テキスト全文
喀血治療の対象者と目的
#1. Slide Design Edited by Masahiro Hamashima
#2. はじめに 対象者 • 研修医 • 喀⾎を診る機会のある救急医・総合診療科医 • すべての呼吸器科医 • 喀⾎に少しでも関⼼のある医師・医学⽣ コンセプト • 典型的な症例を深掘りし、BAEの具体的イメージを掴む。 • 現在の我が国の喀⾎治療の問題を浮き彫りにする、 患者さんからのお⼿紙2通もご紹介します。
BAEの基本原理と適応
#4. BAE: Bronchial Artery Embolization 喀⾎ に 対 す る 気管⽀動脈 を ふ く め た systemic artery 全 般 の 動 脈 塞栓術 。 肺動脈は含まない Just like 喀⾎に対する塞栓術のいわば代名詞
#5. 喀⾎重症度分類 with ⼊院適応&BAE適応 分類 喀血量 による定義 備考 入院加療 BAE 重症喀血 200ml/日以 上 または酸素飽 和度90%以下 絶対適応 絶対適応 中等症喀血 200ml/日未 満、15ml/日 以上 ティシューで 処理できない量 相対適応 相対適応 軽症喀血 15ml /日未満 ティシューで 処理可能 外来レベル 慎重適応 (コップ一杯) (大匙一杯) ⽯川試案︓⾎管病変と肺病変 -⾎痰,喀⾎のoverview. 呼吸器ジャーナル 70 : 560-571, 2022.
#6. BAE の 根本原理 気管⽀動脈 Ishikawaカテ 気管⽀動脈-肺動脈 シャント 肺動脈 Ishikawaカテは当院オリジナルカテ 異 常 な 気 管 ⽀ 動 脈 - 肺 動 脈 シ ャ ン ト を 塞栓 に よ り 元から絶つ 気管⽀動脈以外の体動脈を含む
気管支動脈の異常とカテーテル
#8. 左右気管⽀動脈 ( 共 通 幹 ) 気管⽀動脈の⼀例 左 が 異常 右 が 正常 正常な気管⽀動脈は1.0mm径以下 であり蛇⾏も少ない。 左気管⽀動脈の拡張蛇⾏ぶりがよくわかる。 胸部外傷後気管⽀拡張症 使⽤カテAL1 (左冠動脈⽤)
#9. 異所性気管⽀動脈 気管⽀動脈の⼀例 右鎖⾻下動脈から分岐する 右気管⽀動脈。 気管⽀動脈は、variationが豊富である。 CTアンギオがなければ⾒逃しがち。 Nakataniカテも当院オリジナルカテ ⾮結核性抗酸菌症 使⽤カテ Nakataniカテ (鎖⾻下動脈⽤)
特発性喀血症の症例紹介
#10. Case01 基礎情報 ・78歳 男性 東京都在住 • 既往歴:70歳時、虚⾎性⼼疾患に対しPCI • 喫煙歴:Ex-smoker 20本X12年 • 基礎疾患:なし(特発性喀⾎症) 現病歴 喀⾎があり、⼆つの東京の⼤学病院の呼吸器科と放射線科に かかりCTアンギオまで撮ったが、BAEは脊髄梗塞リスクあり walk-inでは無理。救急搬送時しかできないと。 ⾃らネットで当院を発⾒し、当院喀⾎・肺循環センターを受診。
#11. 症例 ( 特 発 性 喀 ⾎ 症 ) 出⾎像を⽰す浸潤影とスリガラス影 右気管⽀動脈1本のみが喀⾎の原因であった
#12. 出症例 ⾎ の C( T画 特像 発性喀⾎症) 出⾎像はスリガラスを伴う浸潤影またはスリガラス影のみ。 気管⽀内に凝⾎塊が⾒えることもある。 これらの陰影がその後完全消失することも出⾎像である傍証となる。
気管支動脈造影と塞栓術の手法
#13. 気管⽀動脈造影 DSA 気管⽀動脈のCTアンギオ 気管⽀動脈造影 気管⽀動脈造影 (DSA) 通常の気管⽀動脈造影とDSAとCTアンギオの対⽐
#14. コイル留置中 超選択的塞栓術=super selective embolization=マイクロカテーテルを使⽤した塞栓術 マイクロカテーテル コイル ガイディングカテーテルからマイクロカテーテルをターゲット⾎管内に挿⼊して、コイルを留置する。
#15. マイクロ カテーテルから の造影剤 気管⽀動脈に 留置済みの コイル コイルより末梢には 造影剤がいかない =閉塞した 全体像 ガイディングカテは気管 ⽀動脈から外している マイクロ カテーテル 喀⾎関連⾎管1本のみ。 27分で終了。 拡⼤像
症例2の基礎情報と経過
#16. 症例(特発性喀⾎症) プラチナコイル は ⾮磁性体 で あ り 、 M R I 対応 で す 。 Platinum Coil 術後胸部レントゲン
#18. Case02 基礎情報 ・75歳 男性 • 既 往 歴 : 56歳時、バリウムによる誤嚥性肺炎 現病歴 2015年1⽉より喀⾎があり、九州の5施設を受診した 末に、喀⾎・肺循環センターにご紹介となった。
CTアンギオとその報告
#19. 術前胸部レントゲン 過去に誤嚥した バリウム
#20. CTangio バリウム貯留部は気管⽀拡張症になっている。
#21. CTアンギオ報告書 CTアンギオで推定した 喀⾎関連⾎管を、 重要性により3段階に重み付け。 ⼤動脈の潰瘍やプラーク、 ⼤腿動脈などの屈曲蛇⾏ (あればロングシースを使⽤) 、 喀⾎関連⾎管の⼊⼝部狭窄などの リスク因⼦も記載しone-pagereportにまとめている。
患者からの手紙と脊髄梗塞
#22. 患者さん からの ⼿紙② 公開のご許可をいただいています。
#24. 脊髄梗塞 前脊髄動脈 肋間動脈や腰動脈から 分岐することが多い。 ⼤きいものは Adamkiewicz動脈と呼ばれる。 これの閉塞が、 脊髄梗塞の主たる原因である。
脊髄梗塞のリスクとガイドライン
#25. 脊髄梗塞と塞栓物質 塞栓物質 Coil GS 脊髄梗塞発症率 脊髄梗塞/全体数 0.06% 1/1577 0.18% 12/6561 p=0.04 脊髄梗塞は、 NBCA 0.71% 3/425 全塞栓物質0.19%で、 コイルでは all 0.19% 16/8563 有意に少なかった。 GS: ゼラチンスポンジ(スポンゼルなど) NBCA: n-butyl-2-cyanoacrylate (医療⽤瞬間接着剤) Ishikawa H, Ohbe H, Omachi N, Morita K, Yasunaga H. Spinal Cord Infarction after Bronchial Artery Embolization for Hemoptysis: A Nationwide Observational Study in Japan. Radiology. 2021 Mar;298(3):673-679.
#26. CIRSE BAE ガイドライン 2 0 2 2 • 脊髄梗塞はかつては⾼いものでは6%という報告もあったが、 近年でははるかに減少している(<1%) • コイルは脊髄⾎流を保護する。 CIRSE: Cardiovascular and Interventional Radiological Society of Europe 我 々 の 脊 髄 梗 塞 に つ い て の 論 ⽂ を 引 ⽤ し 、 脊髄梗塞は減少している こ と 、 特 に コイルは脊髄⾎流保護的である こ と を 明 記 し た 。 Kettenbach J, Ittrich H, Gaubert JY, Gebauer B, Vos JA. CIRSE Standards of Practice on Bronchial Artery Embolisation. Cardiovasc Intervent Radiol. 2022 Jun;45(6):721-732.
#27. Hideo Ishikawa1, Yu Yamaguchi1, Takashi Nishihara2, Naoki Omachi1, Ryuge Misaki2, Kazushi Kitaguchi1, Tomoaki Hattori1 1. Hemoptysis and Pulmonary-Circulation Center, Eishinkai Kishiwada Rehabilitation Hospital, Kishiwada City, Japan 2. Department of Respiratory Medicine, National Hospital Organization Kinki-Chuo Chest Medical Center, Sakai City, Japan. BAEテクニックマニュアルが 2023夏創刊の⽇本呼吸器内視鏡学会 英⽂誌 第2号に掲載予定です。
BAEの普及と患者の声
#28. Take Home Message ①脊髄梗塞への恐怖がBAEの普及を阻害している ②コイルでBAEをすれば、脊髄梗塞は全然怖くない この2点を、術後にいただいた患者さんからの2通の⼿紙を通じて解説した。
#29. 今 回 、 協 力 い た だ き ま し た 。