テキスト全文
カルテの書き方の基本と目的
#3. カルテの悩み カルテってどうやって書けばいいんですか?
先生によって言ってることが違くて… カルテの書き方に正解はない!
でも目的を理解すると
いいカルテが書けるよ!
カルテ作成の目的と重要性
#4. カルテを書く目的 頭の整理 情報を共有 情報の記録
#5. いいカルテが書けるようになると… カルテ 問診
身体診察 臨床推論
#6. いいカルテが書けるようになると… カルテ 問診
身体診察 臨床推論 いいカルテが書けると
デキレジになれるよ!
#7. 今日の内容 以上のポイントを踏まえて
ガラパゴス流のカルテの書き方を
伝授します! 慣れてきたら適宜
オリジナルアレンジ
してください!
SOAP形式の理解と活用法
#8. SOAP S (subjective) :
O (objective) :
A (assessment) :
P (plan) : 主観的情報 客観的情報 評価 計画
#10. SとOの違い いつもSとOどっちに書けばいいか
迷うんですよね〜 まずSとOの定義を確認しよう!
S(主観的情報)の書き方と役割
#11. 患者や家族から
間接的に得た情報 Sの定義
#13. 例えば同じ所見をみても… SとOの違い 最近足が
むくんできて… S 両下腿に
圧痕性浮腫がある O
#14. Sに書くこと 主訴 現病歴 既往歴 その他
#15. Sに書くこと 主訴 現病歴 既往歴 その他
#16. 主訴とは… 患者さんが一番困っている症状 臨床上で一番重要な症状
#17. 主訴の役割 鑑別を進める
スタート 治療の為の
ゴール
#18. 主訴の役割 鑑別を進める
スタート 年齢・性別 主訴 現病歴 既往歴 鑑別が
5〜8個になる
#20. 主訴の役割 治療の為の
ゴール 〇〇さんは心不全の人で
利尿剤入れて胸水減少
しました。 そもそも主訴は
なんだっけ? 治療の目的を見失わない!
ダメカルテの具体例と改善点
#21. Sに書くこと 主訴 現病歴 既往歴 その他
#22. 3日前から下痢を認め、27日に嘔気を自覚した。
今日から腹痛があったため受診された。
2年前から肩の痛みがある。 ダメカルテ添削
#23. 3日前から下痢を認め、27日に嘔気を自覚した。
今日から腹痛があったため受診された。
2年前から肩の痛みがある。 ダメカルテ添削
#24. 3日前から下痢を認め、27日に嘔気を自覚した。
今日から腹痛があったため受診された。
2年前から肩の痛みがある。 ダメカルテ添削
#25. 3日前から下痢を認め、27日に嘔気を自覚した。
今日から腹痛があったため受診された。
2年前から肩の痛みがある。 ダメカルテ添削
#26. 3日前から下痢を認め、27日に嘔気を自覚した。
今日から腹痛があったため受診された。
2年前から肩の痛みがある。 ダメカルテ添削
お手本カルテの作成方法
#27. お手本カルテ 3日前から下痢を認めた。
2日前に嘔気を自覚した。
本日腹痛も認めたため来院した。
周囲に同様の症状者はなし。
#28. お手本カルテ 3日前から下痢を認めた。
2日前に嘔気を自覚した。
本日腹痛も認めたため来院した。
周囲に同様の症状者はなし。
#29. お手本カルテ 3日前から下痢を認めた。
2日前に嘔気を自覚した。
本日腹痛も認めたため来院した。
周囲に同様の症状者はなし。
#30. お手本カルテ 3日前から下痢を認めた。
2日前に嘔気を自覚した。
本日腹痛も認めたため来院した。
周囲に同様の症状者はなし。
ROSと併存症・既往症の記載法
#31. ROS (review of systems) こんなの毎回聞いらんないっすよ〜 診断がわからない時など
困った時にやってみよう!
普段はポイントを絞った
ROSを意識しよう! 網羅的問診で聞き逃しをなくす!
#33. 現病歴に追加してよいもの OPQRST かきかえ Onset:発症起点
Palliative & Provoke:寛解・増悪
Quality & Quantity:性状・強さ
Region:部位
Symptoms:随伴症状
Time course:時系列 か:解釈
き:期待
か:感情
え:影響
#34. Sに書くこと 主訴 現病歴 その他 既往歴
#35. 併存症と既往症の違い 併存症 既往症 今もある病気 前にあった病気
#36. 併存症と既往症の違い 併存症 既往症 下記疾患で○○クリニック通院中
高血圧 コントロール良好
COPD LAMA定期吸入
緊張性頭痛 運動療法のみ 52歳 早期胃がん ESD後 △△病院
67歳 心筋梗塞 PCI後 ✖️✖️病院
75歳 細菌性肺炎 入院 ✖️✖️病院 管理先の病院を記載! → 後で紹介する時に必要
#37. 併存症と既往症の違い 併存症 既往症 下記疾患で○○クリニック通院中
高血圧 コントロール良好
COPD LAMA定期吸入
緊張性頭痛 運動療法のみ 52歳 早期胃がん ESD後 △△病院
67歳 心筋梗塞 PCI後 ✖️✖️病院
75歳 細菌性肺炎 入院 ✖️✖️病院 病気のレベルがイメージできる一言を添える
#38. Sに書くこと 主訴 現病歴 既往歴 その他
内服歴の詳細な書き方
#39. その他 内服歴
アレルギー歴
家族歴
生活歴
#40. その他 内服歴
アレルギー歴
家族歴
生活歴
#41. 内服歴の書き方 マグミット (330) 4T2×
#42. 内服歴の書き方 商品名でも一般名でもOK!
(公式文書では統一) マグミット (330) 4T2×
#43. 内服歴の書き方 含有量を記載!
330mgでもOK! マグミット (330) 4T2×
#44. 内服歴の書き方 用量・用法を記載!
分2でもOK! マグミット (330) 4T2×
身体所見とバイタルサインの記載法
#45. 用量・用法の書き方 4T2× 4T×2 朝 夕 朝 夕
#46. 剤形の略称 T = Tablet
C = Capsule
P = Pack
#51. Oに書くこと General appearance バイタルサイン 身体診察 身体所見
#52. 必ず書いて欲しい事! General appearance 身体所見の中でも…
#53. 同じ38℃でも… 重症疾患の事前確率が変わる! 元気 ぐったり General appearance
#54. 伝わればなんでもOK! 日本語 Ver.
Ex. ベッドに横になり苦悶様の表情で顔色が悪い
表情も明るく目線もあい活気がある 英語 Ver.
Ex. good, so so, sickの3段階 General appearanceの書き方
#55. 身体所見 Oに書くこと General appearance バイタルサイン 身体診察
#56. バイタルサイン 意識レベル 血圧 体温 SpO2 脈拍数 呼吸回数 JCS Ⅰ-2 140/80 mmHg 96% (RA) 80 回/分 整 24 回/分 37.5 ℃
身体診察の重要性とポイント
#57. バイタルサイン 意識レベル 血圧 SpO2 脈拍数 JCS Ⅰ-2 140/80 mmHg 96% (RA) 80 回/分 整 24 回/分 37.5 ℃
#58. 意識レベル JCS vs GCS JCS Ⅲ-100! イメージがしやすい
プレゼンに向いてる GCS E1V2M5! 評価が細かい
重症度判定に向いてる
#59. 脈拍数 リズム 80回/分 整 or 不整
#60. 脈拍数 リズム 40 回/分 100 回/分 心房細動の場合は実測値を記載!
#61. SpO2 酸素 酸素なし room air or 室内気 酸素あり 酸素流量 + デバイス 1L カヌラ 6L マスク Ex. 酸素投与条件を記載!
#62. 同じSpO2 95%でも… 1L カヌラ 6L マスク 呼吸状態が全然違う! SpO2 酸素
#63. 身体所見 Oに書くこと General appearance バイタルサイン 身体診察
#64. よくある身体所見のカルテ 頭頸部:眼瞼結膜貧血あり 眼球結膜黄染なし
甲状腺腫大なし 頸動脈怒張なし
胸部 :心音 整 LevineⅣ度の収縮期雑音あり
呼吸音 両側肺野にcracklesあり
腹部 :平坦・軟 腸蠕動音正常
打診痛・圧痛なし
背部 :CVA巧打痛なし 脊柱巧打痛なし
四肢 :冷感なし 足背動脈触知 両下腿浮腫あり
直腸診:前立腺圧痛なし 腫瘤触知せず
神経 :視野障害なし 眼球運動正常 顔面運動正常 毎回書くの
大変だな〜 毎回読むの
大変だな〜
#65. 身体診察は何のためにやる? 身体診察って儀式ですよね?
結局検査してますよね? 身体診察がうまく使えると
スマートな診療が
できるようになるよ!
#66. 身体診察のポイント 身体診察前 身体診察後 鑑別を立てる! 検査を最適化する!
身体診察後の検査最適化
#67. 身体診察前に鑑別を立てる! 呼吸困難感 胸と足をみよう 診察のポイントを絞る!
#68. 身体診察後に検査を最適化する! 呼吸困難感
#69. 呼吸困難感 crakles(+) 下腿浮腫(-) 肺炎? まずはレントゲン撮る! 検査を最適化できる! 身体診察後に検査を最適化する!
#70. もう一度まとめると 事前に鑑別診断を立てることで
ポイントを絞った身体診察が
できる!
身体診察の結果によって
ポイントを絞った検査ができる! つまりデキレジ感が出る!
アセスメントと問題リストの作成
#74. 心電図 ポイント 脈拍数 リズム QRS幅 PR間隔 ST変化
#75. 胸部Xp 心臓 ポイント 東陽テクニカ CTR
(cardio thoracic ratio) CPA
(costophrenic angle)
#76. 胸部Xp 肺 ポイント 呼吸臨床 医学会新聞 浸潤影 すりガラス影 ベタっとしてる シュワ〜っとしてる
#80. 問題リスト 診断が確定している #1. 腎盂腎炎
#2. 2型糖尿病
#3. サルコペニア 重要度順に並べる 診断が確定していない #a. 黒色便
#b. 食欲低下
#c. 鉄欠乏性貧血 問題点を列挙
診断の確定と根拠の記載法
#81. 問題リストを深化させる! 診断が確定していない #a. 黒色便
#b. 食欲低下
#c. 鉄欠乏性貧血 問題点を列挙 胃カメラで胃潰瘍あり! #a,b,c → #1. 胃潰瘍
#82. 問題リスト ちょっとした工夫 問題が多すぎる場合 #1. 誤嚥性肺炎
#2. COPD増悪
#3. 陳旧性心筋梗塞
#4. 慢性心不全増悪
#5. 慢性腎不全
#6. 高血圧症
#7. 高尿酸血症
#8. 脊柱管狭窄症
#9. 変形性膝間接症
#10.緑内障
#11.ポリファーマシー 【Active Problem】
#1. 誤嚥性肺炎
#2. COPD増悪
#3. 慢性心不全増悪
#4. ポリファーマシー
【Stable Problem】
#5. 慢性腎不全
#6. 陳旧性心筋梗塞
#7. 高血圧症
#8. 高尿酸血症
#9. 脊柱管狭窄症
#10.変形性膝間接症
#11.緑内障
#83. 問題リスト ちょっとした工夫 問題が複雑すぎる場合 #1. 腰椎圧迫骨折
#2. アルツハイマー型認知症
#3. 不眠症
#4. 独居
#5. 骨粗しょう症
#6. 糖尿病 インスリン注射
#7. 介護保険未申請
#8. 家族疎遠
#9. 過活動性膀胱 【Biomedical Problem】
#1. 腰椎圧迫骨折
#2. 骨粗しょう症
#3. 糖尿病 インスリン注射
#4. 過活動性膀胱
【Psychological Problem】
#5. アルツハイマー型認知症
#6. 不眠症
【Social Problem】
#7. 独居
#8. 家族疎遠
#9. 介護保険未申請
#85. アセスメントの役割 S 腹痛 嘔吐 痛みの移動 O 右下腹部圧痛 Heel drop 陽性 白血球数上昇
#86. 診断が確定している場合 #1. 腎盂腎炎 急性の発熱で、CVA叩打もあり、尿検査にて膿尿・細菌尿を認める。
他の熱源も認めないことから腎盂腎炎の診断とする。
#87. 診断が確定している場合 #1. 腎盂腎炎 急性の発熱で、CVA叩打もあり、尿検査にて膿尿・細菌尿を認める。
他の熱源も認めないことから腎盂腎炎の診断とする。 根拠 診断
#88. 経過を追加していく #1. 腎盂腎炎 急性発熱に対して腎盂腎炎の診断としてセフトリアキソンで加療開始した。
しかし開始3日後も解熱得られず、炎症マーカーも改善していない。
腹部エコーでは水腎症など尿路閉塞は認められず。
尿培養からはグラム陰性桿菌が検出されているが菌名同定は未着である。
他の熱源も認められないため、緑膿菌やESBL産生菌などの耐性菌を疑う。
#89. 経過を追加していく #1. 腎盂腎炎 急性発熱に対して腎盂腎炎の診断としてセフトリアキソンで加療開始した。
しかし開始3日後も解熱得られず、炎症マーカーも改善していない。
腹部エコーでは水腎症など尿路閉塞は認められず。
尿培養からはグラム陰性桿菌が検出されているが菌名同定は未着である。
他の熱源も認められないため、緑膿菌やESBL産生菌などの耐性菌を疑う。 診断(仮説) 根拠
#90. 診断が確定していない場合 #a. 右下腹部痛 #b. 嘔気・嘔吐 #c. 発熱・炎症マーカー高値 嘔気・嘔吐と発熱を伴う右下腹部痛であり、診察でも腹膜刺激徴候を認め、
まずは虫垂炎を念頭に考える。
妊娠反応は陰性であり、腹部エコーでは明らかな婦人科疾患は指摘できず。
残る鑑別としてPIDも考慮される。内診・直腸診は未施行。 s/o r/o 虫垂炎 PID
診断プランと治療プランの立て方
#91. 診断が確定していない場合 s/o r/o Suspect of → 最も可能性が高い疾患 Rule out → 可能性は低いが危険性が高い
#94. Pに書くこと 今やっていること 次やるつもりのこと 診断プラン 治療プラン
#95. Pの目的 今やっていること 次やるつもりのこと この処置は何のために
やっているんだろう? 目的の共有 思考のトレーニング もしうまく行かなかったら
次はどうしようかな?
#96. 診断プラン #a. 右下腹部痛 #b. 嘔気・嘔吐 #c. 発熱・炎症マーカー高値 本日腹部造影CTを施行する。
画像ができたら外科へコンサルトする。
虫垂炎が否定的であった場合、PIDの可能性があるか
婦人科へコンサルト行う。
#97. 診断プラン #a. 右下腹部痛 #b. 嘔気・嘔吐 #c. 発熱・炎症マーカー高値 本日腹部造影CTを施行する。
画像ができたら外科へコンサルトする。
虫垂炎が否定的であった場合、PIDの可能性があるか
婦人科へコンサルト行う。 次やるつもりのこと 今やっていること
#98. 治療プラン #1. 腎盂腎炎 緑膿菌、ESBL産生菌を考慮し、本日よりメロペネム1g q8hへ変更する。
緑膿菌が検出された場合はピペラシリンまたはセフタジジムへ、
ESBL産生菌が検出された場合はセフメタゾールへde-escalation行う。
#99. 治療プラン #1. 腎盂腎炎 緑膿菌、ESBL産生菌を考慮し、本日よりメロペネム1g q8hへ変更する。
緑膿菌が検出された場合はピペラシリンまたはセフタジジムへ、
ESBL産生菌が検出された場合はセフメタゾールへde-escalation行う。 次やるつもりのこと 今やっていること
#100. 最後に なんとなくポイントはわかりました!
あとは実践あるのみですね! 色々な人のカルテを読んだり
自分のカルテを読んで
もらったりして
だんだんいいカルテに
していきましょう!
参考文献と今後の実践