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図解 縫合の基本 Part1 皮膚縫合

投稿者プロフィール
shun@形成外科
Award 2023 受賞者

総合病院

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概要

このスライドでは、明日からきっと役に立つ針の扱い方・縫合の方法・なぜそうするかの理由を分かりやすくイメージできるように図解しています。いくつかのポイントさえ押さえれば縫合がもっとキレイに、きっと楽しくなると思います。 それでは、皮膚縫合編を早速始めていきましょう。

◎目次

・はじめに

・目次

・皮膚縫合の目的

・皮膚の扱い・持針器のサイズ

・針と糸の選択〈表皮縫合〉

・針の把持する部位

・針は彎曲にそって進める

・針の刺し方

・よくある質問

・運針(針の通り道)のイメージ

・運針は創と直交する平面

・運針の ”最重要ポイント”

・創に対して斜めに糸をかけるとずれる

・深さが違うと段差ができる

・皮膚の内反・丸まりに注意

・糸結び 単結紮と外科結紮

・糸はきつく締めない

・バイトとピッチ

・ステリ・ステープラーの注意点

・Take home message

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医/専門医

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テキスト全文

皮膚縫合の目的と基本

#1.

Part1 皮膚縫合編 shun@形成外科 縫合の基本 図 解

#2.

はじめに Twitter ID @shun46618111 ・こんにちは! shun@形成外科です    ・このスライドでは、明日からきっと役に立つ   針の扱い方・縫合の方法・なぜそうするかの理由を 分かりやすくイメージできるように図解しています ・いくつかのポイントさえ押さえれば 縫合がもっとキレイに、きっと楽しくなると思います     それでは、皮膚縫合編を早速始めていきましょう 

#3.

目 次 <Contents> ・皮膚縫合の目的  ・針の扱い方 ・針と糸の選択 ・針と糸の運針の考え方 ・縫合時の注意点  ・皮膚の内反・外反 ・単結紮と外科結紮     ・バイトとピッチ

針と糸の選択と扱い方

#4.

皮膚縫合の目的 目的:傷あとが目立たないようにキレイにするため

#5.

皮膚の扱い・持針器のサイズ 皮膚はやさしく扱う  初めのうちは鑷子を持つ時に力が入りがちです  皮膚を鑷子でぎゅっとつかむと皮膚が潰れて挫滅します  赤ちゃんの肌を扱うように皮膚はやさしく持ちましょう 持針器のサイズに注意  繊細な(6-0/7-0を持つ)持針器で大きな針を持つと持針器が壊れます  大きな針と小さな針で持針器は使い分けましょう 〈形成外科の例〉4-0より太い針糸 → 大きい持針器          5-0より細い針糸 → 小さい持針器 それでは縫合時の注意点やコツを見ていきましょう

#6.

針と糸の選択〈表皮縫合〉 ① 皮膚は硬いため角針を使用 ※裂けやすい時は丸針を使用することも ② 糸の種類   ・組織反応性が少なく、瘢痕になりにくい糸がよい  ・非吸収糸のナイロンを使用します ③ 糸の太さ ・緊張の強い場合は太く、弱い場合は細い糸を使用します ・深い層を縫う時は、浅い縫合と同じかより太い糸を使います  ”針と糸の選び方“のスライドも参考になるのでぜひご覧下さい

針の把持と刺し方の注意

#7.

針の把持する部位 × 針の部位の名称  針先=Point、糸固定部=Swage(Eyeとも呼ぶ)  他=Body → 持針器で把持する部位  ※ swageはかしめるの意味(糸と針を圧着固定) 針先と糸固定部(✖)は持たない  皮膚に刺して針を抜く時に先端を潰さない様に注意  針の切れ味が落ちて刺さらなくなります  どうしても持つ場合は先端は軽く持ちましょう 1/3程度の部位(〇)を把持する  針先から長く持つとテコの原理で針が曲がりやすい  針先から短く持つと針が皮膚を貫通できない × 〇 Point    Swage 針先    糸固定部 Body

#8.

針は彎曲にそって進める × ✖ 針は横に押さない! ・針が真っ直ぐ(直針)であればフェンシングのように突き   刺しますが、縫合針の多くは彎曲(円形)しています ・真っ直ぐ刺そうとすると先端以外は切れないため  針が曲がってしまいます  ※ 実際は皮膚縫合くらいであれば可能ですが    手にかかる抵抗はあると思います 〇 針の彎曲に沿って円形に進めよう! ・針は円形で先端のみが切れます ・円形に針を進めるために手首ごと肘の回内・回外が  メインで針を回転させる ※手首は補助的に動かす ※ トンネルを先頭の人がドリルで穴を掘り、後の人    はその穴をそのまま通るイメージです 〇 shun@形成外科 shun@形成外科

#9.

針の刺し方 針は垂直に刺して、垂直に出す! ・針の刺入出は垂直に行うのが基本 ・刺入出の角度が浅い(針を寝かせる)  と皮膚が内反します 90° shun@形成外科 shun@形成外科

運針のイメージと注意点

#10.

よくある質問 90° 90°で針を刺入するって 手首が固くてできません 鑷子で創縁(赤矢印)を持ち上げると 手首が楽になりますね shun@形成外科 shun@形成外科

#11.

運針(針の通り道)のイメージ ① 浅く針を入れると内反する ・内反とは内側に反る、翻ること ・表皮縫合で内反するとV字状に陥凹して  目立つため避けます ・針を浅く(鋭角)刺すと、皮膚の表層部のみ  寄り、深部が寄らないと皮膚が内反します ※ 特に薄いペラペラの皮膚で強く締めすぎた   場合は支持力が弱いため注意!  皮膚が内反やずれて重なりやすい shun@形成外科 shun@形成外科

#12.

運針のイメージ ② 深部を大きくかけると外反する ・外反とは皮膚が外に反る(上に凸) ・針を鈍角(90°以上)で刺して、  台形のように深い組織を多くかけると  深部の組織がぐっと寄るため  下から押されて盛り上がり外反する ※ 糸の締め具合でも変わります shun@形成外科 shun@形成外科

運針の最重要ポイント

#13.

運針のイメージ ③ イメージは長方形 ・針を垂直に刺して、垂直に出すのを  意識すると長方形に近づきます ・力が均等にかかるため、創が均等に  寄り平坦に密着する ・平坦 or やや外反くらいが良い皮膚縫合 shun@形成外科 shun@形成外科 実際は内反/外反が問題にならないことが 多いため、縫合時に内反/外反した場合に 運針を意識すると改善すると思います

#14.

運針は創と直交する平面 <針を右から刺して左から出す場合>  糸は創面と直交する同一平面を通るイメージ ※ ホールケーキを包丁で四等分する場合   縦が創面、横が針と糸が通過する平面  A = 皮膚の刺入部から創縁の距離  B = 針を出す深さ  C = 創内の再刺入部の深さ  D = 針を出した部位から創縁の距離 D        A C  B 90° shun@形成外科

#15.

運針の ”最重要ポイント” 皮膚刺入出部から創縁の距離:A=Dとする ・AやDの距離をバイトと呼ぶ AとDは創を挟んで垂直の部位とする ・結んだ糸が創と直交するように 皮膚からの深さを揃える: B=Cとする ・ここがずれると皮膚に段差ができる D      A C B 90° この3点を意識するのが最重要です shun@形成外科

皮膚の内反と段差の注意

#16.

創に対して斜めに糸をかけるとずれる <創に対して斜めに糸をかけた場合> ・糸の方向(→)に力が働きます  ここで懐かしの “ベクトルの分解”をすると  赤矢印のように “左の皮膚は上方向へ” “右の皮膚は下方向へ” 力が働きます ・糸を締めると皮膚が上下へずれていき  垂直の位置までずれると止まります  実際は多少のズレは影響は少ないです 硬い骨でイメージするとわかりやすいかも shun@形成外科 shun@形成外科

#17.

深さが違うと段差ができる 皮膚からの深さを揃えると平坦になる: B=C 創縁から針を“出す深さ”と“刺す深さ”が違うと段差になる: B≠C <針を浅く出し、深く刺した場合>    ・左図は C>B の場合   ・左の皮膚が高くなり     段差ができる    B =針を出す深さ    C =針を再刺入する深さ C > B 段差はずっと残ります 段差ができたらやり直そう shun@形成外科 shun@形成外科

#18.

皮膚の内反・丸まりに注意 上皮成分(表皮・粘膜上皮層など)は癒合しない ・老人の皮膚裂傷(スキンテアー)などでは、皮膚が  ペラペラで薄いため、皮膚がくるんと丸まってい  ることがよくあります <皮膚が丸まった状態で縫合した場合> ・表皮(オレンジ)部分: 癒合しない ・灰色部分: 表皮以外と接するため癒合する ・紫部分: 表皮と接するため癒合しない  周囲の表皮が増殖しながら表皮欠損部に張っていく →下図のように皮膚が内反や丸まっていると  抜糸時に創離開や瘢痕部の陥凹が生じる きちんと皮膚の端を確認してから 縫合やステリ固定を行いましょう shun@形成外科 shun@形成外科

糸結びとバイト・ピッチ

#19.

糸結び 単結紮と外科結紮

#20.

線路みたいな瘢痕を見たことはありませんか? かなり目立つため以下のことに注意して余計な傷跡は防ぎましょう 糸はきつく締めない ・抜糸の時期を守る。長期間放置しない ・皮膚縫合には組織反応性が低いナイロンを使用する  絹糸は組織反応性が高いため、使用しないか早めの抜糸を心掛ける ・糸をきつく締めすぎない。「ピタッと寄ったところでStop!」              「つまようじ1本分浮かせるイメージ」 瘢痕(横線)以外に糸の痕(縦線)を残さないように注意 瘢 痕 糸の痕

#21.

バイトとピッチ バイト ピッチ バイト: 創縁~刺入出部の距離 ピッチ: 縫合糸の間隔 ・縫合の目安は“創縁がきちんと寄っている”になります  はじめはバイトとピッチの幅を同じにすると良いです ・糸切りは短かすぎると糸がほどけ、長すぎると縫合時に邪魔です  実際は糸の太さによって糸切りの長さは変わりますが、分からな  い時はピッチと同じ程度にしましょう

ステリ・ステープラーの注意点

#22.

ステリ・ステープラーの注意点 創縁をきっちり寄せる  ※ 間が開いていると瘢痕の幅が広くなって目立ちます テープ(ステリ)…以下の症例は縫合を考慮してもいいかも  ‣出血・汗・唾液などで浮いて剥がれてしまう  ‣頭髪・眉毛・眼球の近くでテープを十分な長さで貼れない   ホチキス(ステープラー)  ‣創縁にすき間・段差・内反ができないように注意しましょう  ※頭で傷がパックリ開いている場合は、他の人に創縁を寄せて   貰ってからステープラーで固定しましょう   ※手や鑷子2本で創縁を揃えておき、別の人に固定して貰う

#23.

Take home message ・針は彎曲に沿って回転させよう ・皮膚からの深さを揃えよう ・バイト(創縁と刺入出部の距離)を揃えよう ・創部と糸は直交させよう 今回は縫合の基本的な理論を説明しました 実際の臨床ではここまで意識しないことが多いかもしれません 縫合時に皮膚が内反・外反・ずれてしまう時があれば、これらを意識 すると改善できると思います。明日から早速実践してみましょう!

#24.

  医学生、研修医、専攻医の先生向けに 本を書きました。  ・これから縫合を学びたい人  ・縫合が苦手な人  ・縫合がもっとうまくなりたい人 ぜひ手に取ってみてくださいね! ※電子書籍はM2PLUS、医書.jpで購入できます。

参考文献と今後の学び

#25.

参考文献 ・形成外科診療ガイドライン 2021年版. ・田嶋定夫. 形成外科手術手技シリーズ 顔面骨骨折の治療. 改訂第2版. 克誠堂出版, 1999. ・平野明喜. 形成外科診療プラクティス 顔面骨骨折の治療の実際. 文光堂, 2010. ・医学大辞典 第2版. 医学書院, 2009. 研修医・外科系医師が知っておくべき形成外科の基本知識と手技. 形成外科. 克誠堂出版, 2012, Vol55 増刊号. 市田正成. スキル外来手術アトラス 改題第3版. 文光堂, 2006. 菅又章. 実践よくわかる縫合の基本講座. PEPARS. 2017, No.123 増大号. 次回、全米が泣いた? Part 2 真皮縫合編. Coming soon

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