テキスト全文
肺血栓塞栓症の基礎知識と病態
#1. 肺血栓塞栓症
肺梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症
エコノミークラス症候群 循環器内科医“うし先生”の
疾患解説シリーズ 全職種向け
病態から最近の治療まで
説明します
#2. 注釈 【自己紹介】
某市中病院勤務の循環器内科医師のうしです。
だいたい中堅くらいです。
【動画のモットー】
細かいデータ<わかりやすさ
【ペット】
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#3. このシリーズでは
全職種向けに
疾患ごとの病態など解説します!
(実臨床を元に不要な所は解説しません)
医師・看護師国家試験! 内科病棟患者対応! 看護実習の病態生理! 生理検査・臨床検査技師のスキルアップ
深部静脈血栓症の病態と原因
#5. 深部静脈血栓症(DVT) →肺(血栓)塞栓症(PE) 【どんな病気か】
足などに血のかたまり(血栓)ができて、
胸(息)が苦しくなる重症になりうる病気
深部静脈血栓症 肺塞栓症
#6. DVT→肺塞栓症 IVC 右房 右室 三尖弁 左房 左室 肺動脈 肺静脈 全身 【病態】
DVT=下肢の静脈などに血栓ができる
肺塞栓症=肺動脈に飛ぶ 大腿静脈など ● 血栓 ✗
DVTから肺塞栓症への進行と症状
#7. DVT→肺塞栓症 【原因】
・長時間の座位、臥床
・骨折
・糖尿病/脱水
・悪性腫瘍
・肥満
・血液疾患(血小板や赤血球増多、凝固素因異常)
・膠原病(抗リン脂質抗体症候群)
#8. DVT→肺塞栓 【症状】
徐々に片側 急に!
#9. DVT→肺塞栓症 【検査】
①下肢静脈エコー…深部静脈血栓の評価
②胸部レントゲン …肺野の異常透過性亢進(難しい)
③心電図…特異的な所見は難しい(右室負荷所見)
④心エコー…右室の拡大
⑤採血検査…Dダイマー(陰性ならほぼ違う!)
⑥造影CT…下肢静脈~肺動脈の血栓評価可能
造影CTかエコー(DVTに限る)で見ないと診断難しい!
DVT⇔肺塞栓両方の評価を!
DVTと肺塞栓症の診断方法
#10. 深部静脈血栓症 → 肺塞栓症
(下腿浮腫、下肢疼痛) (胸痛、呼吸苦) DVT→肺塞栓症 【造影CT】
#11. DVT→肺塞栓症 【診断】Well’s クライテリア
造影CT(-)では総合的な評価しかできない!
#12. DVT→肺塞栓症 【治療】
抗凝固薬
IVCフィルター?
重症例には血栓溶解療法、カテーテル的破砕
支持療法でPCPS、気管挿管
血栓治療のガイドラインと薬剤
#13. ガイドラインより 酸素が維持できなければ気管挿管
血圧が維持できなければPCPS(経皮的人工心肺)
#14. 静脈系の止血 Ⅻ Ⅺ Ⅸ Ⅷ Ⅶ Ⅹ Ⅴ Ⅱ Ⅰ 内因系 外因系 血管内膜障害 外傷 動脈 静脈 血流速い 血流遅い 通常の流れ 血小板が主体 フィブリン
(凝固因子)が主体 血小板 血栓 凝固因子 ≒ ≒
#15. 静脈系の止血 Ⅻ Ⅺ Ⅸ Ⅷ Ⅶ Ⅹ Ⅴ Ⅱ Ⅰ 内因系 外因系 血管内膜障害 外傷 動脈 静脈 血流速い 血流遅い 通常の流れ 血小板が主体 フィブリン
(凝固因子)が主体 血小板 血栓 凝固因子 ≒ ≒ こっち!
DVTと肺塞栓症の治療戦略
#16.
・動脈の血栓予防・治療
=抗血小板薬
(アスピリン、クロピドグレル、チクロピジン…)
・静脈(+右心系)の血栓予防・治療
=抗凝固薬
(ヘパリン、ワーファリン、NOAC) エリキュース、プラザキサ
リクシアナ、イグザレルト
#17.
・動脈の血栓予防・治療
=抗血小板薬
(アスピリン、クロピドグレル、チクロピジン…)
・静脈(+右心系)の血栓予防・治療
=抗凝固薬
(ヘパリン、ワーファリン、NOAC) エリキュース、プラザキサ
リクシアナ、イグザレルト こっち!
#18. DVT→肺塞栓症 【一問一答】
Q)IVCフィルターは使うべき?
A)抗凝固療法ができないとき以外はあまり使わない(ex 周術期)
Q)致死的疾患なんですか?
A)間違いないが、無症状や軽症例も多数
Q)入院は必須ですか
A)NOACの新規抗凝固薬のおかげで外来診療も可
Q)一生抗凝固は必要ですか
A)3-6か月血栓消失を目途に残存リスクで相談
外来診療における管理とまとめ
#19. 肺塞栓の入院or外来 ①小柄体型、②腎不全、③低酸素、④粗大病変、⑤出血リスク
これらがなければ
イグザレルト15mg 2T/日(朝夕) 21日間 強
エリキュース5mg 4T/日 (朝夕) 7日間 弱
の処方で外来診療も検討可能
*DVTやごく軽症肺塞栓の場合は抗凝固薬は通常量で良い
#20. DVT→肺塞栓を担当時の流れ ・他疾患(肺炎心不全など)否定的で造影CTを施行
・肺塞栓(+DVT)の診断だが低酸素血症あり入院
・厳格な管理のためNOACでなくヘパリンでの点滴抗凝固療法 (ヘパリン1-1.5万単位+5%ブドウ糖250ml 10ml/hr APTT 3-4回/日目標 45-70 2回指示内で1日1回)
・リスク評価(CT上の悪性腫瘍+貧血+採血+生活習慣)
・1-2週後造影CT
→血栓改善傾向であれば内服に切り替えし退院を考慮 (ヘパリン5-7日後にリクシアナに変更することが多い)
・外来で血栓とリスクがなくなったら抗凝固薬卒業を考慮 例)急性の胸痛+低酸素など 消化管腫瘍 HbA1c、抗カルジオピン抗体
プロテインC/S、アンチトロンビン
#21. まとめ(最低限これだけ) ・足の静脈などに血栓ができ肺につまる病気
・重症例より軽症例が圧倒的に多い
・NOACのおかげで外来診療も可能に
・再発は注意