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総合病院
外来デビュー前に知っておくべきドライアイ
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最終更新:2022年12月5日
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最終更新:2023年1月30日
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最終更新:2023年1月26日
外来デビュー前に知っておくべき 開放隅⾓緑内障 ぐちょぽい 眼科専⾨医 Twitter: @guchopoi
本スライドの対象者 ✔ 眼科後期研修医 ✔ 眼科に興味のある研修医 ✔ 開放隅⾓緑内障について基礎から復習したい眼科医 ⽇本では40歳以上の5%が緑内障と⾔われています1)。 眼科外来でも緑内障患者を診ない⽇はありません。 外来をする上で最低限知っておくべき知識を本スライドに詰め込みました。 1) Iwase A et al: The prevalence of primary open-angle glaucoma in Japanese: the Tajimi Study. Ophthalmology, 2004 2
⽬次 Agenda 01 開放隅⾓緑内障の基本事項 4 02 視野検査の読み⽅ 10 03 点眼治療の考え⽅ 18 3
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開放隅⾓緑内障の基本事項
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緑内障の定義 「緑内障は、視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を⼗分に下降さ せることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常 を特徴とする疾患である2)。」 定義を読んでもイメージがわかないのでざっくりと 「眼圧によって視神経が障害されて視野が⽋けていく疾患」 と思っておけば良いよ。 2) 緑内障診療ガイドライン(第5版) 5
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緑内障の分類 緑内障 開放隅⾓緑内障 原発開放隅⾓緑内障 閉塞隅⾓緑内障 正常眼圧緑内障 開放隅⾓緑内障は⾼眼圧を伴う原発開 放隅⾓緑内障と正常眼圧緑内障に分け られる。 視神経障害を起こす眼圧には個⼈差が あり、⾼眼圧でも緑内障を起こさない ことや、正常眼圧でも緑内障が進⾏す ることもある。 特に⽇本⼈には正常眼圧緑内障が多い ので眼圧の絶対値では判断できない。 6
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眼圧と開放隅⾓緑内障の頻度 眼圧の正常値は10〜20mmHg。 本邦の調査1)では24mmHgまでの⾼眼圧では頻度に差は無いが、25mmHg以上になると急 激に頻度が上昇していた。 以上のことから、全ての⾼眼圧症を治療する必要は無いが、25mmHg以上の場合は眼圧下降 治療をすべきかもしれない。 (%) 開 放 隅 ⾓ 緑 内 障 の 頻 度 60 50 40 30 20 10 0 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25~ 眼圧(mmHg) 1) Iwase A et al: The prevalence of primary open-angle glaucoma in Japanese: the Tajimi Study. Ophthalmology, 2004 7
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開放隅⾓緑内障に関わる因⼦ 虚⾎ 眼圧 遺伝 緑内障 環境 加齢 8
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緑内障進⾏のステップ 網膜神経線維層の菲薄化 乳頭の変化 視野⽋損 緑内障による視野異常は網膜神経線維の 菲薄化や乳頭変化を起こした後に⽣じる。 緑内障性視野異常を認めるようになった 時点で初めて緑内障と診断して点眼治療 を開始する。 光⼲渉断層計(OCT)の発達により前段階 の異常も評価出来るようになった。 網膜神経線維の菲薄化や乳頭変化がある ものの、視野⽋損が無い症例は前視野緑 内障と呼ばれ、慎重な経過観察が必要で ある。 9
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視野検査の読み⽅ 10
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静的視野検査を読む⼿順 ①検査結果の信頼性を確認する ②グレースケールで全体像を把握する ③トータル偏差、パターン偏差を確認する ④グローバルインデックス、GHTを評価する ⼀つずつ順番に解説していくよ 11
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①検査結果の信頼性を確認する 信頼係数のまとめ 固視不良 偽陽性 偽陰性 20% 15%(SITA) 33%(全点閾値) 33% 上記の値を超える場合には信頼性が不良と判断して再検査 を⾏う。特に初回検査では悪い結果となりやすいので複数 回の検査結果から視野を評価すべきである。 ゲイズドラック また、ゲイズトラックでは被検者の眼の動きを可視化出来 るため、上記の係数と合わせて検査の信頼性を評価する。 12
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②グレースケールで全体像を把握する グレースケールはあくまで視野障害のイメー ジをつかむだけのもの。 結果が統計解析されていないため、グレース ケールで視野障害を判定してはいけない。 患者に⾒せて結果説明をする際に適している。 13
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③トータル偏差、パターン偏差を確認する トータル偏差︓ 視野検査の結果を同年齢の健常者と⽐較して、各点に おける視野障害が有るかを表⽰したもの。 視野障害がある可能性が⾼ければ⾼いほど⿊く塗りつ ぶされる。⽩内障など、緑内障以外の原因で⾒えにく くなっていたとしても、視野障害と判断されることが ある。 パターン偏差︓ トータル偏差で全体的に感度が低下している所があれ ばそこを差し引いて、局所的な異常のみを検出できる。 ⽩内障などで全体的な感度低下がある症例に有効。 14
15.
④グローバルインデックス、GHTを評価する MD(Mean Deviation)︓ トータル偏差の結果を元に正常データとどれくらい乖離があ るかという指標。 複数回の視野検査でのMD値の変化はMD slopeと呼ばれ、緑 内障進⾏判定に有⽤。 グローバルインデックス PSD(pattern standard deviation)︓ パターン偏差の結果と正常データにどれくらい乖離があるか という指数。 前述の通り⽩内障など全体的な感度低下を来す疾患があって も、緑内障性変化を反映することが出来る。 15
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④グローバルインデックス、GHTを評価する GHT(Glaucoma Hemifield Test)︓ 左図のように視野を真ん中で上下に分けて、 上下で視野障害の差を⽐べる検査。 緑内障では上下対称に視野障害が出ることは 稀のため上下の差を⾒ることで緑内障の診断 を⾏う。 図の1と1、2と2という様に同じ数字の範 囲の視野を上下で⽐べることで緑内障性視野 障害の出現を判定する。 16
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緑内障性視野障害の判定基準3) • パターン偏差で最周辺部の検査点を除いてp<5%の点が3つ以上隣接して存 在し、かつそのうち1点がp<1% • PSDがp<5% • GHTが正常範囲外 上記のいずれかを満たす場合に緑内障性視野障害と判定。 OCTや視神経乳頭所⾒と視野障害が対応しているか等を総合的に判断して緑内 障の診断を⾏う。 視神経障害が無かったとしても網膜神経線維の菲薄化や乳頭変化がある場合は 定期的に視野検査を⾏いつつ経過観察を⾏う。 3) Anderson DR et al︓Automated Static Perimetry, 2nd edtion. Mosby, St. Louis, 1999. 17
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点眼治療の考え⽅ 18
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治療の考え⽅ 無治療時の眼圧を最低3回は測定して、ベースライン眼圧を把握する。 眼圧は季節や時間帯によっても変動するため複数回の測定が必要となる。 初回の視野検査は慣れていないため本来よりも悪い結果となっている可能性 があるため、複数回⾏って安定した結果が得られるようになったものをベー スとする。 OCTや眼底カメラを⽤いて⼀度は現状記録を⾏っておくと⽐較のためのベー スとなる。 19
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⽬標眼圧の設定 ベースライン眼圧から20%〜30%下降が基本。 薬物治療開始後も3回は眼圧測定を⾏い評価する。 以下のように緑内障の病期に応じた⽬標眼圧も存在するが、⾼眼圧を伴う緑内障に対 する考え⽅で、正常眼圧緑内障の場合はベースライン眼圧をもとに考える必要がある。 病期 ⽬標眼圧 初期 19mmHg以下 中期(孤⽴暗点、⼸状暗点、⿐側階段) 16mmHg以下 進⾏例(視野⽋損が4分の1以上) 14mmHg以下 20
21.
基本的な点眼治療薬の選び⽅ 1剤⽬ 最も眼圧下降効果の強いプロスタグランジン製剤が勧められる。 2剤⽬以降 βブロッカー、炭酸脱⽔酵素阻害薬、α2刺激薬、ROCK阻害薬などが選択肢となる 眼圧下降が10%以下の場合に効果が無いと判断。 眼圧下降が不良の場合はすぐに追加ではなく薬剤変更を試みる。 21
22.
プロスタグランジン製剤の特徴と注意点 全⾝性の副作⽤は無いが、局所の充⾎、睫⽑の伸⻑、眼瞼や虹彩の⾊素沈着等がある。 副作⽤予防のためには、点眼後の洗眼が勧められるため⼊浴前等に点眼すると良い。 これらの副作⽤は可逆的である。 10%の患者にプロスタグランジン製剤が効かないノンレスポンダーがいる。 ノンレスポンダーの⾒極めには、初めに⽚眼だけ点眼して眼圧下降度合いをみる⽚眼 トライアルも有⽤である。 眼圧下降効果に優れるため開放隅⾓緑内障の第⼀選択薬である。 副経路である経ぶどう膜強膜流出路からの房⽔量を増加させる。 22
23.
Βブロッカー点眼の特徴と注意点 局所の副作⽤はあまり無いが全⾝に作⽤するため喘息や⼼不全、不整脈等に 禁忌である。また、⽚眼に点眼したとしても両眼に眼圧下降効果が出現する。 数ヶ⽉〜1年ほど使⽤していると眼圧下降効果が減弱してくることがある (long-term drift)。 房⽔産⽣を抑制するため、房⽔の産⽣量の多い昼の眼圧下降効果に優れるが、 産⽣量の少ない夜間の眼圧下降は乏しい。 外来受診時の眼圧下降が良好にも関わらず、視野障害が進⾏する場合は夜間 の眼圧が⾼い可能性がある。 23
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炭酸脱⽔酵素阻害薬の特徴と注意点 点眼薬と内服薬が存在する。 点眼薬︓ 全⾝の副作⽤は少ないが、苦味を訴える場合があるのでうがいが有効である。 内服薬︓ 利尿作⽤や低カリウム⾎症、代謝性アシドーシス、⼿⾜のしびれなどの副作 ⽤があり、⾼齢者や腎不全患者では特に慎重に投与する必要がある。 房⽔産⽣を抑制するが、βブロッカーと逆で夜間の眼圧下降に優れる。 24
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α2刺激薬の特徴と注意点 眠気やめまいを⽣じる場合があるので、⻑期間の運転等で危険な場合がある ので注意が必要。 局所副作⽤としては結膜充⾎やアレルギー性眼瞼炎の頻度が⾼い。 脂溶性の点眼のため⾎液脳関⾨が未熟な⼩児には危険な副作⽤を来すことが あるので2歳以下には禁忌である。 房⽔産⽣抑制および経ぶどう膜強膜流出路の促進による眼圧下降効果に加え て神経保護作⽤の報告4)もある。 4) Krupin T et al︓Low-Pressure Glaucoma Study Group︓A randomized trial of brimonidine versus timolol in preserving visual function︓results from the Low-Pressure Glaucoma Treatment Study. Am J Ophthalmol, 2011. 25
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ROCK阻害薬の注意点 α2刺激薬と同じく結膜充⾎やアレルギー性眼瞼炎の頻度が⾼い。 房⽔の主経路である経線維柱帯流出路からの房⽔流出を促進する。 眼圧下降効果だけでなく神経保護作⽤や⾓膜内⽪障害に対する効果にも期待 されている。 26
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Take Home Message ✔ 緑内障の診断基準を理解する。 単なる⾼眼圧症に対しては緑内障点眼は必須では無い。 ✔ 視野検査の結果を読む時は、固視不良や偽陽性、偽陰性を確認する。 初回検査では信頼性の低い結果となっている可能性がある。 ✔ 緑内障点眼の効果判定は慎重に。 ⼀度の眼圧結果だけでを⾒て無闇に点眼を追加しない。 27
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