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高齢者の顎関節脱臼の疫学と治療法
#1. 5分でわかる 10秒で治せる あご 脱臼整復 飯塚病院 連携医療・緩和ケア科 石上 雄一郎 2022/08/10 1
#2. 日本の疫学:高齢女性に多い 柴田孝典 2 高齢者の顎関節脱臼の現状と治療法 (再脱臼防止法 )の概要
#3. 日本の疫学:両側の急性/習慣性が多い 柴田孝典 3 高齢者の顎関節脱臼の現状と治療法 (再脱臼防止法 )の概要
顎関節脱臼の症状と原因
#4. 下顎関節突起が関節から前に外れていて 口が閉まらない 4
顎関節脱臼の整復方法と技術
#7. 所見 口が閉まらない 8 関節が空虚 Zweifel DF, Pietramaggiori G, Broome M. Repositioning Dislocated Temporomandibular Joints. New England Journal of Medicine. 2014;370(6):e9.
#9. おすすめ リストピボット法 10 1. 親指をあごに当てる 2. 下顎骨の上に他の指を置く 3. 手首を回転させる 力はほとんどいらない。 女性でも一発で入れることが可能 整復のコツは リラックス & シャクレ 患者に深呼吸してもらってもいい
#10. 昨今の脱臼整復方法(いろいろ) リストピボット法 シリンジ法 ヒポクラテス法 口腔外圧迫法 Oliphant R, Key B, Dawson C, Chung D. Bilateral temporomandibular joint dislocation following pulmonary function testing: a case report and review of closed reduction techniques. Emergency Medicine Journal. 2008;25(7):435-436. doi:10.1136/emj.2007.055038 12
整復方法の比較と推奨手順
#11. 昔ながらの整復方法(ヒポクラテス法) 1親指を患者さんの下顎骨に当てる 2下向きに力を加えてから、 下顎を後方に誘導する 噛まれるリスクが高く 噛まれないように ガーゼを親指に巻く。 13
#12. 口腔外圧迫法 1. 冠状突起は口腔外から触知できるが、脱臼していない場合は触知できない。 2. 親指で 冠状突起の上の頬を圧迫し他の指を下顎に置いて安定させる。 3. もう片方の手で反対側の顎関節の下顎角 の上に引っ張り前方への力を加える。 14
#13. シリンジ法 1. 片側の臼歯の間にシリンジ(10ml)を挟む 2. 患者に噛んでもらい、シリンジを前後に動かしてもらう 3. 片側が治ったら、反対側でも同じ操作を繰り返す その間に他のことができる・噛まれない のが強み 15
#14. 論文的おすすめの順番(安全性重視) 16 ①シリンジ法 患者が自分でできる ②口腔外法 噛まれない/ちょっと難 ③リストピボット 簡単 ④ヒポクラテス 噛まれる/力がいる 番外編 咽頭反射 しんどい 顎が開き戻る 一つマスターするならリストピボット Gottlieb M, Long B. Managing Temporomandibular Joint Dislocations. Annals of Emergency Medicine. Published online July 2022.
顎関節脱臼の再発予防と治療法
#16. 日常生活の注意 ・3週間は極端な開口を避ける ・あくびをするときは下顎を抑える ・開口の目安は1横指 ・顎関節部に温湿布を24時間貼る ・柔らかい食事を1週間続ける ・痛みに対してはNSAIDSを使う ・2−3日以内に口腔外科に受診する 18
#17. 再発予防 バンド固定 ソフラ® 4950円 ソフラ®あごバンデージ | 株式会社竹虎 | 医療用品・介護用品・健康用品の販売会社 19
#18. 再発予防 バートン包帯 固定法 巻くのが難しい・食い込んで痛い・・ 20
#19. 再発予防 顎間固定 口が開けられない 口の端の空いてる隙間から栄養注入 QOLは低め 局所麻酔で1時間程度 21
参考文献とさらなる学習リソース
#21. さらに勉強したい人へ 参考文献 23 NEJMの脱臼整復方法 5分 動画付き Zweifel DF, Pietramaggiori G, Broome M. Repositioning Dislocated Temporomandibular Joints. New England Journal of Medicine. 2014;370(6):e9. Chen, Y.C., et al. A safe and effective way for reduction of temporomandibular joint dislocation. Annals of plastic surgery 2007;58(1):105-108. Gorchynski, J., Karabidian, E. and Sanchez, M. The “syringe” technique: a hands-free approach for the reduction of acute nontraumatic temporomandibular dislocations in the emergency department. The Journal of emergency medicine 2014;47(6):676-681. Zweifel , D.F., Pietramaggiori , G. and Broome , M. Repositioning Dislocated Temporomandibular Joints. New England Journal of Medicine 2014;370(6):e9.