テキスト全文
救急CTの基本概念と種類
#2. 単純、造影、ダイナミックって そもそも何?
造影CT撮影の考慮事項
#3. ●単純CT、造影CTとは 単純CT:造影剤を使わず撮影。 造影CT:造影剤を使って、適切なタイミングで撮影。 動脈相、平衡相など、撮影のタイミングが異なると 出来る画像も異なる。 →ダイナミック造影CTは1つのタイミングだけでなく、 動脈相のあとに平衡相、など連続で複数回撮影すること
#4. ●普段見慣れたあの造影CTは…? 癌のfollow up CTや、腹部救急で撮影するいわゆる『造影CT』 =造影剤注入後90-100秒程度で撮影して得られた画像 →腹部臓器がそれぞれいい感じに染まっているタイミング (実質相とも呼ばれる)
#5. ●造影CT撮影前に考える3つのこと ★メリット>デメリットであることを再確認 1)そもそもCTを撮るのか →診断による治療方針決定>被ばく 2)単純か、造影か →診断能向上>造影剤の副作用 3)造影するなら、どのタイミングで撮るのか →鑑別>被ばく(撮影回数が増える分、被ばくも増える)
肝ダイナミックCTのタイミング
#6. ●例えば肝ダイナミックでは… 肝腫瘤を鑑別するのに必要なタイミングで撮影する 肝細胞癌、転移性肝腫瘍、肝血管腫、etc...
#7. 肝細胞癌 肝動脈相 門脈相 平衡相 肝動脈相で濃染、門脈相で洗い出し。平衡相では不明瞭。 適したタイミングをいくつか選ばないと、鑑別できない。
#9. 尿管結石疑い 単純 実質相 尿管結石は認めず。排石されたのではなく、腎梗塞。 被膜に沿った一層の造影効果あり(cortical rim sign)。 ★単純で除外できない疾患があるなら、造影をためらわない!
肺塞栓と深部静脈血栓の撮影
#11. ●肺塞栓、深部静脈血栓では… スキャンしながら造影剤が流れてくるタイミングを観察 →見たい部位が適切なCT値になったら撮影 (ボーラストラッキング法:BT法) 深部静脈血栓は静脈相で、撮影範囲は足先まで 放射線技師との情報共有、協力が重要
#12. 肺動脈相 肺動脈相 静脈相 肺動脈に塞栓あり。 本症例では下肢静脈血栓は認めないが、内腸骨静脈に血栓あり。
急性腹症におけるCTの役割
#13. ●急性腹症では… 単純:高吸収な血腫がないか 動脈相:動脈解離のflap、造影剤のextravasation、 動脈塞栓はないか 平衡相:臓器の造影不良はないか
#14. 腹腔動脈解離 動脈相 実質相 動脈相ではflapが比較的よく見える。 実質相では不明瞭…動脈相が必要だった!
#15. 産後出血 単純 動脈相 平衡相 膀胱 子宮 子宮筋層に動脈相の時点で造影剤の血管外漏出あり、 動脈相から平衡相にかけて広がっている。動脈性出血。
撮影時の重要なメッセージ
#16. ★スクリーニングには実質相1相、 鑑別診断にはダイナミック 基本的に、救急で同日に2回造影することはない。 1回で、過不足なく情報を得なければならない。 ★困ったときは放射線技師と相談 こういうタイミングはどうか、といった助言をくれることも。 日中だったら放射線科医にも相談を!
#17. ●TAKE HOME MESSAGE ★診断的価値>被ばく・造影剤副作用を再確認して撮影! ★虚血など除外が必要な時は造影をためらわない! ★スクリーニングには実質相1相、鑑別診断にはダイナミック! ★困ったときは放射線技師と相談!