損傷する可能性があるもの PTP(薬包)シート, ⾁や⿂の⾻, 針, ガラス⽚, 有鉤義⻭ 磁⽯(複数個⼜は他の⾦属と同時に誤飲した場合) ②腸閉塞をきたす可能性があるもの 硬貨, ビニール袋, 胃⽯, ⽔で膨らむビーズ ③毒性のある内容物を含有するもの 乾電池, ボタン電池, 薬剤, 化学製品, タバコ
#14.
注意が必要な異物 〜鋭利な異物〜 例:PTP(薬包)シート, ⾁や⿂の⾻, 針, ガラス⽚, 有鉤義⻭, クリップ, ⽖楊 枝, パンの袋のクリップなど 異物による合併症の多くは鋭的異物により発症し,24 時間未満での発症率 6% に対し,24 時間を超えた症例では 38% であったと報告されている ⽇本消化器内視鏡学会誌 52(4):1243-1249,2010 ⾷道壁に刺さった場合は穿孔のリスクが⾼いため, 緊急で除去する必要がある. 胃・⼗⼆指腸内に停滞する場合は, 可能であれば内視鏡的に除去する必要があ る. 内視鏡的に除去をせず経過観察する場合は, 連⽇のX線を確認し, 3⽇経っ ても移動しない異物に対しては外科的介⼊を考慮すべきである. Gastrointest Endosc. 2011 Jun;73(6):1085-91.
#15.
注意が必要な異物 〜磁⽯〜 磁⽯の摂取は, 重篤な消化器傷害や死亡 を引き起こす可能性がある. 複数個の磁⽯または磁⽯と⾦属など2つ の物体の間の圧⼒が, 瘻孔形成, 穿孔, 閉 塞, ⿎腸, 腹膜炎を伴う腸壁の壊死を引き 起こす可能性がある. Morb Mortal Wkly Rep 20068;55:1296-300.
#16.
注意が必要な異物 〜鈍的異物〜 例:パチンコ⽟, ボタン, ビー⽟, 碁⽯など 2.5cm以上の異物は 胃幽⾨を通過しない可能性が⾼いため, 内視鏡的摘 除が推奨される. 誤飲後, 3-4週までに胃の外へ通過しなかったものは, 内視鏡的に除去す べきである. Gastrointest Endosc. 2011 Jun;73(6):1085-91. ⼗⼆指腸の遠位に存在し内視鏡的に到達できないが, 1週間以上排泄さ れない場合は, 外科的除去を考慮すべきである. Gastrointest Endosc 1995;41:39-51., Gastrointest Endosc 1995;41:33-8.
#17.
注意が必要な異物 〜ボタン電池〜 ボタン電池が⾷道に留まると, 液化壊死や穿孔が急速に起こり, 重篤 で致命的な合併症を引き起こす可能性がある. 特にリチウム電池ではアルカリによって腐⾷され, 誤飲から極めて 短時間(30分から1時間)に消化管壁の穿孔を起こす可能性がある. ⾷道を通過し⼀旦胃内に⼊ったボタン電池は, ほとんど合併症を起 こすことなく通過する. しかし, 直径20mm以上で48時間以上胃内に 留まっ ている場合は摘出すべきである. Pediatrics 1992;89:747-57 ⼗⼆指腸を過ぎると, 85%は72時間以内に体外に排出される. Pediatrics 1985;75:469-76.
#18.
注意が必要な異物 〜ボディパッキング〜 ⽇本ではあまり⽬にしないが,「運び屋」が違法薬物を体内に隠蔽する ことをボディパッキングという. 体内の薬剤が吸収されると致死的となるため, 内視鏡的摘出術は⾏わない. Gastrointest Endosc. 2011 Jun;73(6):1085-91.
#19.
⼩児患者の注意点 ⼩児の内視鏡検査においては,呼吸管理や鎮静などの全⾝管理が必要 である. →成⼈と⽐べて内視鏡検査のハードルが⾼い! ⾷道異物において緊急摘出が必要なものは,⾷道に留まる★に該当す るもの(p13のスライド),患児に呼吸障害を認めている場合,患児に 炎症所⾒や通過障害の症状を認めている場合などがあげられる. これらに当てはまらないものは,胃内に⾃然に落下する可能性があり, 12-24時間程度なら,経過観察をすることも可能である. 済⽣会滋賀県病院医学誌 第26巻(2017)
#20.
⼩児患者の注意点 胃内異物の場合,⼩さな鈍的異物の場合には, ほとんどが⾃然排泄さ れる. ⼤きな鈍的異物(1歳未満:2−3cm以上,1歳以上:3−5 cm以上)の場合には,内視鏡的摘出を考慮する. 鋭的異物では, 1%未満ではあるが穿孔や腹膜炎などの危険があり, 内視鏡的に摘出するのが原則 また,ボタン電池であっても,⼩さなものは⼀か所に固着することは 稀であり,緊急で摘出する必要はない.ただし,48時間以上胃内に停 留するものや⼤きなリチウム電池は内視鏡的に摘出する. 済⽣会滋賀県病院医学誌 第26巻(2017)
#21.
内視鏡のタイミング Emergent Endoscopy(緊急) ⾷道閉塞, ⾷道内のボタン電池, ⾷道内の鋭利な異物 Urgent Endoscopy(準緊急) ⾷道内の鈍的異物, 閉塞に⾄っていない⾷道内異物, ⾷道内の鈍的異物, 胃または⼗⼆指腸内の鋭利な異物 近位⼗⼆指腸内にある6cm以上の異物 内視鏡の届く位置にある磁⽯ Nonurgent endoscopy(待機的) 無症状であれば⾷道内に留まる硬貨は12-24時間の経過観察が許容される 2.5cm以上の胃内異物 無症状であれば胃内に留まる電池は48時間まで経過観察が許容される ※American Society For Gastrointestinal Endoscopyのガイドラインによる提唱であり, ⽇本の実臨床とは乖離がある可能性がある(もう少し早めに処置をする可能性があります)
#22.
経過観察する場合の説明 • 胃内の異物はほとんどの場合, 4〜6⽇で通過する. • ほとんどの無症候性消化管異物は, 保存的な外来管理が可能である Gastrointest Endosc. 2011 Jun;73(6):1085-91. • 通常の⾷事を続け, 便に異物が混じっていないかを観察してもらう • 異物が排泄されるまでの経過観察を外科へ依頼する • 腹痛, 嘔吐, 持続的な体温上昇, 吐⾎, 下⾎があった場合, 直ちに報告す るよう指導する.
#23.
“隠れ”異物誤飲 N Engl J Med 2019;380:473-485 ⾎便, 腹痛, 発熱で受診した18歳男性が原因不明の敗⾎症性ショックとなった. 精査の結果, バーベキュー時の⽖楊枝の誤飲による腸管穿孔が原因であった.
#24.
“隠れ”異物誤飲 • ⽖楊枝の誤飲は合併症リスクが⾼く, 79%が穿孔, 10%が死亡に⾄る. World J Surg 38, 371‒377 (2014). • 異物穿孔を起こした患者は通常, 異物を摂取したことを覚えていない. The New England journal of medicine vol. 355,5 (2006): 500-5. doi:10.1056/NEJMcps052000 →誤飲歴が明らかでない場合も, 鑑別診断に消化管異物を挙げておきたい.
#25.
振り返り ü異物誤飲の総論 ü病歴聴取のポイント ü異物誤飲を疑ったら, 念頭に置くこと ü異物誤飲の検査 ü緊急内視鏡の適応 ü注意が必要な異物 ü⼩児患者の注意点 ü経過観察する場合の説明 ü“隠れ”異物誤飲 üTake home message
#26.
Take home message üまずは気道閉塞, 消化管閉塞, 腹膜炎を除外しよう. ü鋭利なもの, ⼤きいもの, 硬いもの, 特殊なもの(電池や磁⽯) には注意しよう. ü形状, 性状, ⼤きさで内視鏡の緊急性を検討しよう. ü帰宅時の説明内容を把握しよう. ü“隠れ”異物誤飲に注意しよう.