テキスト全文
当直で詰まない血ガス評価の基本
#1. “3ステップだけ覚えろ”
-当直で詰まない血ガスの評価方法
当直シリーズ① | 糖尿病の救急対応も参照 【当直シリーズ②】糖尿病の救急対応| Dr. Ito 順天堂大学医学部附属静岡病院 糖尿病代謝内分泌内科
伊藤 直顕
#2. まずこれだけ見ろ ❌ 全部見ようとする どこから読むか迷って詰まる ✅ 「順番」で読む 5ステップを守れば必ず読める
#3. このスライドで身につくこと 1 3ステップで必ず読める 2 混合性を見抜ける 3 危険症例を逃さない
代謝性アシドーシスの危険性と確認事項
#4. なぜ代謝性アシドーシスは危険か 連鎖する臓器障害 ミトコンドリア機能低下
→ATP低下
→ 細胞死 心収縮低下
→ 血圧低下 カテコラミン抵抗性 高K血症
→ 不整脈リスク
#5. 最初に確認する事項 アシデミア vs アルカレミア 正常PaO₂の目安 PaO₂ = 100 − 0.4 × 年齢加齢による低下を考慮する その他の確認 COHb確認(CO中毒)
輸血前後のタイミング 酸塩基平衡確認は基本だが、後述する代償によって判断難
#6. ステップ①代謝性か呼吸性か pH HCO3 CO2 呼吸性アシデミア 代謝性アシデミア 呼吸性アルカレミア 代謝性アルカレミア HCO3およびCO2がpHと同じ動きなら代謝性、逆の動きなら呼吸性 アシドーシス、アルカローシスはプロセスを意味する。
アニオンギャップと補正PaCO₂の計算
#7. ステップ②補正AGの計算 Anion Gap の計算 正常値:8〜12 mEq/L(アルブミン正常時) pHより先にAGを確認する。
これが診断の起点です。 pHは相殺されて正常化するが、AGは上昇したまま残る
AG上昇はケトン・乳酸の蓄積を直接反映
計算されていない症例では見逃しが多い ► AG開大はアシドーシスの存在を強く示唆
#8. 補正PaCO₂ = 1.5 × HCO₃ + 8 ± 2(Winters式) 実測CO₂が上記式結果の範囲内なら代謝性
アシドーシスへの適切な過換気 補正HCO₃ = HCO₃ + 補正AG− 12 ≥30なら代謝性アルカローシス、≤18ならAG非開大性代謝性アシドーシス合併 ステップ③代償されているか ΔAG/ΔHCO3=(補正AG-12)/(24-HCO3) Δ比の結果次第で複合異常疑う
当直シリーズ①参照 浸透圧ギャップ=実測血漿浸透圧-計算血漿浸透圧 >10なら薬剤またはエタノールによるAG開大を
疑う(エタノール濃度推定も行えます)
腎性代償と混合性障害の理解
#9. おまけ 腎性代償のしくみ 左:応答の源 低CO₂(アルカリ性) 右:効果の方向 高CO₂(酸性) CO₂↓ → HCO₃排泄増加 呼吸性アルカローシスの腎性代償 呼吸性アシドーシスの腎性代償 CO₂↑ → HCO₃再吸収増加 代償には数日かかる。急性か慢性かの判断が治療方針を左右する。
#10. 混合性障害:よく出る組み合わせ 呼吸性アルカローシス+代謝性アシドーシス 呼吸性アシドーシス+代謝性アルカローシス 代謝性アシドーシス+代謝性アルカローシス
次回予告と血ガス基礎編の概要
#11. 当直シリーズ:次回予告 1 当直シリーズ① 糖尿病の救急対応 2 本スライド 血ガス基礎編
3ステップで読む 3 次回:血ガス② その数値、なぜそうなる?
メカニズムを深掘り