#4.
⾼K⾎症に出会ったら… 1. ⾼K⾎症に出会ったら… 腎不全の有無は︖ あり なし このスライドを読み進める p 代謝性アシドーシス p 副腎不全 p 糖尿病性ケトアシドーシス p 薬剤性 など・・・ p 尿細管性アシドーシス このスライドは腎不全に合併しがちな⾼K⾎症に関してまとめます 4
#5.
① ⾎清Kはどれくらい︖ 1. ⾼K⾎症に出会ったら… Ø 慢性腎不全があると⾼K⾎症が多く合併します → eGFR<20ml/min/1.73m2となると⾼K⾎症の頻度は42%まで上昇すると ⾔われています Ø 慢性腎不全の⾎清Kの⽬標値は4.5〜5.4mEq/L → K値<4mEq/L、≧5.5mEq/LではCKD患者の総死亡、 CVDのリスクが 上昇すると⾔われています 慢性腎不全の患者でも5.5mEq/L未満にK値を安定させる必要あり 5
#6.
② そのKの値は信⽤できる︖ 1. ⾼K⾎症に出会ったら… Ø K値は⾊々な条件で上昇することがあります ① 採⾎⼿技による溶⾎ ② ⾎球成分の異常 ③ 検体の不適切な保存 採⾎時の針が細い、シリンジを引く陰圧が強い、駆⾎時間が⻑い、 駆⾎時の患者のクレンチング(握る、開くの繰り返す動作)など ⽩⾎球や⾎⼩板の増加により⾎球細胞からKが漏出するなど ⻑時間放置した検体、特に冷蔵保存や常温でも真冬の寒い環境では ⾎球が崩壊しやすい(クリニックなどでの外注検査では注意が必要) 6
#7.
② そのKの値は信⽤できる︖ 1. ⾼K⾎症に出会ったら… 偽性⾼K⾎症を⾒極めるには… Ø 溶⾎を⽰唆する所⾒はないか︖ → 想定外のAST・LDHの上昇、採⾎時の状態、その後の保管状態など検討 Ø まずは再検査が必要 → 6.5mEq/L以上なら⼼電図施⾏も ⼼電図も異常なく、再検査で異常なければ良いが、クリニックで当⽇検査結果が出ないことが多いため判断は難しい 個⼈的には、⼼電図を確認し、異常なければ翌⽇の再検査まで念のため 陽イオン交換樹脂を処⽅しています また、冬場はなるべく保温して溶⾎を防ぐ⼯夫も 7
#8.
③ すぐやるべきことは︖いつ専⾨医に相談︖ 1. ⾼K⾎症に出会ったら… 信頼できるK値で⾼値であれば… K>5.5mEq/Lで… 原因を考える K>6.0mEq/Lで… 陽イオン交換樹脂の投与検討(相談前に先⾏しても可) K>6.5mEq/Lで… ⼼電図施⾏ → 専⾨医へ 再検査でも6mEq/L持続なら専⾨医へ相談を 8
#9.
⾼K⾎症の⼼電図 1. ⾼K⾎症に出会ったら… Ø ⾼K⾎症は⾃覚症状があまりないことが多い → ⾃覚症状がある場合には、⾼K⾎症による不整脈 Ø ⾼K⾎症に伴う⼼電図変化は、必ず起こるわけではない → しかし、的確な治療を⾏わないと短時間で致命的となることもあり、注意が必要 Ø 典型的な⼼電図変化は K値6mEq/L以上で出現し始める テント状T波 P派増⾼の消失 変形したQRS、⼼室性期外収縮 PQ間隔の延⻑ ⼼室細動、⼼停⽌に⾄る 9
#10.
⽬次 1. ⾼K⾎症に出会ったら… 2. ⾼K⾎症の原因を考えよう 3. ⾼K⾎症の治療を考える 10
#11.
⾼K⾎症の原因を考えよう 2. ⾼K⾎症の原因を考えよう Ø 慢性腎不全が基本にある場合(K排出不⾜)、以下の原因で容易に ⾼K⾎症になりうる p ⾷事でのK摂取過剰 → ②へ 摂取過剰 p 消化管出⾎(消化管での出⾎からKが再吸収されるため) p 輸液などによるK負荷 排出不⾜等 p 便秘(腎不全では腸管からのK排泄が多くなっているため) p 薬剤性 → ①へ 11
#12.
① 薬剤性の⾼K⾎症は︖ 2. ⾼K⾎症の原因を考えよう Ø 原因が薬剤性であれば、K>6mEq/Lなら原則中⽌を検討 Ø CKD患者で多いのは、ACE阻害薬、ARB、ミネラルコルチコイド受容体 拮抗薬などの使⽤ → しかしこれらの薬は、腎保護作⽤を考え陽イオン交換樹脂を使⽤しながら継続する ことが多い 腎臓内科へ相談を 12
#13.
① 薬剤性の⾼K⾎症は︖ 2. ⾼K⾎症の原因を考えよう Ø そのほかの薬剤として以下が挙げられる p NSAIDs p 免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス) p ヘパリン p ST合剤 p メシル酸ナファモスタット p ジギタリス p リチウム など… Ø 漢⽅薬を聞かれることもあるが、漢⽅のエキス剤でのKの含量はそれほど 多くなく、問題となることは少ない → ツムラの製剤は、1包あたり K 4.7〜50.2mg 1包中 K 量が多い⽅剤は、荊芥連翹湯 40.4g、清上防⾵湯 41.3g、⼤防⾵湯 50.2g 13
#14.
② ⾷事でK摂取が過剰になっていないか︖ 2. ⾼K⾎症の原因を考えよう Ø 腎不全がなければKの過剰が⾼K⾎症の原因となることはあまりない Ø 腎不全が基礎にあるとKの排泄が低下しているため、Kを過剰にとりすぎると 急激に上昇することもある Kが多いもの︓果物・野菜ジュースなど 14
#15.
② ⾷事でK摂取が過剰になっていないか︖ 2. ⾼K⾎症の原因を考えよう ⾷べ物のK含有量(mg、100g中) 品⽬ 含有量 品⽬ 含有量 品⽬ 含有量 ⾥芋 640 ⽜ヒレ⾁ 340 サツマイモ 470 豚もも 360 ジャガイモ 410 ⽜もも⾚⾝ 340 リンゴ 110 ⻑芋 430 鶏ささみ 420 420 カボチャ 栗 400 紅さけ 380 トウモロコシ ピーナッツ(乾) 740 290 バナナ 360 ほうれん草 ポテトチップス 1200 690 ⼲し柿 670 アボカド トマトジュース 260 720 キウイフルーツ 290 枝⾖ ミルクチョコレート 440 590 ブロッコリー 360 みかん 150 ※⽸詰 果⾁: 75 パインアップル 150 ※⽸詰: 120 ※ストレートジュース: 210 ⻘汁 2300 ※商品により異なる 納⾖ 660 15
#16.
③ そのほかの原因は︖ 2. ⾼K⾎症の原因を考えよう Ø 糖尿病性ケトアシドーシス → 急激な⼝渇、多飲、多尿、倦怠感あり ⾎糖値⾼値や尿のケトン陽性などあり 早急に糖尿病内科受診を Ø 消化管出⾎ → 貧⾎の進⾏や、便潜⾎陽性などあれば考える Ø 輸⾎などによるK負荷 → 直前の輸⾎がなかったか、点滴している側での採⾎などないか確認を (⽇にちが経つほどKが増えます → 400mL 照射⾎14⽇保存で6mEq/Lまで上昇) 腎不全の場合、保存期間の短いものを依頼することもあります 16
#17.
⽬次 1. ⾼K⾎症に出会ったら… 2. ⾼K⾎症の原因を考えよう 3. ⾼K⾎症の治療を考える 17
#18.
⾼K⾎症に出会った場合どうする︖ 6mEq/L以上なら… 3. ⾼K⾎症の治療を考える 陽イオン交換樹脂開始を 6.5mEq/L未満なら… まず原因を調べて対応。Kの過剰摂取ないか⾷事も確認 6.5mEq/L以上なら… ⼼電図で異常がないか確認し、腎臓内科へ (話を聞くと、果物やナッツ類、野菜ジュースなど過剰なことも) 特に7mEq/L以上なら緊急 18
#19.
⾼K⾎症の治療薬 3. ⾼K⾎症の治療を考える Ø K>6mEq/L以上の場合、個⼈的には、ケイキサレートR 2P〜3P/⽇から 処⽅することが多いです → ステージG3a(eGFR45以上)程度までの保存期の腎不全では、過剰のK摂取を抑え、 必要あれば少量の陽イオン交換樹脂投与で、おおむねKのコントロールができている 例が多い印象です。これ以上腎不全が進⾏している場合には、腎臓内科へ相談を Ø 過剰のK摂取がないか、⾷事などの聞き取りは重要 p 便秘だからバナナをたくさん⾷べていた p 健康のために⻘汁を飲んでいる p 果物は腎臓に良いんでしょ︖ p 毎⽇野菜ジュースを飲んでいる p K減らすのに温めた野菜がいいから、レンジでチ ンしてたり野菜スープにしてた p ポテトチップス、ナッツなどを毎⽇⾷べている → 患者さんの間違いを正すことも⼤切 19
#20.
① ⾷事指導 3. ⾼K⾎症の治療を考える Ø ステージ3b(GFR30〜44)以下ではK制限が勧められる CKDステージ GFR K制限 ステージ1〜3a 45以上 なし ステージ3b 30〜44 2000mg/⽇以下 ステージ4 15〜29 1500mg/⽇以下 15未満 ステージ5 ⾎液透析 1500mg/⽇以下 腹膜透析 制限なし (⾼Kある場合には制限あり) 20
#21.
① ⾷事指導 3. ⾼K⾎症の治療を考える K制限のための⼯夫 ① Kの摂取量を減らすために、野菜は⽔でさらしてから⾷べる もしくは、ゆでこぼす(お湯は捨てる)様に指導 ② 果物は、⽸詰などでKの含有量が減るため、⽸詰で⾷べることも検討(ただし⾷べ過ぎ注意) ③ ⾷事以外の飲み物(野菜ジュース、トマトジュース、⻘汁)が多いこともあるため確認をする ④ ピーナッツなどの⾖類、イモなども原因に ポテトチップスなどのイモ原料の菓⼦なども確認を 21
#22.
② 陽イオン交換樹脂の投与 分類 成分 ポリスチレン スルホン酸Ca イオン交換樹脂 ポリスチレン スルホン酸Na ⾮ポリマー 無機陽イオン 交換樹脂 ジルコニウム シクロケイ酸 Na⽔和物 3. ⾼K⾎症の治療を考える 製剤 薬価 ポリスチレンスルホン酸Ca 経⼝ゼリー (そのまま経⼝投与) 72円/個 カリメート散 (懸濁して内服) 10.8円/g カリメート経⼝液 (そのまま経⼝投与) 72円/包 ケイキサレート ドライシロップ (50-150mLに懸濁して内服) ロケルマ懸濁⽤散 (⽔で懸濁して内服) 10.6円/g 1528.4円/包 特徴 p 便秘に注意 p 剤型がゼリー、ドライシ ロップなど⾊々なものが ある p ポリスチレンスルホン酸 Caより便秘の副作⽤は少 ない p ⾼Na⾎症に注意 p リンゴ⾵味 p p p p 副作⽤が少ない 即効性あり 45mLの⽔に懸濁する ⾼額なのがデメリット 22
#23.
② 陽イオン交換樹脂の投与 3. ⾼K⾎症の治療を考える Ø 副作⽤が少ないロケルマは最強だが、値段が⾼い → 少量でコントロールがつく場合には、他剤でも 量が多いと便秘など副作⽤もあり注意が必要 Ø イオン交換樹脂は⾊々な剤型があり、患者の好みに合わせて処⽅できる ことは良い → 懸濁が⾯倒という⼈は、ゼリーや液体で処⽅することも ゼリーにも⾷べやすい様にフレーバー(リンゴ味)もあり 23
#24.
Take Home Message Ø K 4.5〜5.4mEq/Lの範囲にコントロールが必要 6mEq/L以上では要注意、6.5mEq/Lでは⾄急対応 Ø 原因は、腎不全+⾷事、薬剤性、便秘等さまざま Ø ⾼K⾎症の治療は、①原因の解決、②⾷事指導、③陽イオン交換樹脂の投与 Ø K 6mEq/L以上が持続するなら腎臓内科へ 24
#25.
まとめ 偽性⾼K⾎症 K 5.5〜6mEq/L 本当に正しい︖ 慢性腎不全あり ⾼K⾎症 K 6〜6.4mEq/L 原因を考え、Kが低下するように治療を 原因を調べつつ陽イオン交換樹脂の投与開始 ※6mEq/L以上が続くなら腎臓内科へ 慢性腎不全なし K 糖尿病性アシドーシス 副腎不全など 6.5mEq/L以上 ⼼電図施⾏ → 異常があればすぐに救急、腎臓 内科へ。異常がなくとも腎臓内科へ 25