#4.
注意事項・免責事項 l このスライドの内容は、⼼停⽌に関する⼀般論であ り、個々の症例に関しては考察していません l 家族の⼼情なども⼗分配慮して対応しましょう l このスライドの情報に基づく最終判断は、判断した 医師によるものとなります
#5.
CA⽤語の基礎⽤語 p Witness︓ ⽬の前で⼼肺停⽌した(発症⽬撃) p By stander CPR︓ Witness+直ぐにCPR開始 p No flow time(NFT)︓ ⼼停⽌からCPR開始までの時間 p Low flow time(LFT): CPR開始から⼼拍再開までの時間 p ⼼停⽌時間︓ p PCAS︓ No flow time + Low flow time Post Cardiac Arrest Syndrome ⼼肺停⽌(CPA)から⼼停⽌(CA)に呼び⽅が変わったよ︕
#6.
CPC(Cerebral Performance Categories) ⼼停⽌後の神経学的予後を表す指標 数字が⼩さいほど、予後が良い p CPC1(GR) 機能良好 ⼀般的な神経学的予後良好とは CPC12の事 p CPC2(MD) 中等度障害 p CPC3(SD) ⾼度障害 p CPC4(VS) 昏睡・植物状態 p CPC5(D) 死亡・脳死
#7.
⽇本の救急隊のCA不搬送基準 l 救急隊がCA不搬送決定するのは6項⽬全てを満たすとき (1)意識レベルが300 (2)呼吸が全く感ぜられないこと (3)総頚動脈で脈拍が全く触知できないこと (4)瞳孔の散⼤が認められ、対光反射が全くないこと (5)体温が感ぜられず、冷感が認められるもの (6)死後硬直または死斑が認められること 救急隊の判断は法律で決まっています 上記が全て揃うと、不搬送になります
#8.
欧⽶の救急隊の不搬送基準(例) 救急⾞に搬⼊するまでに l VF,VTではないこと (原因が⼼原性を否定) l 医療者による⽬撃(Witness)がないこと (No flow timeがほぼ0) l 現場で⼼拍再開がないこと 以上3つすべて満たすと、1か⽉予後が悪く(⽣存率1%以下)、 病院に搬送せず、蘇⽣を中⽌ ⽇本の不搬送より遥かに厳しい
#9.
患者がCA︕CPRを開始! ACLSの先にある治療と中⽌の知識
#10.
意識・呼吸なし︕CPRだ︕ 全然変わらないし いつまで続けたら 良いんだ︖ DC:電気的除細動、AEDも可 リズム チェック ROSC→ICUへ VF/VTはDC アドレナリン投与 良質なCPR 2分間 ACLSで習うのは、ICUに⼊るまで 蘇⽣の限界点はどこにあるのか︖
#11.
⼼停⽌の予後を決める要素 ①⼼停⽌時間 ②⼼停⽌の原因 ③⼼停⽌前のADL この三つの要素が、複雑に絡み合い ⼼停⽌後の予後に影響する 神経学的予後 ⽣命的予後 脳・⼼臓 両⽅の予後が良いことを ⽬指す
#12.
①⼼停⽌時間︓神経学的予後に影響 l ⼼停⽌時間=No flow time+Low flow time →脳の低酸素状態への影響+蘇⽣の限界を超える指標 完全に酸素供給無し時間+胸⾻圧迫レベルの酸素供給あり時間 いつ⼼停⽌したか、どれくらいの時間CPRしたか確認!! ⼼停⽌時間が短いほうが良い 完全脳酸素⾏かない時間(No flow time)が短いほうが良い
#13.
院外⼼停⽌でのPoint of no return ⽬撃のある、⾮外傷性院外⼼肺停⽌ 27,301例の後ろ向き研究 F Adnet. Cardiopulmonary resuscitation duration and survival in out-of-hospital cardiac arrest patients Resuscitation. 2017 Feb;111:74-81 12分以上 Low flow time 33分以上 No flow time →1ヶ⽉以上⽣存が1%未満 蘇⽣中⽌の⼀つの判断材料となる 上記時間が蘇⽣中⽌の判断材料 ただし、初期波形VF ,VTは除く
#14.
院内⼼停⽌での予後 l l l l 院外より処置の環境が整っている Witnessが医療従事者 原疾患も特定しやすい No flow timeが短い傾向にある 1か⽉⽣存率54% 神経学的予後良好36% 時間的に予後良好になる因⼦が揃っており、院外⼼停⽌より予後は良い →⼼停⽌時間+⼼停⽌原因+元のADLで規定される
#15.
院内⼼停⽌でのPoint of no return l 院内⼼停⽌でWitnessあり(⾮常 に良い条件) l ROSC率は48.5% l ROSC群の中央値は12分 l non-ROSC群の中央値は20分 0分でも Low flow time 60分以上 No flow time 蘇⽣された患者の80%は30分以内 どこまで有効な蘇⽣かは個々の判断 は、蘇⽣困難 ZD Goldberger. Duration of resuscitation efforts and survival after in-hospital cardiac arrest: an observational study Lancet. 2012 October 27; 380(9852): 1473–1481.
#16.
院外⼼肺停⽌ まったく時間経過がわかりません︕ l ⾎液ガス分析で時間経過を予測 l 明らかなカットオフ値があるわけではありません (特に低体温は判断ができない) l pH↓、K↑、Lac↑の具合をみて判断していることが多い l 初期波形Asystoleは予後が悪い(⼼停⽌の原因のなれの果て) 経過がわからないということはno flow timeが⻑い︕ 蘇⽣されても、神経学的予後が悪いことを覚悟する
#17.
②⼼停⽌の原因︓⼼原性のみ予後が良い︕ ⼼原性は予後がいい︕ VF、VTをあきらめない︕ 良い条件① ⼼停⽌の原因を早期解決 早期の治療介⼊が可能(DC等) AMI →⼼停⽌︕ 予後の良い ROSC 良い条件② 脳へのダメージが最⼩限 絶え間ない胸⾻圧迫(脳への⾎流を維持)
#18.
⼼原性⼼停⽌の予後 ⼀般市⺠が⽬撃した⼼原性⼼ 肺停⽌症例25,538例 市⺠によるCPR+AED施⾏ 1か⽉⽣存率 53% 1か⽉社会復帰 45% 予後がいいのは明らか︕ VF、VTをあきらめない︕ CPR+AEDで 予後改善︕
#19.
③⼼停⽌前のADL︓予後を予測 l Clinical Frailty Scale(CFS)︓どれくらいADL低いか 院内死亡︓68% 院内死亡︓95% ⼊院時CFS5以上は 蘇⽣率も低く、予後も悪い l ⼊院時のCFSが院内⼼肺停 ⽌に及ぼす影響 l CFS5以上の患者が、院内 ⼼停⽌した場合、CFS4以 下と⽐較 l ROSCはOR︓0.63 l 院内死亡はOR︓2.9 CFS5以上で⽣存退院は1例 のみであった。 SM Fernando. Frailty and associated outcomes and resource utilization following in-hospital cardiac arrest Resuscitation. 2020 Oct;146:138-144
#20.
⼼停⽌前のADL︓予後を予測 Resuscitation. 2020 Oct;146:138-144 この論⽂は、⽐較的若年で、Witnessは50%前後 40%はROSCするが、CFS≦4で70%、CFS≧5で95%が死亡する
#21.
CAの予後を考慮した診療時間経過 ここで、蘇⽣中断を考慮 神経学的予後 ⼼停⽌時間 神経学的予後不良 30 min 原疾患の解決 BS-CPR無し 元のADL 原疾患解決不能 治療と並⾏して 情報収集と評価 CFS5以上 良い条件が揃えば ここまでにECMOを ECMO 60 min Witness+ BS-CPR ⼼原性 CFS4以下 ADL良好、BSーCPRあり、Witnessあり、⼼原性(VF/VT)が揃うようで あれば、⼼停⽌後60分以内にECMOが開始できることを⽬指す。
#22.
CA診療の実際の対応流れ 気管挿管 ⼼原性・ VF/VT以外 リズム チェック VF/VTはDC アドレナリン投与 原因検索 ADL確認 蘇⽣したら 頭部CT 家族にIC① 30 min ⾎液ガス分析 家族にIC② 2分間 良質なCPR ⼼原性・ VF/VT NFT短時間 気管挿管 ECMO ADL良好 原因検索と蘇⽣を並⾏する。時間経過・⼼停⽌原因・ADLを考慮して蘇⽣中⽌を判断。 可能であれば、家族には①蘇⽣が難しいIC②お看取りICの2回⾏った⽅が良い ⼼原性であれば、絶え間ない胸⾻圧迫と、早期にECMO導⼊を判断する 60 min
#23.
⼼拍再開︕その後どうする!?
#24.
⼼拍再開までにかかった時間と予後 ⽇本の院外⼼停⽌症例17,238例 病院到着前にROSC症例 CPR時間と⽣存・神経学的予後 の関連を検討 NFTや初期波形は考慮に⼊れていない 1ヶ⽉後の神経学的予後・⽣存を評価 GotoY. Relationship Between the Duration of Cardiopulmonary Resuscitation and Favorable Neurological Outcomes After Out-of-Hospital Cardiac Arrest: A Prospective, Nationwide, Population-Based Cohort Study J Am Heart Assoc. 2016 Mar 18;5(3):e002819 ROSCまでに30分 神経学的予後良好 0.4% 1ヶ⽉⽣存0.8% ROSCまでに53分 1ヶ⽉⽣存0% ⼼拍再開しても⻑期⽣存できない
#25.
蘇⽣後のマネージメント TTM(Target Temperature Management) l 発熱が蘇⽣後の神経学的予後を悪くすることがわかっている l 蘇⽣後24時間-48時間 体温を34-36℃に維持 l 厳格な体温管理よりも、極端な体温上昇37.8℃以上や、体温 の下げ過ぎ管理33℃以下を避けるべき O2制限 l 正常酸素圧を⽬指し、⾼酸素⾎症を回避すべし →動物実験では良い結果が出ているが、有効なエビデンスはまだ 完全な脳低体温療法はやらなくなったよ
#26.
72時間後︓神経学的予後評価 C Sandroni. Prediction of poor neurological outcome in comatose survivors of cardiac arrest: a systematic review Intensive Care Med (2020) 46:1803–1851 評価は蘇⽣後72時間に⾏う 1)MMTが3以下 且つ 2)以下2項⽬以上が当てはまるなら、神経学的予後不良 ①対光反射なし、⾓膜反射なし ②24時間以上の時点で悪性の脳波(Burst-suppression等) ③ミオクローヌス重積 ④48時間または72時間の時点で⾎清NSE>60μg/l ⑤CT,MRIで⽪髄境界不鮮明化 ⑥N20-SSEP波が両側で消失 条件が揃えば、意識が戻る可能性はほぼない
#27.
⼼肺停⽌時のカルテの書き⽅ 〇〇︓〇〇 最終健常確認 〇〇︓〇〇 ⼼肺停⽌確認 〇〇︓〇〇 CPR開始 〇〇︓〇〇 アドレナリン 1㎎ 〇〇︓〇〇 気管挿管 〇mm、⼝⾓〇cm 換気良好 〇〇︓〇〇 波形の変化があれば p ⼼肺停⽌の原因(疑いを含めて) 〇〇︓〇〇 ⼼拍再開 p 今後の⽅針 p No Flow Time(最終健常時間ーCPR開始時間): (モニター初期波形) p Low Flow Tome(CPR開始時間ー⼼拍再開時間)︓ p ⼼肺停⽌時間(No Flow Time+Low Flow Time): φ iv DC 、アミオダロン等 (⾎圧、脈拍、意識レベル、瞳孔径) #Problem #Plan 蘇⽣と並⾏して>⾎液ガス分析、採⾎、その結果 (〇〇︓〇〇 ⾃発呼吸再開 ※再開あれば) (〇〇︓〇〇 瞳孔縮瞳 (〇〇︓〇〇 ⾃⼒体動※体動あれば) ※縮瞳あれば) 蘇⽣後の原因検索> ECG、頭部CT 必要であれば胸腹部造影CT等原因検索と、その治療 〇〇︓〇〇 ICU⼊室 予後に⼤きく影響する 時間経過 がわかるように記載する
#28.
Take Home Message l ⼼肺停⽌からの時間経過を考慮して、CPR中⽌を判断 蘇⽣中⽌の⼀つの指標 No flow time 12分以上Low flow time 33分以上 l ⼼原性⼼停⽌(初期波形VF /VT)はギリギリまで頑張る ⼼原性⼼停⽌は予後が良い、ECPRを考慮する l 蘇⽣後、神経学的予後を評価し、今後のCPCを予測 →蘇⽣後のADLを予測し、家族への対応を 君たちは、どこまで蘇⽣するのか ここで学んだ情報と、家族の⼼情等総合的に判断しましょう