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熱中症診療 Active Coolingと冷却の実践

投稿者プロフィール
渡邉敬祐

板橋中央総合病院 救急総合診療科

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投稿した先生からのメッセージ

熱中症はコモンですが、冷却の始め方と止めどきは施設ごとにばらつきやすい領域です。本スライドは、熱中症診療ガイドライン2024とActive Cooling実践的手引きを土台に、板橋中央総合病院での運用案を共有するものです。

内容では次を具体的に扱います。

暑熱曝露と熱放散困難の病歴で疑う。診断に高体温は必須ではない

Ⅲ度以上では Passive に Active Cooling を重ねる。Active Cooling はⅣ度限定ではない

当院の第一手段は霧吹きと送風による蒸散冷却(濡らすだけでは冷えない)

冷水浸漬やサーモガードは他施設の選択肢として、冷却速度と代償を整理する

止めどきは方法で分ける。冷水浸漬は膀胱温39℃で終了準備、蒸散など従来型は38℃、高度機器は37℃

冷却輸液は Active Cooling 前提の重症例の補助に留める

冷却を遅らせず、敗血症・意識障害の思考回路で mimic を並行して外す

救急・総合診療に携わる先生方、初期研修医・看護師の方にも使えるよう、フローチャートまで落としてあります。施設事情で方法は違っても、「誰が来ても同じ冷却の型で動ける」ための叩き台としてご利用ください。

概要

【概要】

熱中症診療ガイドライン2024とActive Cooling手引きに基づき、重症判定からActive Cooling・冷却の止めどき・目標体温まで、当院の運用を解説します。

【対象】

初期研修医・若手医師・看護師・救命士

【得られること】

フローに沿ってⅢ〜Ⅳ度の冷却を始め、冷やしながらmimicを外せるようになります。

参考文献

  • 日本救急医学会. 熱中症診療ガイドライン2024

  • 日本救急医学会 熱中症および低体温症に関する委員会. Active Cooling実践的手引き(暫定版)

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テキスト全文

熱中症診療の目的と背景

#1.

I T A BAS H I C H U O ME DI C AL C EN T ER / E R × G I M 熱中症診療 Active Coolingと冷却の実践 板橋中央総合病院 救急総合診療科 中野 太貴/渡邊 敬祐

#2.

セッティングを超えて地域を支える 板橋中央総合病院 海兵隊総診 最前線で活躍する精鋭部隊 強固なリーダーシップ 自己革新組織 1人ひとりに向き合い Patient journey を描く活動 病棟 Hospitalist ER / ICU 回復期・地域包括・在宅 Extensivist Quality Improvement 約12,000件 救急と総合診療の真の融合が地域を支える 年間の救急搬入件数 都内 TOP3 板橋から安心して住めるまちをつくる。

#3.

注意点 熱中症は、コモンな疾患である。 しかし、診療におけるエビデンスが限られている。 ガイドラインや学会手引きを通して 広くコンセンサスが得られている考え方、当院での運用方法を共有・提案する。

熱中症の疫学と定義

#4.

Agenda 01 目的・目標 02 疫学 03 定義と重症度分類 04 qⅣ度と深部体温 05 冷却方法(Passive・Active) 06 Active Cooling、冷却輸液 07 目標体温と終了基準 08 Pitfall 09 熱中症診療の思考フローチャート 10 Take Home Message

#5.

本日のゴール 熱中症診療を 自信を持って使えるようになる P U R P OS E 目的 G O AL 目標 熱中症診療の標準を知り、 誰でも「同じ治療」ができるようになる フローチャートを利用し、 自信を持って熱中症診療を行える 熱中症診療は体系だったまとめや標準化がされていない。 熱中症だけでなく、熱中症に隠れた病態に注意を払い、 本レクチャーで最新ガイドラインの標準を共有し、 適切な検査・治療を行い、 当院での妥当な治療を統一する。 Dispositionを設定できる。 01 目的・目標

#6.

疫学 「夏の病気」ではない 暑熱曝露+熱放散困難で疑う 月別 救急搬送のイメージ AN NU AL E M S T R AN S PO RT 年間救急搬送 9万人超 D E AT H S IN 20 24 2024年 熱中症死亡数 2,160人 もはや社会的な災害として扱う規模。 冬季でも発症する ── サウナ、厚着、着ぐるみ、運動、暖房下の高齢者。 「暑い日」ではなく、暑熱曝露+熱放散困難という条件で疑う。 02 疫学 │ (出典 [6][11])

重症度分類とqⅣ度の重要性

#7.

定義(ガイドライン2024) 熱中症の診断に、高体温は必須ではない D E F I N IT I O N 「熱中症」は、暑熱環境によって生じる健康障害の総称である。 勘違いされやすいポイント 熱中症「全体」 Ⅳ度(最重症) 高体温は 診断に必須ではない 深部体温 40.0℃以上が 定義に含まれる 体温が高くなくてもⅠ〜Ⅲ度は成立する。 Ⅳ度だけは体温の閾値が入る。 症状と暑熱曝露歴で診断する。 → だから「深部体温」を測る必要がある。 03 定義 │ (出典 [1])

#8.

重症度分類(Ⅰ〜Ⅳ度) Ⅲ度以上が Active cooling の適応 重症度 主な症状・所見 Ⅰ めまい/立ちくらみ/生あくび/大量発汗/筋肉痛/こむら返り Ⅱ 頭痛/嘔吐/倦怠感/虚脱感/集中力・判断力の低下 医療機関へ搬送、輸液・冷却 Ⅲ 下記いずれか:CNS障害(意識障害・小脳症状・痙攣)/肝・腎機能障害/DIC 入院+Active cooling Ⅳ 深部体温 40.0℃以上 + GCS ≤ 8 (最重症) ICU+直ちにActive cooling 意識障害はない Ⅳ度は「深部体温を測って初めて確定」する。 → 測る前に動くためのトリガーが、次の qⅣ度。 03 定義と重症度分類 │ (出典 [1]) 対応 涼所へ移動・水分/塩分の経口補給

#9.

qⅣ度 ── 測る前に動くためのトリガー 深部体温を測る前に「疑って動く」 その基準が qⅣ度 q Ⅳ C RI TE RI A qⅣ度 = 次の2つを両方満たす ① 表面体温 40.0℃以上 または 皮膚に強い熱感 臨床の動き方 S T EP 1 qⅣ度を疑う(表面体温+意識レベル) S T EP 2 ② GCS ≤ 8 または JCS ≥ 100 = 深部体温を測る/Active coolingを始める判断基準 深部体温を測る(膀胱温 or 直腸温) S T EP 3 Ⅳ度確定 → 直ちに Active cooling 深部体温の結果を待たない。 qⅣ度を満たした時点で、冷却の準備・開始に動く。 測定と冷却は並行して進める。 04 qⅣ度と深部体温 │ (出典 [1])

深部体温の測定方法と冷却法

#10.

深部体温の測り方 第一選択は膀胱温 耳温・腋窩は使わない 部位 推奨 コメント 膀胱温 ◎ 第一選択。尿道カテーテル一体型プローブで持続測定できる。冷却モニタリングにも直結。 直腸温 ○ 代替として妥当。挿入深度・体位で値が変動しうる点に注意。 食道温 ○ 正確だが、挿管下でないと運用しにくい。 鼓膜(耳温) × コア温との乖離が大きい。熱中症の重症度判定には使わない。 腋窩・口腔 × 表面体温であり、深部体温の代わりにはならない。 04 qⅣ度と深部体温 │ (出典 [1][3][4])

#11.

冷却の全体像 Ⅲ度以上は、Passive に Active を必ず重ねる P A SS I VE A CT I V E / E X T E R NA L A C TI VE / I N TE RN A L Passive cooling Active(体外) Active(体内) 「熱が逃げる環境」を作る 体表面から積極的に熱を奪う デバイスで直接冷却する ・涼しい環境へ移動 ・冷水/氷水浸漬 ・胃/膀胱洗浄 ・衣服を脱がせる ・蒸散冷却(霧吹き+送風) ・血管内冷却カテーテル ・冷房・扇風機 ・水冷式ブランケット(Arctic Sun) ・ECMO ・アイスパック 全症例で行う基本。 ただし単独ではⅢ度以上に不十分。 05 冷却方法 │ (出典 [1][3][9][10]) 冷却速度 0.04〜0.35℃/分 冷水浸漬が最速。蒸散は院内で最も現実的。 侵襲的・限られた施設。 難治例/循環破綻例で検討。

#12.

冷却方法による速度の違い 0.15℃/分に届くのは冷水や氷水への浸漬だけ 目安 0.15℃/分 濃い部分が報告された範囲 0.18〜0.35℃/分 [1][10] 冷水や氷水への浸漬 霧吹きと送風(蒸散) 0.046〜0.11℃/分 [3][10] 冷却輸液 約0.039℃/分 [5] 0 0.40℃/分 Arctic Sun に ℃/分 の報告はない。 熱伝達係数が浸水に匹敵しうる[8]ことまでしか分かっておらず、この3本と同じ物差しでは並べられない。 0.15℃/分は目安であり推奨値ではない。ガイドライン2024のCQは冷却の目標速度を設定することを弱く推奨するのみで、数値は定めていない。(出典 [1][3][5][8][9][10]) 05 冷却方法 │ (出典 [1][3][5][8][9][10])

Active Coolingの実践と効果

#13.

0.15℃/分は誰のデータか 根拠となった研究に高齢の非労作性熱中症は1例も入っていない 521 例 Filep 2020 が統合した症例数 内訳 例数 労作性熱中症 521例 高齢の非労作性熱中症(当院の主な患者層) 0例 Filep 2020 は労作性熱中症521例の症例報告と症例シリーズを統合したシステマティックレビューである。0.15℃/分未満の冷却で合併症 RR 4.57(95%CI 3.42〜6.28)、死亡は適 切冷却群 0/521 に対し不十分冷却群 23/521。 ガイドライン2024のCQは冷却の目標速度を設定することを弱く推奨するだけで、 推奨値の数値を定めていない。0.15℃/分は目標であって、達成義務ではない。 05 冷却方法 │ (出典 [1][9])

#14.

比較的導入しやすい Active cooling ① 蒸散冷却 ② Arctic Sun M ET HO D 0 1 M ET HO D 0 2 霧吹きによる蒸散冷却 Arctic Sun(水冷式) 最速で始められる。特別な機材が要らない。 目標体温制御まで一貫して行える。 H OW T O H OW T O ①衣服を脱がせ、体表を露出 ①体幹・大腿に専用パッドを貼付 ②ぬるま湯を霧吹きで全身に散布 ②本体で目標温度を設定(例:38.0℃) ③強めの送風(扇風機・大型ファン) ③水温を自動制御して持続冷却 ④露出面が乾いたら再噴霧を繰り返す ④膀胱温プローブでフィードバック 冷却速度 0.046〜0.11℃/分/ 冷水ではなくぬるま湯を使う(冷水は皮膚血管が収縮し逆効果) ICU入室例・過冷却リスクを避けたい例で第一選択。 準備に時間がかかる間、まず蒸散を開始する。 06 比較的導入しやすい Active Cooling │ (出典 [3][10])

#15.

当院の第一手段:蒸散冷却 本邦の Active cooling の約60%は蒸散冷却 約60 % 0.046〜0.11 Heatstroke STUDY 2020-2021 における Active cooling の内訳で蒸 冷水浸漬より遅いが、ベッド上で気道・循環管理や採血、ルート確保と 散冷却が占める割合。本邦で最も広く使われている 並行できる 必要な物品 ℃/分 衣類を脱がせられる環境、防水シーツ、水または微温水、霧吹き(または洗浄ボトル)、サーキュレーター(または 扇風機)、深部体温計(膀胱温/直腸温)、心電図・血圧・SpO2 モニター 人員 最小2名。湿潤と送風の調整と、モニタリング・気道循環・ルート確保と採血 Arctic Sun は導入検討中の候補である。現時点で当院がすぐ始められる Active cooling は、霧吹きとサーキュレ ーターによる蒸散冷却である。 06 比較的導入しやすい Active Cooling │ (出典 [1][3][10][12])

冷水浸漬の手順と注意点

#16.

蒸散冷却の手順 濡らしただけでは冷えない。送風を止めない 準備(即座に開始) 冷却開始 評価と強化 終了 衣類をすべて脱がせ体幹と四肢を 皮膚を水または微温水で十分に湿 深部体温低下速度、意識、循環、 深部体温がおおむね38.0℃前後 露出する。深部体温とバイタル監 潤させ、直後からサーキュレータ 呼吸を継続確認する。反応が乏し で冷却を停止または弱める。 視を開始する。防水シーツとサー ーで強力かつ連続的に送風する。 い場合は氷嚢の追加や他の冷却法 終了後も再上昇を監視する。 キュレーターを配置する。重症例 霧吹きを適宜繰り返し、常に蒸発 との併用を検討する。 ではルート確保、採血、気道評価 している状態を保つ。 を並行する。 濡らす 風を当てる 深部体温を追う 広い体表面を均一に 連続送風を止めない 低下速度と止めどきを見る 原理は気化熱である。送風が弱いと皮膚表面に飽和水蒸気層ができ、蒸発効率が落ちる。 06 比較的導入しやすい Active Cooling │ (出典 [10])

#17.

冷水浸漬(CWI)の速さと代償 水温1〜5℃の CWI は0.178℃/分 冷却法 冷却速度 冷水浸漬(水温1〜5℃) 0.178℃/分 冷水シャワー 0.070℃/分 アイスパック 0.021℃/分 労作性熱中症では、CWI が第一選択として長く推奨されてきた (McDermott 2009[13]) 高齢者でも施行可能とする症例集積がある(Ito 2021[14]) 適応の目安 膀胱温の値に固執しない 体表温≧40℃、意識障害あり、暑熱環境下で熱中症が疑われる 数字はすぐ出るが、留置直後は深部体温とずれやすい。 がそろうとき 腋窩温≧40℃かつ意識障害があれば冷却を始める 速さは人員と排水設備の体制と引き換えである。 06 比較的導入しやすいのActive Cooling │ (出典 [10][13][14])

#18.

冷水浸漬の止めどき 簡易プールは排水に時間がかかるので、膀胱温39℃で終了準備を始める 移乗 意識障害が続いていれば 未膨張の浴槽の上へ直接移乗する 並行処置 → 脱衣、モニター、末梢静脈路 膀胱カテーテル。 必要ならアナルプラグ。 冷却開始 → 浴槽を膨らませ 水道水と氷を入れる。 終了準備 → 氷水を体表にかける 膀胱温が39℃に近づいたら、 氷を捨て、排水し 浴槽を萎ませて除去する 心電図と刺入部は防水する 高齢では体温が30℃台前半まで下がり、温風式加温装置での再加温を要した例がある。 気道 鑑別 頭側に気道確保の担当を置く。 感染症を否定できなくても、培養と抗菌薬は冷却と並行する。 CTはCWI終了後が原則 06 比較的導入しやすいActive Cooling │ (出典 [10])

サーモガードの使用と設定

#19.

サーモガードの位置づけ 目標到達後もフィードバック制御で正常体温域を維持できる サーモガードは、中心静脈カテーテル内を循環する生理食塩水と血液で熱交換する装置である。 測った深部体温に合わせて冷却の強さを自動で変える。体表冷却と違い、到達したあとの再上昇を抑えやすい。 使う 使わない Ⅲ〜Ⅳ度で、迅速な冷却に加えて到達後の維持が必要なとき。ICU Ⅰ〜Ⅱ度。中心静脈カテーテルの感染、血栓、血管損傷がある 管理が前提 導入直後の冷却速度は、蒸散冷却や氷嚢、冷却輸液に劣ることがある。 機器がある施設では、来院直後は蒸散冷却を先に始め、カテーテルが入り次第、維持へつなぐ。 5,000 点 L008-3「1」中心静脈留置型(サーモガード)。一連につき1回 11,000 点 L008-3「2」ウォーターパッド(Arctic Sun)。消耗品は所定点数に含 む 当院にサーモガードはない。他施設の高度機器の例として知る。 06 比較的導入しやすいActive Cooling │ (出典 [10][15]/点数は令和8年度医科点数表)

#20.

サーモガードの設定と併用 目標を38℃にすると冷却出力が早期に落ちる。 37℃を目標にし初期は蒸散冷却を併用する 37 36℃未満 ℃ 初期目標。許容はおおむね36.5〜37.5℃ 外的冷却を先に、または同時に始 める 蒸散冷却、冷却輸液、氷嚢 避ける。積極的低体温療法は目的ではない → 装置は最速モード、目標37℃ カテーテル留置後に開始する → 維持へ移る 到達後も制御を続ける。外的冷却は過冷 却を避けるため減量する 手引きのⅣ度予備解析では、蒸散単独の院内死亡10.3%(6/58)、サーモガード+蒸散5.9%(1/17)。併用17例であり、死亡を減らすとは言えない。 06比較的導入しやすいActive Cooling │ (出典 [10])

#21.

目標体温と終了基準 冷水浸漬は39℃で終了準備 蒸散は38℃で止め 高度機器は37℃を狙う 冷却法 止めどき/目標 理由 冷水浸漬(簡易プール) 膀胱温39℃で終了準備 排水に時間がかかり、38℃まで待つと過冷却する[10] 従来型(蒸散冷却、氷嚢など) 深部体温38℃で緩める/終了 停止後も慣性で下がる。ガイドライン2024で弱く推奨[1] 高度機器(Arctic Sun、サーモガード) 37℃を目標に設定 目標に近づくと出力が落ち、38℃目標だと高体温が遷延しうる[10] 解熱薬は使わない。熱中症は視床下部の set point 上昇による発熱ではないため、 アセトアミノフェンなどを冷却目的に使わない(CQ3-06:使用しないことを弱く推奨)。 始めるときの判断は表面体温(qⅣ度)、重症度の確定と終了の判断は深部体温で行う。 冷却中は膀胱温を持続し、終了後も再上昇を監視する。 同じ「過冷却を避ける」でも、方法が違えば止める温度が違う。 07 目標体温と終了基準 │ (出典 [1][10])

熱中症の鑑別診断とPitfall

#22.

冷却輸液の立ち位置 Active cooling 前提の重症例で「補助」的に行える 検討してよい場面 根拠は限られている qⅣ度を満たし、Ⅲ度Ⅳ度でActive coolingを前提に診療している場合のみ。 McDermott 2023[5] は健常成人8名のRCTで、 それ以外では不要。 冷却輸液0.039℃/分と受動的冷却0.028℃/分を比較し 有意差を報告した。 速やかに中止する場面 目安の0.15℃/分[9]には遠く、 単独では主要な冷却法にならない。 有害事象が出たとき WMS が引用するボランティア研究[3]では、 適正水分量に達したとき 4℃の等張液30 mL/kgを30分で投与し 軽症の熱中症と判明したとき 体温が1℃低下した(室温輸液は0.5℃)。 循環と体液量の評価を欠かさない。冷水浸漬ができない状況での併用と脱水補正には使える。 06 当院で現在検討中のActive Cooling │ (出典 [3][5][9])

#23.

Pitfall ── 熱中症 mimic 高体温=熱中症とアンカリングしない 冷却後も、必ず再評価する 01 02 03 敗血症 中枢神経感染症 悪性症候群 感染源/qSOFA/培養提出を並行。 髄膜炎・脳炎。項部硬直・皮疹・免疫状態を確認。 抗精神病薬の使用歴/筋強剛/CK上昇。 暑熱曝露歴が乏しい高体温では第一に考える。 疑えば速やかに髄液検査へ。 被疑薬中止+対症+ダントロレンを検討。 04 05 06 セロトニン症候群 甲状腺クリーゼ 抗コリン/交感神経刺激薬中毒 SSRI・トラマドール・リネゾリド。 甲状腺機能亢進歴/頻脈/心不全兆候。 トキシドロームで判断。散瞳・皮膚乾燥・頻脈。 クローヌス/振戦/自律神経症状。 Burch-Wartofsky を意識。 服薬歴と使用薬物を必ず確認。 冷却後の再評価が肝。 体温が下がっても意識・循環が戻らない例では、mimic を必ず再度並べる。 08 Pitfall │ (出典 [1][10])

#24.

冷やしながら鑑別する CWIでない限り CTのために冷却を止めない。採血と培養は冷却しながら取る 例 冷却レーン 脱衣と環境調整 蒸散冷却 深部体温モニタリング 鑑別レーン 血糖、採血、培養 病歴の再聴取 薬剤と使用薬物の確認 38℃で終了 画像検査やエコーを 遅らせない 重症例では、「鑑別診断や画像検査のために冷却を遅らせない」 かつ 「冷却のために検査を遅らせない」 冷却を始めたことで鑑別を打ち切ってもいけない。 08 Pitfall │ (出典 [1][10])

思考のフローチャートと適用例

#25.

Pitfall:熱中症診療の思考回路 敗血症・意識障害の思考回路と基本の初期評価を怠らない 土台は ABCDE アプローチ。そのうえで2つの思考回路を同時に回す。 敗血症診療へのアプローチ 2つの重なり 意識障害へのアプローチ 感染源検索、培養、早期抗菌薬 中枢神経感染症(髄膜炎、脳炎など) 血糖、電解質、画像、中枢病変、中毒 高体温と意識変容では、熱中症、敗血症、中枢神経感染症が同じ表現型になりうる。 冷却を遅らせず、冷却しながら ABCDE と敗血症・意識障害の評価を並行する。 08 Pitfall │ (出典 [1][10])

#26.

思考のフローチャート

#27.

このフローを使わない場面 高齢者、病歴不明、外傷では、このフローを使わない 当院に来る熱中症疑いの多くが、この除外に当たる。それでもこの範囲を動かさない。 適用例が少ないことは欠点ではない このフローは、少数の最重症例を取り逃さないための道具である。全症例を1枚でさばく道具ではない。 使わない、は冷やさない、ではない 除外した患者でも、Ⅲ度Ⅳ度なら冷却する。フローの外に出た患者は、個別に判断して治療する。 qⅣ度そのものも検証されていない qⅣ度は2024年に提唱された指標で、感度と特異度の検証データはない。現場の表面体温計の精度も一定ではない。 この3点は発表者の立場であり、ガイドライン2024の記載ではない。(出典 [1]) 09 当院における熱中症フローチャート │ (出典 [1])

Take Home Messageと参考文献

#28.

T A KE HO M E M ES S A G E 今日から 変えること 01 病歴で疑う 「暑熱曝露+熱放散困難」があるか 真夏の屋外だけではない。サウナ・厚着・冬季の高齢者も忘れずに。 02 qⅣ度なら、深部体温を測る 膀胱温が第一選択 耳温・腋窩では判断できない。測定と冷却準備は並行して進める。 03 Ⅲ・Ⅳ度は Active cooling を即開始 冷却輸液は「補助」に留める まず蒸散冷却で始め、Arctic Sun へ移行。蒸散は38℃、機器は37℃で止め、過冷却を避ける。 References は次ページに全15件を掲載

#29.

References 1. 日本救急医学会. 熱中症診療ガイドライン2024. 2. O'Grady NP, et al. SCCM and IDSA Guidelines for Evaluating New Fever in Adult Patients in the ICU. Crit Care Med. 2023;51 (11):1570-1586. 3. Eifling KP, et al. Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of Heat Illness: 2024 Update. Wilderness Environ Med. 2024;35(1_suppl):112S-127S. 4. Lefrant JY, et al. Temperature Measurement in Intensive Care Patients. Intensive Care Med. 2003;29(3):414-418. 5. McDermott BP, Atkins WC. Whole-Body Cooling Effectiveness of Cold Intravenous Saline Following Exercise Hyperthermia: A Randomized Trial. Am J Emerg Med. 2023;72:188192. 6. 総務省消防庁. 熱中症による救急搬送状況. 7. 総務省消防庁. 熱中症情報/過去のデータ一覧. 8. English MJ, Hemmerling TM. Heat transfer coefficient: Medivance Arctic Sun vs. water immersion. Eur J Anaesthesiol. 2008; 25(7):531-537. 9. Filep EM, et al. Exertional Heat Stroke, Modality Cooling Rate, and Survival Outcomes: A Systematic Review. Medicina (Kaunas). 2020;56(11):5

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