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病態生理で迫る臨床推論⑤ 46歳ふらつき

投稿者プロフィール
わかやま

一宮西

7,548

22

概要

亀田総合病院時代に外部カンファレンスで発表した症例です。症例自体は松波総合病院傍島先生と実際に経験した症例です。医師4年目の時に経験した症例で神経診察>画像検査の大切さを学んだ症例になります。歩行の形式を一緒に何度も再現したのを覚えています。シンプルですが学ぶことの多い症例でした。

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医/専門医

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テキスト全文

46歳男性のふらつきの経過と症状

#1.

46歳男性 ふらつき 一宮西病院総合内科 リウマチ膠原病内科 若山 裕人 〜病態生理で紐解く/脱キーワード診断〜

#2.

【主訴】ふらつき 【現病歴】X年7月8日午前2時に突然の右大腿部のしびれ、ふらつ きが出現。近医受診し頭部MRIを撮影され異常を認めなかった。 7月9日右大腿部のしびれは改善。夕方に“左眼瞼の腫れぼった さ”に気づいた。7月10日歩行時に左に寄ってしまい上手く歩けな いとのことで当院を受診した。 【既存症】高血圧(10年前から内服治療) 【内服歴】カンデサルタン 【アレルギー】なし 【症例】46歳、男性

#3.

X/7/8 X/7/10 【現病歴】 X/7/9 昼からふらつきが増悪。歩行時に左に体寄っていく。 ふらつきのみ残存。しびれは消失。夕方に左眼瞼の腫れぼったさに気がついた。腰部MRIは正常。 午前2時に突然の右大腿のしびれ、ふらつきが出現、救急要請し近医受診。頭部MRIは正常。 再度前医で頭部MRI撮影、精査希望して受診した。

身体診察と初期検査結果

#4.

BT 37.5℃, BP 168/107 mmHg, HR 62 回/分 SpO2 98%(room air), RR 15回/分 左眼が右眼に比較して細い(開きが悪い) 眼球結膜: 黄染なし、充血なし 体表のリンパ節触知しない  頸静脈拍動胸骨角+2cm 心音リズム整, 心雑音なし 呼吸音:清  腹部: 軽度膨満, 軟, 腸雑音30秒間で5回低張な腸雑音聴取 四肢: 浮腫なし ※診察時免許証を確認したが免許証では左右の差はなし 【身体診察】内科専攻医が診察

#5.

脳神経:Ⅰ〜Ⅻ正  対光反射正 感覚:右大腿外側で痛覚・触覚・冷覚が低下  振動覚正 痛覚正 位置覚正 左手の指鼻がやや稚拙 運動:MMT5/5  筋トーヌス正 容積正 不随意運動なし 高次機能:見当識正 記憶正  反射(R/L):下顎- 上腕二頭筋+/+ 橈骨+/+         上腕三頭筋+/+ 尺骨+/+ 膝+/+ 踵-/- 【歩行】左に寄っていきまっすぐ歩けない 足元見ながら歩行する  【身体診察】内科専攻医が診察

#6.

追加の問診や身体所見は?

血液検査と画像診断の所見

#7.

【血液検査 】X/7/10 APTT 19.7 秒 PT-INR 1.02 Dダイマー 6.95 μg/ml ビタミンB12 6.95 μg/ml 亜鉛 80 μg/ml 銅 118 μg/ml

#8.

  【胸部レントゲン/十二誘導心電図】

#9.

【頭部MRI】(7月10日)   頭部MRI 正

#10.

【所見のまとめ】 高血圧の既往のある46歳男性 突然発症の右大腿部の感覚障害 ふらつき 左眼瞼の開きが悪い

鑑別診断と診断方法の考察

#11.

鑑別診断と診断方法は?

#12.

ふらつき 感覚障害 【思考回路】 組み合わせで診断名を想起 その病気に当てはまる・当てはまらない推論 1つ1つの事象の分析が甘く、事実からかけ離れる 左眼瞼の開きの悪さ

#13.

【思考回路】 野球ボールだとすると・・ テニスボールだとすると・・ 大きさ・形・重さ・硬さ等 この物質に関して分析

#14.

【思考回路】 野球ボールだとすると・・ テニスボールだとすると・・ 大きさ・形・重さ・硬さ等 この物質に関して分析

#15.

【診断とは】 ・診断は根拠事象を持って集合を右に進めていく作業。 血小板減少の集合の1例 ・集合は絶対的で互いに重複があってはならない。 ・集合はカテゴリーを意識して作成する。

診断の根拠と症例分析

#16.

【診断とは】 ・事実と解釈の分離を徹底的にする。 例1)胸部CTで2cm程度の腫瘍(解) 例2)骨髄穿刺で白血病細胞あり(解) ・解釈を事実として捉えているような記載の例。    2cm×2cmの境界明瞭・辺縁整・内部30HUの腫瘤(事) 細胞質が赤血球の2倍で薄い紫色で類縁形で核が細胞質の90%程度をしめ核小体が目立つ濃い紫色の細胞を認める(事)

#17.

【診断に関して】 ・診断は病気を当てるゲームではない。 ・診断は患者の体に何が起こっているのかを正確に  把握すること。 ・自分が形態の評価をしているか機能の評価をしてい  るのか意識して診療に当たる。

#18.

#1 高血圧症 #a ふらつき #b 片側性下肢感覚障害 #c 片側性眼瞼狭小化 【プロブレムリスト】 ※プロブレムリストは疾患の開始順とする

#19.

ふらつき ⊃小脳・前庭の異常 ⊃深部覚の異常 ⊃筋力低下(錐体路の異常) 【考察】#a ふらつきに関して

#20.

ふらつき ⊃小脳・前庭の異常 ⊃深部覚の異常 ⊃下肢筋力低下(錐体路の異常) ・振動覚、位置覚正 ・ ・MMT正、腱反射正 【考察】#a ふらつきに関して ・指鼻指試験が稚拙

ふらつきと感覚障害のメカニズム

#21.

【考察】#a ふらつきに関して 脊髄小脳路 同側固有感覚を伝達 側索の外側を上行 脊椎脊髄ジャーナル 33巻11号 

#22.

後角から入って脊髄で交差 脊髄の外側を上行 視床のVPLから感覚野へ 【考察】感覚の経路

#23.

【考察】#b に関して 温痛覚障害⊃脳         ⊃脊髄         ⊃末梢神経

#24.

眼瞼狭小化 ⊃交感神経異常 ⊃動眼神経麻痺 ⊃神経筋接合部疾患 【考察】#c 眼瞼狭小化 に関して

眼瞼狭小化の原因と考察

#25.

【考察】 まぶたを上げる筋肉 挙筋腱膜ー動眼神経 ミュラー筋ー交感神経 

#26.

眼瞼狭小化 ⊃交感神経異常 ⊃動眼神経麻痺 ⊃神経筋接合部疾患 【考察】#c 眼瞼狭小化 に関して ・眼球運動正、対光反射正 ・日内変動なし ・左目の縮瞳

#27.

1次ニューロン 2次ニューロン  3次ニューロン 視床下部から頸髄側角に下降。 内頚静脈の外膜内を海綿静脈洞、上眼眼瞼筋や瞳孔散大筋へ 交感神経節から上顎神経節へ。 【考察】#c 眼瞼狭小化 に関して

#28.

【考察】 これら3系統を同時に障害する病変が中脳~胸髄に存在

延髄外側症候群の診断と経過

#29.

【頭部MRI】7月11日 延髄外側にDWIで高信号

#30.

病因の時間経過 突発性:血管・外傷 急性:炎症・中毒・免疫・代謝  慢性:腫瘍・変性・炎症 再発性:内分泌・脱髄・中毒 【病気の性質に関して】

#31.

X/7/11 X/7/14 【現病歴】 X/7/13 左顔面の温痛覚低下、右半身全体に温痛覚低下としびれ、ふらつきが増悪、嚥下障害が出現。 頭部MRIで延髄外側症候群の診断でDAPT、スタチン開始。 症状は軽快しリハビリを行い7/28に退院となった。

脳幹梗塞のMRI所見と診断の重要性

#32.

【延髄外側症候群】 ①Ⅷ→眼振・めまい ②Ⅸ Ⅹ→球麻痺 味覚障害 ③三叉神経脊髄路→顔面の温痛覚障害 ④下小脳脚→小脳失調 同側の症状 反対側の症状 ⑤ホルネル症候群 ①頸部以下の温痛覚障害 臨床のための神経機能解剖学より引用

#33.

【延髄外側症候群】 Brain, Volume 126, Issue 8, August 2003, Pages 1864–1872

#34.

【延髄外側症候群】 Brain, Volume 126, Issue 8, August 2003, Pages 1864–1872

#35.

【脳幹梗塞のMRIに関して】 ・病変小さい脳幹梗塞は初診時に頭部MRIで偽陰性 になることがある。 ・Thinスライスの冠状断を加えることで検出感度が 向上する。 ・脳幹病変は直径が小さく骨に近くアーチファクト が生じやすい。 Neurology. 1999 Jun 10;52(9):1784-92. Stroke. 2021 May;52(5):1843-1846. AJNR Am J Neuroradiol. 2000; 21:1434–1440

#36.

#1 高血圧症 #a ふらつき →#2 延髄外側症候群 #b 片側性下肢感覚障害(#2) #c 片側性眼瞼狭小化(#2) 【プロブレムリスト】 ※プロブレムリストは疾患の開始順とする

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