テキスト全文
当直中のせん妄Callの概要と対象者
#1. 当直中のせん妄Call!どう対応する?
Dr.fax@精神科
#2. このスライドの対象者 医師になったばかりで当直対応に不慣れな研修医が、
当直で「せん妄です」と呼ばれた時に、
最低限失敗せずにその場を乗り切るためのスライド このスライドで乗り切れた後は自分で更に勉強してみよう
せん妄の基本知識と緊急対応
#3. せん妄で大切なことは色々あるけれど。。。
日中のマネジメント、予防 非薬物療法が大事 指示はセット通りで
大丈夫? まずは当直を乗り切る最低限の知識を身に着けよう! 薬物選択どうしよう?
出口戦略は?
#4. 先に結論!当直中にせん妄で呼ばれたら。。。 緊急で治療が必要な直接因子(脳疾患、感染症、電解質異常、 血糖異常、肝性脳症・尿毒症、薬物中毒など)をチェック
→ 翌朝まで放置すると危険なものがないか!?
内服可能で、糖尿病(-)→クエチアピン 糖尿病(+)→リスペリドン
内服不可なら、ハロペリドール(点滴静注、筋注) ヤバい疾患ないか
薬飲めそうか
糖尿病ないか 大前提:傾聴することで落ち着く程度であれば薬は使う必要はない
せん妄対応フローチャートと定義
#6. そもそも、せん妄とは 意識障害が本態→見当識障害・注意力障害が見られる
急な発症、症状の日内変動
過活動型、低活動型、混合型に分けられる
準備因子、誘発因子、直接因子が影響する
せん妄と間違えやすい疾患
むずむず脚症候群、アカシジア、てんかん 当直中の主な問題は
過活動型、直接因子
緊急を要する直接因子のチェック
#7. 緊急を要する直接因子のチェック① 頭蓋内病変:脳血管障害、脳腫瘍、脳炎
神経学的異常のチェック→せん妄中の画像検査は鎮静が必要となることも
呼吸不全、心不全
肝性脳症、尿毒症
あまりにもデータが悪いと薬剤が使えず、
身体拘束・抑制で原疾患の治療しか選択肢がない場合も
感染症:敗血症
#8. 緊急を要する直接因子のチェック② 電解質異常:脱水、水中毒
低・高血糖
貧血
薬物中毒
違法薬物だけでなく、リチウム、
抗菌薬などTDMが必要な薬剤の中毒も 当直中に全てを除外する
検査を行う余裕はないため、
バイタル、診察所見、
病歴・薬歴などを総合して
適宜必要な検査を行い、
治療、せん妄に対する
薬物療法を検討する
薬物療法の選択肢と注意点
#9. 薬物療法:内服可能なら 糖尿病、剤型以外の点ではクエチアピンの方が優れている
#10. 薬物療法:内服不可ならハロペリドール ハロペリドール(セレネース®)点滴静注 or 筋注
2.5 – 10 mg(1/2-2A) + 生食 100 mLを点滴静注(15 - 30分かけて)
ルート確保困難時は 2.5 – 10 mg(1/2-2A) を筋注
錐体外路症状の予防に ビペリデン(アキネトン®)1A を混ぜることも
QTc延長、不整脈に注意
パーキンソン病、レビー小体型認知症には禁忌
抗精神病薬の副作用と注意事項
#11. 抗精神病薬の副作用(できれば処方前に把握しておく) 悪性症候群:脱水、高用量でリスクが高まるため注意して使う
錐体外路症状(EPS)
特にアカシジアは、落ち着かない様子をせん妄ととられて 更に抗精神病薬投与という悪循環も。。。
過鎮静、低血圧、便秘、口渇、悪心、排尿困難、etc...
ちなみに (アナフィラキシーに対して以外の)アドレナリン投与中の患者には禁忌
→アドレナリン反転で血圧低下の可能性がある
#12. Take Home Message:まずは当直帯を乗り切ろう! 緊急で治療が必要な直接因子(脳疾患、感染症、電解質異常、 血糖異常、肝性脳症・尿毒症、薬物中毒など)をチェック
→ 翌朝まで放置すると危険なものがないか!?
内服可能で、糖尿病(-)→クエチアピン 糖尿病(+)→リスペリドン
内服不可なら、ハロペリドール(点滴静注、筋注) ヤバい疾患ないか
薬飲めそうか
糖尿病ないか 大前提:傾聴することで落ち着く程度であれば薬は使う必要はない