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★ドナー選択★
自分と自分以外を区別する標識がHLA。このHLAを患者とドナーで合わせます。
HLAは両親から1本ずつ染色体を引き継ぐので、兄弟同士で一致する確率は1/4です。
★ドナーの比較★
まず患者さんと兄弟のHLAを調べます。一致の兄弟がいない場合、骨髄バンクに登録したり、臍帯血を探します。臍帯血は赤ちゃんのへその緒の血液のことで、造血幹細胞が豊富に含まれています。
骨髄バンクドナーは探すのに時間がかかり、調整が難しいことがあります。臍帯血は迅速にドナーを探すことができますが、含まれる幹細胞の量が少なく、幹細胞が患者さんに拒絶されるリスクがあります。
★幹細胞の採取方法★
骨髄中には1uLあたり数万個の細胞があり、CD34陽性細胞は1%くらい。この中に造血幹細胞が含まれています。1回の移植で必要な幹細胞をだいたい1Lの骨髄が必要になります。全身麻酔をかけて手術室で採取しています。
もう一つの方法はG-CSFによる幹細胞の動員です。連日G-CSF投与により、骨髄から末梢血に造血幹細胞が出てくる現象を利用します。
★GCSFによる造血幹細胞動員の機序★
造血幹細胞は普段、骨髄の環境細胞の近くで眠っています。まわりの細胞が造血幹細胞を引き付けるケモカインを出して、骨髄の奥底に保持されています。
GCSFの好中球や単球刺激作用、骨髄マクロファージ阻害作用などによって、ケモカインが減少し、末梢血へと動員されます。
★血液型不適合移植★
A型の患者にB型の赤血球を入れると、輸血したB型赤血球のB抗原に患者の抗B抗体が結合して、溶血が起こります。血小板の輸血の場合、血漿中の抗体が一緒に輸血されます。
血液型不適合移植はこの知識を応用して考えます。
A型にO型から移植した場合、骨髄中の抗A抗体が、A抗原を持っているA型赤血球に反応して、溶血発作を起こします。そのため、血漿を取り除いて移植します。
O型患者にA型から移植すると、患者の抗A抗体がドナーA型赤血球に反応して溶血発作を起こします。なので、ドナーの赤血球を除去してから移植します。
患者が持っている抗A抗体は当分の間、体内に残存してます。移植して当分の間赤血球は壊され続けて赤芽球癆になることがあります。