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黄色ブドウ球菌菌血症の考え方

  • 感染症科

  • 初期研修医

  • 感染症科
  • 黄色ブドウ球菌
  • 菌血症
  • SAB

7,399

25

2022/6/21
Hasegawa Kohei

堺市立総合医療センター

院内研修医向けレクチャースライドです。

黄色ブドウ球菌菌血症の管理に関して根拠を踏まえつつまとめました。


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黄色ブドウ球菌菌血症の考え方

  1. 2022年5⽉19⽇ SAB Staphylococcus aureus Bacteremia 堺市⽴総合医療センター 感染症内科 ⻑⾕川 耕平 1

  2. 症例 • 57歳男性, 3⽇前からの発熱で, 救急外来を受診 • 無職, 独居, ⻑期にわたるアルコールの⼤量摂取歴あり • 定期的に近医でビタミン剤の点滴を受けている。 • 常⽤薬はなく, 薬物アレルギーもない。 • 最近の⼿術, 外傷なし。 2

  3. 症例-第1病⽇• 体温40.1℃, HR 100 bpm (reg/reg), BP 140/90 mmHg • 70 kg, 診察上明らかな感染巣はなし。 • ⼼雑⾳なく正, 出⾎斑なし • ⾎液検査:Plt 9.5×103/μml, Alb 3.0 g/L, AST 120 IU/ml, ALT 70 IU/ml, ビリルビンおよび腎機能, プロトロンビン時間は正常。 • CRP 15 mg/dL →⾎液培養採取し, 熱源精査⽬的で⼊院 3

  4. 症例-第2病⽇- 4 ⾎液培養×1000, 好気ボトル

  5. MALDI-TOF MSで Staphylococcus aureusと同定された *S. aureusはMALDI-TOF MSを⽤いてほぼほぼ正確に同定可能1) 1. Front Cell Infect Microbiol. 2021;11:632679. 5

  6. SAB • GPC clusterが⾎液培養から検出された場合, CoNSの可能性もあるが, 経験的治療は全ての症例でMSSAを含める。 • もしMRSAの有病率がSABエピソードの>25% (全患者), または >10% (敗⾎症患者) であればMRSAも標的とすべきである1)。 • 約40%はエントリー不明2) 1. JAMA. 2016; 315: 801-810 2. Clin Infect Dis. 2000;31:1170-1174. 6

  7. 7 Clin Infect Dis. 2000;31(5):1170-1174.

  8. 表. situation別SABリスク1) Variables p OR (95% CI) 固形腫瘍 <0.001 3.95 (2.02–7.72) 慢性腎臓病 <0.001 4.03 (1.92–8.44) 中⼼静脈カテーテル <0.001 3.69 (2.15–6.34) 以前の⼊院 <0.001 3.79 (2.20–6.51) 0.004 2.25 (1.30–3.88) 0.04 6.61 (1.02–42.89) 0.007 5.67 (1.61–19.98) CCI≥3 0.01 4.98 (1.38–18.07) ステロイド治療中 0.02 4.78 (1.26–18.12) 0.008 6.21 (1.62–23.77) HIV 0.01 11.03 (1.79–67.76) 慢性肝疾患 0.01 6.00 (1.54–23.37) ⼊院 ≥48 h 以前の抗菌薬使⽤ ⼊院 <48 h ⻑期療養施設⼊居者 以前の⼊院 市中発症 糖尿病 SAB • 2011年以降, 推定死亡率は7⽇⽬で10.4%, 2 週⽬で13.3%, 1ヶ⽉⽬で18.1%, 3カ⽉⽬で 27.0%, 1年⽬で30.2% • 2001年以前と⽐較すると死亡率は低下傾向2) • 死亡リスクは, 敗⾎症性ショック (OR 4.14), MRSA (OR 4.00), 初期治療の遅れ (OR 2.79)1) 1. Clin Microbiol Infect. 2012;18(9):862-869. 8 2. Clin Microbiol Infect. 2022;S1198-743X(22)00154-9. PMID: 35339678

  9. cf. 1セットだけS. aureusが発育したとき • S. aureusが⾎液培養1setから検出されたとき, コンタミネーションの可能 性が1-10%ある1-2) • ただし, ⾎液培養1セットのみ陽性であっても, IEの可能性が約4%2) 臨床的に疑わしくない場合も 全例真の菌⾎症として治療するべき 1. Am J Med. 2010;123(9):819-828. 2. Open Forum Infect Dis. 2021;9(2):ofab642. 9

  10. SABに対する経験的抗菌薬併⽤療法 • バンコマイシンをMSSA-IEに対する経験的治療に⽤いた場合, βラクタムと⽐較し死 亡率が4倍に上昇する1) ➡理論上SABの経験的治療はバンコマイシンとβラクタムの併⽤が有⽤である可能性 が報告されている2) • ⼀⽅, IEが4〜11%含まれるMSSABの患者群に対して, 経験的にバンコマイシンを投 • 個⼈的には, IEリスクが⾼ければバンコマイシンとセファゾリンの併⽤は妥当だが, 与しても, βラクタムと⽐較し死亡率は上昇しなかったとする報告もある3-4) ルーチンでは不要だと考えている。 1.Antimicrob Agents Chemother. 2007;51:3731-3733. 2.Clin Infect Dis. 2013;57:1760-1765. 3.Clin Infect Dis. 2015;61:361-367. 4.BMC Infect Dis. 2016;16:224. 10

  11. 症例-第3病⽇- ⾎液培養陽性分離株はMSSAと同定された →セファゾリン単剤へ変更 11

  12. 症例-薬剤感受性- PCG MIC ≦ 0.12 12 R

  13. 薬剤感受性に基づく分類 • ペニシリン感受性⻩⾊ブドウ球菌 (PSSA) • メチシリン感受性⻩⾊ブドウ球菌 (MSSA) • メチシリン耐性⻩⾊ブドウ球菌 (MRSA) PSSA vs MSSA → ペニシリナーゼ産⽣の有無 (=ペニシリン感受性の有無) PSSA/MSSA vs MRSA → mecA or mecC*の有無 (=オキサシリン or セ フォキシチン感受性の有無) *mecC株は典型的にはセフォキシチン耐性, オキサシリン感受性 13

  14. ペニシリン感受性の解釈 • CLSIでは, 微量液体希釈法やdisk法でペニシリン感受性となったS. aureus に対して, βラクタマーゼ産⽣の有無を確認するべきと記載されている。 Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI): Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing, 32nd Edition. CLSI guideline M100. Wayne, PA: Clinical and Laboratory Standards Institute; 2022. 14

  15. βラクタマーゼ確認試験 •zone edge試験 •セフィナーゼ試験 •blaZ* PCR *blaZ…ペニシリナーゼをcodeする遺伝⼦ 15

  16. Zone edge test Fuzzy=ペニシリナーゼ陰性 Sharp=ペニシリナーゼ陽性 16

  17. Zone edge test • PCG MIC≦0.12μg/mLのうち, 6.9%がblaZ陽性である株に対する CLSI zone edge test (10-U ペニシリンディスク) の感度65.5%, 特 異度99.8% (blaZ陽性がreference)1) • 低濃度ペニシリンディスク (1-U) を⽤いたEUCAST zone edge testに よるペニシリナーゼ検出の感度・特異度は100%2) • 10-U ペニシリンディスクzone edge testによるペニシリナーゼ検出 には限界がある 1. J Clin Microbiol. 2016;54(3):812-814. 2. J Clin Microbiol. 2014;52(4):1136-1138. 17

  18. セフィナーゼ試験 陽性 • 必ずしも⾏わない • 陽性=βラクタマーゼ陽性だが, • 陰性=βラクタマーゼ陰性とはならない • 誘導ニトロセフィン法 (PC diskのedgeで 陰性 施⾏) の感度は35.5%1) 1. J Clin Microbiol. 2016;54(3):812-814. 18

  19. PCG MICとペニシリナーゼの関係 • PCG≦0.06では3.8-6.2%のblaZ陽性株が存在するが, ≦0.03未満なら ばゼロ1-2) 1. Clin Microbiol Infect. 2008;14(6):614-616. 2. J Clin Microbiol. 2016;54(3):812-814. • 当院の⾃動感受性測定機器 (WalkAway) ではPCG ≦ 0.12までしか測定 不可 表 ペニシリン感受性のMSSA448株のblaZ PCR結果2)より作成 分離株内の検出数 (%) Penicillin MIC (μg/ml) 分離株数 blaZ 陽性 blaZ 陰性 ≤0.015 1 0 (0) 1 (100) 0.03 24 0 (0) 24 (100) 0.06 370 14 (3.8) 356 (96.2) 0.12 53 17 (32.1) 36 (67.9) 計 448 31 (6.9) 417 (93.1) 19

  20. 症例-第5病⽇- • 未だに解熱せず。 • 第2, 4病⽇に⾎液培養を採取し, すべてMSSAが陽性だった。 • 4⽇⽬の経胸壁エコーでは弁の異常は報告されず, 理学所⾒では他の感 染の転移巣は臨床的に明らかではなかった。 20

  21. 追加精査 • 本症例は少なくとも5⽇間持続菌⾎症が⽣じており, 解熱していない。 • ⽇々の理学所⾒と経⾷道⼼エコー検査によるIEの精査が必須である。 21

  22. SABは, なぜ・いつ⾎液培養をフォローするか? • ⾎管内感染症 (IEなど) の合併や, 播種感染巣が⽣じている可能性を⾒ 積もるために, ⾎液培養陰性化確認が必要である。 • つまり, 初回の⾎液培養のタイミングを決定するために, どの程度SAB が続くと, 合併症の可能性が上がり, 診療⽅針や患者予後に影響がでう るかを知る必要がある。 22

  23. SABは, なぜ・いつ⾎液培養をフォローするか? KM survival curves for patients with di erent durations of antibiotic-adjusted bacteraemia3) • IE合併リスクも死亡率も, SABが2-3 1 day versus 2–4 days of bacteraemia. ⽇続くと上昇する1-4)。 • 播種感染などの合併症有病率は, SABが1-2⽇間続いた場合6.6%だ が, 3⽇間続くと24%に上昇する5) →⾎培再検は2⽇後, 遅くとも3⽇後 1. Clin Infect Dis. 2015;61:18-28. 2. J Infect. 2016;72:544-553. 23 ff 3. Lancet Infect Dis. 2020;20:1409-1417. 4. Clin Infect Dis. 2020;70:566-573. 5. Scand J Infect Dis. 2006;38:7-14.

  24. 経⾷道⼼エコーの適応は? • ⾔い換えれば, 本症例にどれくらいIEの可能性があるか?ということ。 • SAB患者全体におけるIEの頻度は12%1) • ⾃然弁IEの検出に関する感度/特異度は, TTE 75%/90%, TEE 96%/ 90%2) - 機械弁での検出感度はTTE 50%, TEE 92%2) - 弁輪部膿瘍の検出感度はTEE 87%程度3) • 持続菌⾎症や合併症の有無により, IEリスクを⾒積もる必要がある。 1. Arch Intern Med. 2003;163(17):2066-2072. 2. Eur Heart J. 2015;36(44):3075-3128. 24 3. Heart. 2004;90(6):614–7.

  25. IE低リスク群とは • 2014年のSABのsystematic review 1) 恒久的⼼内デバイスが無い 2) 最初の⾎液培養陽性から4⽇以内のにフォロー⾎培で陰性化する 3) 透析していない 4) 院内発症である 5) ⼆次転移巣の証拠がない 6) IEの徴候がない 上記全てが当てはまれば, IEの陰性適中率93-100% 25 JAMA. 2014;312(13):1330-1341.

  26. PREDICT study • IEのリスクを, SAB発症からDay 1とDay 5で2回評価。 • Day 1 ≧4pts, Day 5 ≦2ptsかどうかを確認。 - Day 1…CIED (ICD 2pt, PPM 3pt, neither 0pt), Onset (Community 2pt, Healthcare 1pt, Nosocomial 0pt) → 0-5 pt - Day 5…CIED (ICD 2pt, PPM 3pt, neither 0pt), Onset (Community 2pt, Healthcare 1pt, Nosocomial 0pt), Prolonged (≧72h 2pt) → 0-7 pt • SAB発症から5⽇⽬の時点で, 下記を満たせばIEではない(有病率13%の集団で 98.5%の精度) (1)CIEDなし (2)市中発症ではない (3)持続菌⾎症(≧72時間)ではない 26 Clin Infect Dis. 2015;61:18-28.

  27. • PREDICT研究の前向きvalidation PREDICTのアルゴリズム1) study2) • 220⼈がスクリーニングされ, 199⼈の SABが参加 (23⼈ [11.6%] が修正Duke 基準によりde nite IE) • Day 1のスコア ≧4→感度30.4%, 特異 度93.8%。 • Day 5のスコア ≦2→感度, 陰性適中率 は100% • ⼈⼯弁⼼, 過去30⽇以内のope, ⾎培陽 性本数が多いことは, day 5のスコアに 関連なくIEリスク 1. Clin Infect Dis. 2015;61:18-28. fi 27 2. Clin Infect Dis. 2021;73(7):e1745-e1753.

  28. VIRSTA score 項⽬ Pts 脳・末梢塞栓 5 髄膜炎 5 IE既往or⼼内デバイス埋め込み 4 弁膜症 3 静注薬物使⽤ 4 持続菌⾎症 3 脊椎椎体炎 2 市中発症 2 敗⾎症性ショック 1 CRP>19mg/dl 1 これらの項⽬があると IEを否定できない 無い前提で・・・ 合計が≦2点であれば 有病率11%の集団で IEの陰性適中率98.8% 28 J Infect. 2016;72:544-553.

  29. • validation studyでは, 6.7%がIEの集団で, VIRSTA陰性の場合IEの頻度は0.44% • VIRSTAスケールの感度は96.7%、陰性予測値(NPV)は99.5% 29 Clin Infect Dis. 2021;73(5):e1151-e1157.

  30. POSITIVE score 5点 TTP 9-11時間 3点 TTP 11-13時間 2点 IV drug使⽤中 3点 ⾎管現象* 6点 基礎⼼疾患 5点 ff *動脈塞栓, 敗⾎症性肺塞栓, 感染瘤, 頭蓋内出⾎, 結膜や⼿⾜の出⾎斑 • Dukeʼs基準で定義されたIEの有病率8.2% の集団に対して, cut o >4点と設定する と感度93%,特異度70% • IE患者では, ⾮IEと⽐較しTTPが短かった (8.7時間 IQR [7.7-10.6] vs 13.3時間 IQR [10.5-16.5]) • cut-o を13時間に設定すると, 感度 100%, 特異度52% Clin Microbiol Infect. 2021;27(9):1345.e7-1345.e12. 30 ff 陽性時間 (TTP) <9時間

  31. スコア⽐較 感度 (%, 95%CI) スコア POSITIVE 特異度 (%, 95%CI) 陰性適中率 (%, 95%CI) 陽性適中率 (%, 95%CI) AUC 77.6 (65.8–86.9) 63.1 (57.3–68.6) 92.5 (87.9–95.8) 32.3 (25.1–40.1) 77.8 (71.9–83.7) PREDICT day 1 22.9 (14.6–33.5) 97.4 (95.3–98.8) 85.0 (81.4–88.2) 66.7 (47.2–82.7) 71.4 (65.2–77.5) PREDICT day 5 85.1 (75.8–91.8) 56.9 (51.8–61.9) 94.5 (90.7–97.0) 30.5 (24.7–36.8) 79.7 (73.9–85.4) VIRSTA a 98.9 (95.7–100) 35.7 (30.8–40.6) 99.3 (94.9–100) 25.5 (20.7–30.3) 88.9 (85.3–92.5) • カットオフはPOSITVE >4, PREDICT ≥2, VIRSTA ≥3 • VIRSTAが最も感度が⾼く, NPV 99.3% • PREDICT Day 1は特異度が最も⾼く,TEEを早期に⾏うべき患者の検出が可能 31 Clin Infect Dis. 2022;74(8):1442-1449.

  32. スコアまとめ - ⼼臓内埋め込みデバイス 持続菌⾎症 塞栓症状 髄膜炎など中枢症状 IEの既往 基礎弁膜症 上記があればTEEは早期に⾏うべきだが, ない場合はcase by caseで適応 を判断していくしかない。 32

  33. MSSABのde nitive therapy • セファゾリン • 抗⻩⾊ブドウ球菌ペニシリン (⽇本では単独使⽤不可) - Anti-Staphylococcal Penicillins:ASPs • ペニシリン • その他 fi 33

  34. MSSABのde nitive therapy CEZ vs ASPs • 後ろ向きコホート研究@フランス • MSSA-IE (Dukeʼsで定義) に対して, セファゾリンと抗⻩⾊ブドウ球菌ペニ シリン (ASPs) は同等 (aOR 1.2; 95% CI 0.49-2.91, p=.681) • 有害事象による抗菌薬変更はASPsで多い (0% vs 8%)。 • 原因は, 腎機能障害(61%)>⽪疹(23%)>⾎球減少(15%)>消化器症状(8%) Clin Microbiol Infect. 2021;27(7):1015-1021. fi 34

  35. MSSABのde nitive therapy 死亡率 CEZ vs ASPs • 19の研究 (13,390名) を対象としたメタ解析 • CEZの使⽤は, 全死亡率低下 (OR 0.71, 95% CI 0.56–0.91), 臨床的失敗減少 (0.55, 0.41– 0.74), 有害事象による抗菌薬中⽌の減少 (0.25, 0.16–0.39) と関連 • 感染の再発はCEZ患者で多かった (1.41, 1.04– • 患者数の多い研究結果にだいぶ影響されている 1.93) Infect Dis Ther. 2019;8(4):671-686. 35 fi 再燃率

  36. MSSABのde nitive therapy CEZ vs PCG or ABPC • PSSAに対するCEZ vs PCG/ABPCを⽐較した, 単施設後ろ向き観察研究@⽇本 • PCG MIC≦0.03 mg/Lの場合, PSSAと定義 (zone edgeやblaZ PCRは未施⾏) • 44⼈がinclusion criteriaを満たし, 11⼈がPenicillins (n=3 PCG, n=8 ABPC) • Penicillins vs CEZ:IE 0 (0%) vs 3 (9.1%), CRBSI 1 (9.1%) vs 14 (42.4%) • 有害事象や菌⾎症の再燃は有意差なし→PCG or ABPCでPSSABは治療可能 J Infect Chemother. 2020;26(4):358-362. fi 36

  37. MSSABのde nitive therapy CEZ vs CTRX • 観察研究において, CTRXはCEZより治療失敗が増加した (54.5% vs 28.9%; P =.029)1) • MSSAをセフトリアキソンで殺菌するためには, 2g 1⽇2回が必要2) • ⾮重篤でIEなどの複雑性SABでなければ, CTRXはOPATに使えるかも しれない3-4) 1. Open Forum Infect Dis. 2018;5(5):ofy089. 2. Int J Antimicrob Agents. 2022;59(3):106537. 3. Open Forum Infect Dis. 2020;7(9):ofaa341. 4. Antibiotics (Basel). 2022;11(3):375. fi 37

  38. MSSABのde nitive therapy CEZ vs others • PS matchを⽤いてMSSABに対するASPs, CEZ, PTZ, FQ(LVFX or MFLX) を • 30⽇死亡率, 退院までの時間, 院内死亡, 30⽇再⼊院, 30⽇以内のMSSABの再 • nafcillin/oxacillinとCEZを⽐較すると変わらず • nafcillin/oxacillin/CEZはPTZと⽐較すると, 30⽇死亡率が低かった (PS • FQとBLは変わらず (PS matched n = 32; HR, 1.33; 95% CI, 0.30-5.96) 評価した後ろ向きコホート研究@英国 燃を評価 matched n=48;HR 0.10;95%CI 0.01-0.78) Open Forum Infect Dis. 2019;6(7):ofz270. fi 38

  39. MSSABのde nitive therapy CEZ + α • SABに対するRFP追加 (2週間) が治療失敗や再 • MRSAは6%のみ • ⼈⼯弁または⼈⼯関節 (プラセボ1%, RFP2%), • 治療失敗や死亡は不変、菌⾎症の期間も短くなら • SABに対するroutineのRFP追加は不要 発, 死亡に影響するか評価したRCT ⾎管内⼈⼯物 (プラセボ6%, RFP4%) ず。deep tissue infectionの再燃は減るかも。 Lancet. 2018;391(10121):668-678. fi bacteriologically con rmed treatment failure or disease recurrence, or death, (A), clinically de ned treatment failure or disease recurrence, or death, (C), and mortality (D) from randomisation to 12 weeks fi fi 39

  40. cf. Inoculum e ect • Inoculum e ect (InE) …菌量 (inoculum) が増えたときに抗菌薬が効きに くくなること • MSSA株の中で, MEPM 0.0%, CFPM 0.3%, CTRX 2.3%, T/P 43.0%, S/A 65.9% • A-Dのうち, Type C blaZの inoculum e ectが強い (nonType C vs Type C:S/A 45% vs 93%, T/P 9% vs 88%) Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2019;38(1):67-74. ff ff ff 40

  41. cf. Inoculum e ect (CEZ) • CEZによる治療が失敗したMSSAB株半数にInEが確認された (107 CFU/mlで CEZ MIC≧16 μg/ml) が, 治療成功例にはInEを認めず1), CEZ InEを持つ株に よる菌⾎症は30⽇死亡率上昇と関連している可能性がある (ほとんどセファロ スポリンで加療)2) 北⽶では, 臨床分離株の最⼤25%にCEZ InE (type C 53.7%, type A 44.4%) が確認されており3), 臨床転機の悪化と繋がるという根拠には乏しいものの, 今 後の動向を注視する必要がある。 1. Antimicrob Agents Chemother. 2009;53(8):3437-3441. 2. Open Forum Infect Dis. 2018;5(6):ofy123. 3. J Clin Microbiol. 2022;e0249521. DOI: 10.1128/jcm.02495-21 41 ff •

  42. cf. MRSA菌⾎症に対する治療 • ダプトマイシン, リネゾリド, およびセフタロリンなど, MRSAに対して活 性を有する他の薬剤がいくつかあるが, これらのいずれもRCTにおいても バンコマイシンより優れたものはなかった1-3)。 • テイコプラニンは, システマティックレビューでバンコマイシンと臨床的 治癒は同等4) 1. Semin Respir Crit Care Med. 2015;36:17-30. 2. N Engl J Med. 2006; 355: 653-665 3. J Antimicrob Chemother. 2005; 56: 923-929 4. Cochrane Database Syst Rev. 2010;(6):CD007022. 42

  43. cf. MRSA菌⾎症に対する治療 • ダプトマイシン (6 mg/kg) は, RCT1)においてバンコマイシンに⾮劣性だ が, MRSAB患者64例のみが参加し, ダプトマイシン治療に失敗した患者の 約1/3から分離された株は, ダプトマイシン感受性の急激な悪化あり。 • セフタロリンは, 観察研究において治療失敗率がIE (30%) および細菌性 肺炎 (28%) で⾼かった2) • TMP/SMXは, 菌⾎症を含む重症MRSA感染症のRCTにおいて, バンコマイ シンに対する⾮劣性を証明できなかった3) →従って, 現時点ではMRSABに対する第⼀選択薬はバンコマイシン 43 1. N Engl J Med. 2006; 355: 653-665 2. Antimicrob Agents Chemother. 2014; 58: 2541-2546 3. BMJ. 2015; 350: h2219

  44. 症例-第7病⽇- • 経⾷道⼼エコーが⾏われ, 僧帽弁に可動性を有する10mmの vegetationを認め, IEと診断された • 持続菌⾎症が治まっておらず, ⼼臓⾎管外科による⼿術を⾏なわれた。 44

  45. SABの治療期間 •Uncomplicated:≧14⽇ •Complicated:≧28⽇ 45

  46. SABの治療期間 • ⾮複雑性SABの治療期間を評価した前向きコホート研究@韓国 - ⾮複雑性の定義:2〜4⽇⽬の⾎液培養フォローが陰性, 治療72時間以内に解 熱, 播種感染巣なし, ⼼エコーでIEがないCRBSI or 原発性菌⾎症 • SABの483名の患者のうち, 111名が⾮複雑性SAB (MRSA 53例 [47.7%]) • <14⽇ (38名) vs ≧14⽇ (73名) - 治療失敗率 (26.3% vs 21.9%) → 有意差なし - 死亡率 (18.4% vs 21.9%) → 有意差なし - 再発 (7.9% vs 0.0%) → 有意に増加 • 多変量解析では, 原発性菌⾎症は治療失敗が増える傾向にあった。 • CRBSIなどの⾮複雑性SABでは14⽇治療で良いが, 原発性菌⾎症では⻑めの⽅が いいかもしれない。 46 Antimicrob Agents Chemother. 2013;57(3):1150-1156.

  47. SABの治療期間 • SABの治療期間(DOT)と死亡率・再燃を評価した単施設後⽅視的コホート研 究@スイス - 複雑性の定義:IE, ⼈⼯物埋め込み, 2⽇以上菌⾎症が持続, 3⽇以上の発熱 • 傾向スコアを⽤いて, 群間調節を⾏った • SAB 530⼈中, MRSA 17.7%, 複雑性 57.6%, 14⽇以内に死亡/追跡不能と なった患者は除外 • 全体の90⽇死亡率 27.0% (143/530), 再発 3.4%(18/530) 次スライド 47 Clin Microbiol Infect. 2020;26(5):626-631.

  48. SABの治療期間 • DOT>14⽇で複雑性SABの死亡率が有意に低下 (aHR 0.32, 95% CI 0.16-0.64) • DOTは⾮複雑性SABの死亡率と関連なし(0.85;0.41-1.78) • DOTは再発と関連なし (1.01; 0.97-1.06) • DOT≦14は, >14より原発性菌⾎症/focus不明が多く (28.0% vs 13.9%), 90⽇以 内に死亡する可能性が約2倍⾼かった • コホート全体で90⽇以内に死亡した患者は, 感染症医の診察や⼼エコーを受ける可能 性が有意に低かった (29.3% vs 15.8%) 48 Clin Microbiol Infect. 2020;26(5):626-631.

  49. SABの管理と死亡率 • SABの管理と死亡率との関係を評価した 後⽅視的研究 • 以下が死亡率低下に有意に関連 - 適切な抗菌薬投与 (aOR 0.74) - エコー施⾏ (aOR 0.73) - 感染症医へのコンサルト (aOR 0.61) 49 JAMA Intern Med. 2017;177(10):1489-1497.

  50. バンドル管理 • Quality of Care Indicators (QCIs) 遵守と30⽇死亡率の関 係を後⽅視的に検討@⽇本 QCIsに基づくSAB患者の予測死亡率 • 2006-2014年に診断されたSAB477症例を対象 (MRSA • QCIs:①⾎液培養フォロー, ②早期の感染巣コントロー 41.7%) ル, ③⼼エコー, ④適切な抗菌薬の早期使⽤, ⑤適切な治療 期間 • QCIs≧4の割合は2006→2014年で47.5%→79.3%に増加 し, 30⽇死亡率は10.0%→3.4%へ低下 • バンドル管理は, SABの死亡率を下げる 50 Infection. 2017;45(1):83-91.

  51. アルゴリズム治療 • Staphylococcus菌⾎症をアルゴリズム治療する群と, 臨床医判断に委ねる群とで治 癒率や有害事象の複合転機をみたRCT (23%がSAB) • Uncomplicated SAB:14⽇治療 - 感染巣になっているカテーテルを5⽇以内に抜去, 24-72時間後の初回⾎液培養 フォローが陰性, 72時間以内の解熱, ⼼エコーでIEが否定的, 転移感染巣がない • Complicated SAB:28〜42⽇治療 - 持続菌⾎症, 持続発熱, IE, 転移感染巣がある • 当初uncomplicatedと分類されたSABの1/3が途中complicatedだったと判明 • 治癒率 (アルゴリズム vs UC): - Uncomplicated 70.6% vs 75.6%, Complicated 82.6% vs 35.7% 51 JAMA. 2018;320(12):1249-1258.

  52. SABの管理@MD Anderson https://www.mdanderson.org/content/dam/mdanderson/documents/for-physicians/ algorithms/clinical-management/clin-management-saureus-bacteremia-web-algorithm.pdf 52

  53. まとめ • SABは死亡率の⾼い疾患であり, 適切な抗菌薬含め, 合併症検索などの マネジメントが必要である • 最初は⾮複雑性の定義を満たしても, 1/3が後に複雑性と判明するた め, ⽇々の理学所⾒を確認することが重要 53

  54. 〜おまけ〜 SAB管理のためのQuality Indicator 54

  55. SAB管理のためのQuality Indicator Blood cultures Quality indicators De ning condition 1. 抗菌薬療法開始後のfollow-up⾎液培養は, 臨 抗菌薬療法開始後の最初のフォローアップ⾎液 床的改善にかかわらず実施すべきである。 培養を得る最適な時期は48時間後である。 2. 再⾎液培養の採取は、最初に⾎液培養が陰性 ⾎液培養再検の適切なタイミングは48時間後で になるまで実施すべきである ある。 J Antimicrob Chemother. 2019;74(11):3344-3351. fi 55

  56. SAB管理のためのQuality Indicator Echocardiography Quality indicators 3. TTEは, IEの素因となる⼼疾患を有する患者 De ning condition IEの素因となる⼼疾患を有するSAB患者におい において実施されるべき (TEEを先に⾏う場 てTTEを実施する最適な時期は3-5⽇時点で, 14 合は不要) 4. SABの合併症のリスクを有する患者ではTTE を実施すべきである。 ⽇以降にすることは望ましくない。 SABの合併症のリスクを有する患者において TTEを実施する最適な時期は3-5⽇時点で, 14⽇ 以降にすることは望ましくない。 5. 合併症を伴うSABと診断された患者にはTTE complicated SAB患者においてTTEはなるべく を実施すべきである。 SABの合併症リスク: 市中感染, 適切な治療開始48時間以上前の感染徴候, 適切な治療開始72時間以上後の発熱, 適切な治療開始48時間以上後の⾎液培養陽性。 合併症のない菌⾎症: ⼼内膜炎や他の転移性感染部位の除外, implanted prosthesesの⽋如, ⾎液培養を再検査した患者の4⽇以内の菌⾎症の排除, 効果的な治療 開始後72時間以内の解熱。複雑性菌⾎症: 単純性菌⾎症の基準に該当しない場合。 56 fi • • 早く, ⾎培陽性後72時間以内に⾏う。 J Antimicrob Chemother. 2019;74(11):3344-3351.

  57. SAB管理のためのQuality Indicator Echocardiography Quality indicators 6. TEEは, IEの素因となる⼼疾患を有するSAB 患者において実施されるべきである。 7. SABの合併症リスクを有する患者ではTEEを 実施すべきである。 De ning condition IEの素因となる⼼疾患を有するSAB患者におい てTEEを実施する最適な時期は3-5⽇時点で, 14 ⽇以降にすることは望ましくない。 SABの合併症のリスクを有する患者においてTEE を実施する最適な時期は3-5⽇時点で, 14⽇以降 にすることは望ましくない。 8. 合併症を伴うSABと診断された患者にはTEE complicated SAB患者においてTEEはなるべく を実施すべきである。 SABの合併症リスク: 市中感染, 適切な治療開始48時間以上前の感染徴候, 適切な治療開始72時間以上後の発熱, 適切な治療開始48時間以上後の⾎液培養陽性。 合併症のない菌⾎症: ⼼内膜炎や他の転移性感染部位の除外, implanted prosthesesの⽋如, ⾎液培養を再検査した患者の4⽇以内の菌⾎症の排除, 効果的な治療 開始後72時間以内の解熱。複雑性菌⾎症: 単純性菌⾎症の基準に該当しない場合。 57 fi • • 早く, ⾎培陽性後72時間以内に⾏う。 J Antimicrob Chemother. 2019;74(11):3344-3351.

  58. SAB管理のためのQuality Indicator Non-antibiotic therapeutic interventions Quality indicators De ning condition 9. SABと診断された後, ⾎管内カテーテルを必 SAB診断後⾎管内カテーテルは直ちに抜去すべ きだが, 少なくとも24時間以内がよい。 ず抜去する 10.SAB患者においてCIEDに感染が認められた 場合, それらを抜去するべきである。 11.SAB患者において⼈⼯関節が感染している場 合, デブリドマンと/または外科的抜去を⾏う べきである。 12.SAB患者における膿瘍はドレナージするべき SAB患者におけるドレナージの時期は24時間以 内が望ましい。 fi 58 J Antimicrob Chemother. 2019;74(11):3344-3351.

  59. SAB管理のためのQuality Indicator Antibiotic treatment Quality indicators 13.SAB患者の初期抗菌薬は経静脈的に投与されるべきである。 14.SAB患者においてメチシリン感受性株の場合は初期治療は経静脈的( u)cloxacillin (or nafcillin or oxacillin) またはcefazolinとするべきである 15.抗菌薬治療は最初の⾎液培養陽性から24時間以内に開始するべき。 16.必要であれば, メチシリン感受性の結果が得られてから24時間以内に適切な治療を適応すべき である。 17.SAB患者の抗菌薬投与量は (国際的) ガイドラインに基づくべき。 18.uncomplicated SABにおける適切な経静脈的抗菌薬投与期間は少なくとも14⽇であるべき。 59 J Antimicrob Chemother. 2019;74(11):3344-3351.

  60. SAB管理のためのQuality Indicator Antibiotic treatment Quality indicators 19.抗⽣物質の静脈内投与の適切な期間は, 転移性膿瘍または深部感染巣を合併したSABでは少な くとも28⽇間であるべきである (IEを除く) 20.バンコマイシンで治療されているSABは治療薬モニタリングを受けるべき。 21.SAB患者の抗菌薬治療量は腎機能に合わせるべき。 22.uncomplicated SABにおいて, 48–72時間後でも経⼝切り替えを⾏うべきではない。 23.complicated SABにおいて、48–72時間後でも経⼝切り替えを⾏うべきではない。 Other management aspects Quality indicators 24.SAB患者では感染症専⾨医へのコンサルトを⾏うべき。 25.SABは退院時要約に記録すべきである。 60 J Antimicrob Chemother. 2019;74(11):3344-3351.

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