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皮膚軟部組織感染症 overview

投稿者プロフィール
長谷川耕平

堺市立総合医療センター

146,350

389

概要

当科のローテーター向けに行ってるレクチャースライドを共有します。

主に蜂窩織炎と壊死性軟部組織感染症について、大まかにまとめました。

※実際の症例を解説しながらレクチャーを行ったため、28、29ページに冒頭の症例と記載されています。

※スライドは個人の意見であり、所属施設を代表するものではありません。

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医/専門医

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テキスト全文

  • #1.

    2023.05.25 ⽪膚軟部組織感染症 SSTI, Skin and Soft Tissue Infection 〜蜂窩織炎と壊死性軟部組織感染症〜 堺市⽴総合医療センター 感染症内科 ⻑⾕川耕平

  • #2.

    感染深達度による分類 表層感染 深部感染 ⾮複雑性 膿痂疹 膿瘡 ⽑包炎 せつ よう 膿瘍 化膿性汗腺炎 複雑性 丹毒 リンパ管炎 糖尿病性⾜感染症 静脈うっ滞性潰瘍 感染性褥瘡 SSSS 蜂窩織炎 筋炎 壊死性軟部組織感染症 壊死性蜂窩織炎 壊死性筋膜炎 壊死性筋炎 術後創感染 J Eur Acad Dermatol Venereol. 2012;26(8):931-941.

  • #3.

    表⽪ 伝染性膿痂疹 ⽑嚢炎 丹毒 真⽪ 膿瘡 膿瘍 (せつ・よう) 浅筋膜 ⽪下組織 蜂窩織炎 壊死性筋膜炎 深筋膜 Clin Pract. 2021;11(1):65-74.より作成

  • #4.

    丹毒 vs 蜂窩織炎 丹毒 蜂窩織炎 原因微⽣物 GAS GAS, その他連鎖球菌, S. aureus, 稀にその他の細菌 好発部位 70-80%下肢 10-20%顔⾯ 下肢が多いが, どこでも起こりうる ⾁眼所⾒ ⾚みが強く 境界は⽐較的明瞭 通常⽚側 ⾚みはあるが境界は不明瞭 通常⽚側 Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases, 93, 1282-1306.e4

  • #5.

    Milianʼs ear sign IDCases. 2018;14:e00449.

  • #6.

    蜂窩織炎は誤診が多い • 2010年6⽉〜2012年12⽉の間に都市部の病院のERを受診し, 下肢蜂窩織炎と診断された 全患者を対象にした後⽅視的横断研究 • レジストリデータを⽤い, 259⼈の患者が適格基準を満たした → 実際に蜂窩織炎だったのは70%程度 JAMA Dermatol. 2017;153(2):141-146.

  • #7.

    蜂窩織炎を⾒分けるのは⾄難の業 JAMA. 2016;316(3):325-337

  • #8.

    蜂窩織炎を⾒分けるのは⾄難の業 DVT カルシフィラキシス 鬱滞性⽪膚炎 ⾎腫 遊⾛性紅斑 蜂窩織炎患者において発熱の頻度は22.5〜77.3%と絶対ではない 蜂窩織炎 JAMA. 2016;316(3):325-337

  • #9.

    リスク因⼦ • 全⾝ (主に灌流障害やスペースの増加) • 妊娠, ⽩⾊⼈種, 静脈不全, リンパ浮腫, PAD, 免疫抑制, DM, 肥満, 加齢, ホームレス 局所 (⽪膚バリア障害) - 外傷, 動物・昆⾍咬傷, タトゥー, 潰瘍, ⽪膚炎, ⾜⽩癬, 熱傷 BMJ. 2012;345:e4955. JAMA. 2016;316(3):325-337

  • #10.

    背景ごとの稀な原因微⽣物 患者背景 微⽣物 免疫抑制状態 (移植, ステロイド投 与, HIV, SLEなど) S. pneumoniae, M. tuberculosis, E. coli, Campylobacter, S. marcescens, H.in uenzae, H. cinaedi, S. putrefaciens, C. neoformans, C. gattii 慢性肝疾患 Vibrio spp (V. vulni cus or V. cholerae), E. coli, P. aeruginosa, Campylobacter, Acinetobacter, N. gonorrhoea, B. cepacia, S. putrefaciens, Enterobacteriaceae spp 慢性腎不全 V. vulni cus, V. alginolyticus, N. meningitidis, E coli ⽔中軟部組織損傷 Vibrio spp, Aeromonas spp, M. marinum, Shewanella spp, S. iniae, E. rhusiopathiae イヌ・ネコ咬傷 Pasteurella, Streptococcus, Staphylococcus, Neisseria, Corynebacterium, Moraxella, Fusobacterium, Porphyromonas, Prevotella, Bacteroides, Propionibacterium ヒト咬傷 α- and β-hemolytic Streptococcus, S. aureus, S. epidermidis, Corynebacterium spp, E. corrodens, B. fragilis, Prevotella, Porphyromonas, Peptostreptococcus, Fusobacterium, Veillonello, Clostridium spp fi fi fl JAMA. 2016;316(3):325-337.

  • #11.

    検査 • • ⾎液培養の陽性率は1-10%と低く, ルーチンでの推奨はない1) - ≧65歳, リンパ浮腫などは菌⾎症の合併リスク2-3) - 個⼈的には陽性の場合に診断に与える影響は⼤きく採取を推奨する 表層のスワブは⽪膚常在菌を拾うだけなので全く推奨されない4) - ⾼度免疫抑制, 初回治療に反応しない例, 特殊な曝露例 (動物など), 治療不応例では針 ⽣検を検討する - 膿が溜まっていれば穿刺吸引培養を検討する 1. Infect Dis Clin North Am. 2021;35(1):49-60. 2. Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2006;25(10):619-626. 3. Open Forum Infect Dis. 2022;9(7):ofac317. PMID: 35899281 4. Clin Infect Dis. 2014;59(2):147-159.

  • #12.

    画像検査 • 蜂窩織炎の診断においてルーチンでの推奨はない • ただし他疾患との鑑別・合併症の有無を評価する意味で重要な役割を担う モダリティ 意義 超⾳波 膿瘍や深部組織液貯留のスクリーニングやDVTを鑑別する際に有⽤ 単純レントゲン NFを⽰唆するガス貯留や⾻髄炎の評価に使⽤できるが, CT・MRIに劣る CT NFの評価に有⽤かもしれない MRI NFの診断において最も感度が⾼い (特異度は低い) Infect Dis Clin North Am. 2021;35(1):49-60.より作成

  • #13.

    ⾼齢者の蜂窩織炎 • ≦75歳と≧74歳で, 蜂窩織炎の臨床所⾒・重症度に差はないとされる1) • しかし認知症を有する患者では症状を訴えられず, 炎症反応上昇 (及び/または発熱) のみ となるケースはあるので, ⽪膚所⾒に注意する必要がある • ⾼齢者では, 連鎖球菌の中でS. dysgalactiaeが原因微⽣物となるリスクが上がる2) 1. Ann Med Surg (Lond). 2019;49:37-40. 2. Clin Microbiol Infect. 2015;21(2):171-178.

  • #14.

    蜂窩織炎の治療 • 基本はβ-heamolytic streptococciとS. aureusのカバー, つまりセファゾリン (セファレ キシン) を投与する • 重症度次第ではあるものの, MRSAは定着があってもカバーしないことがほとんど • 膿瘍を形成している場合はS. aureusの可能性が⾼く1), 穿刺培養を提出した上でMRSA定 着・リスクが⾼ければMRSAカバーを検討する 1. N Engl J Med. 2006;355(7):666-674.

  • #15.

    主なMRSA感染のリスク • 直近の抗菌薬使⽤歴 • MRSA感染の既往 • MRSA感染者への接触歴 N Engl J Med. 2006;355(7):666-674.

  • #16.

    ⾮薬物療法 • 患肢の挙上と安静を⾏う • 開放創があれば冷却⽣⾷による洗浄 N Engl J Med. 2004;350(9):904-912.

  • #17.

    蜂窩織炎の経過 • 治療開始2⽇⽬で病変部位の 拡⼤は⽌まる • 3⽇⽬に局所所⾒及びCRPの 改善が⾒られる • 発⾚範囲をマーキングして 経過を追うと良い Clin Infect Dis. 2016;63(8):1034-1041.

  • #18.

    蜂窩織炎の治療期間 • IDSAでは5⽇間治療してみて, 改善しきらなければ10⽇間への延⻑が推奨されている1) • 重症蜂窩織炎では6⽇間の治療では再燃が多い可能性がある2) • 局所所⾒を⾒ながら個別に治療期間を設定することが重要 1. Clin Infect Dis. 2014;59(2):147-159. 2. Clin Microbiol Infect. 2020;26(5):606-612.

  • #19.

    再燃予防 • 原因への介⼊が最重要である (⾜⽩癬やDMF, アトピー, 乾癬など) • 蜂窩織炎の既往がある慢性下腿浮腫患者にニーハイストッキングを1⽇中着⽤させると, 蜂窩織炎再燃が減る (HR 0.23, 95% CI 0.09-0.59)1) • 抗菌薬 (AMPC, CEX) の予防内服により蜂窩織炎再燃は減るが, 中断した後の再燃予防は できない2-3) 1. N Engl J Med. 2020;383(7):630-639. 2. N Engl J Med. 2013;368(18):1695-1703. 3. Cochrane Database Syst Rev. 2017;6(6):CD009758.

  • #20.

    壊死性軟部組織感染症 NSTI, necrotizing soft tissue infection 表⽪ 真⽪ 壊死性蜂窩織炎 筋膜を含まない 真⽪と⽪下組織 の壊死 ⽪下組織 筋膜⾯ 筋⾁ 壊死性筋膜炎 筋膜を含む壊死 壊死性筋炎 筋⾁の壊死 Lancet Infect Dis. 2023;23(3):e81-e94.

  • #21.

    NSTIに気付くポイント • 蜂窩織炎にしては - 痛みが強い - 拡⼤が速い - バイタルが悪い 1. PLoS One. 2015;10(7):e0132775. 痛みが強いとNSTI>蜂窩織炎1)

  • #22.

    NSTIを形成する悪循環 微⼩⾎管塞栓 外因性/内因性 細菌感染による ⾎管内炎症 の細菌侵⼊ 虚⾎壊死 トキシン産⽣ N Engl J Med. 2017;377(23):2253-2265. Infect Dis Clin North Am. 2017;31(3):497-511.より作成 組織における迅速 な細菌拡散 虚⾎環境による 細菌増殖の亢進

  • #23.

    NSTIの分類 Type Type Ⅰ (70-80%) Type Ⅱ (20-30%) Type Ⅲ (アジアで多い) Type Ⅳ (真菌) 原因 複数菌 (多くは腸内細菌叢由来) 微⽣物 好気・嫌気混合 臨床像 死亡率 indolent, 予後は悪くな 基礎疾患により様々 い, 認知しやすい 単⼀菌, ⽪膚由来, 呼吸器由来 GAS>S. aureus aggressiveで, ⾒逃しやすい >30% 筋炎があれば上昇 グラム陰性, しばしば⽔関連 Vibrio sp. Aeromonas sp. ⿂介類の摂取 傷の⽔汚染 30-40% 外傷関連 免疫不全者:Candida sp. 免疫健常者:Zygomycetes 特に免疫不全の場合, 急速な拡⼤を伴う >50% 免疫不全なら上昇 Infect Dis Clin North Am. 2017;31(3):497-511.

  • #24.

    NSTIの素因と微⽣物 素因 微⽣物 ⼤きな穿通性外傷 C. perfringens, C. histolyticum, C. novyi 軽微な穿通性外傷+淡⽔曝露 A. hydrophila 軽微な穿通性外傷+海⽔曝露 V. vulni cus 軽微な⾮貫通性外傷:筋挫傷, 捻挫, 挫傷 S. pyogenes 粘膜損傷 (直腸, 膣, 尿道など) 好気・嫌気性菌の混合感染 ⽪膚損傷 (⽔痘, ⾍刺傷) S. pyogenes ⽪膚損傷 (静注薬) C. perfringens, C. histolyticum, C. novyi, C. sordellii 免疫不全 (DM+PAD) 好気・嫌気性菌の混合感染 免疫不全 (肝硬変+⽣牡蠣摂取) V. vulni cus 免疫不全 (好中球減少) C. septicum ⼥性:妊娠, 出産, 中絶, 婦⼈科的処置または⼿術 S. pyogenes, C. perfringens, or C. sordellii 潜在因⼦:癌を含む結腸病変 C. septicum fi fi N Engl J Med. 2017;377(23):2253-2265.

  • #25.

    NSTIの⾝体所⾒の変化 Stage 1 (early) Stage 2 (intermediate) Stage 3 (late) 熱感 ⽔疱形成 (漿液) ⾎疱 発⾚ ⽪膚の波動 ⽪膚感覚⿇痺 腫脹 ⽪膚硬化 握雪感 ⽪膚病変外まで拡⼤す る痛み くすんだ変⾊を伴う⽪膚壊 死〜壊疽 いかにStage 1で気付けるかが重要 腐ってから, 痛みがなくなってからでは遅い Br J Surg. 2014;101(1):e119-e125.

  • #26.

    NSTIの診断 • NSTIは, 初期診断を誤り, 外科的デブリドマンが24時間以上遅れると死亡率が上昇1-2) • Triple diagnosis (⾁眼所⾒, グラム染⾊, 迅速組織所⾒) が有⽤3) • 局所切開で, nger testによる壊死の確認やdish waterを確認する4) fi 1. 2. 3. 4. World J Emerg Surg. 2020;15:4. J Bone Joint Surg Am. 2003;85(8):1454-1460. World J Surg. 2019;43(8):1898-1905. Br J Surg. 2014;101(1):e119-e125.

  • #27.

    Finger test • 疑わしい部位に局所⿇酔, 深部筋膜まで2cm程度切開し指を⼊れる • 組織が抵抗なく剥離できる, 出⾎がない, dishwaterがある場合, NSTI疑いとして診療を 進めるべき Plast Reconstr Surg. 2001;107(4):1025-1035.

  • #28.

    LRINEC score 項⽬ CRP≧15mg/dL 点数 4 WBC 15000-25000/μL WBC > 25000/μL 1 2 Hb 11-13.5 g/dL Hb <11 g/dL 1 2 Na < 135 mEq/L 2 Cre > 1.6 mg/dL ⾎糖 >180 mg/dL 2 1 • 合計点数が6点以上で壊死性筋膜炎の可能性 が⾼い1) • 点数が低くても除外はできない - 後⽅視的にNSTIを集めたところ35%が Low score2) - 冒頭の症例では1点 1. Crit Care Med. 2004;32(7):1535-1541. 2. Injury. 2021;52 Suppl 4:S8-S15.

  • #29.

    MLRINEC score 項⽬ 点数 CRP > 30 (mg/dL) 4 WBC > 15 (× 104/uL) 2 Hemoglobin < 11(g/dL) 2 Blood glucose≧ 180(mg/dL) 2 Sodium < 135 (mEq/L) 1 Creatinine≧ 1.6 (mg/dL) 3 Lactate > 2 (mmol/L) 4 Liver disease 3 • LRINEC+lactate+liver disease • 12点をカットオフとして感度 91.8%, 特異度 88.4% • 冒頭の症例では7点 World J Emerg Surg. 2021;16(1):26.

  • #30.

    画像 • 前提として, 画像検査にはNSTIとnon-NSTIを鑑別する⼗分な感度がないため, 状態が悪 い患者に対し外科的診断介⼊より画像を優先するべきではない1) • 造影CTにおける筋膜への炎症波及及び, 筋膜の造影不良は, ガスや浮腫のみよりもNSTI に特異的である2) • MRIは, 診断が不明確な状態が安定している症例では最も有⽤で, 脂肪抑制T2強調像で肥 厚した筋膜が⾼信号を⽰す (≧3mm)3) 1. Lancet Infect Dis. 2022;S1473-3099(22)00583-7. 2. Radiol Med. 2016;121(2):106-121. 3. Radiology. 2011;259(3):816-824.

  • #31.

    治療 • 外科的介⼊が必須で, デブリドマンが遅れると死亡率が上昇する1-2) • 経験的治療として, MRSA+GNR+嫌気性菌カバーのためVCM+MEPMが選択されること が多い • S. aureus, S. pyogenes, Clostridium spp.が疑われる場合はCLDMを併⽤する3) • 肝硬変症や鉄過剰症と⽔曝露があれば, 初期治療にLVFX (+MINO) を追加 することを検 討 (私⾒) ※S. aureus, Clostridium spp.は予後を改善するか不明 1. World J Emerg Surg. 2020;15:4. 2. J Bone Joint Surg Am. 2003;85(8):1454-1460. 3. Clin Infect Dis. 2014;59(2):147-159.

  • #32.

    抗菌薬投与のタイミング • デブリ前に抗菌薬を投与しても, 原因菌同定やその後のde-escalation率に影響が出にく い (ただし後⽅視的研究) • ⾎液培養を採取したらすぐに抗菌薬を投与するべき Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2022;41(1):109-117.

  • #33.

    iGAS, S. aureusに対するCLDM • CLDMはリボゾームに作⽤し, 毒素産⽣抑制, Eagle e ectの影響を受けず, PAEを有する ため, 特定の細菌による侵襲的感染症にβLと併⽤される • iGASに対するCLDM併⽤は院内死亡率低下に関連する (aOR 0.40, 95%CI .15–.91)1) • 重症S. aureus感染症に対するCLDM併⽤は, 予後や安全性⾯での懸念は無さそう (ただし ⼩規模かつ壊死性筋膜炎は除外)2) ff 1. Lancet Infect Dis. 2021;21(5):697-710. 2. JAC Antimicrob Resist. 2022;4(1):dlac014. PMID: 35237755

  • #34.

    Eagle e ect • ⾼濃度の抗菌薬に曝露された細菌が, 細胞死速度の低下により, 逆説的に⽣存するという in vivoで確認されている現象1) • 細胞壁に効果のある薬剤 (ex. βL) が, 菌量が⼗分に増え細胞分裂をあまり⾏なっていな い細菌に投与された場合に効果が落ちる可能性がある • 背景にあるメカニズムははっきりとわかっていないが2), inoculum e ectとoverlapする 部分もあれば, 区別される部分もある ff ff 1. J Exp Med. 1948;88(1):99-131. 2. Trends Microbiol. 2019;27(4):339-354.

  • #35.

    CLDM耐性でも有効なのか? • S. pyogenesの外毒素産⽣は, CLDM耐性 (誘導型 or 構成型) でも⾼容量CLDMで抑制で きるかもしれない1) • CLDM耐性 (構成型33%) のβ溶⾎性連鎖球菌による壊死性筋膜炎は四肢切断が増える 可能性がある2) 尚, S. aureusの場合, 誘導型耐性ならばCLDMでTSST-1を抑えられるかもしれないが3), 構成型では毒素産⽣を抑制できない可能性がある4) 1. 2. 3. 4. J Infect Dis. 2017;215(2):269-277. Clin Infect Dis. 2021;73(11):e4592-e4598. Ann Clin Microbiol Antimicrob. 2018;17(1):38. Infect Immun. 2001;69(5):2996-3003.

  • #36.

    CLDMの誘導型耐性と構成型耐性 • EM ≧8μg/mlの場合にCLDM ≦0.5μg/ml (Staph), ≦0.25μg/ml (Strep) - D test陰性 → CLDM感受性 (erm遺伝⼦­, M phenotype) - D test陽性 → CLDM誘導型耐性 (erm遺伝⼦+) • CLDM ≧4μg/ml (Staph), ≧1μg/ml (Strep) → CLDM構成型耐性 (erm遺伝⼦+) D-test erm遺伝⼦抑制機構 EM CLDM Antimicrob Agents Chemother. 1995;39(4):797-805.

  • #37.

    non-GASによるNSTIにCLDM併⽤は微妙かも • ⽶国の⼤規模コホート研究において, non-group A/B streptococciによる侵襲性感染に 対するCLDM併⽤は院内死亡率が上昇する傾向 (aOR 2.60, 0.94–7.52)1) • PSMを⽤いた後⽅視的コホート (@⽇本) では, 侵襲性GBS, SDSE感染症に対するCLDM 追加は, 院内死亡率を改善しなかった (リスク差 -0.3%)2) NSTIではひとまずCLDM併⽤開始 ↓ GPC chainが原因の場合 - S. pyogenes ⇒ 継続 - Others ⇒ 中⽌検討 1. Lancet Infect Dis. 2020;S1473-3099(20)30523-5. 2. Acute Med Surg. 2021;8(1):e634.

  • #38.

    LZDによる毒素抑制 • LZDはリボソーム50Sへの作⽤を介し, TSST-1を始めとした外毒素産⽣を抑える1-2) • 現在, 連鎖球菌のCLDM耐性率が上昇しており, iGASに対するLZDが注⽬されている3)。 しかし, GASに対するCLDMによる外毒素抑制は感受性によらないと⾔われており, LZD がβL+CLDMに勝るかは今後の臨床試験次第 • 壊死性筋膜炎/フルニエ壊疽に対するLZDは, VCM+CLDMと⽐較し死亡率は変わらず (6.45% vs. 8.06%), AKIが少なかった (9.68% vs. 22.58%)4) ※GNRカバー +debridementとの組み合わせ 1. Clin Infect Dis. 2006;42(5):729-730. 2. J Infect Dis. 2013;208(1):75-82. 3. Clin Infect Dis. 2022;ciac720. PMID: 36056891 fi 4. Open Forum Infectious Diseases, 2023;, ofad258, https://doi.org/10.1093/o d/ofad258

  • #39.

    治療期間 • 壊死組織の完全切除ができれば7-14⽇間とされているが, 実際は創部の状態を⾒ながら 症例ごとに決定していくしかない1) • CLDMの併⽤期間は諸説あるが, バイタルの安定化から2-3⽇が⽬処という意⾒もある2) • 個⼈的にはCLDM併⽤は7⽇間を⽬処としつつ, 改善期に⼊ってから2⽇間程度でオフを検 討している 1. Surg Infect (Larchmt). 2016;17(6):773-778. 2. UpToDate®

  • #40.

    ⼆次感染予防 • 侵襲性GAS (iGAS) 感染症患者は, 有効な抗菌薬投与24時間経過するまでは⾶沫・接触感 染予防を⾏い, ドレナージされている創部があれば接触予防策を継続した⽅がよい1) • 家庭内接触者はiGAS発症リスクが2000倍⾼く, 抗菌薬予防内服が検討されるがコンセン サスはない2-3) 1. Guideline for Isolation Precautions: Preventing Transmission of Infectious Agents in Healthcare Settings (2007) https://www.cdc.gov/infectioncontrol/guidelines/isolation/appendix/type-duration-precautions.html 2. Euro Surveill. 2017;22(19):30532. 3. Open Forum Infect Dis. 2022;9(8):ofac244.

  • #41.

    まとめ • 軟部組織感染は, ⾒た⽬なども参考に深達度を評価する • 蜂窩織炎の診断は難しいので, 他の鑑別・熱源がないかを気に掛けるべき • 蜂窩織炎にしては痛みが強い・拡⼤が早い・バイタルが悪い時はNSTIの可能性を考慮し 外科コンサルト

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