東北大学病院
降圧薬と高K血症のマネージ 〜Kはこのように調整すると上手くいく〜
#RAA系 #ケイキサレート #カリメート #ロケルマ
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最終更新:2022年4月27日
検尿のススメ 〜たんぱく尿、アルブミン尿は腎予後、生命予後に大事! 非専門医はここを押さえて治療して欲しい!〜
#腎臓内科 #検尿 #尿たんぱく #uP #アルブミン尿 #eGFR #紹介基準
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最終更新:2022年1月4日
慢性腎臓病(CKD)の生活指導〜運動療法、飲水の考え方〜
#生活指導 #飲水指導 #CKD診療ガイドライン
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最終更新:2022年7月28日
健康診断で要精査 尿潜血の対応方法
#プライマリケア #初期研修医向け #総合診療 #研修医 #プライマリ・ケア #腎臓内科 #血尿 #尿潜血 #泌尿器科 #健康診断
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最終更新:2023年3月24日
CKDの合併症抑制におけるXOR(キサンチン酸化還元酵素)阻害の可能性
#痛風 #腎臓内科 #CKD #慢性腎臓病 #高尿酸血症 #アロプリノール
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最終更新:2020年10月16日
心不全の評価と治療
#心不全 #利尿薬 #心エコー
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最終更新:2022年12月23日
腹水がたまっている!どうしよう? コンサルテーションシリーズ
#消化器内科 #腹水 #SAAG #スピロノラクトン #CART #腹水濾過濃縮再静注法
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最終更新:2022年2月4日
もう悩まない!血尿診療の3Rules!
#プライマリケア #総合診療 #プライマリ・ケア #腎臓内科 #血尿 #尿検査 #尿沈渣 #尿潜血 #顕微鏡的血尿 #肉眼的血尿 #膀胱癌 #糸球体疾患 #ドクターマンデリン #健診 #健康診断 #糸球体性血尿 #ネフローゼ
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最終更新:2021年12月19日
#3 K代謝異常 | 電解質輸液塾
#輸液 #医学生 #研修医 #K代謝異常 #低K血症 #高K血症 #電解質輸液塾 #低カリウム血症 #高カリウム血症
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最終更新:2021年12月4日
降圧薬と高K血症のマネージ 〜Kはこのように調整すると上手くいく〜
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最終更新:2022年4月27日
静脈血栓塞栓症(VTE)
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最終更新:2023年3月9日
ERでの頻脈対応 -narrow QRS tachycardiaの3つのコツ-
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最終更新:2023年3月8日
慢性心不全の薬物療法
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最終更新:2023年3月8日
「循環器のトビラ」 循環器には興味がある でもちょっと苦手 そんな皆さんようこそ Antaa Channel 出張版
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ちゃんとできる!高血圧診療!
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最終更新:2023年2月28日
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利尿薬の使い方 長澤@腎臓内科 〜体液量過剰に使うものだという認識が第一歩〜 1
原則体液量過剰につかう! 体液量過剰に使うのはループ利尿薬とトルバプタン 薬剤特異的なよくおこる副作用を熟知しておく ループ利尿薬・・・低K血症、低Mg血症 トルバプタン・・・高Na血症 サイアザイド・・・体格小さい人には低Na血症、低K血症 スピロノラクトン・・・高K血症、女性化乳房 利尿薬のTips 2
定義は「腎臓(おもに尿細管のチャネルなど)に作用して、Naや水の排泄を促進する薬剤」 生理学で「尿細管の図」がでて嫌いになった人が多い 私としては面白いと思うのだが、、、、 細かい作用機序は分からなくても臨床上は使える レンジや冷蔵庫みたいなもの(ただし、使い時と副作用は熟知する必要がある) 利尿薬って何? 3
4.
ループ利尿薬 トルバプタン 利尿薬は大まかにこう捉える! 4 体液量過剰 に使う薬 サイアザイド Na排泄 を狙う薬 スピロノラクトン エプレレノン エサキセレノン アルドステロンをブロック →結果K保持となる マンニトール グリセロール その他 アセタゾラミド 脳浮腫や緑内障 などに使う 専門家が使う (浸透圧利尿) 眼圧を下げる →緑内障の薬 ただし、最近は第2-3選択薬とのこと 実は臨床上有効なほど尿量を増やすタイプのものではない 少なくとも体液量過剰に対しての1st lineではない 体液量過剰に使う 降圧薬 心不全の薬 としての意味づけが大きい Na利尿を起こす 降圧薬 Antaa内 「脳梗塞のみかた-急性期治療-」 「内科医のための脳出血とくも膜下出血」 「その症状は点眼薬の影響かも!?」 も参照
5.
Na利尿、水利尿って何? Diuresis・・・「利尿」だが、尿が増えるという意味合いが強い 多尿はpolyuriaとよばれる Na利尿(Natriuresis)・・・Naを体外に排泄する 水利尿(water diuresis)・・・真水(H2O)を体外に排泄させる この辺の日本語が分かりにくい、、、英語の教科書がお勧めです 5
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尿の濃さの見方 等比重は1.010 薄い尿(低張尿)・・・水を排泄している(再吸収していない) 臨床的には尿比重は<1.005 濃い尿(高張尿)・・・水を排泄していない(再吸収している) 臨床的には尿比重は>1.020 短期的には真水の再吸収を調整する事で、尿の濃さを調整している(Na、Kを調整することは結構難しい) 尿浸透圧 (mOsm/kg)= (尿比重—1) × 1,000 × 20〜30 比重0.01増えると浸透圧200アップ(あくまで目安として) 6
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体液量過剰→ループ利尿薬、トルバプタン ループ利尿薬・・・ほとんど等張尿 トルバプタン・・・必ず低張尿 7 H2O Na H2O Na ループは低Naにも高Naにもなりにくい H2O Na H2O Na トルバプタンは高Na注意
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体液量過剰って何? 細胞外液の過剰 細胞外液・・・血管内:間質=1:3 臨床的には、圧痕性の浮腫は間質の部分の細胞外液を認識している 足背、前脛骨などで見つけやすい。非圧痕性は橋本病の粘液水腫を想定 身体からNaを追い出すことが、体液量過剰の治療方針 →ループ利尿薬が最適 8
9.
体液量過剰、他の利尿薬ではダメ? サイアザイド・・・Na排泄量を増やすが、尿量をほとんど増やさない K保持性利尿薬・・・こちらも、尿量をほとんど増やさない 上記二つは、ループ利尿薬との併用で若干の尿量の上乗せがある ただし、論文中などでは、十分に出ている尿量に対して上乗せであり、臨床上尿がもっと出て欲しい状況 で効果があるかは不明 トルバプタン・・・OK。低張尿を出すが、完全に真水の尿をを出すことはできないため、Naも排泄する。臨床上はループ利尿薬との併用で使われることが多い 9
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ループ利尿薬の注意 低酸素の時は効かない 低血圧の時には効かない 低アルブミン血症で効かないはウソ Clin J Am Soc Nephrol 2019 ;14:712-718 フロセミドのバイオアベイラビリティは50%、全身状態で下がることはありうる(アゾセミド、トラセミドは100%に近い)確実に効かせたいならば静注 N Engl J Med . 2018;378:492 Threshold Drug=閾値(Threshold)を超えないと効かない 海外では500mgなど使われている、私はCr値×20-40mg使う フロセミドの持続とボーラスは差がない(どちらでも良い) 10
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ループ利尿薬の副作用と注意点 長く使うと低K血症、低Mg血症になる 電解質は月1回はチェックした方がよい、Mgは3ヶ月毎を目安 脱水に注意 特に春から秋までは注意 NSAIDsとの併用は注意→脱水による腎血流↓で急性腎障害起こす 「痛み止め飲むときは教えてね」が無難 アルカローシスは起こるが、臨床上問題は少ない アシドーシスの補正には使わない 耳障害は2000-3000mgのボーラスで起こすと言われている そんな量を使う事はまずない、心配なら聴力検査した方が良い 11
12.
ループ利尿薬のちょっとした話題 短時間作用型のフロセミドはリバウンドで交感神経活性↑やNaの再吸収↑を起こすと言われている 外来ならば短時間作用型のフロセミドより、アゾセミドが良いかも J-MELODIC試験(Circ J. 2007;71(7):1137-40)COLD-CHF試験(J Cardiol. 2012;59:352-8) トラセミドもフロセミドより良さそう Am Heart J. 2015 Mar;169(3):323-33.抗アルドステロン作用があるといわれている。ただし抗アルドステロン作用だったらきちんとスピロノラクトンなど入れた方が良いと思う 利尿がついてCrが上がることを過剰に恐れない 使う前が体液量過剰でCrが薄まっていることが多い、体液量が是正されたときが正しいCr 当たり前だが、浮腫という言葉に反応して使わない、体液量過剰に対して使う JAMA Intern Med. 2020;180(5):643-651. 12
13.
トルバプタンのちょっとした話題 ループ利尿薬と違って、腎機能低下で増量する必要はない 入院で導入が必要 再入院抑制、症状改善、体重減少、尿量の確保ができるデータは多いが、生命予後を良くしたデータはまだない EVEREST試験( JAMA. 2007; 297:1319-31、1332−43)K-STAR試験(Circ J. 2017;82:159-167.) AQUAMARINE試験(Cardiovasc Drugs Ther. 2014;28:73-7.) AQUA-TLV試験(Circ Rep. 2019 Sep 26;1(10):431-437)AURORA試験(J Clin Med. 2022 13;11:977. ) 若干の腎保護効果がありそうな印象 ただし、長期的な腎予後を改善できるかは不明 13
14.
サイアザイド利尿薬の注意 降圧効果としては半量で十分 通常量使っても効果→、副作用↑ 降圧薬としてeGFR=20ml/min/1.73m2までは使える N Engl J Med. 2021;385(27):2507-2519. 低Na血症+低K血症に注意 Na利尿が起こるために、過剰な水分負荷がかかると容易に低Na血症になる。臨床的には低K血症、低Cl血症も伴う事が多い→3ヶ月に1回は電解質チェックした方が無難 骨量↑骨折↓ ただしCa濃度は3ヶ月1回はみた方がいい、特にビタミンD併用時には注意 体格の小さな人は副作用を起こしやすい フレイルやサルコペニア、40kg未満の人は特に注意 14
15.
K保持性利尿薬 単独で使っても降圧効果が結構ある 最近ではミネラルコルチコイド受容体関連高血圧(MR関連高血圧)と言う概念も出てきている。ただし、心血管イベントリスクの少ない降圧薬として3rdラインの薬 スピロノラクトンは心不全の全死亡を減らすという報告がある RALES試験(N Eng J Med. 1999; 341:709-17.)最近はファンタスティック4と呼ばれる心不全の薬の1つ 透析患者への降圧効果高い、死亡も減少したという小さな研究がある Clin J Am Soc Nephrol. 2020;15:1129-1138. Am J Kidney Dis. 2016;68:591-598. J Am Coll Cardiol. 2014;63:528-36. スピロノラクトンの女性化乳房は多い 飲みはじめてから次の外来で「胸痛くないですか?」と聞く セララ、ミネブロは女性化乳房の副作用少ない ただし、レセプト上の病名に注意 高K血症に注意 とくにRAA系を併用するときは上がりやすい 15
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マンニトール、グリセロール 浸透圧利尿を起こす 3ヶ月に1回は電解質チェックしておいた方が良い 主に脳浮腫の対策として使われる、リバウンド効果がある 一旦脳脊髄圧が下がるが、時間たつとまた上がる。このあたりは専門医にまかせる 透析の血圧低下時に使われていることが多いが、個人的には好まない 心不全などで尿量を確保したいときには使わない方が無難 血管内ボリュームが一時的に増えるため CKDでは糸球体からのろ過が減るために効果が減弱する可能性が高い ヒトで急性腎障害を起こしやすいは明らかではない ラットの筋肉に注射して横紋筋融解→急性腎障害と言うモデルはある 16
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SGLT2阻害薬は利尿薬か? 若干の尿量増加があるデータが多い ただし、体液量の増加に対して使うこと事はまずない ループ利尿薬やトルバプタンと併用されているときは脱水に注意する SGLT2阻害薬自体で体重減少のデータがあるが、脱水を鑑別する事は常に意識 駆出率が下がった心不全(HFrEF)やCKDで使われるようになってきている 利尿薬としては使わないことがお勧め 17
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A:残念ながら見たことがありません。そのため利尿薬(特にフロセミド、トルバプタン)を使うときには ・「出ないときのマネージメント」(量を増やす、血液透析を併用する) ・「出過ぎたときのマネージメント」(補液や電解質のチェックなど)を 準備しておくことが重要です。利尿薬を「とりあえず使い続ける」デメリットがあります Q&A 尿量を予測する方法はありますか? 18
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A:私がお勧めするのは、ループ利尿薬やトルバプタンは体重ベースで使うことです。体液量過剰に対して使う為にベスト体重を見極め「@@kgを超えたときに内服」と指示を出しておくと、飲み過ぎによる体液量減少などを避けることができます Q&A 利尿薬の上手な使い方を教えてください 19 ※この「ベスト体重」を上手く見極めるのが 内科の腕の見せ所 拙著もお役に立つと思います
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A:フロセミドはLast Six Hoursという意味でラシックスという名前です。6時間程度しか効きません。夜などに飲ませると寝てからトイレに起きることが増えるために、日中にした方が無難です(高齢者が夜間に歩いての転倒はかなり多い、特に眠剤が入っている場合はより注意) Q&A 利尿薬を分2などにした方がいいですか? 20
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A:コーヒーやコーラに含まれているカフェインが、巷では「利尿効果がある」といわれていますが、カフェイン単独の効果は明らかではありません。(動物や細胞の実験では尿細管に作用するが、実際の人間で尿量が増えるは分からない)おそらく、水分をとった事による水分負荷による利尿作用が強く出ていると思います Q&A カフェインに利尿作用ありますか? 21
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A:アルコール自体が、ADH(抗利尿ホルモン)の分泌を抑制するデータがあるので本当かも知れません(Am J Physiol. 1982;242:R522-7.) ただし、ビールを飲むと水分負荷も多いので、こちらの影響が大きい印象です。体液量が過剰な状態ではADHは抑制されているので、そのタイミングでADHを抑制してもそれほど変わらないと思います Q&A アルコールに利尿作用ありますか? 22
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A:たまに高齢者がスイカを飲んで尿を出すという話をしますが、これも眉唾だと思っています。スイカは水分が多いので、こちらの水分負荷による尿量増加だと思います。 野菜にはカリウムが入っており、こちらが良さをするかも?についてはNaが十分に制限された状態で、カリウム摂取が増えると血圧が下がります。腎機能障害などの患者もいますので、カリウム摂取で血圧を下げようとするのは避けたほうが無難です。減塩が基本となります Q&A スイカに利尿作用ありますか? 23
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原則体液量過剰につかう! 体液量過剰に使うのはループ利尿薬とトルバプタン 薬剤特異的なよくおこる副作用を熟知しておく ループ利尿薬・・・低K血症、低Mg血症 トルバプタン・・・高Na血症 サイアザイド・・・体格小さい人には低Na血症、低K血症 スピロノラクトン・・・高K血症、女性化乳房 利尿薬のTips 24