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神戸市立医療センター中央市民病院
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#市中肺炎 #感染症 #COVID-19
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COVID-19 診断・治療・感染対策
#感染症科 #感染症 #新型コロナウイルス感染症 #COVID-19
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#ステロイド #COVID-19 #レムデシビル #コロナ #ソトロビマブ #モルヌピラビル #ニルマトレルビル・リトナビル #デキサメタゾン
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#CT #感染症 #新型コロナウイルス感染症 #COVID-19 #画像所見 #胸部CT
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#感染症 #COVID-19
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#COVID-19 #地域医療 #災害医療 #パンデミック
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#プライマリケア #EBM #COVID-19 #PECO #批判的吟味
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#感染症 #COVID-19
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#市中肺炎 #肺炎 #短期治療 #Mnemonics #2023年お年玉 #難治性肺炎 #Nico and...
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市中肺炎診療の考え方 ウィズコロナ時代
#市中肺炎 #感染症 #COVID-19
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#グラム染色 #感染症 #肺炎
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5類感染症となるCOVID-19への対応- 5類化への対応・院内感染対策・早期治療の重要性 – 神戸市立医療センター中央市民病院 感染症科 黒田浩一 2023.3.10 主な内容 ・5類感染症への移行 ・今後の感染対策 マスクはどうなる? ・オミクロン対応2価ワクチン ・軽症例への早期治療
このスライドの内容 5類感染症への議論が加速している(序論) 基本的な感染対策は変わらない - マスクの位置づけ(2023年3月の最大のトピック!?) 5類感染症化についての議論の整理 2023.5.8から何が変わるのか? 医療機関が準備すべきこと 社会と医療機関のウィズコロナは異なるもの COVID-19の最新治療(軽症~中等症I)
COVID-19は、5類感染症へ 2023年1月20日に岸田総理と加藤厚生労働大臣の会見で、2023年春(その後、2023年5月8日に決定)にCOVID-19を5類感染症とする方針が示された。2023年1月23日に厚生科学審議会感染症部会で専門家による議論が開始された。 首相官邸:https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2023/0120kaiken.html 厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00517.html
厚生労働大臣の会見 2023.1.20 2023年春に新型インフルエンザ等感染症から外し5類感染症とする方向で議論を進める方針 行政機関から陽性者に関与(様々な要請・サービスの提供) 各医療機関・国民自身の自主的な取組みがベースとなる 加藤大臣会見概要(令和5年1月20日(金)12:30~13:05 省内会見室)を参考に作成. https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00517.html
神奈川県感染症対策協議会(2023.1.19). 資料. https://www.pref.kanagawa.jp/documents/26356/siryou.pdf 行政
厚生労働大臣の会見 2023.1.20 医療提供体制や現在講じている公費支援などこれまでの様々な政策・措置の対応については段階的に移行 患者や濃厚接触者の外出自粛についても見直す 臨時接種の期限が2023年3月末であり、今後ワクチンの運用について検討予定(感染症法ではなく予防接種法) 加藤大臣会見概要(令和5年1月20日(金)12:30~13:05 省内会見室) https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00517.html
首相官邸・対策本部会議 2023.1.27 2023年5月8日から5類感染症に移行する 患者等への対応・医療提供体制についての具体的な方針は3月上旬(→3月10日)をめどに示す →その後、各地方自治体がその枠組みで対応を検討 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更等に関する対応方針について(2023.1.27). https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/kihon_r2_050127.pdf
厚生科学審議会感染症部会 2023.1.27 COVID-19の感染症法上の位置づけについて検討された 病原性・伝播性・変異の可能性とその影響を検討した結果、感染症法に基づく私権制限に見合った「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれ」がある状態とは考えられないことから、5類感染症に位置づけるべき、とされた 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけについて(第70回厚生科学審議会感染症部会, 2023.1.27). https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30440.html
この会議の要点 2023.1.27 過剰な私権制限は不適当であり、5類感染症へ移行が妥当 適正な医療を提供し続けることが、最重要課題である そのため、段階的な5類感染症への移行が望ましい 「段階的な移行」は、政府による具体案が必要で、早期に示すべき 今後3か月程度の準備期間で、5類感染症化に備える 必要な感染対策は今後も継続すべきである 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけについて(第70回厚生科学審議会感染症部会, 2023.1.27). https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30440.html
基本的な感染対策は変わらない SARS-CoV-2の性質が変化するわけではない → 感染対策の基本は、変わらないはずである 今後のevidenceに基づいて、院内感染対策の方法がやや緩和される可能性はある(各場面ごとに必要なPPEの種類、濃厚接触者の定義)
基本的な感染対策 COVID-19ワクチン(3回以上、オミクロン対応2価ワクチン) 換気の悪い屋内や人混みでのマスク着用 換気・身体的距離の確保(最低1m、可能なら2m) 手指衛生(アルコール製剤、または、流水と石鹸) 換気の悪い3密(密集・密接・密閉)の回避(流行期) 体調不良時は、受診以外で外出しない・人と会わない
「新たな健康習慣」 感染防止の5つの基本 体調不安や症状がある場合は、無理せず自宅で療養または受診 その場に応じたマスクの着用な咳エチケットの実施 換気、密集・密接・密閉(3密)の回避は引き続き有効 手洗いは日常の生活習慣に 適度な運動、食事などの生活習慣で健やかな暮らしを 第118回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料3-9. 「これからの身近な感染対策を考えるにあたって(第三報)」- “新たな健康習慣”についての見解 -(令和5年3月8日)
院内感染対策の基本 COVID-19ワクチン(3回以上、オミクロン対応2価ワクチン) ユニバーサルマスキングと適切な換気(飛沫・エアロゾル) 目の防護のルーチン化(飛沫) N95マスクのユニバーサルユース(飛沫・エアロゾル、流行期) 標準予防策(手指衛生)の徹底(接触感染) 確定・疑い患者に対する個室隔離と接触予防策(ガウン・手袋)
効率的かつ負担の少ない感染対策 ポイント ・接触予防策は最小限 ・専用病棟は不要 (病室単位での隔離) ・環境面の過剰な消毒は不要 (手指消毒が基本) 第87回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料3-8(2022.6.8) 事務連絡. 効率的かつ負担の少ない医療現場における感染対策の徹底について(2022.8.5) 事務連絡. 病床や救急医療のひっ迫回避に向けた宿泊療養施設や休止病床の活用等について(2022.8.19)
ガウン・手袋の省略 身体密着がなく、体液・排泄物を浴びる可能性が低い場合はガウン不要(問診/診察/検温、環境整備、患者搬送) - 診察 - バイタル測定 - 環境整備 - 患者搬送 標準予防策が重要である
マスクの位置づけ 2023年3月の最大のトピック!?
マスクはどうなる? 2023.1.27 マスクについての政府方針 行政が一律にルールとして求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断にゆだねることを基本とする 政府は、マスクの着用が効果的な場面の周知を行う 感染が大きく拡大している場合は、より強い感染対策を求めることがあり得る(場面に応じた適切なマスク着用を呼びかける) 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更等に関する対応方針について(2023.1.27). https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/kihon_r2_050127.pdf
マスクの効果 2023.3.11までの政府の推奨 2023.3.11以降どうなる? - 病院や高齢者施設では? - 学校では? - 商業施設では? マスクの位置づけ
personal protectionとsource control - マスク着用は、気道感染症のリスクを約20%低下させる - 屋内で常時マスクを着用しているとCOVID-19罹患リスクが低下する - 感染者または曝露者がマスクを着用しているとCOVID-19罹患リスクが低下する ユニバーサルマスキング - 地域のユニバーサルマスキング政策で、COVID-19発症/入院/死亡が減少する - マスク着用者が増加すると、地域のCOVID-19流行が制御されやすくなる - 学校におけるユニバーサルマスキングはCOVID-19流行抑制に有用である マスクの効果 Transl Psychiatry. 2022;12(1):49. doi: 10.1038/s41398-022-01814-3. EClinicalMedicine. 2021 Aug;38:101024. doi: 10.1016/j.eclinm.2021.101024. Lancet Digit Health. 2021;3(3):e148-e157. doi: 10.1016/S2589-7500(20)30293-4. Proc Natl Acad Sci U S A. 2022;119(23):e2119266119. doi: 10.1073/pnas.2119266119.
マスクの効果(2次感染が50%減少) マスクありとマスクなしの曝露の2次感染率を調査(従来株流行期の米国) 家庭・医療機関外での濃厚接触者を対象とした 感染者・曝露者ともにマスクあり(12.5%) vs どちらかがマスクしていない(25.6%) 曝露者がマスクを使用すると2次感染率低下 Emerg Infect Dis. 2022 Jan;28(1):69-75. doi: 10.3201/eid2801.211591.
alpha~delta流行期 屋内(indoor public)でマスクを常時使用することで感染が著明に減少 特にN95 or KN95マスクで効果高かった 60%以上がワクチン接種0-1回接種の集団での研究 マスクの効果(オミクロン前) MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022 Feb 11;71(6):212-216. doi: 10.15585/mmwr.mm7106e1.
学校でのユニバーサルマスキング オミクロン流行期の米国のデータ N Engl J Med 2022;387:1935-46. DOI: 10.1056/NEJMoa2211029
学校でのユニバーサルマスキング N Engl J Med 2022;387:1935-46. DOI: 10.1056/NEJMoa2211029 ・オミクロン流行期(2022.2-)の米国マサチューセッツ州 ・マスク着用義務を解除した学校で、解除後に生徒/教師のCOVID-19発症率が上昇 ・着用義務解除から15週間で、COVID-19患者数は1000人当たり44.9人増加し、増えた患者数は1万1901人と推定された(増加した患者数は全患者の30%を占めた)
学校でのマスクの是非 マスクが、学習を阻害したり、社会的な発達に害を及ぼすことは、科学的に十分に示されていない(が、その可能性は残されている) マスクをすることによって、感染が減るので... - 子どもの学校の欠席日数↓ - 教師の人員不足の回避 - 生徒・その家族の罹患率↓ - 子供または親が感染することによる休業からの経済的損失↓ N Engl J Med 2022;387:1935-46. DOI: 10.1056/NEJMoa2211029 科学的に流行期のマスク着用の意義はあるが、マスクを「着用しない」(理由は様々:煩わしい、communicationが取りにくい、など)という個人の権利を制限するほどのものなのか? 黙食も同様の議論がある(自由に会話する権利を制限するほどの効果や社会的な意義があるのか?)
屋外:原則、マスク着用は不要 屋内:原則、マスク着用を推奨 以下の2つの条件を満たす場合は不要 - 人との距離が確保できる(目安2m) - 会話をほとんど行わない場合は不要 2023.3.11までの政府の推奨 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001018637.pdf ・もともと強制力なし ・お願いベース(要請・推奨)
マスクの着用について、行政が一律にルールとして求めることはしない 個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねる(本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないようにすることが重要) 政府は、感染防止対策としてマスクの着用が効果的である場面を提示して、マスクの着用を推奨する 学校におけるマスク着用の考え方の見直しは2023年4月1日から適用 2023.3.11以降 2023.2.10発表 内閣官房. 新型コロナウイルス感染症対策本部. 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和5年2月10日変更). https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_r_20230210.pdf マスク着用の考え方の見直し等について. https://corona.go.jp/news/pdf/kihon_r2_050210.pdf
重症化高リスク者への感染を防ぐためにマスク着用が推奨される場面 - 医療機関を受診する時 - 医療機関や高齢者施設などへ訪問する時 - 通勤ラッシュ時など、混雑した電車やバスに乗車する時 ※概ね全員の着席が可能であるもの(新幹線、高速バス、貸切バス等)を除く 流行期に重症化高リスク者が混雑した場所に行く時 マスク着用が効果的な場面 内閣官房. 新型コロナウイルス感染症対策本部. 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和5年2月10日変更). https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_r_20230210.pdf マスク着用の考え方の見直し等について. https://corona.go.jp/news/pdf/kihon_r2_050210.pdf
以下の場合、周囲に感染を広げないため、外出を控え、通院等やむを得ず外出をする時は、人混みを避け、マスクを着用することが推奨される - 症状がある者(原因は問わない) - 新型コロナウイルス感染症の検査陽性の者(=感染者) - 同居家族に陽性者がいる者(=濃厚接触者) マスク着用が推奨される人 内閣官房. 新型コロナウイルス感染症対策本部. 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和5年2月10日変更). https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_r_20230210.pdf マスク着用の考え方の見直し等について. https://corona.go.jp/news/pdf/kihon_r2_050210.pdf
医療機関や高齢者施設などで従事する者 - 勤務中のマスクの着用が推奨される 事業者(病院・高齢者施設)が感染対策上の理由等により、利用者にマスクの着用を求めることは許容される 医療機関や高齢者施設などの対応 内閣官房. 新型コロナウイルス感染症対策本部. 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和5年2月10日変更). https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_r_20230210.pdf マスク着用の考え方の見直し等について. https://corona.go.jp/news/pdf/kihon_r2_050210.pdf
マスクの着用は個人の判断に委ねられるものであるが、事業者が、感染対策上又は事業上の理由等により、利用者又は従業員にマスクの着用を求めることは許容される 従業員や顧客に対して求めることはできる(お願いベース) ただし、強制力はない(実は以前から強制力はなかった) 事業者における対応 内閣官房. 新型コロナウイルス感染症対策本部. 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和5年2月10日変更). https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_r_20230210.pdf マスク着用の考え方の見直し等について. https://corona.go.jp/news/pdf/kihon_r2_050210.pdf 内閣官房. 業種別ガイドライン. https://corona.go.jp/guideline/
「業種別ガイドライン」の見直しとその周知 以下の記載は削除された - 飲食時以外のマスク着用の推奨 - マスクを着用しないイベント参加者への注意・退場措置に関する具体的な対処方法 事業者における対応 内閣官房. 新型コロナウイルス感染症対策本部. 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和5年2月10日変更). https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_r_20230210.pdf マスク着用の考え方の見直し等について. https://corona.go.jp/news/pdf/kihon_r2_050210.pdf 内閣官房. 業種別ガイドライン. https://corona.go.jp/guideline/
2023年4月1日から... マスクの着用を求めないことを基本とする 4月1日より前に実施される卒業式におけるマスクの着用については、卒業式の教育的意義を考慮し、児童生徒等はマスクを着用せず出席することを基本とする 学校における対応 内閣官房. 新型コロナウイルス感染症対策本部. 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和5年2月10日変更). https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_r_20230210.pdf マスク着用の考え方の見直し等について. https://corona.go.jp/news/pdf/kihon_r2_050210.pdf
感染が大きく拡大している場合には、一時的に場面に応じた適切なマスクの着用を広く呼びかけるなど、より強い感染対策を求めることはあり得える(ただし、強制力はない、お願いベースのものである) 留意事項 内閣官房. 新型コロナウイルス感染症対策本部. 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和5年2月10日変更). https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_r_20230210.pdf マスク着用の考え方の見直し等について. https://corona.go.jp/news/pdf/kihon_r2_050210.pdf
基本的対処方針・「業種別ガイドライン」は廃止(新型コロナウイルス感染症対策本部も解散となる) 特措法に基づくマスク着用の協力要請は終了 個人及び事業者は自主的な感染対策に取り組むこととなる 政府は、感染症法上の位置づけ変更後も、自主的な感染対策について必要となる情報提供を行うなど、個人及び事業者の取組みを支援する 5類になったら? 2023.5.8以降 内閣官房. 新型コロナウイルス感染症対策本部. 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和5年2月10日変更). https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_r_20230210.pdf マスク着用の考え方の見直し等について. https://corona.go.jp/news/pdf/kihon_r2_050210.pdf
東京都の感染状況・医療提供体制等について. 第117回(2023年2月22日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-7-1.
政府がマスク着用を推奨する状況 場所(症状の有無は関係なし) - 医療機関・高齢者施設 - 混雑した電車・バスの中 - 感染拡大期の混雑した場所(重症化高リスク者) 人 - 有症状者、新型コロナ感染者、濃厚接触者(家族内曝露) https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001056912.pdf
個人的なマスク着用の推奨 病院内・高齢者施設内 換気の悪い混雑している屋内 混雑している公共交通機関内 混雑している屋外(流行期) あとは各人がリスク・ベネフィットを考えて...
5類感染症化についての議論の整理 パンデミック評価における重要3項目 インフルエンザと同等ではない 現在の状況と5類感染症の違い 現在の法的位置づけを継続する問題点 「5類」化による影響・「5類」化の意義
パンデミック評価における重要3項目 重症度(ココに注目されがち) 伝播性 医療・社会へのインパクト 新型コロナウイルス感染症の特徴と中・長期的リスクの考え方. 第110回(令和4年12月14日) 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-11-1.
COVID-19の重症度 オミクロン・ワクチン接種・既感染者増加で、重症化率と致命率は低下した 致死率は、季節性インフルエンザと同等というデータもあるが、異なる方法で集められたデータであるため、直接比較することは困難であり、真に同等であるか不明 主に評価されているのは症例致死率(感染致死率ではない)。分母は感染者捕縛率に大きく影響され、分子はCOVID-19による死亡の定義に影響される。 新型コロナウイルス感染症の特徴と中・長期的リスクの考え方. 第110回(令和4年12月14日) 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-11-1.
重症化率・致死率(大阪府) ●COVID-19 60歳以下 ・重症化:0.01% ・致死率:0.01% 60歳以上 ・重症化:0.17% ・致死率:0.75% ●季節性インフルエンザの60歳以上における致死率:0.55% 感染症法上の分類見直し検討について. 第109回(令和4年12月7日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-7-2.
重症化率・致死率(石川/茨城/広島) 新型コロナの重症化率・致死率とその解釈に関する留意点ついて. 第111回(令和4年12月21日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料4.
COVID-19の重症度 循環器系合併症による死亡リスクも考慮する必要がある 罹患後症状(後遺症、Long COVID)の問題もリスク評価に含めるべき 2021年4月以降(第4波以降)、COVID-19の流行に一致して超過死亡を認めるようになり、第6波以降ではCOVID-19による死亡者数を大きく超える顕著な超過死亡が確認されている(循環器系合併症や医療ひっ迫が関連していると考えられる)。2021年以降の超過死亡は、COVID-19流行以前の超過死亡を上回っている。 新型コロナウイルス感染症の特徴と中・長期的リスクの考え方. 第110回(令和4年12月14日) 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-11-1.
COVID-19の伝播性 伝播性は、インフルエンザより明らかに高い →感染者の絶対数が非常に多く、死亡者も増加する 明確な季節性はなく、年間を通して流行を繰り返している 免疫(ワクチン・感染)の減弱と免疫逃避株の出現も、流行動態に影響を与える 新型コロナウイルス感染症の特徴と中・長期的リスクの考え方. 第110回(令和4年12月14日). 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-11-1. 新型コロナウイルス感染症対策に関する見解と感染症法上の位置付けに関する影響の考察. 第113回(令和5年1月11日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-10.
医療・社会へのインパクト COVID-19診療のひっ迫 一般診療のひっ迫 救急搬送困難事例の増加 欠勤者の増加による企業活動や行政機関への影響 社会機能維持に支障が生じるリスク 新型コロナウイルス感染症の特徴と中・長期的リスクの考え方. 第110回(令和4年12月14日). 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-11-1. 新型コロナウイルス感染症対策に関する見解と感染症法上の位置付けに関する影響の考察. 第113回(令和5年1月11日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-10.
インフルエンザと同等ではない 伝播性大 死亡者大 死亡者数・流行の時期や規模の予測が難しい 医療逼迫が流行の波が来るたびに起こっている ただし...だから「5類は不適切」という訳ではない 新型コロナウイルス感染症の特徴と中・長期的リスクの考え方. 第110回(令和4年12月14日). 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-11-1. 新型コロナウイルス感染症対策に関する見解と感染症法上の位置付けに関する影響の考察. 第113回(令和5年1月11日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-10.
現在の状況と5類感染症の違い 実際の運用は、(地域差はあるが)「2類」相当ではないが... 5類感染症になるということは... - 医療提供体制の見直し 入院措置・行動制限(就業制限・自宅療養・ホテル療養)の終了 保健健所による入院調整の終了(段階的) - 公費支援の終了(段階的) - コロナは特別という医療従事者・市民の空気感? 新型コロナウイルス感染症対策本部. 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等について(2023.3.10). https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/kihon_r_050310.pdf
神奈川県感染症対策協議会(2023.1.19). 資料. https://www.pref.kanagawa.jp/documents/26356/siryou.pdf
現在の法的位置づけを継続する問題点 COVID-19対応の医療機関が限定されている ホテル療養による、流行抑制効果はほぼない(全感染者の1-5%程度) 子どもへの影響、社会・経済への影響 感染が増加して医療逼迫・死者増加 vs 自由に生きる権利 価値観の問題も大きいと思われる 保健所の業務負担が大きい(時間外勤務100時間超) コロナは特別という空気感
COVID-19対応の医療機関が限定的 発熱外来・COVID-19入院診療を行う医療機関が限定的 実際は、どの医療機関でも対応可能であるが、COVID-19を理由に対応しない医療機関は多数存在している 特に、妊婦・透析患者・小児・処置/手術が必要な患者、夜間・休日の救急搬送への対応で、医療機関によって顕著な差がある
どの医療機関でも対応可能が最終目標 最終的に(遅くとも2023年度内?)、どの医療機関でも感染対策・治療の対応ができる状態を目指さなければ、第8波までと同様に、特定の医療機関への負荷が生じ続ける(多くの場合、高度先進医療を行っている病院である) 入院患診療の大半を占める高齢者COVID-19診療では、専門的知識や特殊な施設は不要なため、多くの医療機関で対応するのが妥当である
5類にしたら対応医療機関は増える? 5類にしたらすべての医療機関で対応できるようになる、という推測は楽観的すぎる。一方で、現在の状態を継続しても、医療の偏りが解決されることは決してない。感染対策についての知見の蓄積、治療のエビデンス、薬剤の流通、保健所の働きかけ、大量の補助金、そして、3年間という時間、をしても、解決しなかった。法律が足枷になっている側面はあるため、5類にすることは妥当と考えられる。その運用方法(救急医療や先進医療が逼迫しない方法)が重要である。
子ども・高齢者・社会・経済・行政 児童・生徒への影響(黙食、課外活動の制限など影響を及ぼす) 高齢者の活動性の低下 社会経済活動への影響 実際には、法的枠組みに関係なく、緩和は可能(人々の意識の問題?) 保健所・行政への影響 - その他の感染症を含む予防的対応に支障 - 病床確保料や時短協力金などの予算が肥大化 - 執行業務に係る職員動員による通常業務の停滞
「5類」化による影響 感染症法による入院措置がなくなる - 治療費の公費負担の法的根拠がなくなる ホテル療養がなくなる 療養中の行動制限がなくなる その他 - 特措法の対象からはずれる - 新型コロナウイルスワクチン接種への影響 など 新型コロナウイルス感染症対策に関する見解と感染症法上の位置付けに関する影響の考察. 第113回(令和5年1月11日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-10.
入院措置と入院調整がなくなる 行政による入院措置がなくなる →すでに隔離目的に入院はほとんど行われていない →感染拡大への影響は、ほとんどないと思われる 行政による病床確保と入院調整の関与がなくなる ・入院調整は他疾患と同様に病病連携・病診連携で実施 ・医療機能に応じた入院や紹介のルールの明確化が必要である 新型コロナウイルス感染症対策に関する見解と感染症法上の位置付けに関する影響の考察. 第113回(令和5年1月11日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-10.
大流行が起こった場合の懸念事項 十分な数の医療機関がCOVID-19診療に関与しなければ... 主に高齢の感染者が著増(施設クラスターetc)と、救急搬送事例が増加し、受け入れ先が見つからない状況が起こりうる COVID-19は改善したが、ADLが低下して療養継続が必要な高齢患者の急性期病院から後方支援病院への転院が滞る
大流行が起こった場合の懸念事項 高齢者クラスターの非重症患者を入院対応することは現実的ではない COVID-19病棟・隔離解除後の移動先の一般病棟、どちらも逼迫しうる 入院した場合、改善後したら早期の転院が可能な体制が必要(療養型・回復期) ●対策 - 夜間も含めた施設連携医・往診医による診療の充実(救急医療逼迫を防ぐ) - 早期診断・早期治療が可能かどうか(外来対応能力・薬剤の安定供給) - コロナ対応可能な病院(地域包括ケア病棟も含む)を増やす
大流行が起こった場合の懸念事項 入院調整は難航すると思われる患者群 - 重症患者:神戸市の場合、第6-8波の規模であれば、1~2の基幹病院で対応可能(中等症は多くの医療機関で広く対応する) - 小児:対応可能な病院が増える必要がある - 妊婦:陣発した場合に早急に入院調整が必要となる(保健所業務?) - 透析患者:軽症なら、かかりつけ医で外来透析(送り迎えは?) - 手術が必要な患者:各病院で緊急手術が可能になる必要がある
入院措置と入院調整がなくなる影響 流行状況・地域の感染者数の増加に合わせて、各病院がCOVID-19の診療体制をタイムリーに構築できるか疑問が残る - 各病院の感染対策部門が、地域の流行状況を毎日チェックする - コロナ受診・入院患者数も踏まえて、病院上層部へ助言する - 診療体制(診療部)+ 財政的な検討(事務部門) - 情報収集能力、判断力、柔軟性、迅速性などが要求される - 行政機関による病床利用率共有システムの構築が必要
現在、療養中の患者の健康観察と受診調整も保健所が行っているが、これは診断した医療機関が対応・調整することになると思われる 治療費の公費支援の法的根拠がなくなる(段階的に移行) - 入院費用:高額療養費制度の使用が可能 - 外来費用:抗ウイルス薬で治療する場合、3割負担でも3-4万円 - 他の疾患と区別する必要がどこまであるか?(高額な疾患は多い) ‐ 受診の差し控えや重症化リスクにつながる可能性がある 入院措置と入院調整がなくなる影響 新型コロナウイルス感染症対策に関する見解と感染症法上の位置付けに関する影響の考察. 第113回(令和5年1月11日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-10.
宿泊療養施設がなくなる影響 現在、ほとんどの患者(95%以上)は自宅療養しており、ホテル療養による社会の感染拡大の抑制効果はほぼない 家庭内感染の抑制には有効かもしれないが、今後も税金を投入して継続すべきか検討が必要である 海外からの旅行者や国内旅行者が、旅行先で発症した場合、滞在先をどうするか、検討する必要がある(観光業界との調整して、感染者が宿泊できるホテルを確保する必要があると思われる) 新型コロナウイルス感染症対策に関する見解と感染症法上の位置付けに関する影響の考察. 第113回(令和5年1月11日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-10. ポストパンデミックにおける医療提供体制について. 第112回(令和4年12月28日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-9-2.
療養中の行動制限がなくなる影響 外出自粛や就業制限の法的根拠がなくなる 一定期間自宅待機することがどれほど守られるか不明 一方で、自主的に現在と同様に感染対策が継続される可能性もある 5-7日間などに短縮して自宅待機が現実的? 感染者は増加しやすくなることは間違いないだろう 新型コロナウイルス感染症対策に関する見解と感染症法上の位置付けに関する影響の考察. 第113回(令和5年1月11日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-10.
その他の影響 特措法の対象からはずれる - 知事による感染対策実施に関する呼びかけの法的根拠がなくなる :緊急事態宣言・まん延防止等重点措置 - 現状、自粛要請しかしていないため、大きな問題はないかもしれない ‐ 病原性が著明に症状した新規変異株が出現した場合、迅速な対応が可能か? :政府対策本部、都道府県対策本部の設置 - 国民や事業者に対する経済的支援策が行われなくなる 新型コロナウイルス感染症対策に関する見解と感染症法上の位置付けに関する影響の考察. 第113回(令和5年1月11日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-10.
その他の影響 新型コロナウイルスワクチン接種への影響 - 公費負担?接種体制は?特例臨時接種から変更?→自己負担なしの方針 - 法律は、「予防接種法」(感染症法とは直接は関係なし) 濃厚接触者への措置がなくなる - 現時点ですでに濃厚接触者調査はほぼ行われていない - 影響はほとんどないと予想される 検疫感染症から外れる(5類感染症になるため) 新型コロナウイルス感染症対策に関する見解と感染症法上の位置付けに関する影響の考察. 第113回(令和5年1月11日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-10. 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更等に関する対応方針について(2023.1.27).https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/kihon_r2_050127.pdf
サーベイランスはどうなる? 位置づけの変更後も、流行を繰り返すことが想定されることから、発生動向の正確な把握は引き続重要であるため、重層的なサーベイランス体制を構築し、監視体制を維持する方向で検討が必要 患者ごとの届け出(発生届)は終了し、定点サーベイランスに移行 ゲノムサーベイランスは継続 将来的なパンデミックに備えて、急性呼吸器感染症サーベイランスのあり方について、検討を進めていく必要がある 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更等に関する対応方針について(2023.1.27).https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/kihon_r2_050127.pdf 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけについて(第70回厚生科学審議会感染症部会 on 2023.1.27). https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30440.html
「5類」化の意義 COVID-19を、当たり前の疾患(common disease)として、どの医療機関でも対応するのが最終目標であるのであれば、いずれ5類感染症にする必要はある。2023年3月現在、ワクチン、治療薬の流通、既感染者の増加、基本的な感染対策方法の確立は完了しており、実際、重症化率も低い。感染力は強く、完全な感染予防は不可能だが、追加して流行抑制のために期待できることは、既感染率上昇を待つくらいであり、第8波が終わったところが、5類感染症にする妥当な時期と思われる。ただし、今後、これまでに最大の波が来る可能性はあるので、相応の準備が必要。
「5類」化の意義 本来あるべき医療の姿を目指すことができる - COVID-19診療を、通常の診療システムに落とし込む(地域連携) - 医療界全体でCOVID-19を取り扱う(common disease) - 当たり前の医療体制を取り戻す 診断した医師が、治療と健康観察に責任を持ち、対応する かかりつけ患者の対応は、かかりつけ医療機関が行う 保健所は行政機関であり個別の患者への医療対応はその役割ではない
行政の役割(私見) 高齢者・障碍者施設・精神科病院クラスターへの対応・指導 地域の流行状況と病床稼働状況を地域の全コロナ対応医療機関で共有できるシステムの構築と運営
医療機関の役割 各病院の対応能力向上、病院間の連携の強化が必須 外来→マスク・換気、OTCの利用・オンライン診療、隔離しながら透析 入院→マスク・個室(隔離病棟は不要)、夜間人員の確保、人材育成 上下部消化管内視鏡、気管支鏡、手術 ※へパフィルターは有用 限界あり?:産婦人科単科病院のコロナ患者対応の分娩室の増築 非救急病院の夜間対応
外科手術は1時間当たり最低12回の空気交換を行う陰圧室で行うのが望ましい(ほとんどの手術室は1時間当たり15~20回の空気交換を行っている) 陰圧手術室が利用できない場合は、既存の手術室の換気を最適化する他の手段を考慮する(例:陽圧フローを無効にする、1時間あたりの空気交換回数を最大にする、HEPAフィルターを設置する、など) エアロゾル発生手技時の人員を最小限にする、処置後一定時間(15分程度)ドアを開けない、などの対応で問題なく対応できると考えている(当院) 手術室は陰圧である必要があるか? 米国麻酔科学会. https://www.asahq.org/in-the-spotlight/coronavirus-covid-19-information/hospital-and-facility-administration [最終アクセス 2023.2.8]
「5類」化の意義 COVID-19を特別視しない空気 - 医療従事者 → COVID-19を最も「特別視」しているpopulation ex:面会禁止、職員の会食制限、コロナ患者の診療ハードルが高い - 市民 → 超高齢・フレイル・免疫不全者以外はすでに気にしていない? - 企業 → すでにあまり気にしていない - 行政機関・学校 → 一部の市民の空気を読んでいる?マスクどこまで必要?
5類感染症化についての議論の整理 行政による搬送 行政による健康観察 発生届(全数調査→定点報告) 無料検査 検疫感染症からはずれる 終了するもの 入院措置・勧告 就業制限 外出自粛(感染者・濃厚接触者) 宿泊療養
5類感染症化についての議論の整理 段階的に終了するもの 保健所による入院調整 医療機関への公的支援(診療報酬特例・病床確保料) 患者への公費支援 コロナは特別という空気感(特に医療機関)
5類感染症化についての議論の整理 当面継続されるもの COVID-19ワクチンの無料接種 ゲノムサーベイランス 基本的な感染対策 市民:屋内でのマスク、換気の重要性、身体的距離の確保、手洗い 医療機関:マスク、手指衛生、目の防護、換気、(流行期の)N95マスク 感染者(疑いを含む):個室隔離/接触予防策の追加
2023.5.8から何が変わるのか? 医療提供体制 診療報酬(外来・在宅・入院) ・病床確保料 患者に対する公費支援 病原性が大きく異なる変異株が生じた場合の対応 新型コロナウイルス感染症対策本部. 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等について(2023.3.10). https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/kihon_r_050310.pdf
医療提供体制(基本的な考え方) 入院措置を原則とした行政の関与を前提とした限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の対応に移行する 対応する医療機関の維持・拡大(外来の拡大や軽症の入院患者の受入れの拡大)を強力に促す 病床確保を含む行政による調整から、他の疾病と同様に、入院の要否を医療機関が判断し、医療機関間での調整を基本とする仕組みに移行する 「地域包括ケア病棟」等での受入れの促進、医療機関間で病床の状況を共有しやすくする仕組みの普及など必要な支援を行う
医療提供体制(外来) 応召義務の整理:COVID-19(疑いを含む)のみを理由とした診療の拒否は「正当な事由」に該当しない(診療体制が整っていない場合は、他機関を紹介する必要がある) 約4.2万の医療機関を最大6.4万(インフルエンザを診療している医療機関数)に増やすことが目標 重症化リスクの低い者への自己検査・自宅療養の呼びかけ、受診相談センター等は継続する
医療提供体制(入院) 2023年4月中に各都道府県で9月末までの移行計画の策定 全病院でのCOVID-19対応を目指す+病院機能毎の役割分担 重点医療機関等⇒重症・中等症Ⅱ患者への重点化 重点医療機関等以外の医療機関⇒軽症・中等症Ⅰ患者の受入れ↑ 高齢者を中心に「地域包括ケア病棟」等での受入れを推進 これまで受入れ経験のない医療機関⇒受入れを促す
医療提供体制(入院) 病床確保料の見直し(半額)(9月末までは継続) 救急要請・受診に迷う場合など、電話などによる相談体制を維持・強化(健康フォローアップセンターは終了) 臨時の医療施設:基本は廃止だが、都道府県が高齢者や妊婦の患者の受入れ、救急搬送への対応等のため必要と判断する場合、当面存続できる(宿泊療養施設は終了)
医療提供体制(入院調整) 病床状況の共有のためのG-MISなどITの活用推進 原則、医療機関間による入院調整へ移行(冬の感染拡大前に) 円滑な移行のため、都道府県の実情に応じて、当面、行政による調整の枠組みを残すことは可能(病床ひっ迫時に支援、など) まず軽症・中等症Ⅰ患者から医療機関間の調整を進める 秋以降、重症者・中等症Ⅱ患者の医療機関間の調整を進める 妊産婦、小児、透析患者は、都道府県の既存の調整の枠組みへ
診療報酬・病床確保料 外来→減額 - 発熱外来標榜 250点→終了 - COVID-19患者診療 950点→147点 在宅→減額(例:緊急往診 2850点→950点) 入院→減額(例:中等症~重症患者 50%減額) 病床確保料→半額で9月末まで継続
患者に対する公費支援(9月末まで) 外来医療費 - 抗ウイルス薬は公費負担のまま(その他は支援終了) 入院医療費 - 高額療養費制度の自己負担限度額から2万円を減額 検査費用の公費支援は終了 相談窓口機能は継続、宿泊療養施設は終了
その他 病原性が大きく異なる変異株が生じた場合 - 指定感染症に位置づけることで対応 水際措置 - 検疫感染症から外れる ワクチン接種 - 秋冬に5歳以上全員を対象として接種を行う
5類感染症に変更になることはほぼ確定。また、段階的に移行するとはいえ、最終的に、行政的には、インフルエンザと同様の対応になると予想されるため、そのことを念頭に医療機関は準備する必要がある。 5類にすることによって、各医療機関で問題になりそうなことを予想して、事前に対応することが重要である。各医療機関は、人員配置や専門家の雇用も含めて、どうやったらウィズコロナ時代に対応できるか考える必要がある。コロナは決してなくならない。ウィズコロナ時代の感染対策・診療体制・病院運営を。 医療機関が準備すべきこと
「医療ひっ迫」を起こさないような対策が各医療機関に求められる 院内感染対策の継続とそのレベルの向上 クラスターが起こると病院機能が低下する 診療体制の構築 外来患者・入院患者・院内発生事例、いずれからも逃れることはできない - 隔離目的の転院はなくなる - 重症者以外の病院から病院の転院はほぼ行われない(他の疾患と同じ運用) 医療機関が準備すべきこと
100%の感染対策は存在しないし、実行不可能である - 職員・患者による市中感染の持ち込みを完全に防ぐことは不可能 - よって、院内感染をゼロにすることも不可能 クラスター発生とその規模を最小限にする体制の構築を目指す - 基本的な感染対策(基本が重要:マスク・手指衛生・ワクチン...) - 流行期に追加を検討する感染対策 - 診療体制の整備(早期発見・早期診断・早期隔離・早期治療) 院内感染対策の継続とそのレベルの向上
院内感染対策の要点 基本的な感染対策 - 職員のCOVID-19ワクチン 3回以上、かつ、2価ワクチン 1回 - ユニバーサルマスキング、換気 - 目の防護 - 適切なタイミングでの手指衛生 - 発熱/気道症状時の検査・隔離・治療 - 体調不良者・濃厚接触者の就労制限 流行期に追加を検討する感染対策 - N95マスクのルーチン使用 - 大部屋にヘパフィルター設置 感染管理・診療の専門家の雇用 - マニュアル、継続した教育、実践 黒字経営の維持・物品の安定した調達 - 事務部門・検査室の役割が大きい - 医事課、総務課、物流管理部門
専門家の推奨(院内・施設内) ワクチン接種を最新の状態に保つ 医療機関・高齢者施設でのユニバーサルマスキング エアロゾル感染対策の基本は「換気」 医療機関・高齢者施設での面会は原則可 COVID-19患者のケアは、サージカルマスク+目の防護+標準予防策が基本(エアロゾル曝露の可能性がある場合はN95マスクを使用) 第118回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料3-10. 医療機関と高齢者施設における新型コロナウイルス対策についての見解 - 感染症法上の類型変更を見据えて - (2023.3.8)
専門家の推奨(院内・施設内) 身体密着する場合は、ガウンまたはエプロンを使用 医療従事者・介護従事者の旅行や外食の制限を行うべきではない 基本的な感染対策と体調不良時の休務・検査実施で対応 新規入院・転院患者に対するスクリーニング検査は地域の流行状況により検討されうる 高齢者施設は、嘱託医師または近隣医療機関と早期診断・治療のため事前に話し合い、連携しておくことが重要である 第118回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料3-10. 医療機関と高齢者施設における新型コロナウイルス対策についての見解 - 感染症法上の類型変更を見据えて - (2023.3.8)
今すぐできる院内感染対策 職員→患者、患者→職員、職員→職員を防ぐために... 職員のCOVID-19ワクチン接種(最適な状態を維持) ユニバーサルマスキング(職員、患者、訪問者) 流行期は、看護師とリハビリ技師はルーチンN95検討する 目の防護のルーチン化 適切なタイミングでの手指衛生 体調不良者は休務する(PCR検査または抗原定量検査) 早期診断・早期治療が可能な診療体制(人材確保・検査機器・薬剤の確保)
院内感染対策の基本かつ重要な点 職員→患者、患者→職員、職員→職員を防ぐために... 職員のCOVID-19ワクチン接種(最適な状態を維持) ユニバーサルマスキング(職員、患者、訪問者) 流行期は、看護師とリハビリ技師はルーチンN95検討する 目の防護のルーチン化 適切なタイミングでの手指衛生 体調不良者は休務する(PCR検査または抗原定量検査) プラスアルファ:換気をよくする(リフォーム?へパフィルター?)
mRNAワクチンの3回目接種 オミクロン(主にBA.1とBA.2)に対する効果 - 感染予防効果:接種2-3か月まで50-70%程度 その後減衰し、接種4-5か月後には40%未満に低下 - 入院予防効果:80%以上(5か月以上持続) - 死亡抑制効果:90%程度(2-3か月まで確認) BA.1とBA.2に対する感染・入院予防効果は同等 BA.1/2とBA.4/5に対する感染・入院予防効果は同等
COVID-19 vaccine surveillance report: 1 December 2022 (week 48). https://www.gov.uk/government/publications/covid-19-vaccine-weekly-surveillance-reports (accessed on 4/12/2022)
BA.4とBA.5に対する入院予防効果 南アフリカでも同様の結果で、BA.1/2に対する効果とBA.4/5に対する入院予防効果は大きさ差はなかった 3回目接種から3-4か月で効果の減弱が確認された N Engl J Med. 2022 Oct 6;387(14):1332-1333. doi: 10.1056/NEJMc2210093.
mRNAワクチンの4回目接種 中和抗体価は上昇する(3回目接種後よりやや高め) 高齢者に対する接種では - 感染予防効果:50-60%程度(ただし、効果は2か月程度) - 重症化予防効果:70-80%程度(ただし、10週以降の検討未) 医療従事者全体に対する接種:短期的な感染予防効果あり - 休務が必要な医療従事者を減らす効果は期待できる
BA.1とBA.2に対する4回目接種の効果 3回目接種から6か月経過した状態と比較:入院予防効果は3か月までは50%あるが、6か月には25%程度まで低下 COVID-19 vaccine surveillance report: 1 December 2022 (week 48). https://www.gov.uk/government/publications/covid-19-vaccine-weekly-surveillance-reports (accessed on 4/12/2022)
オミクロン対応2価ワクチン 臨床効果(感染・入院・死亡予防効果)を示した研究は少ない オミクロン対応2価ワクチンを2回目のbooster(4回目接種)として接種した場合、従来ワクチン4回接種より、オミクロンに対する中和抗体は有意に高値となる可能性が高い(従来株やこれまでの変異株に対する中和抗体価は同等) 安全性は確認されている(従来ワクチンと同等) 2022年秋以降に、4~5回目のCOVID-19ワクチンとして接種することが推奨されている(これまでの従来ワクチンと同様に、おそらく長期的な感染予防効果はそれほど期待できず、入院や死亡などの重症化予防効果が期待される)
従来株+BA.1対応2価ワクチン(mRNA-1273.214)vs 従来株対応ワクチン モデルナワクチン(感染歴あり/なし、4回目接種での検討) 4回目接種での効果を検討、3回目接種から3か月以上あけて接種(中央値4.5M) 2価ワクチン(25µg+25µg) vs 従来ワクチン 50µg(約400名ずつ) 効果(接種28日後の免疫原性)は以下のとおり(副反応は同等) - BA.1に対する中和抗体価(未感染者):1.75倍(従来ワクチンと比較) - 従来株に対する中和抗体価(未感染者):1.22倍(従来ワクチンと比較) オミクロンBA.1対応2価ワクチン N Engl J Med. 2022 Oct 6;387(14):1279-1291. doi: 10.1056/NEJMoa2208343. medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2022.06.24.22276703; this version posted June 25, 2022.
オミクロンBA.1対応2価ワクチン N Engl J Med. 2022 Oct 6;387(14):1279-1291. doi: 10.1056/NEJMoa2208343. medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2022.06.24.22276703; this version posted June 25, 2022.
BA.4/5対応ワクチンの免疫原性 2nd boosterとしての、BA.4/5対応2価ワクチン(ファイザーまたはモデルナ)と従来型1価ワクチンによる免疫原性(接種1か月後の中和抗体価)は、前者が有意に優れているという報告と有意な差はなかったという報告がある BA.4/5に対する効果(中和抗体価の上昇)より、BA.2.75.2、BQ.1.1、XBB、XBB.1に対する効果は低い(これらのsubvariantでは、従来ワクチンと差はほとんどない)
BA.4/5対応ワクチンの効果あり N Engl J Med. 2023;388(2):183-185. doi: 10.1056/NEJMc2214293. BA.5対応2価ワクチンによるBA.5や、XBB・BA.2.75.2・BQ.1.1(R346Tを持つ)に対する免疫原性の検討。従来ワクチン3回接種 vs 従来ワクチン4回接種 vs BA.5対応2価ワクチン(多くは2nd boosterと思われるが記載なし)。Limitation:小規模、接種から測定までの日数が異なる、感染歴による検討をしていない。
N Engl J Med. 2023 Jan 11;NEJMc2213907. doi: 10.1056/NEJMc2213907. BA.4/5対応ワクチン追加効果なし? ・2nd boosterとしてのBA.4/5対応2価ワクチンと2nd boosterとしての従来ワクチン(4回目接種)のBA.4/5に対する接種3-4週間後の中和抗体価上昇効果は同等 ・immunologic printingが原因かもしれないと考察されている 従来ワクチン3-4回後
従来型ワクチン2-4回接種済みの患者にBA.5対応2価ワクチンを追加すると.. - 症候性感染予防効果:40-60%(接種後2-3か月程度) - ED受診:30-50%減少(接種後2か月程度) - 入院:40-70%減少(接種後2-3か月程度) 主にBA.5とBQ.1系統が対象とされた(XBB系統を対象とした研究もある) 従来型ワクチンによるboosterとの直接比較した研究はない(2価ワクチンの接種が開始となった時点で、従来型ワクチンboosterは終了となったため) BA.5対応2価ワクチンの臨床効果 doi: 10.15585/mmwr.mm7148e1, doi: 10.15585/mmwr.mm715152e1, doi: 10.15585/mmwr.mm715152e2, doi: 10.1056/NEJMc2215471, doi: 10.2139/ssrn.4314067, doi: 10.15585/mmwr.mm7205e1
BA.5対応2価ワクチンによる症候性感染予防効果を検討した観察研究@米国(65歳以上を対象、ほとんどの患者が基礎疾患あり) 2022.12.1-2023.1.13(BQ.1.1系統などのBA.5の亜系統とXBBとXBB.1.5が主に流行) BA.5対応2価ワクチン接種者を、従来型ワクチン2-4回接種済者と比較(観察期間:3か月以内) 2価ワクチン接種による症候性感染予防の追加効果 :BA.5の亜系統 32-52%、XBB系統 38-48% BA.5対応2価ワクチンの臨床効果 MMWR Morb Mortal Wkly Rep. ePub: 25 January 2023. DOI: http://dx.doi.org/10.15585/mmwr.mm7205e1
副反応は従来ワクチンと同程度 2022.8.31-2022.10.23に接種されたファイザーBA.4/5対応2価ワクチン約1440万回(12歳以上)とモデルナBA.4/5対応2価ワクチン約820万回接種(18歳以上)の副作用を検討した報告(90%以上が、4または5回目接種としてオミクロン対応2価ワクチンを接種) 発熱は年齢により10~30%、心筋炎は5件 従来ワクチンと副反応の頻度・程度は同等であった MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022;71(44):1401-1406. doi:10.15585/mmwr.mm7144a3
今後のCOVID-19ワクチンは? 2023.2時点での政府の考え方と方針 - 特例臨時接種の類型を延長する - 接種勧奨と努力義務の規定を除外する - ワクチン接種の第一の目的は、重症患者を減らすこと (感染予防効果には限界がある) 第44回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(2023.2.22). 資料1 厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会). 2023年度以降の新型コロナワクチンの接種の方針について(2023.2.8)
今後のCOVID-19ワクチンは? 12歳以上全員を対象として、2023年秋冬(9-12月)に1回接種する 感染拡大状況などを加味して、重症化高リスク群・医療従事者・介護従事者などでは、春夏(5-8月)に接種することを検討する オミクロン対応2価ワクチンを使用する(幅広い抗原への免疫獲得) 小児(5-11歳、6か月-4歳)は、現行のワクチン接種を継続する 米国・英国・カナダ・フランスは、特にリスクの高い者への春接種を検討 医療従事者の2023年春~夏の接種を推奨している国はなさそうである 第44回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(2023.2.22). 資料1. 第45回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(2023.3.7). 資料1-1 厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会). 2023年度以降の新型コロナワクチンの接種の方針について(2023.2.8)
第45回厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会)(2023年3月7日) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31559.html
院内感染対策の基本かつ重要な点 職員→患者、患者→職員、職員→職員を防ぐために... 職員のCOVID-19ワクチン接種(最適な状態を維持) ユニバーサルマスキング(職員、患者、訪問者) 流行期は、看護師とリハビリ技師はルーチンN95検討する 目の防護のルーチン化 適切なタイミングでの手指衛生 体調不良者は休務する(PCR検査または抗原定量検査) プラスアルファ:換気をよくする(リフォーム?へパフィルター?)
サージカルマスクよりN95マスク Sci Adv. 2020 Sep 2;6(36):eabd3083. doi: 10.1126/sciadv.abd3083. 放出する飛沫の量 N95マスク:0.1% サージカル:1% コットン:10%
スイスでの観察研究 医療従事者のCOVID-19罹患リスクを検討 2020.9-2021.9(オミクロン前) 対象者の26%が期間内に感染 COVID-19患者への曝露:なし 13%、曝露ありかつ曝露時常にrespirator使用 21%、曝露ありかつサージカル/mixedマスク 35% 曝露時のN95マスクで感染リスク COVID-19罹患と関連する因子 ・家庭内曝露 OR 7.79、COVID-19患者への曝露時間 OR 1.20 ・ワクチン接種 OR 0.55、常にrespirator使用(サージカルマスクまたはmixed mask use) 0.56 Respirator=FFP2やN95が該当する JAMA Netw Open. 2022 Aug 1;5(8):e2226816. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2022.26816.
N95マスクの意義 放出する飛沫量の量が0.1%になる(サージカルマスクの10分の1) 患者から医療従事者への伝播をかなりの精度で防ぐことが可能となる(適切な手指衛生と組み合わせれば、手袋・ガウンなしでもほぼ予防可能である) 医療従事者から患者への伝播をかなり減らすことが期待される(理論的にはほぼ感染させないと思われるが、source controlとしてのデータはないため、個別にリスクを判断して、曝露した患者が濃厚接触者に該当するか判断する) Sci Adv. 2020 Sep 2;6(36):eabd3083. doi: 10.1126/sciadv.abd3083.
N95マスク着用のタイミング(流行期) サージカルマスクの代わりに全職員が使用するのは現実的ではない(①それだけの量を確保できない、②職員の負担が大きい) 長時間(例:15分以上)マスクを着用できない患者(認知症、せん妄、知的障害など)の対応をする場合 吸痰や食事介助する場合(患者はマスクを着用できない、咳などで飛沫・エアロゾルが発生しやすい) 患者との体の接触が多い状況(リハビリ、体位変換) エアロゾル発生手技(挿管・気管支鏡など)を行う場合
米国でのN95マスクの推奨 2022.9- 地域の流行レベルが高い場合、以下の場合にN95マスクの使用を考慮する - すべてのエアロゾル発生手技 - 感染伝播リスクの高い手術(鼻・咽頭・気道の手術など) - 感染伝播リスクの高い状況(患者がマスク着用不可、換気が悪い場所、クラスター発生中の病棟) - シンプルにするため、全患者、または、感染伝播リスクの高い特定の病棟で、常時着用してもよい 全患者対応時に、目の防護(ゴーグル/フェイスシールド)を行う Interim Infection Prevention and Control Recommendations for Healthcare Personnel During the Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Pandemic (2022.9.23). https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/infection-control-recommendations.html [2022.9.23更新]
地域の流行レベルの評価方法 Community transmission levels:これをもとに院内感染対策を行う - 過去1週間の人口10万人あたりの新規感染者数 - 過去1週間のCOVID-19検査の陽性率 Interim Infection Prevention and Control Recommendations for Healthcare Personnel During the Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Pandemic (2022.9.23). https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/infection-control-recommendations.html [2022.9.23更新, 最終アクセス2023.2.26] COVID Data Tracker. https://covid.cdc.gov/covid-data-tracker/#datatracker-home [最終アクセス 2023.2.26] 神戸市だと 週1500人の新規感染者
大規模クラスターにしないために 院内伝播を最大限予防するための感染対策をしても、院内感染は起こりうる(それ自体はそれほど大きな問題ではない) 職員の市中感染、職員→患者、患者→職員の感染予防は、相手が非医療者である以上、限界がある クラスター化させないことが重要!(2-3次感染を予防する)
大規模クラスターにしないために クラスター化させないために必要なこと - 職員間感染をゼロにする - 体調不良時に休める文化 - 早期発見=早期診断→早期隔離
職員間感染はゼロを目標にする ●大量の職員が同時に感染・離脱の原因は、職員間感染が想定される 職員間感染予防は、専門職どうしなので、容易のはず(マスクをはずさない) 病院機能を維持するためにも、医療従事者の大規模クラスターは防ぎたい ※会食制限は原則不要(体調不良者は不参加・換気のよい店・ワクチン接種) ●患者-職員間の場合、一度に複数の感染者が出ることは稀 患者-職員間感染を0にすることは難しい(患者はマスクをはずす!) 流行期は、感染リスクの高い医療行為(食事介助・吸痰・長時間のリハビリ)を行う場合は、N95マスクを活用(患者⇔職員感染はかなり減らすことができる) ●患者-患者間感染は、ほとんどが大部屋で起こる(マスク着用、早期診断・隔離、換気)
職員間の感染伝播の原因 休憩時のスタッフ室でマスク外した状態の会話 昼食時のマスク外した状態での会話 ロッカーでマスクを外した状態での会話 帰宅途中のマスクを外した状態での会話 食事会
職員の市中感染は致し方ない(家族内感染・市中感染) - COVID-19ワクチン接種(3回以上+2価ワクチン) - ユニバーサルマスキング(マスクなしで会話しない) - 手指衛生 - 院内で換気の悪い3密環境をつくらない - 体調不良者は出勤しない(休む・帰る) - 早期診断、早期隔離 職員間感染の予防
微熱や軽度の気道症状がある場合でも、かならず上司に報告して、出勤しない or 業務中なら業務を中断して、検査を受ける 体調不良時に、気軽に「休める文化」が大切 自分自身のためだけでなく、患者と同僚のために必ず休む 検査内容:感度の高いPCR検査にこだわる必要はなく(来院が必要・検査体制も必要)、抗原定性検査2日連続陰性でもよいと思われる 症状ある場合は必ず休んで検査
早期発見 早期発見:発熱・気道症状をすぐに察知、担当医に報告 早期診断→早期治療と早期隔離 流行期に、「この発熱は、一過性の誤嚥が原因だと思う」は危険 その患者の周囲に体調不良者がいなくても鑑別必要 無症状感染者(おそらく職員)から患者に感染した可能性がある どんなクラスターも1例目がある
会食制限は必要か? 社会で大流行が起こっても、職員離脱者が少なければ、不要と考えている 感染または濃厚接触者になる職員が増加し、病院機能を維持できなくなる可能性がある場合は、期間を決めて(離脱職員が○○名以下になるまで or 1か月間 etc)、会食制限を検討する 会食禁止はやりすぎ(人権侵害では?そもそも、高い遵守率は期待できない) 病院機能に影響を与えるような大人数で感染しないことが重要(病院・特に同一部署の人数が重要):会食制限する場合は、会食の全体の人数制限、参加する職員の人数制限、参加する各病棟ごとの職員の人数制限、などを検討する
診療体制の構築 インフルエンザや市中肺炎のように幅広い医療機関で対応することになる - 「コロナだから、この病院で」という状況はほとんどなくなる - 基礎疾患の悪化、透析患者、妊婦、小児、上部・下部消化管内視鏡検査、手術などは、かかりつけ医療機関または地域の総合病院で対応 - 休日・夜間の対応も、すべての急性期病院で対応 高次医療機関の役割(COVID-19以外の疾患と同様) - 重症ウイルス性肺炎 - 重篤な合併症(脳卒中、心筋梗塞)や重篤な併存疾患への対応
患者はまずかかりつけ/地域のクリニックまたは病院を受診する - 診察するスペースの準備(まずは受け入れるところから...) - 検査能力の確保(抗原/PCRの使い分けも医療機関毎に要検討) - 治療ガイドラインの作成(標準化)と適切な治療の実施 - 必要時、電話/オンラインなどによるフォローアップを検討 - 入院先の調整は、診断した医療機関が行うことになると思われる - 基礎疾患のない若年者は受診しなくなると予想(OTC検査で対応可能) 診療体制の構築:外来患者
職員の市中感染や入院時検査陰性の患者による持ち込みを完全に防ぐことは不可能であり、それを厳密に目指す必要はないし、現実的ではない 職員・患者が感染していたとしても、さらなる感染伝播が起こりにくい感染対策を行うとともに、早期診断・早期隔離・早期治療を徹底する 職員または患者で、発熱・気道症状が出現したら、すぐにPCR検査を行う。陽性の場合は、すぐに隔離(就労制限)し、重症化リスク評価を行い、即日治療を開始する(パキロビッド®またはベクルリー®)。これによって重症化を予防され、長期隔離が必要な患者が減り、医療逼迫は最小限にすることが可能となる。 自施設の外来で診断した患者は、自施設に入院 or 他院へ紹介(地域連携) 診療体制の構築:入院患者
COVID-19の最新治療(軽症~中等症I)
重症化リスクのある患者における早期診断・早期治療が重要である 行動制限が行われない場合、感染者は必ず増える 早期診断は、検査体制充実により可能(検査キットのOTC化も進んだ) 早期治療によって、重症化予防(入院・死亡減少)が可能 重症化までの期間は、発症から2-7日程度であり、医療ひっ迫の原因となる救急搬送・入院症例・高次医療機関への搬送を減らすためには、ワクチン接種と並び、軽症者の対する早期診断・早期治療が非常に重要 保健所は医療機関ではない(行政機関である)。治療は、病院の仕事。
薬物治療の適応判断と選択 年齢、重症化リスク因子の数、免疫不全の有無 臨床試験で示された治療効果 発症からの日数 静脈注射が可能な環境かどうか(自施設 or 他院紹介) 服用中の薬剤との薬物相互作用 流行している主なvariant 薬剤の需要と供給のバランス(流通制限の有無)
NIHガイドライン(米国) 軽症から中等症COVID-19患者で重症化リスクがある場合 - ニルマトレルビル/リトナビル(1回300/100mg 1日2回 5日間)(AIIa) 発症5日以内、成人 or 12歳以上かつ40kg以上、ritonavirとの薬物相互作用に注意 - レムデシビル(1日目200mg, 2-3日目100mg 点滴)(BIIa) 発症7日以内、成人 or 12歳以上かつ40kg以上 - モルヌピラビル(1回800mg 1日2回 5日間)(CIIa) 発症5日以内、18歳以上、上記2剤が利用できない場合に使用する Therapeutic Management of Nonhospitalized Adults With COVID-19 (Last Updated: September 26, 2022). https://www.covid19treatmentguidelines.nih.gov/management/clinical-management/nonhospitalized-adults--therapeutic-management/
WHOガイドライン 入院リスクの高い患者に対して 1. ニルマトレルビル/リトナビル 2. レムデシビル または モルヌピラビル Therapeutics and COVID-19: living guideline(WHO)(16/9/2022) https://www.who.int/publications/i/item/WHO-2019-nCoV-therapeutics-2022.5 BMJ 2020;370:m3379, http://dx.doi.org/10.1136/bmj.m3379
ニルマトレルビル/リトナビル
Science. 2021 Nov 12;374(6569):799-800. doi: 10.1126/science.acx9605. パキロビッド ゾコーバ ラゲブリオ・ベクルリー ロナプリーブ ゼビュディ エバシェルド
ニルマトレルビル/リトナビル デルタ流行期 高リスク群(ワクチン接種なし) 発症5日以内に開始、5日間投与 約50%が既感染者 28日以内の入院+死亡88% 既感染者でも効果あり(0.2% vs 1.5%) 副作用:味覚障害5.6%、下痢3.1% N Engl J Med. 2022 Feb 16. doi: 10.1056/NEJMoa2118542.
パキロビッドの入院予防効果 ワクチン接種済みの重症化リスクのある外来患者(オミクロン流行期) 30日以内の全ER受診+入院+死亡(治療群7.87% vs 無治療群 14.4%、45%減少) 入院:60%減少(0.8% vs 2%) Clin Infect Dis. 2022 Aug 20;ciac673. doi: 10.1093/cid/ciac673.
治療終了後のリバウンド 治療終了後のSARS-CoV-2 RNA量の増加とCOVID-19症状の再発が報告されている 頻度は0.8%という報告がある 耐性化とは関連なし、リバウンド後に感染伝播しうる 長期投与や2コース目の投与の効果に関するデータはない NIH. https://www.covid19treatmentguidelines.nih.gov/therapies/antiviral-therapy/ritonavir-boosted-nirmatrelvir--paxlovid-/ [最終アクセス2022.5.21] https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-1588371/v2 [最終アクセス2022.5.21] Clin Infect Dis. 2022 Jun 14;ciac481. doi: 10.1093/cid/ciac481.(再燃0.8%) Clin Infect Dis. 2022 Jun 20;ciac496. doi: 10.1093/cid/ciac496. Clin Infect Dis. 2022 Jun 23;ciac512. doi: 10.1093/cid/ciac512 N Engl J Med. 2022 Sep 15;387(11):1047-1049. doi: 10.1056/NEJMc2205944. N Engl J Med. 2022 Sep 15;387(11):1045-1047. doi: 10.1056/NEJMc2206449.
薬物相互作用を必ず確認する パキロビッド®パックの添付文書から
薬物相互作用を必ず確認する パキロビッド®パックの添付文書から 主要な併用禁忌薬 アゼルニジピン アミオダロン、フレカイニド、シルデナフィル、リバーロキサバン ジアゼパム、エスタゾラム、トリアゾラム、ミダゾラム ボリコナゾール、リファンピシン、リファブチン カルバマゼピン、フェニトイン
薬物相互作用を必ず確認する パキロビッド®パックの添付文書から 主要な併用注意薬 エベロリムス、シクロスポリン、タクロリムス コルヒチン、クラリスロマイシン、ワルファリン クエチアピン、フルコナゾール、バルプロ酸、ラモトリギン カルシウム拮抗薬 アトルバスタチン、トラゾドン、(クロピドグレル:海外では)
併用注意薬内服中の具体的な対応 以下の4通りに分類(NIH guideline) 他のCOVID-19治療薬を選択する(≒併用禁忌) 臨床的に可能であれば、併用薬を一時的に中断する(ニルマトレルビル/リトナビル終了してから2~3日以上経過してから再開) 併用薬の用量を調整し、副作用をモニタリングする 併用薬を継続して、副作用をモニタリングする NIH. Drug-Drug Interactions Between Ritonavir-Boosted Nirmatrelvir (Paxlovid) and Concomitant Medications.
複数の情報源を参考にする NIH. Drug-Drug Interactions Between Ritonavir-Boosted Nirmatrelvir (Paxlovid) and Concomitant Medications. The Liverpool COVID-19 Drug Interactions website The Ontario COVID-19 Science Advisory Table The Food and Drug Administration Emergency Use Authorization fact sheet
実際には使用できないケースは少ない 米国の66007名の患者で、禁忌は9830名(14.8%)で認められた 重症患者であるほど禁忌を持つ率は高くなった 外来患者:14%、入院患者:20.6%、ICU患者:22.9%、死亡した患者:35.1% 外来患者における禁忌の内訳(N=59869名) - 12歳未満 4671名(7.8%)、未成年かつ40kg未満 3702名(6.2%) - 重度の腎障害 1268名(2.1%)、重度の肝障害 284名(0.4%) - 薬物相互作用 2554名(4.2%) タクロリムス使用時は原則パキロビッドは使用しない(なお、リファンピシンでリバース可能である) 5mg/日で濃度60 ng/mL以上になり、腹痛・背部痛・倦怠感・AKIを起こした2例報告がある Open Forum Infectious Diseases, ofac389, https://doi.org/10.1093/ofid/ofac389 Open Forum Infect Dis. 2022 Jul; 9(7): ofac238. doi: 10.1093/ofid/ofac238
ニルマトレルビル/リトナビルの要点 重症化予防効果は非常に高い(RCT) - オミクロン流行期での入院予防効果は50-70%(観察研究) ワクチン接種後の高リスク患者への効果も期待できる 内服薬である 発症5日以内、薬物相互作用は多いが、使用不可の状況は比較的稀 進行した腎不全患者には使用できない(eGFR<30) 高度肝障害の患者にも使用できない(Child-Pugh class C) 流通制限あり(各医療機関・薬局のストックは約5回分)
2023年3月8日に保険適用となることが決定した 薬価:パキロビッド600®(99027.5円) パキロビッド300®(62693円) ゾコーバ®:1錠 7407.4円(5日間 51851.8円) ラゲブリオ®:1錠 2357.8円(5日間 94312円) 2023.3.8に保険適用が決定
「使用できない状況」が重要 治療適応のある患者で使用可能なら、ニルマトレルビル/リトナビルを優先する 使用できない状況 - 呼吸不全(原因は問わない) - 重度の腎障害(eGFR 30 ml/min未満)、重度の肝障害 - 薬物相互作用(添付文書の併用禁忌薬、シクロスポリン、タクロリムス、クロピドグレル、など) - 内服困難(嚥下障害、強い嚥下痛、意識障害など) - 入手困難
レムデシビル
Science. 2021 Nov 12;374(6569):799-800. doi: 10.1126/science.acx9605. パキロビッド ゾコーバ ラゲブリオ・ベクルリー ロナプリーブ ゼビュディ エバシェルド
軽症者に対する早期レムデシビル 外来COVID-19患者(ワクチン接種なし、重症化リスクあり) 発症7日以内に開始 レムデシビル 3日間 vs プラセボ 28日以内の入院+死亡 :0.7% vs 5.3%(87% ) N Engl J Med. 2021 Dec 22;NEJMoa2116846. doi: 10.1056/NEJMoa2116846.
免疫不全者に対するレムデシビル 前向き観察研究@メキシコ、重症化リスクの高い発症7日以内の軽症・中等症COVID-19に対するレムデシビル(外来で3日間投与)の効果を検討、2021.12.2~2022.4.30(オミクロンが約95%を占めた)、126名(R群 54、非投与群72)、93.7%が中等度以上の免疫不全者、約80%がワクチン接種済み(定義の記載はないが2回以上と思われる) 主要評価項目:発症28日以内の入院+死亡→投与群で84%減少(9.3% vs 43.1%) Open Forum Infectious Diseases, 2022;, ofac502, https://doi.org/10.1093/ofid/ofac502 中等度以上の免疫不全者の場合、オミクロン流行期かつワクチン接種していても、治療のメリットは大きい
レムデシビルの副作用 吐き気などの消化器症状、肝障害、PT延長、腎障害など 製剤内にシクロデキストリンが含まれているため、eGFR 30mL/min未満の患者に対して、その蓄積による腎障害の懸念がある 一方で、eGFR 30mL/min未満であっても安全に使用可能という小規模な観察研究が多数報告されている 重度の徐脈を起こすことがある J Am Soc Nephrol. 2020;31:1384-6 Clin Infect Dis. 2020 Dec 14:ciaa1851. doi: 10.1093/cid/ciaa1851. Antimicrob Agents Chemother. 2021 Jan 20;65(2):e02290-20. Clin Microbiol Infect. 2021 Feb 27;27(5):791.e5-791.e8. doi: 10.1016/j.cmi.2021.02.013. JACC Case Rep. 2020 Nov 18;2(14):2260-2264. Circ Arrhythm Electrophysiol. 2021 Jul;14(7):e009811. doi: 10.1161/CIRCEP.121.009811.
なぜ重度の腎機能障害で敬遠される? 製剤内に添加剤として、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン(sulfobutylether-β-cyclodextrin, SBECD)が含まれており、eGFR 30 mL/min/1.73m2未満の患者に対して、その蓄積による腎障害(尿細管障害)と肝障害の懸念があるため、多くの無作為化比較試験で除外され、投与が推奨されていない ただし、これは動物実験を基にした理論的な懸念である。レムデシビル(ベクルリー®)100mgあたりに含まれているSBECDの量は約3gであり、3-10日間の短期投与による蓄積量はそれほど大きなものではなく、臨床的には問題にならない可能性が高いと考えられている。なお、動物実験で毒性が報告されているSBECD量は、COVID-19患者に対して投与される量の50-100倍である。 J Am Soc Nephrol. 2020;31(7):1384-1386. J Antimicrob Chemother. 2021;76(3):825-827.
重度腎機能障害患者でのレムデシビルの効果 レムデシビルの効果を検討した無作為化比較試験の多くは、eGFR(estimated glomerular filtration rate, 推算糸球体濾過量)30~50 mL/min/1.73m2未満のCOVID-19患者を除外しているため、腎不全患者におけるレムデシビルの有効性を示した質の高いエビデンスはない 日本で行われた透析患者を対象とした観察研究では、レムデシビルの投与はCOVID-19による死亡を40%減少させる可能性が示された N Engl J Med. 2022;386(4):305-315. Lancet Infect Dis. 2022;22(2):209-221. Lancet. 2020;395(10236):1569-1578. N Engl J Med. 2020;383(19):1813-1826. N Engl J Med. 2020;383(19):1827-1837. Ren Replace Ther. 2021;7(1):59.
添付文書では 「推奨しない」が、禁忌ではない(有益性投与) 患者への十分な説明が必要 https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6250407D1020_1_04/
重度腎機能障害患者に対するレムデシビルの投与方法
CKD患者での薬物動態 高度腎不全患者への効果を検討した報告はほぼない(主にPK/PD研究) レムデシビルの活性代謝産物であるGS-441524のトラフ濃度を測定し、腎機能に合わせた最適な投与方法を提案している報告では... eGFR 30の場合:初日200mg、2日目から100mg 48時間おき eGFR 15の場合:初日200mg、2日目から100mg 4日に1回 CPT Pharmacometrics Syst Pharmacol. 2022 Jan;11(1):94-103. doi: 10.1002/psp4.12736
神戸市立医療センター中央市民病院. COVID-19の薬物治療ガイドライン version 2
レムデシビルの要点 効果は非常に高い 3日間の点滴(200-100-100mg)必要(入院加療が現実的) ワクチン接種者への効果はほとんど検討されていない 複数の研究で、腎不全患者に対する安全性が確認されているため、その使用は検討可能である(添付文書:有益性投与) 一般流通している(薬価収載済)が、高価(3日間253,368円)
レムデシビルとパキロビッド®パックの使い分け レムデシビルは... 発症7日以内の軽症~中等症I患者で、ニルマトレルビル/リトナビルが使用できない患者に使用する(重度腎機能障害、薬物相互作用、経口摂取困難など) COVID-19以外の疾患によると考えられる呼吸不全がある場合(COVID-19による呼吸不全との鑑別は通常難しい)
モルヌピラビル
Science. 2021 Nov 12;374(6569):799-800. doi: 10.1126/science.acx9605. パキロビッド ゾコーバ ラゲブリオ・ベクルリー ロナプリーブ ゼビュディ エバシェルド
モルヌピラビル 重症化リスクのある外来COVID-19患者 ワクチン接種歴なし、デルタ流行期 発症5日以内に治療開始 29日以内の24時間以上の入院+死亡 :6.8% vs 9.7%(約30% ) 既感染者:効果なし(3.8% vs 1.7%) N Engl J Med. 2021 Dec 16;NEJMoa2116044. doi: 10.1056/NEJMoa2116044
オミクロン流行期での検討 2021.12.8~2022.4.27の英国(オミクロンBA.1・BA.2流行期) オープンラベル無作為化比較試験(N=25783) モルヌピラビル投与群 vs 非投与群、94%がワクチン3回以上接種 主要評価項目:28日以内の入院+死亡は同等(0.8% vs 0.8%) 副次評価項目:症状改善までの日数は4.2日短縮(10.3日 vs 14.5日) → 最適なワクチン接種状態の患者には無効の可能性が高い Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=4237902 Lancet. 2022 Dec 22;S0140-6736(22)02597-1. doi: 10.1016/S0140-6736(22)02597-1.
Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=4237902 Lancet. 2022 Dec 22;S0140-6736(22)02597-1. doi: 10.1016/S0140-6736(22)02597-1.
オミクロン流行期のソトロビマブとモルヌピラビルの効果を比較した観察研究(英国)、ワクチン3回以上接種者BA.1流行期88%、BA.2流行期94% Main outcome:28日以内の入院+死亡は、BA.1流行期 0.96% vs 2.05%、BA.2流行期 0.95% vs 2.03%(約50%減少) BA.2流行期:ソトロビマブより効果低い medRxiv 2022.05.22.22275417; doi:https://doi.org/10.1101/2022.05.22.22275417 (BMJに掲載予定)
価格が決定(2022年8月10日) 1錠(200mg):2357.8円 1回800mg 1日2回:18862.4円 5日間:94312円!? 第527回 中央社会保険医療協議会(2022年8月10日) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00159.html
直接の比較試験はないが、他の薬剤より有効性が低い可能性が高い ワクチン接種者・既感染者への効果は期待できない可能性が高い 内服可能、発症5日以内 カプセルが大きくて内服しにくい(脱カプセルは可能とされている) 小児・妊婦は使用できない(適応は18歳以上) 他の薬剤が使用できない場合にのみ使用することが推奨される 薬価収載された(5日間94312円) モルヌピラビルの要点
抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体(中和抗体薬)
Science. 2021 Nov 12;374(6569):799-800. doi: 10.1126/science.acx9605. パキロビッド ゾコーバ ラゲブリオ・ベクルリー ロナプリーブ ゼビュディ エバシェルド
抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体 日本で2023.3現在、治療目的で使用可能な製剤2つあるが... - カシリビマブ・イムデビマブ(ロナプリーブ®) :BA.1に対する中和活性は著明に低下 - ソトロビマブ(ゼビュディ®) :BA.1では中和活性維持、BA.2では活性低下 - Tixagevimab/cilgavimab(エバシェルド®)は曝露前予防目的のみ
BA.4/BA.5と中和抗体薬 レムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル、 bebtelovimabの効果は期待できる casirivimab/imdevimabとtixagevimab/cilgavimabの効果は低い ソトロビマブの効果は期待できない N Engl J Med. 2022 Jul 20. doi: 10.1056/NEJMc2207519.
BA.2.75と中和抗体薬 ソトロビマブとtixagevimabは効果期待できる可能性がある bebtelovimabはやや効果が低い可能性がある Cilgavimabとロナプリーブ®は効果が期待できない bioRxiv 2022.07.14.500041; doi: https://doi.org/10.1101/2022.07.14.500041
BQ.1.1とXBB:著明な免疫逃避 すべての利用可能な中和抗体薬の活性が低下(エバシェルド®・bebtelovimab・ゼビュディ®)、抗ウイルス薬の活性は低下なし BQ.1.1は、BA.5にRBD領域に3つの変異(K444T, N460K, R346T)が追加 XBB(R346T, N460K, F486S)は、BQ.1.1やBA.2.75.2と比較して免疫逃避の程度がさらに大きい 従来型ワクチン4回目接種、BA.5対応2価ワクチン(4回目接種)による中和抗体価の上昇は、BA.5などと比較すると低値である(臨床データはまだない) 重症化(入院・死亡)リスクの増大の有無は不明 bioRxiv 2022.09.15.507787; doi: https://doi.org/10.1101/2022.09.15.507787 N Engl J Med. 2022 Dec 7. doi: 10.1056/NEJMc2214302. 国立感染症研究所. 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について (第22報)(2022.11.18)
bioRxiv 2022.11.23.517532; doi: https://doi.org/10.1101/2022.11.23.517532 Cell. 2023;186(2):279-286.e8. doi: 10.1016/j.cell.2022.12.018.
第118回(令和5年3月8日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-2. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001069233.pdf
第118回(令和5年3月8日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード. 資料3-2. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001069233.pdf
N Engl J Med. 2022 Dec 7. doi: 10.1056/NEJMc2214302.
N Engl J Med. 2022 Dec 7. doi: 10.1056/NEJMc2214302.
エンシトレルビル(ゾコーバ®)
Science. 2021 Nov 12;374(6569):799-800. doi: 10.1126/science.acx9605. パキロビッド ゾコーバ ラゲブリオ・ベクルリー ロナプリーブ ゼビュディ エバシェルド
SARS-CoV-2遺伝子にコードされるポリタンパク質のプロセシング及びウイルス複製に必須である3C-Likeプロテアーゼを阻害することで抗ウイルス効果を発揮する薬剤 1日1回 5日間内服、オミクロン流行期のRCT(年齢中央値35歳、ワクチン接種歴92%) 主要評価項目:発症から72 時間未満に割付された患者集団における5 症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳の呼吸器症状、熱っぽさまたは発熱、けん怠感)消失までの時間 症状消失までの時間の中央値:投与群で167.9時間、プラセボ群で192.2時間(約24時間短縮) ※重症化(入院)予防効果は検討されていない 比較的高頻度に見られた副作用:高比重リポ蛋白の減少および血中トリグリセリドの上昇 2022年11月22日に、薬食審の薬事分科会・医薬品第二部会合同会議で緊急承認された エンシトレルビル(緊急承認) https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=73949 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29325.html
12歳以上の小児および成人のCOVID-19(軽症~中等症I)患者が対象となるが、他薬剤との使い分けや治療目的は、現時点ではっきりしていない 発症72時間以内に投与開始、薬物相互作用要確認、腎機能による投与量調整不要 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には禁忌(問診で直前の月経終了日以降に性交渉を行っていないことを確認する。妊娠の可能性が否定できない場合は、本剤を投与しないこと) 日本感染症学会:高熱・強い咳症状・強い咽頭痛などの臨床症状がある重症化リスクのない者(重症化リスク因子あり→既存の薬剤による治療を検討すべき) https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=73949 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29325.html エンシトレルビル(緊急承認)
主にデルタ流行期にphase 2a試験が行われた 診断から120時間以内、90%弱の参加者がワクチン2回接種済み placebo群と比較して、ウイルス力価の低下が有意に大きかった エンシトレルビル投薬開始から120時間以内に感染性ウイルスは陰性化した エンシトレルビル Antimicrob Agents Chemother. 2022;66(10):e0069722.
オミクロン流行期(2022.1.2-2022.2.9)に行われたRCT 平均年齢35-37歳、発症5日以内、ワクチン2回接種が約80% エンシトレルビル群は、placebo群より感染性ウイルスの減少と陰性化が早かった(臨床的なインパクトがあるかは不明だが、感染伝播を減らす可能性はある)。呼吸器症状と発熱などの改善はわずかに早かった(ただしprimary endpointではない)。 ワクチン接種完了した若年者への投与の意義はなさそうである エンシトレルビル Clin Infect Dis. 2022 Dec 7;ciac933. doi: 10.1093/cid/ciac933.
2022年度第2四半期決算 説明会資料(株主・投資家向け資料).https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/investors/ir-library/presentation-materials/fy2022/%EF%BC%92q/j_wide_2Q_20221031_v2.pdf エンシトレルビル(今後)
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05305547?term=217622&draw=2&rank=3 重症化リスクのある患者を対象 プラセボ対照RCT 対象:18歳以上、かつ、重症化リスク因子を1つ以上持つ発症5日以内の症候性COVID-19外来患者(ワクチン接種歴は問わない)@日米の医療機関
エンシトレルビルはどうなる? 2023年3月8日に保険適用となることが決定した 薬価:1錠 7407.4円(5日間51851.8円) 比較:パキロビッド600(99027.5円)、ラゲブリオ(94312円) Long COVIDが減少する可能性がある - 持続するCOVID-19の症状と罹患後の神経症状が約25%減少 - primary endpointではない、文献化はされていない 中央社会保険医療協議会 総会(第540回)議事次第(2023.3.8). https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00177.html SHIONOGI. プレスリリース. https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2023/2/20230222.html
エンシトレルビルの要点 投与可能年齢:12歳以上(体重は関係なし) 発症72時間以内に開始する必要がある 妊婦、妊娠している可能性のある女性には禁忌 薬物相互作用のある薬剤が多いため、必ず服用中の薬剤を確認 投与量:初日375mg、2-5日目 125mg(1日1回内服) 腎機能・肝機能による投与量の調整は不要 効果:症状の改善が約24時間早まる(重症化予防効果は未検討) 流通制限あり(パキロビッド実績のある医療機関・薬局→拡大)
その他の薬剤は使用しない 残念ながら...以下の薬剤の効果は期待できない - デキサメタゾン(予後悪化のリスクすらある) - ファビピラビル、イベルメクチン、コルヒチン - 吸入ブテソニド、吸入シクレソニド、フルボキサミン 上記すべての薬剤は、RCTで効果を示すことができなかった 日本の臨床現場で使用することはない Infect Dis Ther. https://doi.org/10.1007/s40121-021-00517-4 N Engl J Med. 2022 Mar 30. doi: 10.1056/NEJMoa2115869. Lancet Respir Med 2021;9:924–32. Lancet 2021; 398: 843–55. BMJ 2021;375:e068060. N Engl J Med 2022; 387:599-610.
デキサメタゾンは使用不可 酸素投与をしていない入院COVID-19患者に対するデキサメタゾンは、RCTのサブグループ解析(RECOVERY試験)で効果がないことが示されている 理論上、時期尚早な投与によって、予後が悪くなる可能性がある。実際に、90日死亡の上昇を示した観察研究もある。 Eur Respir J. 2021 Nov 25;2102532. doi: 10.1183/13993003.02532-2021 N Engl J Med. 2021;384:693-704.
軽症~中等症Iの治療のまとめ 2023.3現在の日本では... 第1選択薬:パキロビッド®パック 第2選択薬:ベクルリー® 第3選択薬:ラゲブリオ®、(ゼビュディ®) 使用しない:ロナプリーブ® 評価待ち:ゾコーバ®
治療適応の考え方
オミクロン流行期に、ワクチン3回接種済みの高血圧の38歳男性に治療は必要か? 重症化リスクがもともと低いオミクロンでの効果はあまり検討されていない(デルタ流行期よりも効果に差がでにくい、RCTまだ1報) ワクチン接種者に対する効果はあまり検討されていない(パキロビッド、中和抗体薬、ラゲブリオ)、かつ、効果は小さいと予想される in vitro活性は、抗ウイルス薬で確認されている コストが非常に高い薬剤である(安価なもので約10万円)
カナダオンタリオ州のガイドライン Clinical Practice Guideline Summary: Recommended Drugs and Biologics in Adult Patients with COVID-19. https://covid19-sciencetable.ca/sciencebrief/clinical-practice-guideline-summary-recommended-drugs-and-biologics-in-adult-patients-with-covid-19-version-11-0/ [accessed on 4/2/2022] 高リスク群(入院リスク 5%以上)「重症化リスク」を評価 ニルマトレルビル/リトナビル、または、レムデシビル リスク評価:年齢・ワクチン接種回数・基礎疾患の数
重症化予防薬の適応(当院) 神戸市立医療センター中央市民病院. COVID-19の薬物治療ガイドライン version 3 (最終改訂 2022.12.6)
重症化予防薬の適応(当院) 神戸市立医療センター中央市民病院. COVID-19の薬物治療ガイドライン version 3 (最終改訂 2022.12.6)
入院リスクが2~5%以上見込まれる場合は治療の方針(ただし、正確な入院リスク評価方法はない) 前述の条件を満たさない場合でも、重症化リスク因子が1つ以上あり、主治医が必要と考える場合、投与することは可能である。特に、進行した重度の基礎疾患がある患者において、治療閾値を下げたほうがよい可能性がある。 重症化予防薬の適応の考え方
神戸市立医療センター中央市民病院.妊婦のCOVID-19(軽症・中等症I)に対する薬物治療ガイドライン version 2 (最終改訂 2022.12.6) 妊婦の場合
神戸市立医療センター中央市民病院.妊婦のCOVID-19(軽症・中等症I)に対する薬物治療ガイドライン version 2 (最終改訂 2022.12.6) 妊婦の場合
今後治療目的が変わる可能性がある 現在の治療目的は、重症化(入院・死亡)予防 今後は... - 症状の改善を早める目的 - Long COVID-19予防目的 - 感染伝播予防目的 などでも使用されるかもしれない(コストとの兼ね合い?)
治療によってLong COVIDは減る? 入院COVID-19患者(大半が呼吸不全を呈していた)に対するレムデシビルの投与は、1年後のLong COVIDを減少させなかった ニルマトレルビル/リトナビルは、90日時点の症状の残存率を、無治療群と比較して26%減少させた(ワクチン接種歴・既感染歴に関連なし) Nat Commun. 2022 Oct 18;13(1):6152. doi: 10.1038/s41467-022-33825-5. medRxiv 2022.11.03.22281783; doi: https://doi.org/10.1101/2022.11.03.22281783
軽症~中等症Iに対する治療のまとめ 年齢、ワクチン接種回数、免疫不全の有無、その他の重症化リスク因子の数などから、治療適応を決定する(「重症化予防」目的で治療している) 第1選択薬は、ニルマトレルビル/リトナビル 5日間 第2選択薬は、レムデシビル 3日間(他疾患による呼吸不全例にはよい適応) モルヌビラビルはその他の薬剤が使用できない場合に考慮 ワクチン接種者、かつ、第1・2選択薬が使用不可時の場合、ソロトビマブを検討してもよいかもしれない。エンシトレルビルの有用性は、データの蓄積待ち。 今後治療目的が変化する可能性(重症化予防→症状改善・Long COVID予防etc)
このスライドの内容 5類感染症への議論が加速している(序論) 基本的な感染対策は変わらない - マスクの位置づけ(2023年3月の最大のトピック!?) 5類感染症化についての議論の整理 2023.5.8から何が変わるのか? 医療機関が準備すべきこと 社会と医療機関のウィズコロナは異なるもの COVID-19の最新治療(軽症~中等症I)
社会と病院のウィズコロナは異なる 社会は、コロナ前にほぼ戻りつつある - コロナ前から変わったこと:屋内・人混みでのマスク、ワクチン、換気の重要性 - 健常人はコロナをあまり意識せずに生活可能 - 重症化リスクのある人はそうはいかない...早期検査・早期診断・早期治療が重要 病院・高齢者施設は、ウィズコロナ体制という新体制を構築する必要がある - 感染対策がコロナ前に戻ることはない - 常にコロナを意識しながら、コロナ前と同程度の医療を提供する必要がある
ご清聴ありがとうございましたご質問あればお願いします神戸市立医療センター中央市民病院感染症科 黒田浩一hrkz1985@gmail.com