#4.
傷あとにもいろいろある 縫合後に目立つキズアト(瘢痕)と目立たないキズアトがあるの なんでかな? ・傷あとが目立つと言ってもいろいろな原因があります ・どの要素が目立つのか、因数分解みたいに1つずつ考えるとわかりやすいよ 目立たない傷 目立つ傷 色 ・白(成熟瘢痕) ・赤(未熟瘢痕・肥厚性瘢痕・ケロイド) ・茶(色素沈着) ・黒(外傷性刺青) 形 ・平坦 ・幅が狭い(線状) ・傷が短い ・破線 ・凹凸がある(隆起、陥凹、段差) ・幅が広い (面状) ・傷が長い ・実線 ・元通りの位置 ・シワに沿っている ・緊張がかからない部位 ・非露出部 ・元の位置とずれている ・引きつれている ・シワに沿っていない ・緊張がかかる部位 ・露出部 ・浅い傷 ・深くえぐれた傷 ・化粧がのらない、てかる ・リストカット(心理的影響) 部位 その他 参考文献:小川令. 傷あと治療. 克誠堂出版, 2021.
#5.
色で目立つ傷 目立つ傷の要素 目立たない傷 白(成熟瘢痕) 色 を詳しく説明してよ 目立つ傷 ・赤(未熟瘢痕・肥厚性瘢痕・ケロイド) ・茶(色素沈着) ・黒(外傷性刺青) キズアトの色と言ってもいろいろあります。まずは色の要素からみてみましょう。
#6.
色で目立つ傷:成熟瘢痕(白)未熟瘢痕(赤) 瘢痕は通常の経過でも、一度色が赤(未熟瘢痕)になってから白(成熟瘢痕)へ変化します 成 熟 瘢 痕 • 創傷治癒の過程で毛細血管は増減します。その血管が透けて見えるので赤く見えます 血管なので傷を引っぱると血管の赤みは一時的に消退します • 抜糸した後に、縫合の3~4週後くらいで一度瘢痕の赤みが強くなりますが、その時期 の赤い瘢痕のことを未熟瘢痕といいます • 赤くなった(未熟)瘢痕は、その後、時間が経つと徐々に赤みが薄くなり、白くなっ ていきますが、その白くなった瘢痕を成熟瘢痕といいます 赤みの推移のイメージ 成熟瘢痕になる期間の目安 ※期間に関しては私見です 顔・頚部 (緊張の弱い部位) 未 熟 瘢 痕 四肢 (張力がかかる部位) 赤 み ※グラフは私見です 3か月~半年 半年~1年程度 ※何らかの原因で炎症が持続すると赤みが残る場合もあります ・1か月後に瘢痕は赤くなり(未熟瘢痕)その後白く(成熟瘢痕)なります ・赤みを心配する人には、傷を引っぱっると赤みが消えるので「最終的にはこんな 感じになります」と見せてあげると安心します 時間経過
#7.
色で目立つ傷:ケロイド(赤)肥厚性瘢痕(赤) • 未熟瘢痕以外にも、頻度は少ないですが瘢痕部が赤くなる場合があります • 時間が経過しても白くならず、瘢痕部の赤み、隆起、疼痛、掻痒感がでる場合は、 ケロイドや肥厚性瘢痕かもしれません • ケロイドや肥厚性瘢痕を疑ったら、治療のために皮膚科や形成外科へ紹介しましょう 肥 厚 性 瘢 痕 ケ ロ イ ド 肥厚性瘢痕 ケロイド 他覚症状 ・もとの傷の範囲を越えない ・赤み、隆起している ・もとの傷の範囲を超えて増大する 自覚症状 ・痒み、痛み、拘縮(つっぱり感) ・同じだが、肥厚性瘢痕より、症状が強い 好発部位 ・傷痕に緊張のかかる部位 ※ 膝・肩などの関節部 ・胸骨部、肩、耳、恥骨部 ※ 全身どこでも発生の可能性はある ・体質はなし(誰でもおこりうる、多い) ・ケロイドほど人種差なし ・いわゆるケロイド体質(人数は少ない) ・有色人種でなりやすい 黒人>黄色人種>白人 人種・体質 参考文献:日本形成外科学会HP. ダンベル型などとも言われる ・肥厚性瘢痕より、赤み・隆起などがより強い
#8.
赤いキズアトのまとめ ① ② ③ ④ 赤い瘢痕にもいろいろありますが、イメージは左の写真です ① 未 熟 瘢 痕 ・もとの傷の範囲を越えず、赤く、平坦 ・痒みや痛みはない ・正常な傷の経過の過程によるもので、最終的に成熟瘢痕になる ② 成 熟 瘢 痕 ・未熟瘢痕から最終的に落ち着く炎症の無い瘢痕 ・白く、柔らかく、平坦 ・痒み、痛みなどなし ③ 肥 厚 性 瘢 痕 ・もとの傷の範囲を越えない ・赤く、隆起している ・痒み、痛み、拘縮(つっぱり感)あり ・緊張のかかる部位、深い傷、治癒に時間がかかるとなりやすい ④ ケ ロ イ ド ・もとの傷の範囲を超えて増大する。ダンベル型などとも言われる ・肥厚性瘢痕より、赤み・隆起などがより強い ・体質が関係する(人数は少ない)
#9.
色で目立つ傷:外傷性刺青(黒) • 黒くて目立つキズアトに外傷性刺青があります • 外傷性刺青(しせい)は、 傷の中に鉛筆の針や砂などの異物が入ったまま傷が治り 刺青(いれずみ)の様に皮膚を透して異物の色が見える状態のことをいいます • 黒い異物なら浅いと黒、深いとグレーに見えます 皮膚の構造とターンオーバー • 皮膚は ①浅い表皮 と ②深い真皮 の2層で構成されています • 表皮は基底層で表皮細胞が産生され、徐々に上へ押し出されて最終的に垢と なって脱落します(これをターンオーバーといいます) 外傷性刺青になるかどうかは異物の深さで決まる • 基底層より浅い=表皮の異物 → ターンオーバーによって排出される つまり、外傷性刺青にならない • 基底層より深い=真皮以下の異物→残存して治癒し、異物は排出されない つまり、外傷性刺青になる 表皮まで 排出される 外傷性刺青(-) 基底層 真皮以下 排出されない 外傷性刺青(+)
#10.
外傷性刺青(黒)の治療 外傷性刺青の治療 ・見た目が気にならず、感染などの害がなければ経過観察でもOK ・レーザー(保険適用可能だが、色・深さ・材質によってはとれないことも多い) 鉛筆の芯はけっこう薄くなることもあります ・手術で異物を摘出 外傷の処置時には、外傷性刺青にならないように、受傷時の異物除去が大切です 深い傷に砂などの異物がある場合は局所麻酔をしてでも異物をとりましょう 余談だけど、Tattooはどうやって入れているの? Tattoo(入れ墨・刺青)の機序 ・Tattooは、針などで皮膚を傷つけ、真皮まで穴をあけます ・真皮以下の深い層に、墨やインクなどの色素をいれます ・表皮までならターンオーバーで排出されるので消えてしまいますが 真皮以下であれば、そのまま残ります ・これがTattooの原理です
#11.
色で目立つ傷:炎症後色素沈着(茶) • キズアトやにきび、虫刺されの痕が茶色くなることがあります • これを炎症後色素沈着(PIH:Post-Inflammatory Hyperpigmentation)といいます ※今回は茶色いシミは除きます 炎症後色素沈着の機序 ・刺激を受けて炎症が生じる → 炎症反応でメラノサイトが刺激されメラニンを産生する → メラニンの異常増加した状態=色素沈着で茶色く見える • 炎症後色素沈着とは、何らかの刺激を受けて炎症が生 じ、その後に皮膚が茶色くなる(色素沈着)状態を PIHといいます • イメージは外傷後にキズは赤くなり、その後1か月程 でPIHが出現し、その後3~6か月程度かけて薄くなっ ていく感じです 茶 色 茶色の推移のイメージ ※グラフは私見です 時間経過 ※ タイミングは私見ですが、赤みより少し遅れるイメージです 参考文献:佐藤 卓士. 老人性色素斑に対するレーザー治療に伴う炎症後色素沈着の 発症についての後ろ向き研究:Qスイッチルビーレーザーと半波長QスイツチNd:YAGレーザーの比較. 日レ医誌. 2016, vol.37, no.1. 林 伸和。尋常性痤瘡の炎症後紅斑,炎症後色素沈着に対する患者の 治療ニーズ及び治療実態に関するアンケート調査. 日皮会誌. 2020, vol.130, no.10.
#12.
色で目立つ傷:炎症後色素沈着 原因 • 外傷、レーザー、にきび、虫刺され、熱傷などが原因となります • 全員がなるわけではありません ※肌の色が濃い方が起こりやすく、一度なった人はなりやすい印象です • 赤みと茶色が混在することも多いです 見分け方は傷を引っぱると赤みは消えるので、残りは色素沈着と考えます 治療 • 炎症が原因なので何もしないで経過観察 ※日焼けも徐々に白く戻るように、原因が除去されれば改善することが多い • 炎症の原因を治療 (例:にきびであればにきびの治療) • 遮光 • ハイドロキノン軟膏(メラニン産生を抑制)、ビタミンC内服・外用・レーザー などを行うこと場合もある ※ここら辺は症例や医師によって異なる • PIHは、なる人とならない人がいて、やって見ないと分からず完全には防げません • 時間の経過でよくなる事やPIHをあらかじめ伝えておくと患者が安心します 参考文献:佐藤 卓士. 老人性色素斑に対するレーザー治療に伴う炎症後色素沈着の 発症についての後ろ向き研究:Qスイッチルビーレーザーと半波長QスイツチNd:YAGレーザーの比較. 日レ医誌. 2016, vol.37, no.1. 林 伸和。尋常性痤瘡の炎症後紅斑,炎症後色素沈着に対する患者の 治療ニーズ及び治療実態に関するアンケート調査. 日皮会誌. 2020, vol.130, no.10.
#13.
部位で目立つ傷:シワに沿ってない傷は目立つ 次は、目立つ傷の要素 部位 を詳しく説明してよ ・シワの沿った平行な傷は目立たない ・シワと直交する傷は目立ちます ・形成外科では傷が目立たない方向のことを RSTLと呼んでいます RSTL(Relaxed Skin Tension Line) 赤線がRSTLで皺とほぼ一致する ・皮膚が弛緩したときに生じる線のこと ・皮膚に最も緊張がかかる方向を示します ・筋肉の収縮によって引っ張られる方向と直交します ・基本的には皺とほぼ一致します ※顔は複数の動く筋肉があるので筋の向きと直交しない部位もあります 例えば、前額部だと前頭筋という筋肉があるわよね 前頭筋は収縮すると上下方向に収縮して、眉を挙上するのよね だから、前額のシワは筋収縮と直交する横方向にできるってことね 参考文献:朝戸裕貴. 頭頚部外科に必要な形成外科的縫合法.頭頚部外科. 2016, vol.26, no.3.
#14.
部位で目立つ傷:シワの方向は部位で違う シワやRSTLに沿った傷は何で目立たないの? ・シワにまぎれて目立ちにくい ・筋収縮と直交していると瘢痕にかかる力が分散されます 瘢痕にかかる力が少ない方が、傷痕は目立たなくなります ・手術時は、RSTLの向きに切開すると傷が目立たなくなります 目立たない傷 目立つ傷 目立たない方向 目立つ方向 前額部 横 縦 眉間 縦 横 鼻 横 縦 眼瞼 横 縦 頬・口唇 縦(斜め) 横 頚部 横 縦 上下肢 横(短軸方向) 縦(長軸方向) 参考文献:朝戸裕貴. 頭頚部外科に必要な形成外科的縫合法.頭頚部外科. 2016, vol.26, no.3.
#15.
部位で目立つ傷:幅の広い瘢痕 • 膝や肘、肩などの四肢などの屈曲時に瘢痕に緊張がかかる部位は 瘢痕の幅が広くなりやすいため、キズアトが目立ちやすい • 顔や首、眼瞼などは緊張があまりかからないためきれいに治りやすい 始めは細かった瘢痕が緊張が かかると徐々に幅が広がっていく 幅の拡大を防ぐには、傷にかかる緊張を減らす(減張)が大事! • 真皮縫合 :瘢痕が成熟するまで糸が代わりに緊張を受ける • テーピング:テープが代わりに緊張を受ける 皮膚欠損が有る場合や関節可動部だと、ある程度、瘢痕の幅が広がって しまうこともあるため、説明しておくといいよ できれば、真皮縫合や抜糸後のテーピングで予防しよう!
#16.
シワに沿ってない傷の治療:Z形成術 シワに沿ってないキズアトの治療はどうするの? シワに沿ってない傷は、ZやW形成術で傷の向きを変えます ② ① Z形成術の方法 ・①のように縦の傷(赤線)があったとします ・①にピンクの切開を2本追加します ・②③ 青と緑の三角形の皮膚(皮弁)を入れ替えます ・最終的な傷痕は④のピンクのZ型となります 縦の傷から、横と斜めの傷に方向が変わりました ③ ④ Z形成の効果 ・距離の延長 ※60°の場合:縦は1.73倍延長 横は0.58倍縮小 ・瘢痕の直線の分断、瘢痕の方向の変更 ・四面体効果→山(凸面)を谷(凹面)に、谷を山にする ・位置の入れ替え、組織の移動 ・破線効果 しわの方向に一致する瘢痕は目立たず、また、凹凸がある と光と影の関係で点線に見え、実線より目立たない パッと見ると、傷が増えて目立つ気がしますが 方向を変えること目立たなくなります 参考文献:朝戸裕貴. 頭頚部外科に必要な形成外科的縫合法.頭頚部外科. 2016, vol.26, no.3.
#17.
シワに沿ってない傷の治療:Z形成術 実際にZ形成術で、傷の向きを変えるとこんなかんじになります しわに直交する赤い傷 Z形成術(青線を切開) Z形成術で皮弁を入れ替えた後に RSTLや大きなシワに沿うように 切開線をデザインします 皮膚を入れ入れ替え後 シワに直交していた傷が、シワに 沿った(平行と斜めの向き)に 変わります
#18.
部位で目立つ傷の治療:W形成術 傷が長くて拘縮がない時は、距離の延長は不要なためW形成術を使います ① デザイン ②縫合後 シワの線 ③破線効果 W形成術の方法 ・①の様にシワが横にある部位に縦の傷(茶)があったとします そこで、シワの線に合わせてジグザグにデザインします ・②切除し、左右を寄せて縫合します。シワに直交する縦の傷から シワに沿った横と斜めの傷になりました ・③時間が経つと、シワに沿った横方向の瘢痕は目立たなくなり 斜めの傷はややめだつようになります。すると、1本の実線から 点線のように見えます(破線効果) W形成術の効果 ・距離の延長はあまりない ・瘢痕の直線の分断、瘢痕の方向の変更 ・陥凹している瘢痕をジグザグに縫合すると平坦になる ・破線効果 しわの方向に一致する瘢痕は目立たず、また、凹凸がある と光と影の関係で点線に見え、実線より目立たない
#19.
部位で目立つ傷の治療:W形成術 実際にW形成術で、傷の向きを変えるとこんな感じになります しわに直交する赤い傷 W形成術(青線を切除) 開) W形成術はRSTLや大きなシワに 沿うようにジグザグに切開線を デザインします シワ方向の傷になった 縫合するとシワに直交していた 傷が、シワに沿った(平行と斜 めの向き)に変わりました
#20.
部位で目立つ傷:ずれた傷 有毛部(眉毛・生え際・髭・もみあげ)・口唇・鼻などは 位置がずれるととても目立ちます 縫合時は、まず目立つ(分かりやすい)部分からあわせましょう 例えば、毛の生え際のライン、口唇や鼻の辺縁のラインなどです 口唇部のE入り局所麻酔に注意 • 口唇にE入り局麻を使用すると、口唇の赤みが消えてしまい 境界が分からなくなるため注意しましょう • 対策は ① 先にマジックでマーキングする ② Eなし局所麻酔を使用する ③ 先に口唇のラインを1針縫合してからE入り局麻をする
#21.
部位で目立つ傷:ずれた傷 細かくギザギザに裂けた傷の場合、「これは元通りにするのは無理」 と思うことがあるのですが、どうすればいいですか? • 細切れになった皮膚を縫合するのはとても大変なのはわかります • でも、適当に縫合して間違った位置に縫合すると、その後のキズア トはかなり目立ちますし、後々修正するのも難しくなります • だから、ジグソーパズルのように時間をかけて元に戻すように縫合 すると、かなりきれいに治ります • ちなみに、よく見ると元に戻すための情報はたくさんあります。創 縁の皮膚の形、顔の細かいシワ、しみ、ほくろ、毛の有無など。こ れらを参考にして、できるだけ元の位置に戻して縫合しましょう
#22.
その他:深くえぐれた傷は目立つ えぐれた傷を縫合しないで治す(二次治癒)と傷が深いほど目立ちます 例えば、熱傷の傷は浅いと目立たず、深いとキズアトが目立ちます。また、深いほどケロイ ド・肥厚性瘢痕になりやすいと言われています。 熱傷の深さ 熱傷の深さによる分類 EB:Epidermal burn SDB:Superficial dermal burn DDB:Deep dermal burn DB:Deep burn Ⅰ度 (EB) 浅達性Ⅱ度 (SDB) 深達性Ⅱ度 (DDB) Ⅲ度 (DB) 損傷の深さ 表皮 浅い真皮 深い真皮 皮下脂肪 キズアト 残らない 肥厚性瘢痕を残さない 治癒期間 数日 1~2週 上皮化 毛包からあり 治療 保存 EB SDB DDB 肥厚性瘢痕・ケロイド・拘縮になりやすい 3~4週 DB 表皮 真皮 1~3か月以上 毛包からなし ※DDBは毛包から上皮化もありえますが簡略化しています 手術が多い ・擦過傷や皮膚潰瘍は軟膏や創傷被覆材を使用し、乾燥しないように適度な湿潤環境を保つこ とが大切です。症例によっては、やや高価ですがフィブラストスプレーを使用します ・2週間以上治癒にかかるような傷は、深いのでキズアトが目立つイメージ ※私見です ・感染には特に注意しましょう ・深くえぐれた傷は、瘢痕が目立つ可能性があることを説明しましょう 参考文献:日本皮膚科学会ガイドライン. 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン6:熱傷診療ガイドライン.日皮会誌. 2017, vol.127, no.10. 小川令. 傷あと治療. 克誠堂出版, 2021. 皮下脂肪
#23.
その他:化粧がのらない • 正常な皮膚には、皮丘や皮溝と言われる細かな凹凸があります • 瘢痕部はそれらの構造がなく、平坦に近いため、化粧がうまくのらない場 合があります 例えば、眉毛部の傷で眉の中に瘢痕がある場合、眉を描くときに 瘢痕部だけ化粧がのらないとキズアトの形が目立つことがあります
#24.
その他:心理的影響 心理的な要因も、キズアトが目立つかどうかに影響します • 例えば、リストカットの傷 • 手首にリストカットの傷があると、単なるキズアトではなくリストカットの傷 というイメージも付随します • そのため、治療として周囲の皮膚ごと傷を90度回転させ、横方向の傷を縦方向の傷 に置換してケガや手術、熱傷後の傷のようにみせる方法があります 90度回転させるとリストカットの傷に見えなくなる
#25.
Take home message ・目立つ可能性のある傷は、処置時に予め説明しよう ・砂などの異物は外傷性刺青になるので取り除こう ・シワと直交する傷は目立つ ・深くえぐれた傷は目立つ • 今回は目立つ要素である、色・部位・その他に関して説明しました。 実際の臨床では、きれいにできる傷と残念ながら目立ちやすい傷があ ります。それらの原因が分かればよりきれいなキズアトにできそうで すよね!ぜひ今後の診療に役立てみてください! • 後編で目立つ要素、形を解説するのでぜひ見てくださいね!
#26.
参考文献 ・形成外科診療ガイドライン 2021年版. • 研修医・外科系医師が知っておくべき形成外科の基本知識と手技. ・田嶋定夫. 形成外科手術手技シリーズ 顔面骨骨折の治療. 形成外科. 克誠堂出版, 2012, Vol55 増刊号. 改訂第2版. 克誠堂出版, 1999. • 朝戸裕貴. 頭頚部外科に必要な形成外科的縫合法.頭頚部外科. 2016, vol.26, no.3. • 市田正成. スキル外来手術アトラス 改題第3版. 文光堂, 2006. ・平野明喜. 形成外科診療プラクティス 顔面骨骨折の治療の実際. • 小川令. 傷あと治療. 克誠堂出版, 2021. 文光堂, 2010. • 日本皮膚科学会ガイドライン. 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン6:熱傷診療ガイドライン. ・医学大辞典 第2版. 医学書院, 2009. 日皮会誌. 2017, vol.127, no.10. • 佐藤卓士. 老人性色素斑に対するレーザー治療に伴う炎症後色素沈着の発症についての後ろ 向き研究:Qスイッチルビーレーザーと半波長QスイツチNd:YAGレーザーの比較. 日レ医誌. 2016, vol.37, no.1. • 林伸和. 尋常性痤瘡の炎症後紅斑,炎症後色素沈着に対する患者の治療ニーズ及び治療実態 に関するアンケート調査. 日皮会誌. 2020, vol.130, no.10.