テキスト全文
フルニエ壊疽の症例紹介と診断の流れ
#3. Case: 90代女性 施設入所中の90代女性. 発熱と意識障害があり救急搬送された.
CTスカウト像と単純CTの重要性
#7. Question 診断は? ①: 腹腔内膿瘍 ②: 消化管穿孔 ③: フルニエ壊疽 ④: 蜂窩織炎 7
フルニエ壊疽のキー画像とガス像の特徴
#13. キー画像 会陰部周囲にガス像 会陰部皮下や筋間などに 広範な脂肪織混濁+ガス像 13
フルニエ壊疽の診断基準とメッセージ
#14. 診断 フルニエ壊疽(壊死性筋膜炎) 14
#15. TODAY’S MESSAGE 会陰を主体とするガス像を認めた場合には, フルニエ壊疽を考慮しよう.
フルニエ壊疽の定義と症状・治療法
#16. フルニエ壊疽とは? フルニエ壊疽の画像診断
#17. フルニエ壊疽とは? フルニエ壊疽の画像診断
#18. フルニエ壊疽(Fournier 1,2) gangrene) Ø 会陰部に生じる壊死性筋膜炎の 亜型のこと. Ø 特発性のほか,肛門周囲膿瘍, 痔瘻,消化管穿孔などの疾患に 伴う感染を契機として発症する. Ø 会陰部から鼠径,腹壁,大腿, 後腹膜腔などに急速に広がる. Ø 死亡率が高く(15-50%)2),早期 の介入が必要な疾患. 18
#19. 2) フルニエ壊疽の危険因子 Ø男性 > 女性 Ø糖尿病(40-60%) Øアルコール多飲 その他には,尿道カテーテル留置や外傷,悪性腫瘍, 外科手術・放射線治療の既往,HIV感染など.
#20. フルニエ壊疽(Fournier gangrene)の症状・治療 Ø 会陰部の疼痛や発赤,腫脹, 腐敗臭を伴う浸出液などの症状 を呈する. Ø 治療は外科的なデブリードメント や抗菌薬投与など. Ø 早期診断のほか,画像による 正確な進展範囲の把握が重要. 次のスライドはショッキングな写真ですので,閲覧にご注意ください. 20
フルニエ壊疽の画像診断手法の比較
#21. フルニエ壊疽(Fournier gangrene)の症状・治療 Ø 会陰部の疼痛や発赤,腫脹, 腐敗臭を伴う浸出液などの症状 を呈する. Ø 治療は外科的なデブリードメント や抗菌薬投与など. Ø 早期診断のほか,画像による 正確な進展範囲の把握が重要. 図は文献3より引用 21
#22. フルニエ壊疽とは? フルニエ壊疽の画像診断
#23. フルニエ壊疽の画像診断 Ø 単純X線写真 Ø CT(スカウト含む) Ø US などが用いられる. CTの診断能が高く,正確な進展 範囲を把握するためにも有用. 単純X線写真やスカウト像は CTの撮影範囲決定に役立つ.
CTによるフルニエ壊疽の詳細な診断
#24. フルニエ壊疽の画像診断(単純X線写真・スカウト) Ø 会陰部や陰嚢の軟部組織腫大. Ø 皮下気腫による不整な透亮像. Ø 広範囲を一枚で評価することが でき,およその範囲推定に有用. Ø 深部ガスの検出は難しい. 単純X線写真でガスがなくても フルニエ壊疽は除外できない. 文献2より引用 24
#25. 1-3) フルニエ壊疽の画像診断(CT) Ø 感染は,会陰部から陰嚢,陰茎, 鼠径,腹壁(前方),臀部,大腿部 (後方)などの広範囲に進展する. 文献2より引用 Ø CT: 非対称性筋膜肥厚 脂肪織混濁像,液体貯留 皮下・筋間にガス像(90%) を認めるほか,肛門周囲膿瘍 など,原因疾患の検索にも有用. 25
#26. フルニエ壊疽の画像診断(CT) 陰嚢腫大と脂肪織混濁 会陰部〜右大腿背側の 左後腎傍腔までガスが 脂肪織混濁・ガス像 進展 広範囲の撮影を 陰嚢背部のガス像 文献3より引用 文献2より引用 文献2より引用 26
診断の流れとスカウト像の重要性
#27. 今回の症例で診断の流れを復習!! スカウト像 会陰部周囲にガス像あり 広めに撮影しておこう!! 27
#28. 今回の症例で診断の流れを復習!! 会陰部,腹壁,仙骨部,臀部,大腿,後腹膜腔などに脂肪織混濁+ガス像 仙骨部の褥瘡を侵入門戸としたフルニエ壊疽と考えられた. 28
#29. TODAY’S MESSAGE 会陰部を主体とするガス像を認めた場合には, フルニエ壊疽を考慮しよう.
#30. Ø フルニエ壊疽を臨床的に疑った場合,単純X線写真やスカウト像でガス像 をチェックし,CTはスカウトのガス像よりも十分に広い範囲 を撮影するようにしよう.
参考文献と画像診断クイズの紹介
#31. 参考文献 1. 福田健志ら. 【読影に必要な異常ガス像の画像診断】骨・軟部・脊椎. 臨床画像. 2014;30(10):1128-1140. 2. Levenson RB, et al.Fournier Gangrene: Role of Imaging. RadioGraphics. 2008;28(2):519-528. 3. Avery LL, et al. Imaging of Penile and Scrotal Emergencies. RadioGraphics. 2013;33(3):721-740.