#4.
カルテの書き方:入院サマリー S 【ID;identification】
主病態に関与する背景を盛り込んで簡潔に1行で記載
例)脳梗塞症例;高血圧,2型糖尿病が背景にあるADL自立した70歳男性
【主訴】基本は1個(3個も4個も書かない)
【入院理由or主病名】
どんな理由で入院したかを明記する
→必ずしも治療だけが入院理由にはならないので(退院先の調整等),
何を目的とした入院なのかを明確にする
#5.
【現病歴】
●一つの物語(映像化できるレベル)として筋が通った病歴を目指す
→めまい症例なら,“起床時にめまいが出現”ではなく,“起床時にスマホのアラームを止めようと顔を動かしたときにめまいが出現”等々
→病歴が数ヶ月前から急に数日前に飛んだりと空白の期間が出来ていることが多々ある(その間は症状は変わらなかったのか,新規症状や頻度の変化はなかったのか)
●以前に同様の症状がなかったか(あった場合はその時の診断や対応を聴取)
●症状の経過を時系列順に記載(いつまで元気で,いつどんな初発症状が出たのか)
→時系列の表記は統一する,●月●日と●日前をごちゃまぜにしない
●鑑別を絞るためのclosed question(感染症では臓器特異的症状) カルテの書き方:入院サマリー S
#6.
【既往歴・併存症】いつ,どこでどんな治療をしたのかわかれば記載
例)55歳 胆嚢炎 胆摘@~病院
【内服歴】処方している病院と,処方量まで正確に記載(入院後処方に困らないよう)
例)@~病院
アセトアミノフェン 500mg 3T3x
エソメプラゾール 20mg 1C1x
【健診歴】毎年,市や職場の健診を受けているか,異常の指摘があるか
・かかりつけで定期的に採血を受けていることを健診と言う人もいるので要注意
・悪性腫瘍検索が必要な疾患では,最後にいつ上下部内視鏡検査を施行されたか聴取 内服の多さがパっと見でわかるよう縦書きがお勧め カルテの書き方:入院サマリー S
#7.
【家族歴】
鑑別疾患に関連する家族歴がないか,こちらから的を絞って聴取することも必要
【アレルギー】
いつ,どんなもので,どんな症状がでたのか
→抗菌薬の場合は特に本当にアレルギーだったのかを判断する必要がある
【生活社会歴】
飲酒:何をどれくらい飲むか,大酒家の人が少なめに言うこともあるので,どのくらいの日数で消費されるか(ウィスキーボトルを3日で等)
喫煙:●~●歳 ●本/日 (current, past, never)
同居家族,ADL・食事形態,介護保険:要介護●,職業 カルテの書き方:入院サマリー S
#8.
【General appearance】パッと見の印象は鑑別を考える上でも結構重要
例)痛みで身の置きどころがない様子→動いている分,腹膜炎の可能性は低そう
【Vital signs】
GCS E●V●M●,BP ●/● mmHg,HR ● /min,RR ● /min,SpO2 ●%(r.a.),BT ●℃
→モニターの呼吸数はあてにならないので,自分でカウントする
【Physical examination】
どんな患者であっても,Head to Toe(頭からつま先まで)で診察し,省略しない
どの順番でどこを診るかは自分の中で身体診察の型を作っておく
HEENT(head, eyes, ears, nose, throat), Neck, Heart, Lung, Abd, Back, Ext カルテの書き方:入院サマリー O
#9.
カルテの書き方:入院サマリー A 【Short summary】
簡潔に記載(Long summaryにしない!),入院後も経過と共に更新する
→記載はmustではないが,他科紹介時や外来フォロー時に,
これまでの経過が簡単に把握できて便利
例)高血圧,2型糖尿病が背景にあるADL自立した70歳男性.●月●日から右上下肢の不全麻痺が出現し救急搬送.頭部MRIで左内包後脚に新規梗塞巣があり,同日入院.NIHSSは2点であり,●月●日からDAPT開始. 麻痺の進行がなければ,自宅退院予定.
#10.
【Problem lists】
≪active problems≫入院時,現在進行形で問題になっているもの記載
#.敗血症性ショック
#.閉塞性腎盂腎炎
≪inactive problems≫problem outしたものや,基礎疾患
#.低Na血症(丁寧に書くなら,ー●月●日 problem out)
#.2型糖尿病 ーメトホルミン 1500mg/日
#.アルツハイマー型認知症 ー2010年診断
≪social problems≫
#.ADL:杖歩行,風呂・トイレ自立
#.disposition:療養転院→施設
#.CODE:心停止時DNAR(●月●日 ~Dr→~ IC) カルテの書き方:入院サマリー A #の後は数字を付けるのが正しいが,
数字ごとの並び替えが面倒ではある
#11.
カルテの書き方:入院サマリー A 【Assessment】次スライドに具体的な例を記載します
●いつ,どんな理由で,どんな治療を開始したか即わかるように記載
→重要な情報が抜けたカルテは情報共有のツールとして意味がないし,アセスメント
が大量に書かれたカルテは素晴らしいが,おそらく本人と指導医以外読んでいない
→読む気が失せないようなカルテを書くことは意外と重要
●入院時点で予測される治療期間,退院までの道筋も記載
●problem名は可能な限り詳細に,右放線冠BAD NIHSS4点>右放線冠梗塞>脳梗塞
●既に改善したproblemや動かさないproblemは,active→inactiveに移動
●動かさないproblemのアセスメントは退院サマリーに移して,カルテを簡素化させる
#12.
カルテの書き方:入院サマリー A #. 急性腎盂腎炎(非閉塞性)
#.ESBL産生E.coli菌血症
■培養:血液(●/●):ESBL産生E.coli
尿(●/●):ESBL産生E.coli
■抗菌薬:●/●~■/■ CMZ 1g q6h
■/■~ MEPM 1g q8h
リウマチ性多発筋痛症でPSL 5mg/day内服中の70歳女性(感染症の背景).左CVA叩打痛陽性で,膿尿・細菌尿があり,他の感染フォーカスは明らかでなく,急性腎盂腎炎の診断で治療開始(診断の根拠).
腹部エコーで水腎所見はなく,過去の尿培養でESBL産生E.coliが検出されているが,全身状態・バイタルは安定しているのでCMZで治療開始(抗菌薬選択の根拠).■/■に血液培養からESBL産生E.coliが検出され,Merino trialに準じてMEPMにescalation(治療変更の根拠).治療期間は7-10日間で,起炎菌としては経口スイッチが難しい(治療期間の推定).▲/▲まで発熱が持続している場合は膿瘍形成の評価のため造影CTを考慮(今後のプラン). 何に対し,いつからどんな治療をしているか.
予期せぬトラブルが生じた時にすぐ対応できるように誰が見ても分かるように記載
→自分だけがわかるカルテなんてものは,
カルテとして全く意味がない
#13.
カルテの書き方:入院サマリー P 【To do】チーム内でやることリストを共有できるように
【検査】いつどんな検査を行うか把握,結果待ちのものも記載(確認忘れ防止)
例)●/● L/D・胸部Xp ■/■ 心エコー,結果待ち:血培,抗核抗体,ANCA
【薬剤】新規開始薬剤・中止薬剤を記載,薬剤性の変化を疑った時に重要
【最終IC】いつ誰が誰に病状説明をしたか,連絡漏れの防止
→病状が落ち着いていても,最低でも週に1回,患者家族に連絡し,不安感を解消する
例)●/● ~Dr→息子様 IC
【CODE】急変時に備え,ICカルテをすぐ参照できるように日付も明確に記載
例)CODE:心停止時DNAR,酸素投与はマスクまで(●/● ~Dr→息子様 IC)
#14.
カルテの書き方:経過記録 S)
【入院日】●/● day■(入院何日目)
【入院理由or主病名】
【Problem lists】
【Short summary】
O)
GA(general appearance):
VS(vital signs):意識レベル,BP,HR,RR,SpO2,BT
食事摂取量,排便(最終排便と排便回数),排尿,体重(現体重と入院時)
#15.
カルテの書き方:経過記録 A)
●アセスメントの書き方は入院サマリーに準じる
●日記形式は経過を詳細に把握できる反面,非常に長くなってしまうこともあるので,
終わったことは退院サマリーに移していく.
●コピペをせずに毎日アセスメントを変えることを推奨する意見もあると思うが,
個人的には,一度しっかり書いたアセスメントをコピペしつつ,日々version upして
いくのが良いと考える.
→いつ,どう方針を動かしたか知りたいときに,いちいち過去カルテを遡るのは面倒
#16.
カルテの書き方:経過記録 P)
【To do】
【検査】●/● L/D
結果待ち:
【薬剤】新規開始薬剤:
中止薬剤:
【退院plan】disposition:自宅予定
最終IC:●/● ~Dr→息子様 IC
【CODE】心停止時DNAR(■/■ ~Dr→息子様 IC)
#17.
日常業務で意識すべきこと ・整理:必要なものと不要なものを分け,不要を処分
・整頓:必要なものをすぐ取り出せる
・清掃:職場を清潔に保つ
・清潔:上記3つを標準化
・躾:標準化したものを習慣化させ維持する ★病棟業務をKAIZENする!!
#18.
日常業務で意識すべきこと ★病棟業務における5S★
【整理】不必要なデバイスや指示(バイタル3検,尿測,血糖etc.)は削除,
不要な輸液や処方も削除
不要な検査も削除(毎度の血液像や凝固)
problem outした問題は退院サマリーに移す
【整頓】治療経過はわかりやすく記載し,CODE IC記録はすぐ参照できるように
【清掃】同一疾患に起因する複数problemはまとめる,
カルテはなるべくシンプルに,読む気が失せないようなものにする
【清潔】テンプレートを用意し,カルテの標準化を目指す
【躾】テンプレート・チェックリストの活用を徹底する
#19.
チェックリストの活用 Daily Checklists Weekly Checklists ・vital signs,モニター心電図の確認
・食事摂取量
・排便(最終排便,排便回数)
・内服・点滴の漏れや無目的なdo処方
がないか
・不要な継続指示・デバイスがないか
・次回検査日,未着検査 ・継続指示の確認(安静度,vital測定
件数,モニター,血糖,尿量etc.)
・患者家族への最終連絡がいつか
・転院調整の進展含め,退院に向けた
進捗状況を確認
・退院サマリーの更新,カルテ整理 忙しい時ほどチェックリストを活用してミスがないように
#20.
おまけ;個人的に日常診療で心掛ける三箇条 目の前の症例について,とにかく調べる(UpToDate, 教科書,論文etc.)
自分の記憶や上級医の意見を過信しない 其の壱 其の弐 其の弐 基本に忠実であること(エビデンスから逸脱した医療をするなら, それ相応の理由が必要) あらゆる選択に自分なりの根拠を持つ(市中肺炎に対し,アンピシリン・スルバクタムとセフトリアキソンどちらを選択するか等)
#21.
Take Home Message カルテは別チームの医師が見ても, “いつ”,“どんな理由”で“どんな治療”が行われたのかわかるように記載
処方・点滴・継続指示を毎日見直す,不要なデバイスはすぐ外す
入院した時点で退院までの道筋と退院後のフォローを考える
チェックリストの活用でミスを防ぐ 質の高い病棟管理を目指し,日々の業務をKAIZENしていきましょう