Antaa Slide

医師・医学生のためのスライド共有

お知らせ

ログイン

すでにアカウントをお持ちの方はこちら

Dr.クルクル@救急&ICU

1/31

頸部刺創/頸部切創のABC

  • 救急科

  • 初期研修医

  • Local Wound Exploration
  • 気道確保
  • Hard sign
  • 頸部切創
  • LWE
  • 血行再建
  • 尿道バルーン
  • 頸部損傷

16,729

96

更新

シェア

ツイート

Dr.クルクル@救急&ICU

市中総合病院

内容

頸部刺創、頸部切創への救急医としての対応をまとめたスライドです。3つのZoneに分けて考える頸部の解剖と、Hard sign、頸部損傷の緊急対応であるABCアプローチを中心に解説します。

◎目次

・頸部の解剖

・頸部刺創/切創

・各Zoneにある重要臓器

・ヤバい頸部損傷とは?

・Hard sign

・Hard signを認めたら

・A/B: 気道確保の注意点は?

・C: 救急医に出来る止血法は?

・尿道バルーンによる止血

・Local Wound Explorationの手順

・Local Wound Explorationのポイント

・止血するのはもちろん大事だが…

・頸部刺創のマネージメント

・入院後のマネージメント

・Take Home Message

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医

参考文献

テキスト全文

  • 1.

    頸部刺創/頸部切創の ABC

  • 2.

    ⾸に枝が刺さった患者さんが来院。 あなたはまず何をしますか︖ Ann Surg Case Rep. 2019; 2(3): 1020.

  • 3.

    ⽬次 • 頸部の解剖︓3つのZoneに分けて考えよう︕ • ヤバい頸部損傷とは︖︓Hard signに注⽬︕ • 頸部損傷の緊急対応︓ABCアプローチ

  • 4.

    頸部の解剖 両側の胸鎖乳突筋・下顎⾻体部下縁を3辺とする 「頸部前⽅三⾓」に主要器官が集中している

  • 5.

    頸部刺創/切創 広頸筋は⼤胸筋と三⾓筋を被覆する深筋膜から 起始して下顎体部に停⽌する この広頸筋を貫く損傷を「頸部穿通性損傷」と呼ぶ 損傷に対するアプローチの相違から 頸部を3つのZone(Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ)に分ける

  • 6.

    頸部の解剖 Zone Ⅲ Zone Ⅲ Zone Ⅱ Zone Ⅱ Zone I Zone I Zone I ︓鎖⾻/胸⾻から輪状軟⾻まで Zone II ︓輪状軟⾻から下顎⾓まで Zone III ︓下顎⾓から頭蓋⾻底まで

  • 7.

    各Zoneにある重要臓器 Zone I ︓椎⾻動脈、総頸動脈、肺、気管 胸管、脊髄、主要な頸髄神経幹 Zone II ︓頸静脈、椎⾻動脈、頸動脈、気管 ⾷道、脊髄、喉頭 Zone III ︓咽頭、頸静脈、椎⾻動脈 内頸動脈遠位部

  • 8.

    頸部の解剖 • Zone分けしても深いところで 別Zoneにまたがることがあるので注意 • ZoneⅡは出⾎源の⽬視が可能 ZoneⅠ/Ⅲは ⾎管損傷を評価するために⾎管造影が必要 その他の評価も⽬視では困難

  • 9.

    ヤバい頸部損傷とは︖ ・ 救急外来で問題になるのは「気道閉塞」と「出⾎」 ・ 指標の⼀つは「Hard sign」 Hard signを認める場合90%に重⼤な損傷がある Emerg Med Clin North Am. 2018 Feb;36(1):181-202. ・ Hard signを認めたら CTは撮影せずに, すぐに⼿術室で外科的⽌⾎︕ ・ Hard signを認める時に初療室で⾏うことは 「気道確保」と「圧迫⽌⾎」のみ︕

  • 10.

    Hard sign ・ 気道緊急︓甲状軟⾻や輪状軟⾻の変形/露出 ⼤量喀⾎, 創部からの気泡 ・ 進⾏性の広範囲⽪下気腫 ・ 拍動性の⾎腫, thrill ・ ショックを伴う外出⾎ https://basicmedicalkey.com/exploration/ ・ 閉塞性ショックの所⾒︓頸静脈怒張, 気管偏位など

  • 11.

    Hard signを認めたら ・ 気道がメインなら「⽿⿐咽喉科」か「呼吸器外科」 ⾎管損傷がメインなら「⼼臓⾎管外科」にコンサルト ・ ABCを安定化させてオペ室へGo! ① A/B︓気道確保の注意点は︖ ② C︓救急医に出来る⽌⾎法は︖

  • 12.

    A/B: 気道確保の注意点は︖ ・気管・気管⽀損傷は頸部刺創の最⼤20%に出現 Emerg Med Clin North Am. 1998 Feb;16(1):85-105. ・⽪下気腫を伴う頸部外傷は 喉頭・気管断裂の可能性あり ・不⽤意な気管挿管でチューブが断裂部から逸脱 →気道を完全閉塞する危険性がある︕ ・⾮開放性気管損傷 気管⽀ファイバーによる損傷部位・形態の確認 ファイバーを気管損傷部位の末梢まで挿⼊ それをガイドに挿管チューブを進める Ann Thorac Surg. 1979;28:384-391

  • 13.

    A/B: 気道確保の注意点は︖ ・筋弛緩の使⽤により気道の完全閉塞を起こしうるので ファイバースコープ使⽤下の意識下挿管をすべき ・ZoneⅡ/Ⅲなら, 緊急的に頸部前⾯を切開して 輪状甲状靭帯切開を選択することや 断裂部からの気管挿管を選択することもある CJEM. 2015 Jan;17(1):89-93.

  • 14.

    A/B: 気道確保の注意点は︖ ・ZoneⅠの気管損傷では迷⼊しているかが分からない 気管⽀ファイバー使⽤に加え ワンサイズ径の⼩さいチューブを使⽤することを検討 ・バッグバルブマスク換気は⽪下気腫を増悪させ 気管偏位を悪化させる可能性があるため 最⼩限に留める必要がある

  • 15.

    C: 救急医に出来る⽌⾎法は︖ ・まずは⽤⼿的な圧迫⽌⾎︕ ・尿道バルーンを⽤いた圧迫⽌⾎もある ・戦場では⽤⼿よりもバルーンの⽅が死亡率低下 ⼀定の圧⼒を持続的にかけることができるためか︖ 基本は静脈の⽌⾎⽤だが動脈の⽌⾎もできる J Trauma Acute Care Surg. 2013 Aug;75(2):220-4.

  • 16.

    尿道バルーンによる⽌⾎ ①16Fr or 18Frのバルーンを傷⼝から挿⼊ ②出⾎が⽌まるまでバルーンを膨らませる (10-15ml 蒸留⽔を⼊れる) ③カテーテルをクランプ (ルート内から出⾎しないように) ④創部を縫合する Ann R Coll Surg Engl. 2018 Jan;100(1):6-11.

  • 17.

    尿道バルーンによる⽌⾎ ・バルーン1つで⽌⾎が得られない場合 慎重に2つ⽬追加 ・応⽤編︓ ZoneⅠでも傷⼝から挿⼊後 牽引すれば鎖⾻下静脈の⽌⾎ができる J Trauma Acute Care Surg. 2013 Aug;75(2):220-4.

  • 18.

    C: 救急医に出来る⽌⾎法は︖ ・外傷CPAなど その場で出⾎源を特定したい場⾯では Local Wound Exploration(LWE)が有⽤ 本来hard signがある時は⼿術室直⾏だが ⾃分でやるしかない時どうやってやる︖︖

  • 19.

    Local Wound Explorationの⼿順 胸鎖乳突筋前縁に⽪膚切開を⼊れる

  • 20.

    Local Wound Explorationの⼿順 胸鎖乳突筋が露出

  • 21.

    Local Wound Explorationの⼿順 胸鎖乳突筋を牽引し, ⾎管鞘を開く

  • 22.

    Local Wound Explorationの⼿順 顔⾯静脈を結紮, 切離する

  • 23.

    Local Wound Explorationの⼿順 内頸静脈を牽引すると, 総頸動脈が露出

  • 24.

    Local Wound Explorationのポイント ・内頸静脈は修復できればするが 修復困難 or ショック状態なら躊躇せず結紮する ・出⾎が致死的な場合は総頸動脈結紮もやむなし ・外頸動脈は結紮しても良い J Cardiovasc Surg (Torino). 2000 Jun;41(3):423-31. ・頸動脈前⾯には「迷⾛神経」 内頸動脈近位部前⾯には「⾆下神経」が⾛⾏ 損傷しないよう注意して処置を⾏う

  • 25.

    ⽌⾎するのはもちろん⼤事だが… ・頸部刺創の死亡率は5% ・制御不能な出⾎による死亡が20% 残る約80%が脳梗塞による死亡!! Emerg Med Clin North Am. 2018 Feb;36(1):181-202. やはり迅速な⾎⾏再建を意識した マネージメントが⼤事︕

  • 26.

    頸部刺創のマネージメント 頸部刺創 (広頸筋の損傷) hard sign or 循環不全 No 気道確保 圧迫⽌⾎ Yes CT angiography Negative 外科的修復 Positive ⾎管造影 気管⽀鏡 ⾷道内視鏡 Positive 経過観察 (⾷道造影検討) Ann R Coll Surg Engl. 2018 Jan;100(1):6-11.

  • 27.

    頸部刺創のマネージメント ・頸部⾷道損傷は無症候性であることが多い Clin Otolaryngol. 2012 Feb;37(1):44-52. ・縦隔炎を合併すると死亡率が⾼まる J Trauma. 2001 Feb;50(2):289-96. ・造影CTで⾷道損傷の感度は53% Thorac Surg Clin. 2007 Feb;17(1):63-72. ・CTで所⾒がなくても「⾷道造影」を検討 ⾷道内視鏡は感度ほぼ100%なので代⽤可 World J Surg. 2015 Jun;39(6):1363-72. 1A︓⾷道の線状裂創 J Pediatr Surg Case Rep. 2018 Aug;35:21-25.

  • 28.

    頸部刺創のマネージメント hard signに加え soft signも有⽤ 「soft sign」 少量の喀⾎, 中咽頭の⾎液, 呼吸困難, 嚥下障害, 発声障害, 拡⼤傾向のない⾎腫, 胸腔ドレーンのエアリーク, ⽪下気腫, ⾎管雑⾳ 上記を認めたら 創部縫合だけでなく, CTなどの精査を検討

  • 29.

    ⼊院後のマネージメント ・挿管チューブの留置は修復部の炎症の原因 穿通性外傷による気管損傷は平均2⽇ 鈍的外傷は平均5⽇で抜管する Ann Thorac Surg 1998; 65: 182-86 ・頸動脈損傷修復術後は 出⾎がなければ抗凝固療法を開始する 術直後はヘパリン, 数⽇後から抗⾎⼩板薬2剤 ⽇外傷会誌 2019; 33: 45-49

  • 30.

    Take Home Message • 頸部の解剖は3つのZoneに分けて考える • Hard signを認めたら、気道確保と⽌⾎︕ • 頸部からの出⾎はとにかく圧迫⽌⾎︕ • 脳梗塞を起こさぬ様、迅速に⾎⾏再建へ

0 件のコメント

コメントするにはログインしてください >

Dr.クルクル@救急&ICUさんの他の投稿スライド

「防ぎえた死」から救命せよ!ダメージコントロール戦略 誕生秘話〜外傷診療の歴史と変遷〜

#DC #外傷死の三徴候 #ダメージコントロール #大量輸血療法 #ダメージコントロール手術 #止血 #ダメージコントロール蘇生 #防ぎえた外傷死

36

5,810

最終更新:2023年3月20日

ドクターヘリによる迅速な医療介入により救命し得た 硫化水素中毒の1例

#亜硝酸ナトリウム #ドクターヘリ #症例共有 #ノックダウン現象 #硫化水素中毒 #嗅覚神経麻痺

22

6,760

最終更新:2023年5月18日

Difficult Airway Management 気道緊急!挿管困難!次の一手を打てますか?

#輪状甲状靭帯切開 #Lemons #McGRATH #リバース #Cormack分類 #Mallampati分類 #CVCI #AWS #換気困難 #挿管困難 #カプノグラム #ラリンゲルマスク

69

7,190

最終更新:2023年5月23日

もっと見る


診療科ごとのスライド

内科(390)

消化器内科(58)

循環器内科(77)

呼吸器内科(79)

血液内科(34)

糖尿病内分泌代謝内科(51)

腎臓内科(32)

アレ膠リウマチ内科(31)

脳神経内科(98)

総合診療科(161)

救急科(353)

外科(35)

消化器外科(2)

呼吸器外科(3)

乳腺外科(0)

整形外科(84)

脳神経外科(16)

泌尿器科(21)

形成外科(21)

皮膚科(27)

眼科(19)

耳鼻咽喉科(13)

歯科口腔外科(9)

リハビリテーション科(10)

心臓血管外科(5)

小児科(50)

産婦人科(47)

精神科(62)

放射線科(53)

麻酔科(13)

緩和ケア科(23)

感染症科(206)

産業医(8)

初期研修医(373)

医学生(16)

その他(310)


Antaa Slide Post Banner
今すぐ投稿
Antaa Slide Post Banner今すぐ投稿

Antaa Slide

医師・医学生のためのスライド共有

投稿者インタビュー
Antaa QA

医師同士の質問解決プラットフォーム

App StoreからダウンロードGoogle Play Storeからダウンロード

会社概要

Antaa, Inc. All rights reserved.