#4.
ドライアイの基本と症状
#5.
ドライアイの定義と診断基準 定義 ドライアイは様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不 快感や視機能異常を⽣じ、眼表⾯の障害を伴うことがある。 診断基準 Break up time(BUT)5秒以下かつ、⾃覚症状(眼不快感または視機能異常) を有する。 2) ドライアイ診療ガイドライン(https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/dryeye_guideline.pdf) 5
#6.
涙液層の構造 涙の表⾯が油で覆われて、 蒸発するのを防いでいるよ。 6
#7.
病歴聴取のコツ ✔ Most severe symptomを⾒つけるのが重要 ドライアイ患者の中には様々な不定愁訴を挙げる⽅もいらっしゃるので、 最も⾟い症状を確認して、そちらに対してアプローチすると有効である。 ✔ 不定愁訴が多い時は、ひとまずBUTを測定する BUT低下を伴っていた場合にはドライアイ治療をすることで不定愁訴の 改善を得られることがある。 7
#8.
ドライアイと薬剤性⾓膜障害鑑別のコツ ✔ ドライアイでは結膜上⽪障害が⾓膜上⽪障害よりも強い ✔ 薬剤性⾓膜障害では⾓膜上⽪障害が主で結膜上⽪障害は弱い ドライアイ︓結膜障害 ≧ ⾓膜障害 薬剤性⾓膜障害︓結膜障害 < ⾓膜障害 8
#9.
ドライアイを疑う典型的な症状 パソコンをしてい 眼が乾く ると眼が痛くなる 本を読むと眼が ごろごろする 9
#10.
ドライアイっぽくないドライアイの症状 ⾒えづらい 羞明 ⼆重に⾒える 眼の疲れ 虹視症 眼が開けづらい 10
#11.
⾒えづらい(物が⼆重に⾒える) 視⼒検査では1.0の指標が⾒えていても⾒えづらいと訴える時がある。 瞬きした瞬間には1.0の指標が⾒えても、時間とともに涙液層が破綻すると⾼次収 差が増加し、⾒えづらさを感じる。 複視の場合は単眼性と両眼性に分ける。 ・単眼性複視︓ドライアイ、屈折異常、⽩内障など → ・両眼性複視︓眼球運動障害、網膜対応異常など → 眼疾患のことが多い 眼球運動の精査が必要 11
#12.
羞明(まぶしい) 患者が眩しさを訴える場合には眼への光の流⼊量の増加、あるいは光に対す る感受性の亢進が考えられる。 ドライアイでは涙液層の破綻により、表⾯が凹凸となることで光が散乱する ため羞明を引き起こす。 12
#13.
虹視症 電灯や太陽の周りに虹の輪が⾒える症状。 網膜に光が届くまでの経路が濁ったり表⾯ が凸凹となったりすることで、光学的な回 折格⼦が⽣じることが原因となる。 13
#14.
ドライアイの原因とマイボーム腺機能不全(MGD) 14
#15.
ドライアイの原因 原因疾患 涙液分泌量低下 薬剤性、涙腺開⼝部障害、シェーグレン症候群、加齢、⾓膜知覚低下 涙液蒸発亢進 マイボーム腺機能障害、低温・低湿度、瞬⽬減少 コンタクトレンズ装⽤ 涙液分布異常 瞬⽬・眼瞼の異常、結膜弛緩症、翼状⽚・瞼裂斑、結膜浮腫・嚢腫 濾過胞、コンタクトレンズ装⽤、⾓膜⼿術、縫合後 摩擦亢進 眼瞼異常、上輪部⾓結膜炎(SLK)、リッドワイパー症候群、結膜弛緩症 コンタクトレンズ装⽤ ⾓膜上⽪障害 三叉神経⿇痺、糖尿病、薬剤性上⽪障害、加齢、コンタクトレンズ装⽤ 15
#16.
ドライアイの原因 ドライアイは様々な原因で発症するが、ドライアイ全体の86%はマイボーム 腺機能異常(Meibomian gland dysfunction, MGD)によって発症している ことが報告されている3)。 MGDを制する者は ドライアイを制す!! 3) Lemp MA, et al: Distribution of aqueous-deficient and evaporative dry eye in a clinic-based patient cohort: a retrospective study. Cornea, 2012 16
#17.
マイボーム腺機能不全(MGD)とは 上眼瞼 マイボーム腺は眼瞼に存在する⽪脂腺で、涙液の油層を 分泌することで涙液の蒸発を防いでいる。 マイボーム腺の炎症や油による閉塞によってマイボーム 腺機能が低下したものをMGDと呼ぶ。 17
#18.
マイボーム腺機能不全(MGD)の所⾒ 正常のマイボーム腺所⾒ マイボーム腺機能不全(MGD)所⾒ 18
#19.
ドライアイの治療 19
#20.
ドライアイの治療 涙液のどの層に障害 があるかによって治 療薬が異なるよ。 ジクアホソルナトリ ウムはほとんどの層 の障害に有効なので 1剤⽬にオススメだ よ。 ドライアイ研究会(http://dryeye.ne.jp/for-member/research-achievements/tfot/)より許可を得て転載 20
#21.
ジクアホソルナトリウム(ジクアス®) 結膜上⽪から⽔分、ゴブレット細胞からムチン分泌を促 進させる効果がある。 効果が出るには1⽇4〜6回を最低でも2週間使⽤する必 要がある。回数が⾜りない場合には効果が出ないだけで なく⽩⾊眼脂が出る場合もあるので、眼脂の訴えがある 場合にはアドヒアランスを確認する。 点眼がしみる場合はソフトサンティア®などの点眼 をしてからジクアス®点眼をしてもらうと良いよ 21
#22.
レバミピド(ムコスタ®) 膜型ムチン・分泌型ムチンを増加させ、ゴブレット細胞 も増加させる効果がある。 眼表⾯の炎症を抑える効果もあるので、炎症や眼表⾯の 摩擦が原因のドライアイに特に有効。 ⽩い懸濁液で点眼直後は⾒にくく、苦味もある。 涙嚢炎や涙道閉塞を来すこともあるので、眼脂や流涙が 出た際には注意が必要。 22
#23.
ヒアルロン酸ナトリウム(ヒアレイン®) 保⽔と創傷治癒効果があり、⾃覚症状を改善させる効果 があるもののドライアイの根本的な改善は期待しづらい。 0.1%と0.3%製剤があるが、涙液層の安定性については 有意差がない4)。 0.3%のものは粘稠度が⾼くさし⼼地にも影響するため 0.1%から使⽤するのが望ましい。 シェーグレン症候群のような涙液量が減少するドライア イに対しては不適である。 4) ⼭⼝昌彦, 他: Tear Stability Analysis Systemを⽤いたヒアルロン酸点眼液の涙液安定性に対する持続効果の検討.⽇眼会誌, 2011 23
#24.
MGDの治療 軽症 温罨法 眼瞼洗浄(リッドハイジーン) 腺内容部の圧出 抗菌薬+ステロイド点眼 アジスロマイシン(アジマイシン®)点眼 重症 テトラサイクリン内服 24
#25.
Take Home Message ✔ 不定愁訴が多いときには、ドライアイを疑ってフルオレセイン染⾊を試みる。 複数の症状の訴えがあるときはmost severe symptomを確認する。 ✔ ドライアイは涙液の「⽔層、ムチン層、油層」のいずれに異常があっても発症する。 マイボーム腺機能不全(MGD)が原因として多い。 ✔ 治療には涙液の層別治療の考え⽅が重要。 ほとんどの層の異常に対してジクアホソルナトリウムが有効なため第⼀選択となるこ とが多い。 25
#26.
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