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CGM・AGP読影 完全トリセツ 〜研修医が当直で困らないための実践ガイド〜

投稿者プロフィール
DrMiura_Obesity

医療法人鉄蕉会亀田総合病院

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投稿した先生からのメッセージ

CGMを装着している患者さんが入院してきたとき、「このグラフ、どう読めばいいの?」と困った経験はありませんか? 本スライドでは、AGPレポートを4ステップで読む方法と、当直で使える低血糖・高血糖アラート対応フローを、架空症例を交えて解説しています。スマホに保存してお使いください。ご質問・ご意見があればお気軽にコメントください。

概要

CGM(持続血糖モニタリング)とAGPレポートの読み方を、研修医・非専門医向けにゼロから解説します。

【目次】

・CGMとは何か — HbA1cとの違い

・TIR/TBR/TARの目標値と臨床的意味

・AGP 4ステップ読影法(実症例付き)

・当直で使えるCGMアラート対応フロー

・保険算定と導入の実際

全35枚。スマホで読むだけで明日から使える内容です。

亀田総合病院 糖尿病内分泌内科 三浦正樹

参考文献

  • Battelino T, et al. Clinical Targets for Continuous Glucose Monitoring Data Interpretation: Recommendations From the International Consensus on Time in Range. Diabetes Care 2019;42:1593-1603

  • Danne T, et al. International Consensus on Use of Continuous Glucose Monitoring. Diabetes Care 2017;40:1631-1640

  • ADA Standards of Care in Diabetes 2026;49(Suppl.1)

  • Feig DS, et al. Continuous glucose monitoring in pregnant women with type 1 diabetes (CONCEPTT): a multicentre international randomised controlled trial. Lancet 2017;390:2347-2359

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テキスト全文

CGMとAGPの基本概念とデバイスの違い

#1.

CGM・AGP読影 完全トリセツ 研修医が当直前に見るべき1本 このスライドでわかること 1. CGMデータの読み方(4ステップ) 2. 当直で血糖異常に出会ったときの判断フロー 3. 専門医にコンサルトすべきタイミング 三浦正樹 亀田総合病院 糖尿病内分泌内科 1 / 35

#2.

CGMとは? — 「点」から「線」へ ※模式図(実際のAGPレポートとは異なります) たとえ話 HbA1cは「平均点」。CGMは全テストの「通知表」。 CGMで初めて「食後の山」「夜間の谷」が見える 出典: Danne T, et al. Diabetes Care 2017;40:1631-1640 2 / 35

#3.

CGMの測定点数はデバイスで違う 項目 Libre 2(isCGM) Dexcom G7(rtCGM) 測定間隔 1分ごと(BT自動送信) 5分ごと AGPデータ間隔 15分ごと(96点/日) 5分ごと(288点/日) アラート アプリで随時通知

(Readerはスキャンのみ) リアルタイム通知 データ表示 スマホアプリで自動表示 自動でスマホ表示 どちらのデバイスでも、AGPレポートの読み方は同じです 出典: Abbott FreeStyle Libre 2 / Dexcom G7 添付文書 3 / 35

日本におけるCGMデバイスの保険収載情報

#4.

日本で保険収載されている

CGMデバイス(2026年版) isCGM(間歇スキャン式) FreeStyle Libre 2(Abbott) BT自動送信(1分毎) ※保険はisCGMだが実質rtCGM rtCGM(リアルタイム) Dexcom G7: リアルタイム+アラート Guardian 4: CSII連携が主用途 保険算定 isCGM: C150-7(1,250点/月)/ rtCGM: C152-2 対象: インスリン自己注射1日1回以上の外来患者 出典: 令和6年度診療報酬点数表 / 各社添付文書 4 / 35

#5.

AGPレポート =

14日間の血糖を「1日」に重ねた地図 ① Snapshot TIR・TBR・TAR・GMI・CVなどの数値一覧 ② AGPグラフ 中央値+帯(25‑75%ile)で「典型的な1日」が一目でわかる ③ Daily View 1日ずつの血糖推移。原因探しに使う AGPレポートは3つのパートで構成されている 出典: Danne T, et al. Diabetes Care 2017;40:1631-1640 5 / 35

#6.

TIR・TBR・TAR —

この3つだけ覚えてください ※模式図(実際のAGPレポートとは異なります) TIR(70〜180) 目標: >70% TBR(<70) 目標: <4% TAR(>180) 目標: <25% 国際コンセンサスの目標値をまず覚える 出典: Battelino T, et al. Diabetes Care 2019;42:1593-1603 6 / 35

AGPレポートの構成と低血糖の重要性

#7.

Part 2:

AGP 4ステップ読影法 これがこのスライドの核心です 7 / 35

#8.

鉄則 最も大切な原則 低血糖を先に探し、 高血糖の山を削り、谷を埋める なぜこの順番? 高血糖を先に治そうとすると、インスリン増量で低血糖が悪化する。 必ず「低血糖→高血糖」の順。これを4ステップに分解したのが読影法。 出典: Battelino T, et al. Diabetes Care 2019;42:1593-1603 8 / 35

#9.

Step 1: まずTBRを見る —

低血糖は命に関わる チェックポイント TBR <70 mg/dL が4%未満か? TBR <54 mg/dL が1%未満か? 赤信号 TBR >10% → インスリン減量を最優先で検討 ※著者の臨床基準(GL上の閾値定義なし) なぜ低血糖が先? 低血糖は数分で意識消失・痙攣を起こす。高血糖は数日〜数週の問題。 AGPグラフでは下部(赤い領域)に注目。 出典: Battelino T, et al. Diabetes Care 2019;42:1593-1603 9 / 35

#10.

よくあるパターン — 夜間低血糖 ※模式図(実際のAGPレポートとは異なります) よくある原因 眠前の持効型が多すぎる 夕食後の超速効型が効きすぎ 対処法(研修医でも可) 持効型を2単位(10〜20%)減量 眠前に補食(牛乳1杯等) 夜間低血糖は自覚なく繰り返される — CGMがなければ発見困難 著者の臨床経験に基づく 10 / 35

血糖パターンの分析とよくある問題

#11.

Step 2: 中央値(太い線)=

典型的な1日の流れ ① 食後の山 朝昼夕どれが一番高い?→治療ターゲット ② 空腹時(早朝) 起床時の血糖が高い?→暁現象や持効型不足 ③ 全体の高さ 中央値が180超?→基礎インスリン不足 中央値の3つの注目ポイントで治療介入先がわかる 出典: Danne T, et al. Diabetes Care 2017;40:1631-1640 11 / 35

#12.

よくあるパターン — 食後高血糖 ※模式図(実際のAGPレポートとは異なります) 朝食後だけ高い場合 原因: 糖質過多(菓子パン等) 対処: 朝食内容の変更を提案 全食後に山がある場合 原因: 超速効型インスリン不足 対処: 各食前2単位追加(専門医と相談) 食後1〜2時間後のピーク位置(朝/昼/夕)で原因が絞れる 著者の臨床経験に基づく 12 / 35

#13.

Step 3: 帯が広い =

日によるばらつきが大きい ※模式図(実際のAGPレポートとは異なります) IQR(25‑75%ile) 狭い→安定した管理 / 広い→ばらつき大 10‑90%ile(薄い帯) 極端に広い→Daily Viewで原因確認 出典: Danne T, et al. Diabetes Care 2017;40:1631-1640 13 / 35

#14.

よくあるパターン —

週末だけIQRが爆発 平日 規則正しい食事・運動→血糖安定 週末 外食・飲酒・食事時間ずれ→血糖乱高下 研修医にできること 「平日はうまくいっていますね。週末だけ少し乱れていますが、何か生活パターンが違いますか?」と聞くだけでOK。 著者の臨床経験に基づく 14 / 35

症例を通じた4ステップ読影法の実践

#15.

Step 4: アクションは

必ずこの順番で ① TBR対策(最優先) 低血糖があるなら

まずインスリン減量 ② 空腹時高血糖 持効型インスリン or

メトホルミンの調整 ③ 食後高血糖 超速効型追加 or

食事指導 ④ 日差変動 生活習慣の安定化

インスリン種類変更 ①を飛ばして③から始めると低血糖が悪化する。「谷→山」の順! 出典: Battelino T, et al. Diabetes Care 2019;42:1593-1603 15 / 35

#16.

4ステップ読影法 —

フローチャート完全版 ★保存推奨 Step 1: TBR を確認 TBR >4% → 減量/生活指導 TBR <4% → Step 2へ Step 2: 中央値パターンを確認 Step 3: 帯の幅(IQR)を確認 Step 4: アクション決定(優先順位順) 保存しておくと便利! 著者作成(Battelino 2019 / Danne 2017に基づく) 16 / 35

#17.

症例1: HbA1c 7.8% —

4ステップで読んでみよう ※模式図(実際のAGPレポートとは異なります) 背景+アクション 70代男性。2型DM。BOT。 →超速効型2〜4単位追加+栄養指導 4ステップ読影 Step1: TBR 2%→OK Step2: 昼食後250超→問題 Step3-4: IQR広→昼食後対策優先 4ステップで10秒で「昼食後」が問題とわかる ※教育用架空症例 17 / 35

#18.

症例2: HbA1c 7.2% —

TBRから見る習慣 ※模式図(実際のAGPレポートとは異なります) 背景+アクション 30代女性。1型DM。CSII。 →基礎レート0.1〜0.2減+運動日設定 4ステップ読影 Step1: TBR 6%→4%超え! Step2: 夕方16-18時に低下 Step3-4: TBR対策が最優先 HbA1c 7.2%でもTBR 6%は「隠れた低血糖」 ※教育用架空症例 18 / 35

妊婦のCGMと当直での実践フロー

#19.

症例3: 妊婦のCGM —

目標値が違う 妊婦のTIR目標 TIR: 63〜140 mg/dL ≥70% TBR <63: <4% / TAR >140: <25% ※CONCEPTT試験 / ※63-120も議論あり この症例の読影 朝食後だけTAR突出→パン食が原因 対策: ご飯+野菜先食べ→ピーク平坦化 妊婦こそCGMの恩恵が最大。通常より厳しい目標が必要 出典: Feig DS, et al. Lancet 2017;390:2347-2359 (CONCEPTT) / ※教育用架空症例 19 / 35

#20.

CGM あるある落とし穴 5選 研修医がハマりやすいポイント ① CGMの値だけで治療判断

→ 必ず指先穿刺で確認してから対応 ② センサー装着直後の値を信じる

→ 最初の24時間はずれやすい ③ TBRを見ずにTARだけ見る

→ 低血糖は高血糖より危険 ④ 患者の生活を聞かずに

データだけ見る

→ AGPの「なぜ」は生活の中にある ⑤ アラートが鳴っても慌てない

→ まず指先穿刺で確認 著者の臨床経験に基づく 20 / 35

#21.

コメディカルの視点 —

チームで使うCGM 看護師の声 「夜間の低血糖アラートで

早期対応できた」 「患者さんに波形を見せると

食事指導が入りやすい」 「センサーの貼り替えは

患者指導が重要」 栄養士・薬剤師の声 「食後の山が見えると

栄養指導が具体的になる」 「インスリンの効き方が

可視化できて説明しやすい」 「退院指導でAGPを使うと

患者の理解が深まる」 CGMは医師だけのツールではない。チーム医療の共通言語になる 著者の臨床経験に基づく 21 / 35

#22.

Part 3: 当直で使える!実践フロー CGMアラートが鳴ったら、

このスライドを開いてください 22 / 35

CGMアラートへの対応と入院中のポイント

#23.

当直中にCGMに出会う場面は3つ 場面① 入院患者のCGMアラートが鳴った

看護師から「血糖のアラームが

鳴っています」と連絡 場面② CGM装着患者が救急に来た

腕にセンサーを貼った患者の

血糖をどう評価する? 場面③ CGMの値が血糖測定器と違う

CGMは間質液、指先は血液。

ずれて当然 この後のスライドで、全場面に対応できるフローを解説します 著者の臨床経験に基づく 23 / 35

#24.

CGMアラートが鳴ったら —

当直対応フロー ★保存推奨 低血糖(<70 mg/dL) 1. 意識レベル確認 2. 経口可→ブドウ糖10〜20g 3. 経口不可→50%Glu 20〜40mL静注 4. 15分後に指先穿刺で再測定 5. 繰り返す→持続点滴+コンサルト 高血糖(>250 mg/dL) 1. 血液ケトン体チェック 2. ケトン陽性→DKA疑い→即コンサルト 3. ケトン陰性→インスリン指示簿で補正 4. 原因: 感染/ステロイド/食事過多/打忘れ ※Libre 2: アプリ使用時はリアルタイム通知あり

(Reader/BT切断時はスキャンのみ)。Dexcom G7: リアルタイム通知 出典: ADA Standards of Care 2026;49(Suppl.1):S150-165 24 / 35

#25.

CGMと指先穿刺の値が違う —

それは正常です ずれる理由 CGMは間質液中グルコースを測定 血糖に対して約10〜15分の遅延あり 特にずれやすい場面 低血糖からの回復直後 食後の急上昇中 センサー装着後24時間以内 MARD(平均絶対相対差) Libre 2: 約9.2% / Dexcom G7: 約8.2%(腕装着) → 血糖200のとき±16〜18のずれは許容範囲 鉄則: 臨床判断に迷ったら指先穿刺で確認 出典: Abbott / Dexcom 添付文書(MARD値) 25 / 35

#26.

入院中のCGM —

場面別に見るポイント 術前 TBR確認。低血糖あるなら

術前にインスリン減量 術後 TAR確認。ストレス高血糖

ICU 140-180 / 非ICU 100-180 ステロイド使用中 午後〜夕方に高血糖が典型

昼/夕食前にインスリン補正 経管栄養 本来は血糖が平坦なはず

山があれば投与速度見直し 出典: ADA Standards of Care 2026;49(Suppl.1):S150-165 26 / 35

糖尿病内科へのコンサルトと保険算定

#27.

SS(スライディングスケール)は

「後手」の治療 ※模式図(実際のAGPレポートとは異なります) SS = 後手 「今の血糖」にしか反応しない 乱高下が起きやすい CGMベース = 先手 パターンで「明日の処方」を変える 先手で血糖管理が安定 出典: ADA Standards of Care 2026;49(Suppl.1):S150-165 27 / 35

#28.

こんなときは迷わず

糖尿病内科にコンサルト すぐコンサルト TBR >10%(重症低血糖リスク) ※GL上の明確な閾値定義はなし DKAが疑われるとき 原因不明の血糖変動 なるべく早めにコンサルト 1型DMのポンプ設定変更 妊娠糖尿病のインスリン調整 退院後のCGM処方の相談 迷ったらコンサルト。早すぎるコンサルトはない。 著者の臨床基準(GL上の明確な閾値定義なし) 28 / 35

#29.

研修医が「CGM使ってみませんか?」

と提案できる場面 CGMが特に有用な患者 インスリン使用中で低血糖が心配な患者 HbA1c目標未達で原因不明の患者 妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠 無自覚性低血糖の患者 提案の仕方(例) 「血糖の変動を詳しく見るセンサーがあるのですが、 糖尿病の先生に相談してみましょうか?」 出典: ADA Standards of Care 2026;49(Suppl.1):S150-165 29 / 35

#30.

保険算定 —

研修医も知っておくべき最低限 isCGM(Libre 2) C150-7 間歇スキャン式 1,250点/月 rtCGM(Dexcom G7等) C152-2 持続血糖測定器加算 研修医が注意すべきこと 対象: インスリン自己注射1日1回以上の外来患者 CGMを使っている患者の管理料算定を確認 出典: 令和6年度診療報酬点数表 30 / 35

今日の学びと次のステップの提案

#31.

Part 4: Take Home & Next Step 今日覚えることは3つだけ 31 / 35

#32.

もう一度 — 4ステップ読影法 Step 1 低血糖を探す(Safety First)

TBR <70 4%未満? <54 1%未満? Step 2 中央値パターンを読む

食後の山はどこ?空腹時は? Step 3 帯の幅を見る

IQR広い=日によるばらつき大 Step 4 アクションを決める

①TBR→②空腹時→③食後→④日差変動 低血糖を先に探し、高血糖の山を削り、谷を埋める 出典: Battelino 2019 / Danne 2017 に基づく著者作成 32 / 35

#33.

明日からできる3つのこと ① AGPレポートを1枚読んでみる 4ステップで読影。慣れれば10秒で読めます。 ② S16とS24をスマホに保存 フローチャートとアラート対応フロー→当直で使えます。 ③ 迷ったら糖尿病内科にコンサルト 「CGMのデータを見てほしい」と言えばOKです。 著者作成 33 / 35

#34.

もっと学びたい先生へ 亀田総合病院 糖尿病内分泌内科 CGM 300例以上の使用経験 研修医がファーストオーサーで論文を書ける環境 見学申込: recruit.kameda.com シリーズ次回予告 第2弾「周術期血糖管理」近日公開予定 X: @DrMiura_Obesity — 質問・フィードバックはDMへ 34 / 35

参考文献と今後の学びの機会

#35.

参考文献 1. Battelino T, et al. Diabetes Care.

2019;42:1593-1603. 2. ADA Standards of Care 2026.

Diabetes Care 2026;49(Suppl.1):S150-165. 3. Nathanson D, et al.

Diabetologia. 2025;68(1):41-51. 4. Danne T, et al. Diabetes Care.

2017;40:1631-1640. 5. Feig DS, et al. Lancet.

2017;390(10110):2347-2359. 35 / 35

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