総合病院
その症状は点眼薬の影響かも!?~点眼薬が全身に与える影響~
#眼科 #アトロピン #点眼薬 #β遮断薬 #炭酸脱水素酵素阻害薬 #α2受容体作動薬
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最終更新:2022年3月14日
健康診断で要精査 高血圧の対応方法
#プライマリケア #総合診療 #研修医 #プライマリ・ケア #内科 #高血圧 #腎血管性高血圧 #睡眠時無呼吸症候群 #健康診断
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最終更新:2023年3月20日
<東京北総合診療/プレゼン部>インストラクショナル・デザイン
#総合診療 #教育 #プレゼン #インストラクショナルデザイン #東京北プレゼン部 #東京北総診 #ロールキャベツ系総診 #東京北医療センター #レクチャー
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最終更新:2023年3月20日
健康診断で要精査 脂質異常症の対応方法
#プライマリケア #総合診療 #研修医 #脂質異常症 #健康診断
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最終更新:2023年3月19日
急性腹症の画像診断
#急性腹症 #鼠径ヘルニア #大腿ヘルニア #nomi #内ヘルニア #絞扼性腸閉塞
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最終更新:2023年3月18日
J-OSLERことはじめ
#症例登録 #退院サマリ #J-OSLER #ローテート #専門研修 #研修手帳 #疾患群 #病歴要約 #初期研修
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最終更新:2023年3月16日
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外来デビュー前に知っておくべき 糖尿病網膜症 ぐちょぽい 眼科専⾨医 Twitter: @guchopoi
本スライドの対象者 ✔ 眼科後期研修医 ✔ 眼科に興味のある研修医 ✔ 糖尿病診療に関わる内科医 ⽇本では糖尿病が増加傾向で、成⼈の有病率は約10%です1)。 糖尿病患者の約4%/年に網膜症が発症し、有病率は約38%と⾔われています2)。 以上のように糖尿病網膜症は頻度が多く、眼科外来での定期的な診察が⼤切ですので 眼科外来をする上で網膜症の知識は必須となります。 外来をする上で最低限知っておくべき知識を本スライドに詰め込みました。 1) ⼤泉俊英ほか: 地域住⺠を対象とした疫学研究(2): ⽇本⼈における糖尿病の実態-⾈形町研究から-. あたらしい眼科, 2004 2) Kuzuya T, et al: Prevalence of chronic complications in Japanese diabetic patients. Diabetes Res Clin Pract, 1994 2
⽬次 Agenda 01 糖尿病網膜症の基本事項 4 02 ⾎糖管理と網膜症治療 13 03 糖尿病⻩斑浮腫 17 3
4.
糖尿病網膜症の基本事項
5.
糖尿病網膜症の病態 ⽑細⾎管の構造 網膜⽑細⾎管は窓構造を持たず、内⽪細胞が 密に結合することで、⾎中の物質が網膜や硝 ⼦体内へ移⾏することを制御している。 これを内側⾎液網膜関⾨(inner blood retinal barrier)と呼ぶ。 糖尿病患者では、網膜⽑細⾎管が障害される ことで糖尿病網膜症を発症する。 障害された網膜⽑細⾎管では内⽪細胞・周⽪ 細胞の異常や基底膜の肥厚を認める 5
6.
糖尿病網膜症の病態 ⾎管内⽪細胞・周⽪細胞の異常、基底膜の肥厚 ⾎管透過性亢進、⾎管閉塞(虚⾎) ⾎管新⽣ 6
7.
糖尿病網膜症におけるVEGF発現誘導 網膜虚⾎が起こるとhypoxia-inducible factor(HIF)の活性化に伴い⾎管内⽪細胞増 殖因⼦(VEGF)が誘導される。 網膜虚⾎ VEGF ⾎管透過性亢進 糖尿病⻩斑浮腫 ⾎管新⽣ 増殖糖尿病網膜症 VEGFは網膜⾎管内⽪細胞に作⽤して⾎管透過 性を亢進するだけでなく⾎管新⽣を促進する。 VEGFの発現には虚⾎だけでなく⾼⾎糖や炎症 性サイトカインなど様々な因⼦が関与する。 7
8.
糖尿病網膜症の分類 本邦で⽤いられる主な分類としては以下の3つが挙げられる。 • Davis分類 • 新福⽥分類 • 国際重症度分類 たくさんあってややこしいので、初学者はまずDavis分類を理解すれば良 いと思うよ。 シンプルで覚えやすいし、糖尿病眼⼿帳でもこの病期を記載するよ。 ただし、治療介⼊後でも病期は変わらないので活動性の評価ができないと いう⽋点があるので注意。活動性の評価には新福⽥分類が有効だよ。 8
9.
Davis分類3) 単純糖尿病網膜症 ⽑細⾎管瘤(MA) 硬性⽩斑 軟性⽩斑 増殖前糖尿病網膜症 網膜内細⼩⾎管異常(IRMA) 静脈数珠状(ビーズ状)拡張 増殖糖尿病網膜症 新⽣⾎管 線維⾎管組織(増殖膜) 硝⼦体出⾎ 牽引性網膜剥離 内側⾎液網膜関⾨の 破綻を反映 網膜の虚⾎を反映 ⾎管新⽣を反映 3) Davis MD: Diabetic retinopathy. In: LʼESPERANCE FA(Ed) : Current diagnosis and management of chorioretinal diseases. CV Mosby. St. Louis, 1977 9
10.
単純糖尿病網膜症 単純糖尿病網膜症では⽑細⾎管の異常により、 ⾎管内⽪細胞の増殖が起こり、⽑細⾎管瘤 (MA)を形成する。 また⾎管内⽪細胞・周⽪細胞の異常や基底膜 の肥厚に伴い内側⾎液網膜関⾨の破綻が起こ る。それに伴い点状出⾎や、⾎漿内のたんぱ く質の沈着による硬性⽩斑を認める。 10
11.
増殖前糖尿病網膜症 増殖前糖尿病網膜症では⽑細⾎管異常が進⾏ して、虚⾎が起こっている状態。 軟性⽩斑は網膜神経節細胞が虚⾎により浮腫 を起こしている所⾒で、網膜内細⼩⾎管異常 (IRMA)は虚⾎により側副⾎⾏路が形成され ている所⾒である。 静脈の⾎管壁障害による数珠状拡張も認める。 眼底造影検査(FA)では無⾎管野を認める。 11
12.
増殖糖尿病網膜症 増殖糖尿病網膜症では虚⾎によりVEGFが誘 導され、⾎管新⽣が起こっている状態である。 新⽣⾎管は硝⼦体を⾜場に進展して、漏出成 分をもとに増殖膜を形成する。 増殖膜は硝⼦体の収縮とともに網膜を牽引し て牽引性網膜剥離や裂孔原性網膜剥離を⽣じ る。 また、新⽣⾎管が破れることで硝⼦体出⾎を 引き起こす。 12
13.
⾎糖管理と網膜症治療 13
14.
糖尿病網膜症の発症リスク4) HbA1c ⼈数 9年発症率(%) 糖尿病罹病期間(年) ⼈数 9年発症率(%) <6.0 59 5.1 <5 71 8.5 6.0〜7.0 34 11.8 7.0〜8.0 12 25.0 5〜10 14 14.3 8.0≦ 11 45.5 10≦ 31 22.6 HbA1c7%以上、罹患歴10年以上が 網膜症発症の⼤きなリスク因⼦と⾔えるね︕ 4) 安⽥美穂: 久⼭町研究. あたらしい眼科, 2011 14
15.
⾎糖管理による網膜症増悪 急激な⾎糖コントロールが⾏われた場合には糖尿病網膜症の進⾏(early worsening)を認めることがある。 Kumamoto study5)では治療開始時の状態により進⾏率が異なり、⾮糖尿病網 膜症および単純糖尿病網膜症では進⾏がほとんどなかったのに対して、増殖前 糖尿病網膜症では30%、増殖糖尿病網膜症では40%に進⾏が認められた。 内科からの眼科紹介で前増殖網膜症もしくは増殖糖尿病網膜症だった場合。 内科では3ヶ⽉でHbA1c3%以上の是正は避ける。 眼科では無⾎管野の状態に応じて網膜光凝固などの治療を全⾝治療と並⾏して⾏う。 5) Ohkubo Y, et al: Intensive insulin therapy prevents the progression of diabetic microvascular complications in Japanese patients with non-insulin-dependent diabetes mellitus: a randomized prospective 6-year study. Diabetes Res Clin Pract, 1995 15
16.
糖尿病網膜症の治療 糖尿病網膜症に対する最もエビデンスがある治療法は網膜光凝固である。 網膜虚⾎が起こると無⾎管野からVEGFが誘導され、⾎管新⽣を誘発する。 無⾎管野を光凝固することでこれ以上のVEGF誘導を抑えることができる。 眼底造影検査(FA)を⾏い、無⾎管野が3象限以上に存在する増殖前糖尿病網 膜症もしくは増殖糖尿病網膜症に対しては汎網膜光凝固が推奨される6)。 また、1乳頭経以上の無⾎管野に対しては選択的網膜光凝固を⾏うことで増殖 糖尿病網膜症への進⾏を予防することができる。 6) 清⽔弘⼀: 分担研究報告書. 汎網膜光凝固治療による脈絡膜循環の変化と糖尿病⾎管新⽣緑内障のレーザー治療ならびに糖尿病網膜症 の光凝固適応および実施基準. 平成6年度糖尿病調査研究報告書, 1995 16
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糖尿病⻩斑浮腫 17
18.
糖尿病⻩斑浮腫(DME)について 網膜⾎管障害や⾎液網膜関⾨の破綻によって⻩斑部に細胞外液の貯留によっ て浮腫をきたした状態。 また、⾎管障害により放出されるVEGFによって⾎管透過性が亢進することも 原因となる。 単純〜増殖糖尿病網膜症まで全ての病期でみられるので糖尿病患者の急な視 ⼒低下では常にこの疾患を考える必要がある。 著明な⾼⾎糖があると前房⽔の浸透圧変化などで屈折状態の変化が起こる ことがあるよ。視⼒が落ちたと訴える患者で矯正視⼒は良いのに裸眼視⼒ が落ちている場合は⾎糖値による屈折変化の影響も考慮してね。 18
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DME治療において考えるべきこと DMEが遷延すると、⻩斑浮腫が拡⼤したり、硬性⽩斑が⻩斑部に沈着したり することで視細胞障害が起こり、不可逆な視⼒障害を残す。 ⻑期にわたり良好な視⼒を維持するにはDMEを認めた時に早期治療介⼊が重 要である。 治療は基本的には局所薬物療法(抗VEGF薬、ステロイド)だが、症例に応じて レーザー光凝固術や硝⼦体⼿術が有効な例もある。 19
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DMEに対する局所薬物療法 ゴールドスタンダードは抗VEGF薬。 DME発症にVEGFが⼤きく関わっているため有効である。 ステロイドの硝⼦体内注射やテノン嚢下注射も有効であるが、有⽔晶体眼の 場合⽩内障進⾏による視⼒低下が起こるので注意が必要7)。 抗VEGF薬は⾼額なので⾦銭的に継続できない患者さんにも、ステロイドは 有効な選択肢の⼀つになるよ。 7) The Diabetic Retinopathy Clinical Research Network; Elman MJ, et al: Randomized Trial Evaluating Ranibizumab Plus Prompt or Deferred Laser or Triamcinolone Plus Prompt Laser for Diabetic Macular Edema. Ophthalmology, 2010 20
21.
光凝固が有効なDME 左図のように硬性⽩斑が円周状に配列し、 その中央に⽑細⾎管瘤が存在するものを 輪状網膜症と呼ぶ。 この⽑細⾎管瘤からの漏出が⻩斑浮腫の 原因となる。 治療としては網膜光凝固による⽑細⾎管 瘤の直接凝固が有効である。 21
22.
その他の治療が有効なDME ⻩斑前膜を伴う⻩斑浮腫や、肥厚した後部硝⼦体膜を伴い⻩斑部の牽引の強 いようなDMEでは硝⼦体⼿術が有効。 全ての治療に抵抗性の⻩斑浮腫が、⾎糖管理とともに安定したり、腎不全併 発状態患者が透析導⼊とともに改善したりということもしばしば経験するた め全⾝管理も重要である。 22
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Take Home Message ✔ 病期ごとの所⾒を丸暗記するのではなく、何が起きているかを理解する。 単純糖尿病網膜症 ︓⾎液網膜関⾨の破綻 増殖前糖尿病網膜症︓網膜虚⾎ 増殖糖尿病網膜症 ︓⾎管新⽣ ✔ HbA1c7%以上、糖尿病罹患歴10年以上が糖尿病網膜症の発症リスク。 特に増殖前および増殖糖尿病網膜症に対する急な⾎糖管理は網膜症進⾏リスクである。 ✔ 糖尿病⻩斑浮腫の管理が⻑期的な視⼒予後に重要。 ⻩斑浮腫が遷延すると不可逆な視⼒障害をきたすため、積極的に治療を⾏う。 23
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