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最近話題のCAR-T療法ってなあに?

  • 血液内科

  • 悪性リンパ腫
  • 血液内科
  • CAR-T
  • サイトカイン放出症候群
  • キメラ抗原受容体
  • 遅延性血球減少
  • CD19
  • ICANS

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37

2022/2/24
kotobuki@血液専門医

総合病院

CAR-T療法とは、患者自身のT細胞を取り出し、がん細胞への攻撃力を高めるように遺伝子改変を行ったのちに 、それを患者体内に戻してがんを治療する方法です。血液内科領域の治療戦略を一変させる可能性があるCAR-T治療。ぜひ本スライドで学んでいただけると幸いです。

◎目次

・そもそもがん免疫とは?

・CAR-T療法とは?

・CAR-Tのしくみ

・CAR-T製剤の比較

・どのような時にCAR-T療法を知りのか?

・CAR-T療法の流れ

・CAR-T療法の主な合併症

・サイトカイン放出症候群 CRS

・神経系事象 ICANS

・遅延性血球減少

・低ガンマグロブリン血症

・急性リンパ性白血病に対する治療成績

・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する治療成績

・CAR-T療法と自家移植の比較

・CAR-T療法の今後

・Take Home Message


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最近話題のCAR-T療法ってなあに?

  1. 最近話題のCAR-T療法ってなあに? kotobuki@血液専門医

  2. そもそもがん免疫とは?  免疫とは「自分と異なるもの(非自己)を攻撃する力」のこと。  外から細菌やウイルスが入ってくれば、それに対して排除する力が働き、戦った結果、発熱を きたす。  主に白血球(好中球やリンパ球など)が免疫の中心的な役割を担っている。  白血球の中でもT細胞は「がん細胞」に対しても攻撃する力を持っている。  しかし、がん細胞は免疫から逃れる力を持っており、通常の免疫機構だけでは完全に死滅させ ることはできない(なのでがんを発症する)。 攻撃はするが、 これだけでは力不足… リンパ球

  3. CAR-T療法とは?  患者自身のT細胞を取り出して、がん細胞への攻撃力を高めるように遺伝子改 変を行ったのちに(これをCAR-T細胞と呼ぶ) 、それを患者体内に戻して、が んを治療する方法。CARとはキメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor)の略である。  2019年に、CD19という表面抗原をターゲットにした「チサゲンレクルユーセ ル(キムリア🄬🄬)」が保険適応となり、B細胞性急性リンパ性白血病・びまん性 大細胞型B細胞リンパ腫に対して実臨床ですでに用いられている。薬価が3000 万円を超えることでも話題となった。  それ以降も、同じCD19をターゲットとしたCAR-T製剤が登場しており、また、 今後はCD19以外をターゲットとした製剤が出てくるのはほぼ確実である。  これらは血液内科領域の治療戦略を一変させる可能性がある。

  4. CAR-Tのしくみ(1)  患者自身のT細胞を取り出した後、遺伝子改変を行って作成したCAR-T細胞に は以下の3つの部分がある。 1) がん細胞の表面にあるCD19を認識する部分 2) がん細胞への攻撃を強化する部分 3) CAR-T細胞そのものを体内で増殖させる部分 遺伝子導入 T細胞 ここに上記3つの役割を 担う部分が含まれる CAR-T細胞

  5. CAR-Tのしくみ(2)  体内に戻されたCAR-T細胞は、CD19の突起を持ったがん細胞(リンパ 腫細胞)に向かって攻撃を仕掛ける。  さらに、CAR-T細胞自身も増殖する能力があるため、長期間体内にとど まり、がん細胞を攻撃し続ける。したがって、1回だけの投与でも持続的 に効果が得られる可能性がある。 増幅 CAR-T細胞 がん細胞 CD19

  6. CAR-T製剤の比較  現時点で3種のCD19標的CAR-T製剤が悪性リンパ腫・急性リンパ性白血病に対して用いられ ている。  使い分けについては、まだ明確なエビデンスはない。  適応疾患が製剤毎に若干異なる(例:急性リンパ性白血病はキムリア🄬🄬のみ)。 Tisagenlecleucel (キムリア®) Axicabtagene clioleucel (イエスカルタ®) Lisocabtagene maraleucel (ブレヤンジ🄬🄬) ヒンジ・膜貫 通ドメイン CD8α CD28 IgG4/CD28 シグナル伝達 ドメイン 4-1BB-CD3ζ CD28-CD3ζ 4-1BB-CD3ζ レンチウイルス レトロウイルス レンチウイルス 再発または難治性の⼤細胞型B細胞リンパ腫 ・びまん性⼤細胞型B細胞リンパ腫 ・原発性縦隔⼤細胞型B細胞リンパ腫 ・形質転換濾胞性リンパ腫 ・⾼悪性度B細胞リンパ腫 再発または難治性の⼤細胞型B細胞リンパ腫 ・びまん性⼤細胞型B細胞リンパ腫 ・原発性縦隔⼤細胞型B細胞リンパ腫 ・形質転換低悪性度⾮ホジキンリンパ腫 ・⾼悪性度B細胞リンパ腫 再発または難治性の濾胞性リンパ腫 ベクター 適応疾患 再発または難治性のCD19陽 性B細胞性急性リンパ芽球性 ⽩⾎病(25歳以下) 再発または難治性のびまん性 ⼤細胞型B細胞リンパ腫

  7. どのような時にCAR-T療法をするのか? 急性リンパ性白血病  化学療法で寛解に至らないとき。  同種造血幹細胞移植後の再発。 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫  再発し、自家造血幹細胞移植の適応にならない場合。  自家造血幹細胞移植後の再発。

  8. CAR-T療法の流れ(1) 4~6週間前 ①アフェレーシス 2~14日前 ②ブリッジング治療 ④CAR-T輸注 ③リンパ球除去療法 1か月後 ⑤経過観察 ①アフェレーシス 血管内を流れるリンパ球を採取する。 処理血液量が比較的多いため、透析用カテーテル挿入を要することが多い。 アフェレーシス前に貧血があるとリンパ球採取効率が低下するというデータがあり1)、 アフェレーシス 高度の貧血を呈する患者では、アフェレーシス前に輸血も考慮する。 ②ブリッジング治療 アフェレーシスの後、CAR-T作成までは4-6週間かかる。 その間、がん細胞が増えないように化学療法(あるいは放射線療法)を行うことが 多い。これをブリッジング療法と呼ぶ。 CAR-Tの治療効果は、残存する病気の量が少ないほうが発揮されやすい。 1)城友泰ら. 臨床血液 2021, 62:163-169. 化学療法

  9. CAR-T療法の流れ(2) 4~6週間前 ①アフェレーシス 2~14日前 ②ブリッジング治療 ④CAR-T輸注 ③リンパ球除去療法 1か月後 ⑤合併症への対応 ③リンパ球除去療法 CAR-T投与後、CAR-T細胞が十分増えるように、CAR-T投与前にリンパ球を減らす ため、数日前から化学療法を行う。これを「リンパ球除去療法」という。シクロホ スファミドやフルダラビンなどリンパ球抑制の強い抗がん剤を用いる。化学療法自 体は比較的マイルド。 化学療法 ④CAR-T輸注 リンパ球除去療法後、完成したCAR-T細胞を、通常の点滴の要領で体内に戻す。 CAR-T輸注

  10. CAR-T療法の主な合併症  CAR-T療法の主な合併症として、次の5つが挙げられる。 早期(~投与後3週間) • 感染症 • サイトカイン放出症候群(CRS) • 神経系事象(ICANS) 後期(投与後1か月~) • 遷延性血球減少 • 低ガンマグロブリン血症

  11. サイトカイン放出症候群 CRS (1)  サイトカイン放出症候群(Cytokine release syndrome: CRS)は、炎症性サイトカイン(IL-6, IL-10, IFN-γ)によっ て起こると考えられているが、完全には解明されていない。  投与2-3日後が最も多い。2週間以内に起きる。  症状としては、発熱、血圧低下が最も多く、他には意識障害、 息苦しさ、筋肉痛、頭痛、嘔吐、下痢、頭痛、けいれんなど。

  12. サイトカイン放出症候群 CRS (2) 治療法 Grade 1 Grade 2 Grade 3 Grade 4 Grade 5 死亡 Grading 全身症状の有無は 輸液に反応する低血圧。 昇圧剤単剤で管理で きる低血圧。または または<40%の酸素 問わない発熱 投与に反応する低酸素 >40%の酸素投与を 要する低酸素症。 症。 生命を脅かす。または 緊急処置を要する。 治療 広域抗菌薬の経験 的投与(感染症を 否定できないた め) 左記に加えてデキサ メタゾンを6時間ごと に10mg投与。 ICUへの移動。 左記に加えてステロイ ドパルス (mPSL1000mg)考 慮。 (CTCAE v5.0) 輸液負荷 昇圧剤 低血圧が遷延する場合 はトシリズマブ(アク テムラ🄬🄬) それでも反応しない場 合はデキサメタゾン ただし、抗サイトカイン療法が予後へ影響しないこと、また神経系事象のリスクになる ことからGrade 1であってもトシリズマブ投与を推奨する文献もある。

  13. 神経系事象 ICANS (1)  CAR-T療法によっておこる神経毒性をまとめてImmune effector cell- associated neurotoxicity syndrome (ICANS)と呼ぶ。  炎症性サイトカインによって起こると考えられているが、解明されていない。 CAR-T細胞が中枢神経に浸潤する例も報告されている。  投与4-10日後に多い。稀ではあるが8週間程度まで起こることもあり、退院後 も運転などは避けるよう指導する。  症状としては、頭痛、錯覚・幻覚・妄想、意識障害、めまい・浮遊感、不眠、 振戦、けいれんなど。

  14. 神経系事象 ICANS (2)  ICEスコアなどの評価スケールを用いて重症度分類を行う。 ICEスコア 評価項目 質問例 ポイント Orientation 現在の年月日、場所、病院を言えるか 4 Naming 時計、テレビ、布団などの3つのものの名前が言えるか 3 Following commands 「目を閉じて舌を出してください」など簡単な指示に従えるか 1 Writing 「日本の首都は東京です」など標準的な文章が書けるか 1 Attention 100から10ずつ引いていく 1 Lee DW et al., Biol Blood Marrow Transplant. 2019;25:625-638.

  15. 神経系事象 ICANS (3) ICANSの重症度 Grade 1 Grade 2 Grade 3 Grade 4 ICEスコア 7-9 3-6 0-2 0(検査不能) 意識レベル 自発覚醒 呼びかけで覚 醒 触覚刺激で覚醒 激しい触覚刺激で覚醒 意識混迷/昏睡 5分以上持続する痙攣発作 繰り返す臨床的/電気生理学的発作 てんかん発作 ―― ―― 治療に速やかに反応する部分発作 /全般発作 介入で改善する脳波上の非痙攣性 てんかん発作 運動所見 ―― ―― ―― 片麻痺や対麻痺などの局所運動障害 画像所見上での限局的な脳浮腫 画像所見上でのびまん性脳浮腫 除脳硬直または除皮質硬直などの異常肢位 中枢性外転神経麻痺 乳頭浮腫 クッシング徴候 髄液圧亢進/脳浮腫 ―― ―― Lee DW et al., Biol Blood Marrow Transplant. 2019;25:625-638.

  16. 神経系事象 ICANS (4) ICANSへの対応 ICANSのみの場合 CRSを伴うICANSの場合 Grade 1 支持療法 トシリズマブ投与 反応得られない場合は、トシリズマブを8時間毎に投与繰り返す Grade 2 髄液検査を検討 支持療法 症状増悪時はデキサメタゾン10mgを6時間毎もしくは mPSL1mg/kgを12時間毎 上記に準ずる Grade 3 ICU管理 髄液検査 症状増悪時はデキサメタゾン10mgを6時間毎もしくは mPSL1mg/kgを12時間毎 Grade3以上持続時はCT/MRIなど画像検査を2-3日毎に繰り返す 上記に準ずる Grade 4 ICU管理を行い、人工呼吸管理を検討 髄液検査 mPSLパルス Grade3以上持続時はCT/MRIなど画像検査を2-3日毎に繰り返す 痙攣重責発作に対する対応 Yakoub-Agha I et al., Haematologica. 2020;105:297-316. 上記に準ずる

  17. 遷延性血球減少  CAR-T療法後の血球減少は二相性である。 リンパ球除去 療法関連 CAR-T療法 関連 血小板 CAR-T療法 関連 好中球 リンパ球除去 療法関連  治療後3か月時点で、約10%が赤血球・血小板輸血依存、約20%が1000 /μL未満の好中球減少症との報告もある。  CAR-T投与後のフェリチンやCRP値が高いほうが、血球減少が遷延するとの報告も。  G-CSFは遷延性血球減少には効果が乏しい。 Fried S et al., Bone Marrow Transplant. 2019;54:1643-1650. Jain T et al., Blood Adv. 2020;4:3776-3787.

  18. 低ガンマグロブリン血症  CD19をターゲットとしたCAR-T療法は、正常のB細胞も枯渇させてしまう。 それによって、低ガンマグロブリン血症が起こる。  血清IgG<400mg/dlの場合は免疫グロブリン補充を検討する。  血清IgG>400mg/dlであっても、感染症を繰り返す場合は免疫グロブリン補 充を検討する。 Hill JA et al., Blood Rev. 2019;38:100596.

  19. 急性リンパ性白血病に対する治療成績  日本で承認されているキムリア🄬🄬のB細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)に対する成績  対象:3-21歳の再発難治性B-ALL 75例 全生存率 無イベント 生存率 有効性 投与3か月以内の奏効率:81% 6か月時点の全生存率:90%、 12か月時点の全生存率:76%、 全生存期間中央値:19.1か月。 安全性 サイトカイン放出症候群:77% 神経系事象:40% Maude SL et al., N Engl J Med. 2018;378:439-448

  20. びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する治療成績 (1)  日本で承認されているキムリア🄬🄬のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する成績  対象:自家移植非適応の再発例もしくは自家移植後再発DLBCL 111例 全生存率 完全寛解到達症例 全症例 有効性 奏効率:52%(うち40%が完全寛解) 6か月時点の全生存率:62%、 12か月時点の全生存率:49%、 全生存期間中央値:12か月。 安全性 サイトカイン放出症候群:58% 神経系事象:21% Schuster SJ et al., N Engl J Med. 2019;380:45-56.

  21. びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する治療成績 (2)  キムリア🄬🄬の長期成績からは、一定の患者さんはCAR-T療法で完 治すると考えられる。  特に投与後3か月あるいは6か月時点で完全寛解だった場合、長期 予後も良好である。  また、CAR-T療法後再発をきたす症例の特徴として、CAR-T治療 前の腫瘍量が多いこと、LDHが高いこと、などが挙げられている。 Schuster SJ et al., Lancet Oncol. 2021;22:1403-1415., Iacoboni G et al., Cancer Med. 2021;10:3214-3223.

  22. CAR-T療法と自家移植の比較  アグレッシブB細胞リンパ腫においてセカンドライン治療としてのいま までの標準治療(自家移植)とCAR-T療法の比較が行われた。 Tisa-cel (キムリア🄬🄬) Axi-cel (イエスカルタ🄬🄬) 無イベント生存期間は、Tisa-celでは自家移植と有意差なし、Axi-celでは自家移植と比 較し有意に上回り、両試験で結果は一致しなかった。 患者背景・ブリッジング治療などが異なっており、どちらがよいかはまだ結論が出ない。 Bishop MR et al., N Engl J Med 2021, doi: 10.1056/NEJMoa2116596, Locke FL et al., N Engl J Med 2021, doi: 10.1056/NEJMoa2116133

  23. CAR-T療法の今後  CAR-T療法は、すでに使用されている疾患に対しては、より早 い治療ラインで用いられるようになると考えられる。  また、多発性骨髄腫など他の血液疾患、あるいは固形腫瘍へ対 する製剤の開発が行われており、本格的なCAR-T時代に突入し ていくであろう。

  24. Take Home Message  CAR-T療法は、患者本人のリンパ球を取り出して、腫瘍を攻撃 するよう遺伝子改変した細胞製剤である。  CAR-T療法は、難治性急性リンパ性白血病・悪性リンパ腫を治 癒に導く可能性がある。  CAR-T療法にはサイトカイン放出症候群など独特の副作用があ り、マネジメントを理解しておく必要がある。

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