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SAHの分布と椎骨動脈解離の重要性
#2. スマートフォンの方は, 横向きでの閲覧がオススメです.
#3. TODAY’S MESSAGE SAHの分布が後頭蓋窩に多い時は, 椎骨脳底動脈系もチェックしよう
症例紹介と画像診断の初期所見
#5. 症例: 40代男性 1週間前から後頭部・頸部痛の訴えがあった. 来院当日,非常に強い頭痛が生じたため,救急要請. 救急隊到着後に意識消失し,呼吸停止となり,搬送された.
#10. 画像所見 単純CT Ø くも膜下腔の高吸収域. Ø後頭蓋窩の血腫が多い. Ø 脳室系にも逆流あり. Ø 高位円蓋部の血腫は少ない. 10
椎骨動脈解離によるSAHの診断
#11. 画像所見 造影CTA Ø 右椎骨動脈に広狭不整があり, 瘤状に拡張している. 11
#12. 画像所見 血管造影 Ø 右椎骨動脈V4部のPICA遠位に 広狭不整と瘤状拡張あり. Øpearl and string sign 12
#13. 診断 椎骨動脈解離(解離性動脈瘤)によるSAH 13
脳動脈解離の病態と発生率
#14. 脳動脈解離 Ø 脳動脈血が壁に侵入し,壁が 解離して動脈瘤化(出血)や 狭窄/閉塞(梗塞)を生じる病態. Ø 脳動脈解離の70−80%は 椎骨動脈に発生する. Ø 40−50歳台を中心とした若い 年代に生じることが多い. 図は 1) より引用 14
#15. 椎骨動脈解離の病態 Ø 若年の正常な脳動脈はほぼ3層 (内弾性板→中膜→外膜) Ø 内弾性板が破綻し,中膜平滑筋 層に侵入し壁の解離が生じる. Ø 中膜・外膜も断裂 Ø 血管閉塞や遠位塞栓 SAH 梗塞 図は 2) より引用 15
椎骨動脈解離の画像診断とMRI評価
#19. 椎骨動脈の形態 ① 膨隆 ② 不規則な狭窄 ③ 膨隆と狭窄が混在 これら3種の形態をとり,発症後に 経時的に変化していく. ③をpearl and string signと呼ぶ. 図は 2) より引用 19
#20. 椎骨動脈解離のMRI Ø 椎骨動脈には先天的な低形成 や動脈硬化性狭窄も多い. Ø MRIでは 血管の外径 (BPASなど) 血管壁 (3D-T1/T2WIなど) 真腔/偽腔のflow(MRA) を総合して評価することが重要. 図は 3) より引用 20
SAHの分布パターンと出血原因の推測
#22. 椎骨動脈解離によるSAH Ø SAHはびまん性. Ø 脳幹周囲の後頭蓋窩優位. Ø 脳室内に逆流しやすい. 図は 4) より引用 22
#23. SAHの分布(3パターン) ① 鞍上槽からびまん性に進展 ② 中脳周囲や後頭蓋窩主体に分布 ③ 穹窿部脳溝(頭頂部の辺り)に限局 23
#24. 4) SAHの分布から推測される出血原因 ① びまん性 ② 後頭蓋窩主体 ③ 穹窿部に限局 内頚動脈瘤破裂など 椎骨動脈解離など 外傷など 図は 4) より引用 図は 5) より引用 24
椎骨動脈解離による脳梗塞の影響
#26. 椎骨動脈解離による脳梗塞 Ø 解離部の閉塞や遠位塞栓による Ø 椎骨動脈V4やPICAの閉塞 延髄梗塞や小脳梗塞 26
#27. 椎骨動脈解離による延髄外側梗塞 DWI Ø 延髄右側に DWI 高信号 Ø Wallenberg症候群を生じる 図は 6) より引用 27
まとめと今後の診断への提言
#28. まとめ 1 SAHを見た時には血腫の分布に注目!! 2 後頭蓋窩優位の血腫の際は椎骨脳底動脈を評価する!! 3 MRIで椎骨動脈解離を適切に診断できるようにしよう!! 28
#30. このプレゼンテーションを作った人 和田 武(わだ たけし) 千葉大学病院放射線科 画像診断・IVR(画像下治療) 「画像診断をもっと身近に,面白く」 がモットーの放射線科医です. ご質問・講演依頼は @wadase2 https://twitter.com/wadase2 までご連絡(DM)ください.
画像診断クラブの紹介と参加の勧め
#31. みんなで学ぶ「画像診断クラブ」 Ø 画像診断クラブは,画像診断を学びたい医師・医学 生が集まる「AntaaQA」上の限定グループです. Ø 実際の画像を用いた画像診断クイズが毎週投稿さ れ,楽しみながら画像診断を学ぶことができます. Ø すでに1000人近くの医師が画像診断クラブで学ん でいます.あなたも画像診断クラブに参加して, 楽しく読影を学んでみませんか? Ø 詳しくはhttps://bit.ly/3lBc1tB へ!! 31