#4.
マインドフルネスとは 「今、この瞬間」 に目を向け 評価することなく 観察する 不安やストレスの軽減 集中力の向上 などが期待できる
#5.
マインドフルネスとは:概念 • 「今、この瞬間」に注目し、判断や評価をすることなく、ただ味わう ことができている状態 • 現代社会では頭の中で様々なことを考えるあまり、「心ここにあらず」 な状態となっていることが多々ある • マインドフルネスとなることで、様々なとらわれ(≒不安、ストレス) を減らすことが期待される 「心ここにあらず」の状態をマインドレスネス、 マインドワンダリングなどと呼ぶことも
#6.
マインドフルネスとは:歴史 • 語源は仏教の「サティ」を英訳したもので、「注意を向ける」、 「気づき」、「思い出す」といった意味 • 仏教瞑想から応用し、宗教色をなくした マインドフルネスストレス低減法(Mindfulness based stress reduction : MBSR)が、アメリカの医療現場で使われるように(1979年) • 大企業の社員教育として使われるようになったことから一般的にも 認知されるように
#7.
マインドフルネスとは Q:瞑想とどう違うの? 本来マインドフルネスは状態を表すもので、 瞑想は精神的なトレーニングの総称 いきなりマインドフルネスに至ることは難しいため 練習を要することが多く、その手段として瞑想が使われる ことが多い その技法はマインドフルネス瞑想と呼ばれるが、技法的な 意味合いで単にマインドフルネスという言葉が使われること もあるため、混乱しやすい
#8.
マインドフルネスとは Q:ヨガみたいなもの? 本来マインドフルネスは状態を表すもの 仏教からの流れや呼吸(瞑想)を重視する点では 共通しているが、現代で使われるマインドフルネス は宗教色は排除されており、より科学的 現代ではヨガも宗教的なものよりフィットネス的な イメージが強くなっており、マインドフルネスに 至る技法として使われることも それぞれ専門家から すると様々な意見が あると思われる 本質的にはそもそもの 目的が違うと言えるが、 実社会ではそこまで 厳密に使い分けられて いる訳ではない
#9.
医学領域でのマインドフルネス • マインドフルネスは心療内科、精神科で不安、ストレス低減、 抑うつ気分の改善などを期待して行われることがある • プログラムが決められているものから、マインドフルネスの 要素を取り入れたオリジナルのプログラムまで様々で、それぞれ 呼び方が異なるが、まとめてマインドフルネスに基づく介入 (Mindfulness based intervention : MBI)と呼ばれる
#10.
マインドフルネスに基づく介入(MBI)① • マインドフルネスストレス低減法(Mindfulness based stress reduction : MBSR):2~3時間のセッションを週1回、8週間 かけて行う(ヨーガ、静座瞑想、ボディスキャンなど) • マインドフルネス認知療法(Mindfulness based cognitive therapy : MBCT):MBSRと認知行動療法を組み合わせ、 うつ病の再発予防に焦点をあてたもの 細かいため専門的に実践を目指す方 以外は覚える必要は少ない
#11.
マインドフルネスに基づく介入(MBI)② • アクセプタンス&コミットメントセラピー(Acceptance and Comitment Therapy : ACT):第3世代の認知行動療法 認知を変えようとせず、受け入れることを目指しており、 マインドフルネスの考え方が取り入れられている →その上で自分が大切にすることを実行する、というスタンス 第1世代:行動療法(オペラント条件、不安階層表など)から発展 第2世代:認知療法(認知再構成)から発展→一般的な認知行動療法のイメージ 第3世代:弁証法的行動療法や前述のMBCTなど
#12.
認知行動療法について簡単な解説 外的要因 内的要因 (ストレッサー) 環境 出来事 認知 身体反応 感情 行動 変えることが可能な認知(考え方)、行動にアプローチすること でストレスを感じにくくする治療法
#13.
認知行動療法について簡単な解説:一例 外的要因 内的要因 (ストレッサー) 認知 身体反応 忙しい外来 忙しいのに 嫌がらせか 動悸 出来事 感情 行動 病棟からの 連絡 怒り 電話口で 怒鳴る 環境 認知:外来日だと知らずにかけてきたのかも、緊急かも、など 行動:「外来中で」と手短に返す、怒鳴るぐらいなら出ない、など
#14.
マインドフルネスのエビデンス:精神科領域① • 精神障害の患者に対してマインドフルネスを基にした介入 (MBI)を行ったランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial : RCT)のメタアナリシスでは、特にうつ病において未治療群 より有意な効果を認めた※1 • 不安障害や抑うつ障害の患者に対してMBIを行ったRCTのメタア ナリシスでは、うつや不安といった主要症状が有意に改善したと 認められた※2 ※1:Goldberg SB, Tucker RP, et al. Clin Psychol Rev. 2018 Feb ; 59 : 52-60. ※2:Strauss C, Cavanagh K, et al. PLoS One. 2014 Apr 24.
#15.
マインドフルネスのエビデンス:精神科領域② • マインドフルネス認知療法(MBCT)が再発性うつ病患者、 特に残存症状がより顕著な患者に対する再発予防の治療法として 有効であるとの結果が得られた※1 • アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)は対照群に 比べ、特に成人群、軽症うつ病の3か月後のフォローアップに おいて、有意にうつ症状を軽減することが示唆された※2 ※1:Kuyken W, et al. JAMA Psychiatry. 2016 Jun 1 ; 73(6) : 565-74. ※2:Bai Z, Luo S, et al. J Affect Disord. 2020 Jan 1 ; 260 : 728-737
#16.
マインドフルネスのエビデンス:身体科領域 • 慢性疼痛に対して、MBIを受けた群と対象群(通常治療群、 待機群、患者教育サポート群)を比較したシステマティック レビュー 痛みの強さ、抑うつ、QOLの改善に対して有意差あり※1 →慢性疼痛診療ガイドラインでも推奨されている※2 • 更年期障害のホットフラッシュ、寝汗に対して苦痛を緩和する 効果がRCTで示された※3 ※1:Hilton L, et al. Ann Behav Med. 2017 ; 51 : 199-213. ※2:慢性疼痛診療ガイドライン, 2021. ※3:James F, et al. Menopause. 2011 Jun ; 18(6) : 611-20.
#17.
医学領域以外でのマインドフルネス 企業 社員の生産性の向上、ストレス軽減などを目的に導入 スポーツ パフォーマンスの低下を抑制 一般社会 一般的な悩みへの対策として独自の書籍やセミナーが多数 医学的に考えると堅苦しいが、一般的には気軽に使われている
#18.
マインドフルネスの簡単な練習:呼吸の瞑想 楽な姿勢をとり、呼吸に集中する お腹 すいた 呼吸に 集中 途中雑念が浮かんできても 無理やり消そうとしない 「雑念そのもの」を認識し、 再び呼吸に集中する 繰り返すことで「今、ここ」に集中し、様々なことに意識を向け、 それを実感することができるようになる
#19.
マインドフルネスの簡単な練習:食べる瞑想 食べる前に食材をよく観察する (見た目、香り) 美味しそう、お腹が空いた といった思考・感情も観察する 食材を口に入れた後、食感、味、 飲み込む感覚などを観察する 「ながら食い」をせずに集中することでいつもより満足感が得られる(かも) 上記をレーズン1粒で実践するレーズンエクササイズといったものが有名
#20.
注意点① • 有効性のエビデンスが示されてはいるが、まだまだ臨床試験の 数は少なく、効果量や他の治療法と比べた成績、長期予後など 不確定な要素もあり、臨床的に劇的に効果がある方法とまでは 言い切れない • 薬物療法のようにプラセボを対照群にできない • 心理療法であるため、プロトコールの順守や治療者の力量に よってばらつきが出ることがあり、結果の解釈には注意が必要
#21.
注意点② • 日本でしっかりとしたプログラムを組んで行うことができる 施設、治療者は少ない • 「ブーム」となっている部分もあり、厳密なプログラムでは ない高いお金を要求するようなものも見られるため注意が必要 「絶対に効果がある!」、「やったのに全然効果がない!」などと 考えてやることは、それそのものが「マインドレス」な状態である エビデンスにこだわり過ぎず、エッセンスを日常生活に取り入れる分には 気軽にでき、悪影響はほどんどないと思われる
#22.
Take Home message ・マインドフルネスとは「今、この瞬間」を大切にする状態で、 不安や抑うつ、ストレス軽減を図る技法として医療現場に限らず 一般社会でも取り入れられている ・精神面に対する効果だけでなく、慢性疼痛や更年期障害などの 身体疾患に対してもエビデンスがある ・奥が深く、真の意味で理解、実践するには練習が必要だが、 呼吸や食事などの日常生活にエッセンスを取り入れることは気軽 に始められる