#4.
垂直マットレス縫合 浅い縫合 と 深い縫合 が 同時にできる (皮膚縫合) (真皮・皮下縫合) 縫合の方法 ③ ④ ⑤ ⑥ shun@形成外科 ② ① ・まず深い所(青矢印)に糸を通す ①から針を刺す ②の深部を通し ③から出す ・針を180°反転、浅く(赤矢印)糸を通す ④から針を刺す ⑤を浅く通し ⑥から出して、結紮する
#5.
垂直マットレス縫合 どういう時に使うのか、詳しく教えて ① 皮膚の創縁が合わない時 ・薄いペラペラの皮膚で折れ曲がり、内反や重なってしまう時 ・大きく糸をかけると、皮膚に段差ができてしまう時 →垂直マットレスで浅く皮膚をかけると創縁が合う ② 真皮縫合を行わないが深部も寄せたい時 ・手掌・足底などは真皮縫合をしない部位です ・傷が深く、深部を寄せたいが、真皮縫合はできない時 →垂直マットレス縫合は抜糸するので深部の糸が残らない
#6.
垂直マットレス縫合 ③ 感染源になりそうで糸を残したくない時 ・汚い傷や感染創で真皮・皮下縫合の糸が感染すると嫌な時 →垂直マットレスなら、深部の糸も抜糸できるので安心 ※ 感染しにくい糸を使用する方法もある モノフィラメント(ナイロン・PDS)や抗菌縫合糸(PDSプラス)を使用 ※針と糸の選び方のスライドも見てね ④ 単結節縫合だと皮膚が裂けてしまう時 ・薄い・挫滅がひどい・緊張が強いなどの理由で皮膚が裂けやすい時 →垂直マットレス縫合の方が皮膚との接触面積が増えるので裂けにくい
#7.
水平マットレス縫合 点ではなく線(平面)ごと寄せるイメージ 単結節縫合 :①と②を指先の点で寄せるイメージ 水平マットレス縫合:②③と①④を指の腹全体の線で寄せるイメージ ④ ③ 縫合の方法 ・まず手前(青矢印)に糸を通す ② ① ①から針を刺す ②から出す ・針を180°反転、奥(赤矢印)に糸を通す shun@形成外科 ③から針を刺す ④から出して、結紮する ※刺入出を直角に、深さを揃えるのは基本 ・単結紮を2回行うが、2回目は方向が変わる 「手前で行き、奥で帰る」往復してから結紮する
#8.
水平マットレス縫合 どういう時に使うのか、詳しく教えて ① 皮膚の創縁をしっかり寄せたい時 ・創が開く方向の力が強く、創縁が密着して寄らない場合 →水平マットレスは面で寄せるため、ピタッと寄りやすい ② 裂けやすい組織の時 ・筋肉や腱などは、線維方向に沿って裂けやすい →水平マットレス縫合は糸が線維をまたぐ形になり、裂けにくい 例:さけるチーズとすると、単結節は 縦に線維の方向に切るイメージ 手でさきやすい 水平マットレスは、横(線維と直交する方向)に切るイメージ 手でさきにくい
#9.
垂直と水平マットレス縫合の違い shun@形成外科 shun@形成外科 ・皮膚に接触する糸の向き(青い実線)が「創と水平」「創と垂直」で違う ・糸の力が組織(皮膚)へかかる方向が90°変わるので意識して使い分ける 両者ともに接触面積が増えるが、私は以下イメージで使い分けています 垂直マットレス:高さが揃わない時 or 糸を残したくない時 水平マットレス:緊張が強く、組織が切れる時 (筋・筋膜・腱など)
#10.
引き込んで重ねる縫合 縫合の方法 ④ ③ ① ② shun@形成外科 shun@形成外科 ・①と②は上から下に針を刺す ・③と④は下から上に針を出す ・引っ張りながら結紮すると、 左(オレンジ)が下に引き込まれ、重なる どういう時に使うの? ・筋膜など重ねて縫合して強度を保ちたい ・爪脱臼のシラー法など、組織を引き込みたい ・真ん中の組織が余剰だけど切除したくない ・名前が分からず、変な呼び方ですみません…
#11.
爪脱臼のシラー(Schiller)法 ①↓ ↑③ シラー法も脱臼した爪を、元の位置に戻すため 引き込んで重ねる縫合です ※詳細は「外傷処置の豆知識」のスライドをご覧下さい ② 縫合の方法 shun@形成外科 ① 後爪郭(皮膚)の上から、引き込みたい部位 (皮下ポケット)へ糸を通す ② 脱臼した爪を上から下に刺し、下から上に出す ④ ③ 皮下ポケットから後爪郭(皮膚)へ糸をだす ④ 糸を引っ張り、爪根が整復されたことを確認して結紮 (結び目の下にガーゼなどをいれる場合もあります)
#12.
連続縫合 縫合の方法 ① A③ ④ ② ・①最初の1針は、単結節縫合し 針が無い方の糸を切る ・②から刺入し、③から針を出す 糸が緩まない様に引っ張る これを繰り返す ・最後の1針手前の④から針を出した あとは、糸は引っ張らない ・最後の1針を通した後 ループ状の(A)部分を持針器で持ち 針付き糸と結紮する ※ 結紮時は緩まない様に引っ張る ・ループと針付き糸を糸切りして終了
#13.
連続縫合 どういう時に使うの? ① 皮膚縫合の時間短縮したい時 ・単結節縫合より早く、表皮縫合の時間短縮ができる 長い創部だと有用 ・糸の使用量が減る ・雑に行うと傷跡も目立つため注意!皮膚をきっちり 寄せ、高さを揃える点は単結節縫合と同じ ※真皮縫合で皮膚の高さが揃っている症例に良い ② 抜糸が大変な部位 ・連続縫合は抜糸も楽、抜糸しにくい部位に便利 外陰部はちょっと気を遣いますよね… 肥満症例の臀部は肉を押し分けるのが大変…
#14.
連続縫合 ③ 有毛部も縫合しやすい ・毛が邪魔で縫合時にイライラしたことありませんか? 連続縫合だと結紮は両端のみなのでストレスが減ります 単結節縫合で結紮したの糸の輪の中は締め付けるため 血流や組織が障害されるという考え方があります 有毛部では、毛根が障害されないように気をつけます 脱毛対策として、毛根の深さはさける ・皮膚縫合は毛根より浅い部位を縫合する ・毛根より深い位置で縫合する →真皮縫合ではなく、帽状腱膜で寄せる など
#15.
連続縫合 ④ Water tightな縫合が可能 ・液体が漏れない様に口腔粘膜や腸管に用いることあり ※単結節縫合でおこなうことも多い ⑤ 下眼瞼など眼球近くを縫合する場合 ・糸切りした糸の端が眼球に当たるとチクチク痛む 下眼瞼の眼球近くを縫合する場合、連続縫合で両端の糸 は長くして、ステリで頬部へ固定するとよい
#16.
連続縫合 注意点 ① 糸は1本のため、糸が切れると傷が開いてしまう ・糸が切れそうな緊張が強い場所は避ける ・部分抜糸をする可能性がある時は避ける → 血腫や感染のリスクがある創は単結節縫合する ② きつく締めすぎると血流が悪くなるため注意 ③ 厳密にいうと少し上下にずれることあり ・きっちりと合わせたい部位は、単結節縫合が良い → 先に、何か所か単結節縫合しておく方法もある
#17.
よくある質問 Q 連続縫合の途中で糸が切れたらどうするの? 途中で糸が切れたら、切れた糸と他の糸で結紮すればOK 例) ・①で糸が切れた場合 ① ・下から再度、連続縫合をして ② 切れた糸の近くで糸②を出す ・切れた糸①と②を結紮する
#18.
ブランケット縫合 ① ③ (連続かがり縫合) 縫合の方法 ② ・①最初の1針は、単結節縫合し 針が無い方の糸を切る ・②から刺入し、③から針を出す ・針糸を青糸のループ(A)に通してから 糸を引っ張る ※〇で糸が引っ掛かりロックされ緩まない A 〇 ⑤ B ・④から⑤へ針を出し、針糸を 水色糸のループ(B)に通して引っ張る ④ ・これを繰り返す ・最後は連続縫合と同じでループと結紮
#19.
ブランケット縫合 ① ③ ② A 特徴 ・ブランケット縫合は、創縁に対して、糸が直角 →上下にずれにくい、創がより密着しやすい ・糸が引っかかり、ロックがかかる →緩みにくい、抜糸はややしづらい ⑤ B (連続かがり縫合) ④ 私は連続縫合を主に使用しています 連続縫合とブランケット縫合の使い分けは 使用する先生の好みかもしれません
#20.
3点縫合 TやY字の角を縫合する時に、皮膚がグチャグチャになっているのを見るわ 3点縫合は3つの創縁を1点に寄せる方法 B C A ・Y字の様な3つに分かれた創がある時にどう縫合しますか? ・単結節縫合だと、A-B,A-C,B-Cと3回縫合が必要そう B ・外傷では、ただでさえ皮膚が傷んでいます さらに、Aの様な細い皮膚の先端に2回も縫合すると グチャグチャに傷んでしまいますよね そんな時、3点縫合を使えば 1回の縫合で良いので皮膚も傷みません 覚えておくと外傷や手術時に便利な縫合です
#21.
3点縫合 ① ② Y字の3点縫合 ① A ・①から針を刺入します ※ ③ ・②の三角の先端(皮弁)に糸を通す ※ 皮膚側には出さない ※ 真皮にかけるイメージ 深さを揃えないと皮膚に段差ができるため注意 ・③から針を出して結紮します 形成外科では、三角形の皮膚の先端(皮弁)を 縫合する時によく使います
#22.
3点縫合 ② ③ ① T字の3点縫合 ・①から針を刺入します ④ ・②と③の三角の先端(皮弁)に糸を通す ※ 皮膚側には出さない ※ 真皮にかけるイメージ ※ 深さを揃える ・④から針を出して結紮します ・Y字と似ていますが、今回は2個の三角の皮膚に 糸をかけています <ポイント> ・細い(鋭角)三角部分の皮膚は、糸を通すのみ ※ 脆弱で血流も悪いため、愛護的に扱う ・皮膚の幅が広い部分で結紮する
#23.
(おまけ) Z縫合 止血をしたい時 縫合の方法 ④ ② ③ ① ・まず、①から刺して、②へ出す ・次に、③から刺して、④へ出す ・Zの様に見えますよね? Xという突っ込みはなしでお願いします どういう時に使うのか、詳しく教えて ・出血がバイポーラーなどで止まらない時 出血点を中心として Z縫合をかけると周囲の組織がぎゅっと 寄せることで、止血する方法です
#24.
Take home message • 垂直マットレス縫合は浅い縫合と深い縫合が同時にできる • 水平マットレス縫合は創縁をしっかり寄せたい時に行う • 連続縫合は皮膚縫合の時間短縮ができる いかがでしたでしょうか? いろいろな縫合を覚えれば、困ったときに役立ちます 早速実践してみましょう! きれいに縫えば、患者さんも喜び、あなたもきっとHappyに! ※ 個人の考えが入っているので他の先生の考えと多少違う点があるかもしれません
#25.
参考文献 ・形成外科診療ガイドライン 2021年版. ・田嶋定夫. 形成外科手術手技シリーズ 顔面骨骨折の治療. • 研修医・外科系医師が知っておくべき形成外科の基本知識と手技. 改訂第2版. 形成外科.克誠堂出版, 克誠堂出版,1999. 2012, Vol55 増刊号. ・平野明喜. 形成外科診療プラクティス 顔面骨骨折の治療の実際. 文光堂, 2010. • 市田正成. スキル外来手術アトラス 改題第3版. 文光堂, 2006. ・医学大辞典 第2版. 医学書院, 2009. • 菅又章. 実践よくわかる縫合の基本講座. PEPARS. 2017, No.123 増大号.