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うつ病=抗うつ薬で 大丈夫? 注意すべきポイント

投稿者プロフィール
Dr.fax@精神科専門医

精神科単科病院

38,414

151

概要

うつ病を疑う場面に出会ったことはありますか?

本スライドで、初期研修医やうつ病診療を専門にしていない医師が「うつ病診断において必要な除外診断ができるようになる」、「診断後に重症度に応じた対応が取れるようになる」、「対応が難しい場合に精神科への紹介をできるようになる」ことを目指しましょう。

◎目次

・うつ病を疑う場面に出会ったことはありますか?

・うつ病患者は精神科を受診しない?

・このスライドで分かる事

・うつ病の診断基準を確認(DSM-5)①

・希死念慮の確認について

・うつ病の診断基準を確認(DSM-5)②

・除外診断(身体疾患)

・除外診断(精神疾患)

・双極性らしさ(bipolarity)について

・修正型電気けいれん療法(mECT)について①

・精神科へ紹介するパターン

・精神科紹介における注意点

・終わりに

本スライドの対象者

研修医/専攻医

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テキスト全文

  • #1.

    うつ病=抗うつ薬で 大丈夫? 注意すべきポイント Dr.fax@精神科専門医

  • #2.

    うつ病を疑う場面に出会ったことはありますか? 最近胃の調子が悪いです 眠れなくて、体もだるいです 気も滅入ります 一通り検査しましたが、 異常ありませんでした もしかして うつ病? この調子で治療を続 ければ大丈夫ですよ 良くなりません 治療も止めます 治療が辛くて弱気 になってるだけ? それともうつ病?

  • #3.

    うつ病患者は精神科を受診しない? • うつ病患者の 60% 以上は最初に身体科を受診する※1 • 身体疾患(特に脳卒中後、糖尿病など)との合併も多く、 身体疾患とうつ病は相互作用的に症状を悪化させうる※2 つまり、うつ病患者が初めて出会う可能性が高い、 プライマリ・ケア領域に携わる医師や、 うつ病を合併する可能性がある身体疾患を治療する医師、 身体科に進む予定の研修医こそ、 うつ病の初期対応を身に着ける必要がある! ※1:三木治:プライマリ・ケアにおけるうつ病の治療と実態、心身医学、42(9):585-591, 2002 ※2:竹内武昭:うつ病の除外診断と併存疾患、心身医学、60(1):44-49, 2020

  • #4.

    このスライドで分かる事 初期研修医やうつ病診療を専門にしていない医師が、 • うつ病診断において必要な除外診断ができるようになる • 診断後に重症度に応じた対応が取れるようになる • 対応が難しい場合に精神科への紹介をできるようになる

  • #5.

    このスライドで分かる事 初期研修医やうつ病診療を専門にしていない医師が、 • うつ病診断において必要な除外診断ができるようになる • 診断後に重症度に応じた対応が取れるようになる • 対応が難しい場合に精神科への紹介をできるようになる 正しい治療のためには正しい診断が重要 安易なうつ病診断→抗うつ薬で失敗しないための 前提知識を身に着けよう

  • #6.

    うつ病の診断基準を確認(DSM-5)① A:以下の5つ以上が2週間の間、ほとんど毎日見られる 一過性のものではない ①抑うつ気分 どちらか1つは必須! ②興味・喜びの喪失 ここだけでも覚える ③体重減少・食欲減退または体重増加・食欲増加 ④不眠または過眠 杓子定規に当てはまる数に こだわる必要はないが、 ⑤精神運動焦燥または制止 うつ病と診断できる程度の ⑥疲労感または気力減退 病状であれば、 ⑦無価値観または罪責感 自然と5つ以上伴うことが多い ⑧思考力低下・集中力低下・決断力低下 ⑨希死念慮・自殺企図 うつ病を疑ったら希死念慮の確認は重要

  • #7.

    希死念慮の確認について • 希死念慮の有無の確認だけでは不十分 • ある場合は具体的な方法を考えているか、計画を立てているか 確認し、希死念慮の切迫具合を把握する必要がある 例)「それだけ辛い状況だと消えてしまいたい、もう終わりにしたいと思ってしまう ことはないですか」 「自分を傷つけるとか、自殺を考えたことがありますか?」 →「どうやって(死ぬ)とか考えますか」、「具体的に計画をしていますか」 希死念慮を聞くことでかえって自殺に追いやるというのは誤り! ただし、聞き方に配慮は必要

  • #8.

    うつ病の診断基準を確認(DSM-5)② B:症状は臨床的に著しい苦痛または社会的・職業的・他の重要な 領域における機能の障害を引き起こしている →日常生活において支障があるかどうか C: 物質や他の医学的状態による精神的な影響が原因とされない つまり、うつ病診断において、 除外診断が大事

  • #9.

    除外診断(身体疾患) • 甲状腺機能低下 • 認知症 高齢者のうつ病は鑑別が難しい! 長谷川式認知症スケール(HDS-R)、 MMSEはうつ病でも低下しうる 特に血管型、レビー小体型はうつを伴いやすい • 薬剤性 ステロイド、インターフェロンなど 病歴、診察所見等と 合わせて、 ・採血(TSH, FT4含む) ・頭部画像検査 ・脳波 等が除外のための検査 として有用 • その他 てんかん、パーキンソン病、睡眠時無呼吸症候群、貧血、 ビタミンB1, B6, B12欠乏等

  • #10.

    除外診断(精神疾患) • 抑うつ状態:持続期間や症状の程度がうつ病の診断基準に満たない • 双極性障害:特にbipolarityに注意(次のスライドで解説) • 統合失調症、統合失調感情障害、妄想性障害など →気分に一致しない幻覚、妄想 • アルコール依存症:自殺とも関係が深いため飲酒歴は重要 • パーソナリティ障害 • 発達障害 除外というよりは 併存の可能性を検討

  • #11.

    双極性らしさ(bipolarity)について① 双極性障害のうつを疑う要素 典型的なうつ病を疑う要素 過眠 不眠、早朝覚醒 食欲亢進(体重増加) 食欲低下(体重減少) 双極性障害の家族歴あり 双極性障害の家族歴なし 若年発症(24歳以下) 25歳以上の発症 抑うつ相の再発(繰り返している) 6ヶ月以上の罹病期間 その他:精神病症状(幻覚、妄想)を伴う、症状の不安定さ その他:身体的愁訴

  • #12.

    双極性らしさ(bipolarity)について② • うつ病の診断がついた後に双極性障害の診断に変わることも 珍しくなく、鑑別が難しい • この要素が強い患者さんに抗うつ薬を使用すると躁転リスクが 高い • 双極性障害と診断できなくても、特に、自殺企図がある、 若年(24歳以下)、未熟なパーソナリティな患者さんには 抗うつ薬は慎重に使用 or 使わない

  • #13.

    このスライドで分かる事 初期研修医やうつ病診療を専門にしていない医師が、 • うつ病診断において必要な除外診断ができるようになる • 診断後に重症度に応じた対応が取れるようになる • 対応が難しい場合に精神科への紹介をできるようになる 重症度を大まかに把握し、本当に抗うつ薬が必要か、 最適な治療かを検討できるようになろう

  • #14.

    うつ病の治療は重症度で考える 軽症 中等症 重症 修正型電気けいれん療法(mECT) 抗うつ薬 基礎的介入

  • #15.

    うつ病の治療は重症度で考える:軽症 • うつ病ではあるが、仕事や日常生活は行うことができている状態 • 基礎的介入:軽症から重症まで一貫して行うべきもの • 傾聴、共感といった支持的、受容的関わり • 問題点を整理し、必要に応じて休養、日常生活上での指導 • 心理教育:うつ病という診断を告げ、どういった病気であるか、 治療、経過などについて本人、(できれば家族も)に説明する 一般に支持的精神療法と呼ばれ、特別なものではなく、誰でもできるが、 きちんとやれば十分患者の精神状態を改善させることが期待できる

  • #16.

    うつ病の治療は重症度で考える:軽症 • 軽症例は基礎的介入、心理教育で改善することも期待できる • 安易な抗うつ薬の処方は精神症状の悪化(アクティベーション、 自殺関連行動の増加)が見られることがある アクティベーション:焦燥、不安の増大、衝動性の亢進など 特にbipolarity、若年、発達障害・パーソナリティ障害に注意 • 逆に抗うつ薬が奏功した病歴があれば、同じ治療を行うことで 改善する可能性は高く、必要以上に使用をためらう必要はない と考える

  • #17.

    うつ病の治療は重症度で考える:中等症~重症 • 中等症:仕事には行けないが、日常生活は送ることができる状態 • 重症:食事・睡眠がまともにとれず、日常生活に支障が見られる状態 • 抗うつ薬による薬物療法が中心となるが、入院治療が必要になることも 多く精神科紹介を検討する段階 • 希死念慮が切迫している場合や、水分・食事が摂れないような重症例は 修正型電気けいれん療法(mECT)をためらわない つまり、プライマリ・ケア領域では抗うつ薬は必ずしも必要ではない 抗うつ薬なしでもできることは沢山あるし、 本当に必要な状態の時は精神科へ紹介した方が良いことが多い

  • #18.

    修正型電気けいれん療法(mECT)について① • サイマトロンで脳に電気を流し、けいれん発作を 起こすことで精神症状の改善を目指す治療法 • 昔は筋弛緩なしで施行され、激しいけいれんが 起き、骨折や脱臼などのリスクが高かった • 現在は筋弛緩が効いた状態で施行するため、 見た目にはけいれんは起きず、脳にだけ発作が 起きるようになっている(修正型) 実施の際の模式図 麻酔器 麻酔管理 呼吸管理 麻酔科 医 精神科 医 ベッド • 即効性と高い反応率・寛解率が期待され、 自殺抑制効果がある • 双極性感情障害、統合失調症、悪性症候群、 緊張病状態(カタトニア)などにも適応がある サイマ トロン モニター サイマトロン の管理

  • #19.

    修正型電気けいれん療法(mECT)について② • 有害事象 頭痛、悪心、筋肉痛、通電後の一過性の高血圧、せん妄、記憶障害、 脱抑制や躁転など • 絶対禁忌 脳深部刺激療法(DBS)植え込み後 • 相対禁忌 脳腫瘍、頭蓋内血腫、頭蓋内圧亢進症、最近発症した心筋梗塞・脳出血、 動脈瘤・血管奇形、褐色細胞腫や、その他麻酔危険度の高い場合など

  • #20.

    このスライドで分かる事 初期研修医やうつ病診療を専門にしていない医師が、 • うつ病診断において必要な除外診断ができるようになる • 診断後に重症度に応じた対応が取れるようになる • 対応が難しい場合に精神科への紹介をできるようになる 紹介すべき症例、タイミングや 紹介に際しての注意点を身に着けよう

  • #21.

    精神科へ紹介するパターン • 軽症:環境調整の一環として入院が必要な場合 • 中等症:抗うつ薬使用に自信がない、入院が必要な場合 • 重症:すぐに紹介 • リエゾン:主科では基礎的介入などを行う余裕がない場合は(院内の 科の垣根の高さにもよるが、)軽症、うつ病診断閾値下の抑うつ状態 でも(その判断・評価も含めて)紹介した方が良い • その他の精神疾患の併存、重症度の判定が難しい、急速に悪化しそう、 患者が精神科受診を希望している、など

  • #22.

    精神科紹介における注意点 • いきなり「精神科行け」だと「頭がおか しい」「気のせい」と思われたと感じる 患者さんもいる • あくまで「丸投げではなく、こちらでも 見ていく」というスタンスでいると トラブルが少ないかもしれない • リエゾン依頼の際は本人にどう説明して いるかまで記載していると丁寧 (精神科とは言っていないなど) 体の不調を感じているとは思いますが、 こころや脳の不調も関係しているかも しれないので、一度専門の先生に見て もらいませんか? 何かあったとしても体のことは私が引 き続き見ていきます

  • #23.

    終わりに • 精神科救急病院では、統合失調症や双極性障害の精神運動興奮 状態やうつ病で希死念慮が切迫している患者さんが入院してくる が、一部抗うつ薬の影響が疑われる精神症状の悪化で入院となる ケースがある • もちろん他科含むクリニックで抗うつ薬による治療で改善して いる患者さんの方が多いとは思われるため、バイアスがかかった 意見であることをご承知おきください しかし、起きうる出来事の重大さ(自殺、精神症状悪化による精神科入院など) を考えると、抗うつ薬の使用は慎重(副作用の説明、悪化時の中止)に考えて 損はないと考える

  • #24.

    Take Home Message • うつ病の診断は除外診断(甲状腺機能低下、認知症、抑うつ状態、 双極性障害など)が大事 • 治療は基礎的介入をベースに重症度で考える • 軽症:基礎的介入のみで十分なことも多い。 • 中等症~重症:抗うつ薬( bipolarity、若年、発達障害・パーソナリティ 障害に注意)、切迫した状況では電気けいれん療法をためらわない • 慣れていない、判断に迷う、明らかに重症な場合は精神科紹介

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