テキスト全文
抗菌薬の使い方と目標設定
#1. もっと使いこなす!抗菌薬 〜困った時のMEPMからおさらば〜
#2. こんなことになっていませんか? 研修が始まったばかりでどの疾患でどの抗菌薬を使うかわからない・・・ とりあえずMEPMって言われるけどほんとにこれであってるの?
#3. 本日の目標 そんなお悩みから解決するために問題形式で次々やっていきます!!
ある程度の基礎的なところなので病院や各科の考え方は違うので注意が必要
抗菌薬の選択と重要性
#4. 抗菌薬はnarrow is beautiful!! ・広域抗菌薬の有害事象を防ぐ
・選択した抗菌薬が何をカバーしていないかを 考えることが重要
#5. 今回出てくる抗菌薬 MEPM
TAZ/PIPC
ABPC/SBT
CTRX
LVFX
CEZ
ABPC AMPC/CVA
CCL(ケフラール)
第3世代セフェム
ST合剤
AZM
CLDM
VCM
#6. オグサワって知っていますか? 知っているし、よく使っている
勉強してなんとなく知っている
聞いたことはあるけどよく知らない
なにそれ?美味しいの?
オグサワの理解と使用法
#7. オグサワ=オーグメンチン(AMPC/CVA)+サワシリン(AMPC)≒ユナシン(ABPC/SBT) オーグメンチン配合錠アモキシシリン(AMPC)250㎎、クラブラン酸(CVA)125㎎ アモキシシリン250㎎をあえて足すことで、理想的な比率になる。
Ex)オーグメンチン配合錠RS250mg+サワシリン or アモキシシリンカプセル250mg しかし、最も適切な比率はアモキシシリン500㎎、クラブラン酸125㎎
#8. ある夜の救急外来 今日の朝から身体がだるくてそれでも仕事に行ったんですが咳や鼻水が出て、喉も痛いんです。
家に帰って熱を測ったら38.5℃でした。 COVID-19もインフルエンザ抗原も陰性
まぁ、これは典型的な風邪でしょう
対症療法だな
#9. ここで患者からのひと言 明日も仕事なのですが咳もひどいし抗生物質を出してもらえませんか? さてあなたはどうしますか?
#10. 1.「風邪なので抗生剤なんて必要ないです」と突っぱねる 2.「そうですよね、心配ですよね」と言って第3世代セフェムの 経口抗菌薬を処方する 3.「そうですよね、心配ですよね」と言ってLVFXを処方する 4.ニコっと笑ってハチミツを差し出す。
風邪に対する抗菌薬の考察
#11. 風邪 風邪に対する抗菌薬処方による肺炎での入院を防ぐための治療必要数は12255! 年末ジャンボ4等当選相当、コインを投げて13回連続表で出る確率よりも低いAnn Fam Med 11(2):165-172,2013.
第3世代セフェム(フロモックス®️、セフゾン®️、メイアクト®️)の経口摂取は意味がない⇩生体利用率:フロモックス 35%、メイアクト 16%、セフゾン25%感染症の忽那先生は“だいたい(D)ウンコ(U)”になるDU処方と呼んで経口の第3世代セフェムを使用しないよう啓蒙しています
#12. 風邪 LVFXは緑膿菌に使用できる唯一の経口抗菌薬!抗結核作用があるため結核の診断を遅らせる可能性がある安易に使用しない
はちみつ:眠前のティースプーン1杯程度の蜂蜜でメジコンにも劣らぬ鎮咳作用が期待できるArch Pediart Adolesc Med 161(12):1140-1146,2007.
市中肺炎の診断と抗菌薬選択
#14. 患者:65歳、男性
主訴:発熱、呼吸苦
現病歴:2日前から発熱(最高体温 39.0℃)、呼吸苦があり改善しないため 救急外来を受診した。
既往:高血圧、糖尿病
来院時vital
BT 39.0℃, HR 100 bpm, RR 24 /min, BP 150/90 mmHg, SpO2 90%(RA)⇨94%(NC 2L)
検査所見:WBC 15000/μL, CRP 20 mg/dL
尿中肺炎球菌、尿中レジオネラ抗原ともに陰性
#15. 65歳、発熱、酸素投与が必要、炎症反応上昇、肺炎球菌・レジオネラ陰性
検査結果から市中肺炎と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? TAZ/PIPC
CTRX
LVFX
ABPC
#16. 65歳、発熱、酸素投与が必要、炎症反応上昇、肺炎球菌・レジオネラ陰性
検査結果から市中肺炎と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? TAZ/PIPC⇨❌緑膿菌、嫌気性菌のカバーは基本的に不要
CTRX⇨💮
LVFX⇨❌ 緑膿菌カバー不要、結核をマスクする可能性
ABPC⇨△
#17. 患者:65歳、男性
主訴:発熱、呼吸苦
現病歴:2日前から発熱(最高体温 39.0℃)、呼吸苦があり改善しないため 救急外来を受診した。
既往:高血圧、糖尿病
来院時vital
BT 39.0℃, HR 100 bpm, RR 24 /min, BP 150/90 mmHg, SpO2 90%(RA)⇨94%(NC 2L)
検査所見:WBC 15000/μL, CRP 20 mg/dL
尿中肺炎球菌:陽性
尿中レジオネラ抗原:陰性
#18. 中年、発熱、酸素投与が必要、炎症反応上昇、肺炎球菌陽性・レジオネラ陰性
検査結果から肺炎球菌性肺炎と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? TAZ/PIPC
CTRX
LVFX
ABPC
#19. 65歳、発熱、酸素投与が必要、炎症反応上昇、肺炎球菌陽性・レジオネラ陰性
検査結果から肺炎球菌性肺炎と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? TAZ/PIPC⇨❌緑膿菌、嫌気性菌のカバーは基本的に不要
CTRX⇨○
LVFX⇨❌ 緑膿菌カバー不要、結核をマスクする可能性
ABPC⇨💮
#20. 市中肺炎 原因菌:肺炎球菌インフルエンザ菌黄色ブドウ球菌など⇨CTRX肺炎球菌陽性であればABPC単剤でも可
尿中肺炎球菌、尿中レジオネラ抗原は必須
日本呼吸器学会 成人肺炎診療ガイドライン2017 p10
非定型肺炎と医療関連肺炎の治療
#21. 患者:29歳、男性
主訴:発熱、呼吸苦
現病歴:2日前から発熱(最高体温 39.0℃)、痰はあまり出ないが 咳が強く改善しないため救急外来を受診した。
既往:なし
来院時vital
BT 39.0℃, HR 100 bpm, RR 24 /min, BP 150/90 mmHg, SpO2 94%(RA)
身体所見:聴診で特記所見なし
検査所見:WBC 7300/μL, CRP 5 mg/dL
尿中肺炎球菌:陰性
尿中レジオネラ抗原:陰性
#22. 非定型肺炎 マイコプラズマ属菌
クラミドフィラ属菌
レジオネラ属菌
#23. 一般社団法人日本呼吸器学会「成人市中肺炎診療ガイドライン2007」より転載
#24. 既往のない若年者、痰は少ない、咳嗽強い、聴診で所見なし、軽度炎症反応上昇
非定型肺炎の可能性が高いと判断した。
内科当番に相談し抗菌薬を処方し帰宅させるように言われた。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? フロモックス(第3世代セフェム)
オグサワ(AMPC/CVA)
ケフラール(第一世代セフェム)
ジスロマック(AZM)
#25. フロモックス(第3世代セフェム)⇨💩
オグサワ(AMPC/CVA)⇨非定型肺炎は治療できない
ケフラール(第一世代セフェム)⇨同上
ジスロマック(AZM)⇨💮 既往のない若年者、痰は少ない、咳嗽強い、聴診で所見なし、軽度炎症反応上昇
非定型肺炎の可能性が高いと判断した。
内科当番に相談し抗菌薬を処方し帰宅させるように言われた。
さて、どの抗菌薬を使用しますか?
#26. 非定型肺炎 若年、既往歴やリスクのない患者であれば非定型肺炎の鑑別⇨アジスロマイシン
市中肺炎の考慮してAMPC+AZMでも可
#27. 患者:85歳、男性
主訴:発熱、呼吸苦
現病歴:施設入所中2日前から発熱(最高体温 39.0℃)、呼吸苦ありSpO2測定した ところSpO2 89%(RA)でありあわてて救急要請された。
既往:高血圧、糖尿病、認知症、たびたび肺炎で入退院を繰り返している
要介護:4
来院時vital
BT 39.0℃, HR 100 bpm, RR 24 /min, BP 150/90 mmHg, SpO2 89%(RA)⇨94%(NC 4L)
検査所見:WBC 15000/μL, CRP 20 mg/dL
尿中肺炎球菌:陽性
尿中レジオネラ抗原:陰性
過去の培養で緑膿菌がでたことはない
#28. 施設入所中の高齢者、医療曝露歴あり、肺炎球菌陽性、緑膿菌の検出歴なし
医療・介護関連肺炎(NHCAP)と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? TAZ/PIPC
CTRX
ABPC/SBT
MEPM
#29. TAZ/PIPC⇨❌ 緑膿菌カバーは不要
CTRX⇨❌嫌気性菌カバーはしていた方がよい
ABPC/SBT⇨💮
MEPM⇨❌そこまでBroadにする必要はない 施設入所中の高齢者、医療曝露歴あり、肺炎球菌陽性、緑膿菌の検出歴なし
医療・介護関連肺炎(NHCAP)と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか?
#30. 医療・介護関連肺炎(NHCAP) 日本呼吸器学会 医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン作成委員会,
編:医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン. メディカルレビュー社, 2011.
重症肺炎と敗血症性ショックの管理
#31. 医療・介護関連肺炎(NHCAP) 原因菌としては肺炎球菌やKlebsiella pneumoniaeなどの他にMRSAやESBL産生菌などの耐性菌、緑膿菌などの頻度があがる。
また誤嚥要素がある場合には口腔内嫌気性菌をカバーしなければならない。
#32. 患者:85歳、男性
主訴:発熱、呼吸苦
現病歴:施設入所中2日前から発熱(最高体温 39.0℃)、呼吸苦ありSpO2測定した ところSpO2 89%(RA)でありあわてて救急要請された。
既往:高血圧、糖尿病、認知症、たびたび肺炎で入退院を繰り返している
要介護:4
来院時vital
BT 39.0℃, HR 120 bpm, RR 30/min, BP 80/50 mmHg, SpO2 89%(RA)⇨94%(OM 8L)
検査所見:WBC 35000/μL, CRP 20 mg/dL, Lac 5.0 mmol/L
尿中肺炎球菌:陽性
尿中レジオネラ抗原:陰性
過去の培養でESBL産生菌が検出されている
(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)
#33. 肺炎による敗血症性ショックの高齢者、ESBLの検出歴あり
医療・介護関連肺炎(NHCAP)と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? LVFX
CTRX
ABPC/SBT
MEPM
#34. LVFX⇨❌ 敗血症性ショックの状態のためBroadに
CTRX⇨❌ 同上
ABPC/SBT⇨❌ 同上
MEPM⇨💮 敗血症性ショック、耐性菌もふまえる 肺炎による敗血症性ショックの高齢者、ESBLの検出歴あり
医療・介護関連肺炎(NHCAP)と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか?
#35. 非重症例、耐性菌のリスク低い⇨ABPC/SBT
敗血症or耐性菌のリスクが高い⇨TAZ/PIPC or MEPM 医療・介護関連肺炎(NHCAP)
#37. ESBLにCMZって使用していいの? 状態が悪ければMEPM、TAZ/PIPC状態が悪くなければCMZで治療してよい
MEPM、TAZ/PIPCのどちらを使用するかは院内アンチバイオグラムを参照する
#38. 患者:55歳、男性
主訴:発熱、呼吸苦
現病歴:2日前から発熱(最高体温 39.0℃)、呼吸苦が強く救急要請された。
既往:高血圧、糖尿病
来院時vital
BT 39.0℃, HR 50 bpm, RR 30/min, BP 80/50 mmHg, SpO2 89%(RA)⇨94%(OM 8L)
検査所見:WBC 35000/μL, CRP 35 mg/dL, Lac 5.0 mmol/L
尿中レジオネラ抗原(+)
#39. 中年のレジオネラ抗原陽性の敗血症性ショックで重症肺炎と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? TAZ/PIPC
CTRX
ABPC/SBT
MEPM +LVFX
#40. TAZ/PIPC⇨❌ レジオネラのカバー必要
CTRX⇨Narrowすぎる
ABPC/SBT⇨ ❌ レジオネラのカバー必要
MEPM + LVFX⇨💮 中年の敗血症性ショックで重症肺炎と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか?
膀胱炎と腎盂腎炎の抗菌薬選択
#41. 重症肺炎 重症肺炎の2大原因菌は肺炎球菌とレジオネラ⇨MEPM or TAZ/PIPC or ABPC/SBT + AZM or LVFX
MEPMやTAZ/PIPC。ABPC/SBTを使用することは悪くないが非定型肺炎のカバー必要
#43. 患者:30歳、女性、妊婦
主訴:頻尿、排尿時の痛み
現病歴:3日前から頻尿、排尿時の痛みを訴えて受診 過去に膀胱炎の罹患歴あり、その時と同じようだとの発言あり
既往:なし
来院時vital
BT 36.5℃, HR 100 bpm, RR 24 /min, BP 150/90 mmHg, SpO2 94%(RA)
CVA叩打痛なし
尿検査所見:膿尿(尿沈渣で尿中WBC>10/HPF)+細菌尿(+)
#44. 妊婦、頻尿・排尿時痛、膀胱炎の罹患歴あり、膿尿+細菌尿
膀胱炎と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? メイアクト(第3世代セフェム)
オグサワ(AMPC/CVA)
クラビット(LVFX)
バクタ(ST合剤)
#45. メイアクト(第3世代セフェム)⇨💩
オグサワ(AMPC/CVA)⇨💮
クラビット(LVFX)⇨❌大腸菌の耐性化あり、避けるべき
バクタ(ST合剤)⇨❌ 妊婦に対しては禁忌 妊婦、頻尿・排尿時痛、膀胱炎の罹患歴あり、膿尿+細菌尿
膀胱炎と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか?
#46. 膀胱炎 典型症状は頻尿、残尿感、排尿時痛、尿意切迫感などの膀胱刺激兆候をしめす。
既往がある女性の自己診断は正診率が高い
帯下増加、陰部掻痒感、性交時痛がある際には性感染症を考える。
内服の場合にはバクタ(ST合剤) or オグサワ(AMPC/CVA)
妊婦や妊娠の可能性がある場合にはST合剤やキノロンは避ける
#47. 患者:65歳、男性
主訴:発熱、悪寒、腰背部痛
現病歴:3日前から発熱、悪寒戦慄、右腰の痛みを訴えて受診
既往:高血圧
来院時vital
BT 38.5℃, HR 100 bpm, RR 24 /min, BP 150/90 mmHg, SpO2 94%(RA)
CVA叩打痛(+)
尿検査所見:膿尿(尿沈渣で尿中WBC>10/HPF)、細菌尿(+)、亜硝酸塩(+)
採血検査:WBC 15000/μL, CRP 20 mg/dL
CT所見:右腎の造影不良域あり
#48. 中年男性の敗血症性ショックではない腎盂腎炎と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? TAZ/PIPC
CTRX
LVFX
CEZ
#49. TAZ/PIPC⇨❌ 嫌気性菌、緑膿菌カバー不要
CTRX⇨💮 ただし腸球菌はカバーできていない
LVFX⇨△ 緑膿菌カバー不要
CEZ⇨△ ほとんどが大腸菌のためDe-escalationの候補 中年男性の敗血症性ショックではない腎盂腎炎と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか?
#50. 患者:85歳、男性、施設入所中
主訴:発熱、悪寒、腰背部痛
現病歴:3日前から発熱、悪寒戦慄、右腰の痛みを訴えて受診
既往:高血圧、認知症
来院時vital
BT 38.5℃, HR 120 bpm, RR 24 /min, BP 90/60 mmHg, SpO2 89%(RA)⇨94%(NC 4L)
CVA叩打痛(+)
尿検査所見:膿尿(尿沈渣で尿中WBC>10/HPF)、細菌尿(+)、亜硝酸塩(+)
グラム染色:GPC(+)
採血検査:WBC 15000/μL, CRP 20 mg/dL, Lac 5.0 mmol/L
CT所見:右腎の造影不良域あり
胆嚢炎と胆管炎の治療法
#51. 医療曝露歴のある高齢者の腎盂腎炎による敗血症性ショックと診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? TAZ/PIPC
CTRX
LVFX
CEZ
#52. TAZ/PIPC⇨💮
CTRX⇨❌ 緑膿菌、腸球菌カバーしたい
LVFX⇨❌ 緑膿菌カバーはあるものの、腸球菌カバーなし
CEZ⇨❌ Narrowすぎる 医療曝露歴のある高齢者の腎盂腎炎による敗血症性ショックと診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか?
#53. 腎盂腎炎 膿尿(尿沈渣で尿中WBC>10/HPF)+細菌尿 ただしそのほかの疾患の除外必要
亜硝酸塩は大腸菌の可能性を示唆する
原因のほとんどは大腸菌
医療曝露歴、敗血症性ショック(-)⇨CTRX ただし腸球菌はカバーしていない
医療曝露歴、敗血症性ショック(+)⇨TAZ/PIPC
#55. 患者:45歳、男性
主訴:発熱、右季肋部痛
現病歴:3日前から発熱、食後に増悪する右上腹部の激しい痛みを訴え救急要請。
既往:胆石症
来院時vital
BT 38.5℃, HR 100 bpm, RR 24 /min, BP 120/80 mmHg, SpO2 94%(RA)
身体所見:Murphy徴候(+)
採血検査:WBC 15000/μL, CRP 10 mg/dL
腹部エコー:胆嚢腫大、胆石(+)
腹部CT:胆嚢腫大、胆石(+)、胆嚢壁の肥厚(+)、胆嚢床の早期濃染(+)
#56. 胆嚢炎と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? VCM
CMZ
AZM
ABPC
#57. 胆嚢炎と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? VCM⇨❌ 腸内細菌のカバー必要
CMZ ⇨💮
AZM⇨❌ 同上
ABPC⇨❌ 同上
#58. 胆嚢炎 腸内細菌をターゲットにCMZ
中等症以上であればTAZ/PIPC
ABPC/SBTでも良いが自施設のアンチバイオグラムで大腸菌の感受性が80%以下だと使用しづらい
#59. 患者:55歳、女性
主訴:発熱
現病歴:3日前から発熱、倦怠感も強く救急要請。
既往:胆石症
来院時vital
BT 38.5℃, HR 100 bpm, RR 24 /min, BP 120/80 mmHg, SpO2 94%(RA)
身体所見:眼球結膜黄染+
採血検査:WBC 15000/μL, CRP 10 mg/dL, T-Bil 6.0 mg/dL, D-Bil 5.8 mg/dL, AST 300 U/L, ALT 250 U/L, Γ-GTP 158 U/L
腹部エコー:胆嚢腫大
腹部CT:総胆管拡張(+)、総胆管結石(+)
#60. 胆管炎と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? LVFX
CMZ
TAZ/PIPC
VCM
細菌性髄膜炎の診断と治療
#61. 胆管炎と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? LVFX⇨❌ 嫌気性菌カバーなし
CMZ⇨❌ 腸球菌のカバーなし
TAZ/PIPC⇨💮
VCM⇨❌ GNRのカバーなし
#62. 胆管炎 TAZ/PIPC or ABPC/SBT
カバーすべきは腸内細菌と嫌気性菌
もっとも大事なのはドレナージ
#63. 極論 横隔膜より上ABPC/SBT 横隔膜より下CTRX 肝胆道系
TAZ/PIPC
#64. 患者:30歳、男性
主訴:犬に噛まれた
現病歴:知人の犬を撫でていたところ噛まれたもの
既往:なし
来院時vital
BT 36.5℃, HR 100 bpm, RR 24 /min, BP 150/90 mmHg, SpO2 94%(RA)
身体所見:手に噛み跡あり、止血済み
#65. 動物咬傷の患者
さて、どの抗菌薬を使用しますか? メイアクト(第3世代セフェム)
オグサワ(AMPC/CVA)
クラビット(LVFX)
ケフラール(CCL)
#66. 動物咬傷の患者
さて、どの抗菌薬を使用しますか? メイアクト(第3世代セフェム)⇨💩
オグサワ(AMPC/CVA)⇨💮
クラビット(LVFX)⇨❌
ケフラール(CCL)⇨❌
#67. 人を含む動物咬傷 Pasteurella multocida, Capnocytophaga canimorsus, 連鎖球菌や嫌気性菌のカバーが必要
早期の感染のない創や顔面の傷を除いて一次縫合はしない
AMPC/CVA 3-5日分
#68. 患者:45歳、男性
主訴:発熱、意識障害
現病歴:ホテルの廊下で嘔吐し倒れているところを発見され救急要請された。
既往:不明
来院時vital
GCS E2V2M5
BT 38.5℃, HR 100 bpm, RR 24 /min, BP 120/80 mmHg, SpO2 94%(RA)
項部硬直(+)
採血検査:WBC 15000/μL, CRP 20 mg/dL
髄液検査:やや混濁、圧 250mm、細胞数600(多核球)、タンパク 500mg/dL, Glu 10mg/dL
頭部CT:特記所見なし
#69. 細菌性髄膜炎と診断した。
内科当番に相談し抗菌薬を投与しておくように言われた。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? CTRX+VCM
CTRX+VCM+ABPC
CTRX+VCM+ABPC +ACV(アシクロビル)
MEPM
#70. 細菌性髄膜炎と診断した。
内科当番に相談し抗菌薬を投与しておくように言われた。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? CTRX+VCM ⇨💮
CTRX+VCM+ABPC ⇨△
CTRX+VCM+ABPC +ACV(アシクロビル)⇨△
MEPM⇨❌ 肺炎球菌への感受性が悪い
カテーテル関連感染症の管理
#71. 患者:45歳、男性
主訴:発熱、意識障害
現病歴:ホテルの廊下で嘔吐し倒れているところを発見され救急要請された 本人からアルコール臭(+)で部屋からも大量の酒缶が出てきた
既往:不明
来院時vital
GCS E2V2M5
BT 38.5℃, HR 100 bpm, RR 24 /min, BP 120/80 mmHg, SpO2 94%(RA)
項部硬直(+)
採血検査:WBC 15000/μL, CRP 20 mg/dL
髄液検査:やや混濁、圧 250mm、細胞数600(多核球)、タンパク 500mg/dL, Glu 10mg/dL
頭部CT:特記所見なし
#72. 細菌性髄膜炎と診断した。
内科当番に相談し抗菌薬を投与しておくように言われた。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? CTRX+VCM
CTRX+VCM+ABPC
CTRX+VCM+ABPC +ACV(アシクロビル)
MEPM
#73. 細菌性髄膜炎と診断した。
内科当番に相談し抗菌薬を投与しておくように言われた。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? CTRX+VCM ⇨❌
CTRX+VCM+ABPC ⇨💮 リステリアをカバーする
CTRX+VCM+ABPC +ACV(アシクロビル)⇨△
MEPM⇨❌ 肺炎球菌への感受性が悪い
#74. 髄膜炎 95%の患者で発熱、頭痛、意識障害、項部硬直のうち2つ以上に見られるとされているが高齢者や免疫不全者では1つのこともある
頭蓋内圧亢進が疑われる場合(痙攣、意識障害、神経巣症状)は腰椎穿刺前に頭部CTを撮像する
#75. 細菌性髄膜炎CTRX+VCM50歳以上、妊婦、乳児、免疫不全者、透析患者、大酒家⇨リステリアを考えABPC追加
意識障害、人格変化、幻臭などの側頭葉症状⇨ヘルペス脳炎を疑いアシクロビルを追加する。
#76. 患者:55歳、男性
現病歴:重症肺炎でICUにCV挿入し計2週間入院中の患者、前日から発熱を認める。
既往:高血圧、糖尿病
来院時vital
BT 39.0℃, HR 120 bpm, RR 30/min, BP 80/50 mmHg, SpO2 94%(人工呼吸器管理中)
身体所見:CV刺入部に一致した発赤、腫脹あり
検査所見:WBC 35000/μL, CRP 35 mg/dL
#77. カテーテル関連血流感染症(CRBSI)による敗血症と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? VCM
VCM+CEPM
ABPC/SBT
ABPC
#78. カテーテル関連血流感染症(CRBSI)による敗血症と診断した。
さて、どの抗菌薬を使用しますか? VCM ⇨❌ 敗血症のため緑膿菌を含めたGNRカバー必要
VCM+CEPM ⇨💮
ABPC/SBT⇨❌ 長期留置のためMRSAカバーが必要
ABPC⇨❌ narrowすぎる
#79. カテーテル関連血流感染症(CRBSI) CNSやMSSAで多くはβラクテム耐性菌でMRSAまでカバーするVCMがよい
敗血症⇨VCM+CEPM
Candidaが検出された⇨ミカファンギン
MSSAが検出された⇨ABPC
#80. 患者:35歳、男性
主訴:発熱、右下腿痛
現病歴:自衛隊員、3日前に行軍しその際に右第一趾にささくれができた。 その後から右足が痛くなり発熱も出てきたため受診。
既往:なし
来院時vital
BT 38.5℃, HR 100 bpm, RR 24 /min, BP 120/80 mmHg, SpO2 94%(RA)
身体所見:右下腿の発赤・腫脹・疼痛あり、握雪感や水疱なし
採血検査:WBC 15000/μL, CRP 10 mg/dL
CT:脂肪織濃度の上昇+、ガス像なし
蜂窩織炎と壊死性軟部組織感染症
#81. 既往のない若年者、ガス像もなく蜂窩織炎の診断
抗菌薬は何を使用しますか? フロモックス(第3世代セフェム)
クラビット(LVFX)
ケフラール(第一世代セフェム)
ジスロマック(AZM)
#82. 既往のない若年者、ガス像もなく蜂窩織炎の診断
抗菌薬は何を使用しますか? フロモックス(第3世代セフェム)⇨💩
クラビット(LVFX)⇨❌ 緑膿菌カバー不要
ケフラール(第一世代セフェム)⇨💮
ジスロマック(AZM)⇨連鎖球菌のカバー必要
#83. 患者:85歳、男性
主訴:発熱、右下腿痛
現病歴:1週間前に足をぶつけその部分が黒色に変色、 その後から発熱、腫脹あり救急要請。
既往:DM
ADL:施設入所中
来院時vital
BT 38.5℃, HR 100 bpm, RR 24 /min, BP 120/80 mmHg, SpO2 94%(RA)
身体所見:ぶつけたところは褥瘡になっている 右下腿の発赤・腫脹・疼痛あり、握雪感や水疱なし
採血検査:WBC 15000/μL, CRP 10 mg/dL
CT:脂肪織濃度の上昇+、ガス像なし
#84. 糖尿病のある高齢者、ガス像もなく蜂窩織炎の診断
抗菌薬は何を使用しますか? LVFX
CTRX
ABPC/SBT
CEZ
#85. 糖尿病のある高齢者、ガス像もなく蜂窩織炎の診断
抗菌薬は何を使用しますか? LVFX ⇨❌ 嫌気性菌カバー必要
CTRX ⇨❌ 同上
ABPC/SBT ⇨💮
CEZ ⇨❌ 同上
#86. 蜂窩織炎 原因菌の多くは連鎖球菌
DM等があれば腸内細菌群や嫌気性菌も
通常であればCEZ or CLDM
褥瘡やDMであればABPC/SBT or CTRX+CLDM
#87. 患者:85歳、男性
主訴:発熱、右下腿痛
現病歴:1週間前に足をぶつけその部分が黒色に変色、 その後から発熱、腫脹あり救急要請。
既往:DM
ADL:施設入所中
来院時vital
JCS10
BT 38.5℃, HR 120 bpm, RR 30 /min, BP 80/50 mmHg, SpO2 89%(RA)⇨94%(OM5L)
身体所見:ぶつけたところは褥瘡になっている 右下腿の発赤・腫脹・疼痛あり
握雪感+, 水疱形成+, 褥瘡からは灰色の滲出液あり
採血検査:WBC 15000/μL, CRP 10 mg/dL, pH 7.232, Lac 5.0
CT:脂肪織濃度の上昇+、ガス像+
#88. 高齢男性の壊死性軟部組織感染症(NSTI)でショック状態と診断した。
使用する抗菌薬は? TAZ/PIPC
CTRX
ABPC/SBT
MEPM +CLDM + VCM
#89. 高齢男性の壊死性軟部組織感染症(NSTI)でショック状態と診断した。
使用する抗菌薬は? TAZ/PIPC ⇨❌ 医療曝露歴あり、MRSAカバー必要
CTRX⇨❌ 狭すぎる
ABPC/SBT⇨❌ 緑膿菌カバー必要
MEPM +CLDM + VCM⇨💮
#90. 壊死性軟部組織感染症(NSTI) 循環障害、壊死所見を伴う軟部組織感染症は緊急循環障害:血圧低下、頻脈、アシドーシス、頻呼吸、意識障害壊死所見:皮膚の壊死や水疱、握雪感、灰色の滲出液、斑状出血急速進行や発赤の範囲を超える疼痛も特徴的
抗菌薬使用の結論と注意点
#91. 外科的処置が必須
MEPM+CLDM 医療曝露があればVCM
CLDMトキシン産生抑制、食作用の増強、良好な組織移行性
壊死性軟部組織感染症(NSTI)
#94. 結語 広域抗菌薬はショック状態など大事なところで使用する!
経口第3世代セフェムやLVFXは極力使用しない!
Narrow is beautiful!!