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CAR-T療法の概要と意義
#1. 最近話題のCAR-T療法ってなあに? kotobuki@血液専門医
#2. そもそもがん免疫とは? 免疫とは「自分と異なるもの(非自己)を攻撃する力」のこと。 外から細菌やウイルスが入ってくれば、それに対して排除する力が働き、戦った結果、発熱を きたす。 主に白血球(好中球やリンパ球など)が免疫の中心的な役割を担っている。 白血球の中でもT細胞は「がん細胞」に対しても攻撃する力を持っている。 しかし、がん細胞は免疫から逃れる力を持っており、通常の免疫機構だけでは完全に死滅させ ることはできない(なのでがんを発症する)。 攻撃はするが、 これだけでは力不足… リンパ球
#3. CAR-T療法とは? 患者自身のT細胞を取り出して、がん細胞への攻撃力を高めるように遺伝子改 変を行ったのちに(これをCAR-T細胞と呼ぶ) 、それを患者体内に戻して、が んを治療する方法。CARとはキメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor)の略である。 2019年に、CD19という表面抗原をターゲットにした「チサゲンレクルユーセ ル(キムリア🄬🄬)」が保険適応となり、B細胞性急性リンパ性白血病・びまん性 大細胞型B細胞リンパ腫に対して実臨床ですでに用いられている。薬価が3000 万円を超えることでも話題となった。 それ以降も、同じCD19をターゲットとしたCAR-T製剤が登場しており、また、 今後はCD19以外をターゲットとした製剤が出てくるのはほぼ確実である。 これらは血液内科領域の治療戦略を一変させる可能性がある。
CAR-T細胞の構造と機能
CAR-T製剤の種類と適応
CAR-T療法の治療フロー
CAR-T療法の合併症と管理
神経系事象ICANSの詳細
CAR-T療法後の血球減少とその影響
急性リンパ性白血病に対する治療成績
CAR-T療法と自家移植の比較
CAR-T療法の今後の展望