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まずはこれだけ!放射線治療が役立つ3つの悪性腫瘍

投稿者プロフィール
江口真澄

総合病院

14,358

31

概要

放射線治療が役立つ3つの悪性腫瘍(子宮頸がん、前立腺がん、乳がん)で役立ち、生存率の制御や再発リスクの低下に役立ちます。それぞれの悪性腫瘍について、疾患と治療法の概要と放射線治療による効果について解説します。

◎目次

・TAKE HOME MESSAGES

・子宮頸がんとは

・罹患率

・FIGO分類が改訂

・FIGOⅠB3期を境に治療法が変わる

・放射線治療スケジュール

・骨盤照射

・小線源治療

・治療効果

・術前の診断が重要

・術前化学療法は行わない

・前立腺がんの治療法

・重粒子線治療法

・全国7ヶ所

・前立腺がんは保険診療

・治療成績

・重粒子線治療の注意事項

・乳がんに対する放射線治療

・放射線治療のタイミング

・化学療法を優先

・治療回数は25回から16回へ

・治療効果

本スライドの対象者

医学生/研修医

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テキスト全文

  • #1.

    まずはこれだけ! 放射線治療が役立つ 3つの悪性腫瘍 @江口真澄 放射線治療専門医

  • #2.

    TA K E H O ME ME S S A G E S 1:子宮頸がんはステージ IB3期を境に治療推奨が手術 から放射線治療に変わる。 2:前立腺がんは重粒子線治療 で5年90%の制御が可能。 3:乳がんは温存術後に放射 線治療を行うことで再発リ スクが15.7%減少する。

  • #3.

    子宮頸がんとは 1年間の罹患者数 10978人 1年間の死亡者数 2921人 子宮は上部の袋状の体部と下部の頸部に分けられ、子宮 頸がんはこのうち頸部から発生する。 早期発見できれば円錐切除のみで済み妊孕性も温存でき るが、進行すると治療により妊孕性は保てないため、予 防と早期発見治療が重要。 症状 不正性器出血、進行すると下腹部や腰部の疼痛。

  • #4.

    罹患率 他のがんに比べて若年で罹患することが多い。 30 対万01口人 20 10 0 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-84 85-89 年齢

  • #5.

    FIGO分類が改訂 FIGO分類は子宮頸がんの進行期分類の一つ 主な変更点(FIGO2008→FIGO2018) 画像所見、病理学的所見を加味して総合的に判断。 具体的には IB3期の新設。 IB1:最大径2cm以下、IB2:2cmを超えて4cm以下、IB3:4cm以上 リンパ節転移をⅢC期に位置付けた。 ⅢC1:骨盤リンパ節陽性、ⅢC2:傍大動脈リンパ節陽性

  • #6.

    FIGOⅠB3期を境に治療法が変わる IB1-IB2 およびⅡA期 IB3、ⅡB期以降 広汎子宮全摘 +リンパ節郭清 根治的骨盤照射 +シスプラチンを含む 同時化学療法 +小線源治療 NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology. Cervical Cancer. CERV-4. Version 4.2019

  • #7.

    放射線治療 スケジュール 8月 化学療法 骨盤照射 小線源治療 9月

  • #8.

    骨盤照射 骨盤内リンパ節を含む領域(青 線の枠内)に対して前後左右の 4方向から治療する。 傍大動脈リンパ節転移や腫瘍 の腟方向への浸潤があれば照 射範囲を適宜変更する。

  • #9.

    小線源治療 アプリケーター アプリケーターを挿入して内側から治療する(赤線が高い放 射線が当たっている範囲)。 がんに高い線量を当てつつ、膀胱や直腸の有害事象を低減 することが出来る。

  • #10.

    日本からの報告 治療効果 2008年-2011年 対象:FIGOステージ IB1-ⅣA 患者数:80人 治療法:同時化学放射線治療 (根治的骨盤照射+同時化学療法+小線源治療) 5年局所制御率 94% 全生存率 86% 有害事象:Grade3以上の尿路毒性が1名 Ohno T, et al. J Radiat Res.58.543-551.2017

  • #11.

    術前の診断が重要 術後病理で リンパ節転移陽性または 子宮傍結合織浸潤陽性 根治的骨盤照射 +シスプラチンを含む 同時化学療法 +小線源治療 FIGO ⅡB期以上での広汎子宮全摘は根治治療ではなく、 追加で6-7週間の放射線治療が必要になる。 術前の慎重な病期診断、方針決定が重要。 NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology. Cervical Cancer. CERV-5. Version 4.2019 子宮頸癌治療ガイドライン2017年版(金原出版)P118-121

  • #12.

    術前化学療法は行わない 術前化学療法 +手術 5年無再発生存 69.3% 同時化学放射 線治療 5年無再発生存 76.7% Gupta S, et al. J Clin Oncol.36.1548-1555.2018

  • #13.

    前立腺がんの治療法 手術 放射線治療 ホルモン治療

  • #14.

    重粒子線治療 X線を用いた放射線治療と比較した時の重粒子線治療のメリット 効率的に細胞死を誘導する 放射線はDNAに傷をつけることで細胞死を誘導する。重粒子線治 療は通常の放射線治療に比べて効率的にDNA二重鎖切断を起こす ことで高い殺細胞効果が得られる。 ピンポイントで治療できる X線は物質を突き抜けてしまう性質を持つが、重粒子線は体の深 部で止まるため放射線を当てたいところにピンポイントで当てる ことができる。高い局所制御率と有害事象の低減の両立が可能。

  • #15.

    全国7ヶ所 重粒子線治療は全国7ヶ所で稼働。 陽子線治療は18ヶ所。 山形 群馬 千葉 神奈川 大阪 兵庫 佐賀

  • #16.

    前立腺がんは保険診療 治療回数は12回(3週間)であり、通常 の放射線治療(6-8週間)よりも短期間 で行うことができる。 経済的な負担も少ない。 保険診療として実施する粒子線治療(陽子線治療,重粒子線治療)において推奨される 疾患別治療方針.日本放射線腫瘍学会

  • #17.

    治療成績 前立腺がんは重粒子線治療 で5年90%の制御が可能。 Nomiya T, et al. Radiother Oncol.121.288-293.2016

  • #18.

    重粒子線治療の注意事項 尿路系有害事象 Grade2 4.6% 腸管有害事象 Grade2 0.4% Grade3以上の発生なし 血尿Grad2:症状がある。尿路カテーテル留置/膀胱洗浄を要する。身の回り以外の日常生活動作の制限。 尿閉Grade2:尿路カテーテル/恥骨上カテーテル/間欠的カテーテルの留置を要する。薬物治療を要する。 直腸炎Grade2:症状がある(例:直腸の不快感、血液や粘液の流出);内科的治療を要する。身の回り以外の日常生活動作の制限。 67.9%の患者で治療後1ヶ月時点でPSA(前立腺特異抗原)の 一過性上昇が認められたが、2ヶ月以内に元の値に戻った。 まずは慌てずにPSAの推移を確認することが重要。 Darwis NDM, et al. Cancers.12.589.2020

  • #19.

    乳がんに対する放射線治療 なぜ必要か 根治治療 非浸潤がん、浸潤性乳がんに関わらず乳房部分切除後には全乳房照 射の適応である。 乳房切除術後、腫瘍サイズ、腋窩リンパ節転移を加味して胸壁およ びリンパ節領域に対する放射線治療を行う。 緩和、再発治療 手術不能炎症性乳がんに対しても乳房痛、出血、潰瘍、浸出に対す る放射線治療が行われる。 乳房切除術後の胸壁再発に対する放射線治療により10年局所制御率 79%と報告されている。 Choi HS, et al.Radiat Oncol.14.110.2019 Haffty BG, et al.Cancer.100.252-63.2004

  • #20.

    放射線治療のタイミング 術後薬物療法の必要がなければ20週以内の開始が望ましい 放射線治療の開始時期と局所再発率に相関がないという報告があ る一方で、術後20週を超えると局所制御率も生存率も低下すると いう報告もあり一貫した結論はない。 日本のガイドラインでは、創部が治癒している、術後薬物療法の 必要性がない症例にはできるだけ早期に術後照射を開始したほう がよく、20週以内に開始することが望ましいとしている。 Livi L, et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys.73.365-369.2009 Olivotto IA, et al. J Clin Oncol.27.16-23.2009 Punglia RS, et al. BMJ.340.c845.2010

  • #21.

    化学療法を優先 術後化学療法施行に伴う放射線治療の遅れは許容される 術後化学療法の必要な遠隔再発のリスクが高い場合には、 放射線治療よりも化学療法を優先すべきである。 放射線治療が術後7ヶ月以内に開始されるのであれば化学 療法と放射線治療のどちらを先行しても局所制御率や生存 率は同等。 日本乳癌学会のガイドラインでは術後化学療法が必要にな る遠隔転移リスクのある患者に対しては化学療法を先行さ せることが妥当であると結論している。 化学療法との同時併用は治療効果の上乗せがなく、皮膚炎 や肺臓炎などの有害事象が増加するため推奨されない。

  • #22.

    治療回数は25回から16回へ 乳がんの治療期間はより短期化が進んでいる 50Gy/25回治療に比べて42.56Gy/16回治療では 効果は同等 有害事象は同等もしくは軽微 通院に要する時間や医療費も少なくて済む JCOG0906試験 42.56Gy/16回の治療を受けた患者のうち 75.8%で治療後5年の美容的外観が良好だった。 JCOG;日本臨床腫瘍研究グループ Nozaki M, et al. Jpn J Clin Oncol.51.865-872.2021

  • #23.

    治療効果 温存術後に放射線治療を行うと局所 再発を15.7%リスク低減する。 Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group, et al. Lancet.378.1707-1716.2011

  • #24.

    TAKE HOME MESSAGES 1:子宮頸がんはステージ IB3期を境に治療推奨が手術 から放射線治療に変わる。 2:前立腺がんは重粒子線治療 で5年90%の制御が可能。 3:乳がんは温存術後に放射 線治療を行うことで再発リ スクが15.7%減少する。

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