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健康診断で要精査 高血圧の対応方法

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48,542

241

2022/3/20
2022/3/20 更新

本スライドの対象者

研修医/専攻医

内容

二次性高血圧の精査はどこまでやればいいのか、降圧薬は結局何を処方すればいいのか……

このように健康診断後の高血圧精査は患者数が多い分、つまづくポイントも非常に多い。

このスライドでは研修医や健康診断後の外来を担当し始めた専攻医1-2年目を対象に高血圧の対応方法を説明する。

湯浅駿

勤医協札幌病院


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健康診断で要精査 高血圧の対応方法

  1. 健康診断で要精査 高血圧の対応方法

  2. こんな診療になっていませんか? はじめに 健康診断で要精査「高血圧」 降圧薬処方して… はい、次の方どうぞ!

  3. ・これから高血圧の勉強を始める方 ・「降圧薬の処方だけ」から卒業したい方 ・二次性高血圧の精査方法を学びたい方 はじめに 対象

  4. はじめに 頻度の高い疾患だからこそ深く学びましょう 高血圧の有病者数 4300万人 日本人の3人に1人が高血圧 *高血圧治療ガイドライン2019

  5. 健康診断で高血圧 ー 基本の対応 ー ・『治療抵抗性高血圧を疑った時のチェックリスト』確認 ・稀な二次性高血圧を確認  高血圧対応フローチャート 3種類以上の降圧薬併用も目標血圧に達していない 治療目的 ー 二次性高血圧の確認 ー 降圧目標 治療方法 脳卒中・心疾患による 死亡リスクを下げるため 生活指導+薬物療法 スクリーニング 確認する疾患 □ 睡眠時無呼吸症候群 □ 腎実質性高血圧 □ 腎血管性高血圧 □ 原発性アルドステロン症 □ 甲状腺機能亢進症/低下症 □ 薬剤誘発性高血圧 血算、Cr、Na、K、Ca GLU、HbA1c LDL-Chol、TSH 尿一般定性、尿沈渣、心電図

  6. 教科書には投薬の前に家庭血圧の測定を行うように書いてあるが、 仕事がある中高年は薬の処方がないなら通院しなくなることが多い 高血圧の患者は他の動脈硬化リスクを有している場合が多いため、 とりあえず投薬をしつつ動脈硬化リスクや二次性高血圧の確認を行う また初回投薬の閾値を低くすると、治療で改善した際に 降圧薬を卒業できるという成功体験が得られる利点があると考える 初回受診 投薬を理由に通院してもらう

  7. 健康診断で高血圧 ー 基本の対応 ー ・『治療抵抗性高血圧を疑った時のチェックリスト』確認 ・稀な二次性高血圧を確認  高血圧対応フローチャート 3種類以上の降圧薬併用も目標血圧に達していない 治療目的 ー 二次性高血圧の確認 ー 降圧目標 治療方法 脳卒中・心疾患による 死亡リスクを下げるため 生活指導+薬物療法 スクリーニング 確認する疾患 □ 睡眠時無呼吸症候群 □ 腎実質性高血圧 □ 腎血管性高血圧 □ 原発性アルドステロン症 □ 甲状腺機能亢進症/低下症 □ 薬剤誘発性高血圧 血算、Cr、Na、K、Ca GLU、HbA1c LDL-Chol、TSH 尿一般定性、尿沈渣、心電図

  8. 治療目的 基本の対応 治療目的、降圧目標、治療方法を患者と共有する 降圧目標 治療方法 生活指導 薬物療法 脳卒中・心疾患による 死亡リスクを下げるため 動脈硬化リスクの管理 喫煙、肥満、糖尿病 脂質異常症、CKD 高齢、男性、家族歴など

  9. 治療目的 脳卒中・心疾患による死亡リスクを下げるため * Hypertens Res. 2012 Sep;35(9):947-53.   EPOCH-JAPAN:40-64歳の血圧別心血管死亡リスク <120/80 120-129/80-84 130-139/85-89 140-149/90-99 160-179/100-109 ≧180/110 血圧(mmHg) ハザード比 95%信頼区間

  10. ・EPOCH-JAPANで国内10コホート(計約7万人)のメタ解析が行われ、  40-74歳では高血圧と脳卒中・心疾患リスクとの有意な関連が示された ・慢性腎臓病(CKD)の発症リスクも上昇するが、  降圧薬治療によるリスク低減効果は必ずしも一定していない ・他の動脈硬化リスクが加わると脳卒中・心疾患のリスクがさらに上昇する  →高血圧と合わせて動脈硬化リスクも管理する 治療目的 喫煙、肥満、糖尿病、脂質異常症、CKD 高齢、男性、家族歴(50歳未満での脳心血管病発症)など – 動脈硬化リスク –

  11. 降圧目標 ・随時尿で0.15g/gCr以上を尿蛋白陽性とする ・75歳以上でも忍容性があれば個別に判断して130/80mmHg未満を目指す *高血圧治療ガイドライン2019

  12. ・併存疾患を踏まえてガイドラインの降圧目標を確認する   ・収縮期血圧10mmHg、または拡張期血圧5mmHgの低下により、  脳卒中30-40%、心不全約40%、全死亡10-15%と  それぞれの発症リスクが減少する   ・高齢者では130mmHg未満、非高齢者では120mmHg未満に  降圧した場合、ふらつきなど有害事象が出現する可能性に注意する 降圧目標

  13. 治療方法 -生活指導- 食塩制限 減量 節酒 バランスのとれた食事 運動 禁煙 ・6g/日未満を目標 ・『食塩を控えるための12ヶ条』   https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/diet/diet02/  などを利用して指導 ・食事バランスガイド、DASH食、  地中海食などを参考に指導 ・目標:BMI<25kg/m2 ・目標に達しなくても、  約4kgの減量で有意な降圧効果あり ・軽強度の有酸素運動を毎日30分、  または180分/週以上行う ・男性はエタノール20-30mL/日以下、  (日本酒 1 合,ビール中瓶 1 本相当)  女性その半分以下 ・おつまみの塩分に注意

  14. ・ガイドラインでは併存疾患を踏まえて  サイアザイド系利尿薬、Ca拮抗薬、ACE阻害薬/ARBから選択するように  記載があるが、筆者は以下の理由からCa拮抗薬を第1選択とすることが多い   ・メタ解析より脳卒中、心疾患の予防効果は降圧薬の種類によらず、降圧度で決まる ・サイアザイド系利尿薬:尿酸値上昇、血糖上昇の副作用があるため             降圧薬以外の内服薬が次第に増えていく可能性がある ・ACE阻害薬/ARB:副作用も少なく使いやすいが、今後原発性アルドステロン症の           検索をする場合に検査結果に影響を及ぼす可能性がある Ca拮抗薬を第1選択として使用 治療方法 -薬物療法- *BMJ. 2009 May 19;338:b1665.doi: 10.1136/bmj.b1665.

  15. ・細かい降圧薬の使い方はスライド数の都合上省略する  詳しくは以下の本がお勧めである 治療方法 -薬物療法- *WEBに無料版PDF公開 *2018年出版であり最新のガイドラインには対応していない

  16. 健康診断で高血圧 ー 基本の対応 ー ・『治療抵抗性高血圧を疑った時のチェックリスト』確認 ・稀な二次性高血圧を確認  高血圧対応フローチャート 3種類以上の降圧薬併用も目標血圧に達していない 治療目的 ー 二次性高血圧の確認 ー 降圧目標 治療方法 脳卒中・心疾患による 死亡リスクを下げるため 生活指導+薬物療法 スクリーニング 確認する疾患 □ 睡眠時無呼吸症候群 □ 腎実質性高血圧 □ 腎血管性高血圧 □ 原発性アルドステロン症 □ 甲状腺機能亢進症/低下症 □ 薬剤誘発性高血圧 血算、Cr、Na、K、Ca GLU、HbA1c LDL-Chol、TSH 尿一般定性、尿沈渣、心電図

  17. 『基本の対応』と合わせて行うべきなのが『二次性高血圧の確認』である 「太っているので本態性高血圧」と考えてしまいがちだが、 太っているからこそ睡眠時無呼吸症候群などの二次性高血圧を確認したい   もちろん痩せていても二次性高血圧の確認は必須である   この時に重要となるのが「有病率」である 二次性高血圧をきたす疾患は数多く存在するため頻度の高いものを確実に除外し、 治療への反応が乏しければ稀な疾患を検索する 二次性高血圧の確認 全患者で二次性高血圧を確認

  18. 二次性高血圧の確認 有病率の高い二次性高血圧は5個+薬剤性 高血圧患者における二次性高血圧の有病率  * Eur Heart J. 2014 May 14;35(19):1245-54. 一部改変

  19. 二次性高血圧の確認 ・30歳未満での発症 ・普通〜痩せ体型 ・急激に発症した高血圧 ・降圧薬を3種類併用しても 目標血圧に達しない    など Up To Date 『Evaluation of secondaryhypertension』 スクリーニング検査 二次性高血圧を示唆する所見 血算、Cr、Na、K、Ca GLU、HbA1c LDL-Chol*、TSH 尿一般定性、尿沈渣、心電図 ・二次性高血圧を示唆する所見に加えて、  個々の疾患の「疑う所見」を踏まえて追加検査を検討する Up To Date 『Initial evaluation of the hypertensive adult』 *スクリーニングであるためLDL-Cholは直接法で測定

  20. ・二次性高血圧の原因で最多であり、疑う所見があれば検査する   ・診断基準:高血圧+AHI(睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸の合計回数)5以上 ・スクリーニングツール(ESS、STOP-BANGなど)は精度が不十分であるため、  既に高血圧があり検査前確率が高い患者に対して筆者は用いない   ・治療:CPAP(保険適用基準に注意)、減量などの生活習慣改善 睡眠時無呼吸症候群 *Int J Hypertens. 2017;2017:1848375.  疑う所見 ・肥満体型 ・無呼吸の指摘、強いいびき ・昼間の眠気 ・早朝、夜間高血圧 * 高血圧治療ガイドライン2019 一部改変  検査 以下のいずれかを行う    アプノモニター(簡易検査、自宅で可能)  ポリソムノグラフィ(原則入院)

  21. 定義:腎疾患によって引き起こされる高血圧 ・高血圧に長期間罹患していると腎機能が低下するが、  その場合の尿蛋白は多くても1日1.0g以下(ほとんどの場合は1日0.5g以下)である 腎実質性高血圧 全例でスクリーニングを実施: 血清クレアチニン 尿一般定性、尿沈渣  *尿蛋白(+)であれば 尿蛋白定量、尿クレアチニンを追加 以下に該当すれば専門医へ紹介   ・高血圧に先行する腎機能障害の存在 ・(尿蛋白/尿クレアチニン):1.0g/gCr以上 ・尿潜血、変形赤血球、円柱(硝子円柱以外)

  22. 腎血管性高血圧 疑う所見 二次性高血圧を示唆する所見がある場合 ・30歳未満での発症 ・普通〜痩せ体型 ・急激に発症した高血圧 より強く疑う所見 ・腹部血管雑音 ・ACE阻害薬・ARB投与後の  急激な腎機能悪化 検査 *AJR Am J Roentgenol. 2007 Mar;188(3):798-811 ・治療:薬物療法(ACE阻害薬/ARB) *両側腎動脈狭窄の場合は禁忌     血行再建術(専門医と相談) ・腎動脈エコー   以下の条件を満たすと陽性  PSV>100-200 cm/秒 [感度85%、特異度92%]   *強く疑うが腎動脈の狭窄が 確定できない場合は 腎動脈MRAや造影CTAを実施

  23. ・検査は早朝空腹時、起床後2時間以降、安静臥位15分後に実施 ・降圧薬の種類により検査結果に影響する可能性があるため  Ca拮抗薬、α遮断薬に変更した後に検査を行う   ・治療:MR拮抗薬(スピロノラクトンなど)、副腎摘出術など 原発性アルドステロン症 疑う所見 ・低カリウム血症(利尿薬投与例含む) ・40歳未満 ・150/100mmHg以上 ・治療抵抗性高血圧 ・睡眠時無呼吸症候群、副腎腫瘍、  若年の脳血管障害などの合併症 * 原発性アルドステロン症診療ガイドライン2021  検査 ・血漿アルドステロン濃度 (PAC [CLEIA法]) ・血漿レニン活性 (PRA)   以下の条件を満たすと陽性であり専門医へ紹介  ARR [PAC /PRA ]>200 + PAC>60 (pg/mL) *2021年4月に測定方法の変更があり、 ARR=100〜200も暫定的に陽性とみなす

  24. ・以下の所見があればTSH、FT3、FT4を測定する   甲状腺機能亢進症:頻脈、発汗、体重減少、コレステロール低値   甲状腺機能低下症:徐脈、浮腫、活動性減少、脂質・CK・LDH高値 甲状腺機能亢進症/低下症 薬剤誘発性高血圧 ・高血圧全例で内服薬、市販薬・サプリ・健康食品の使用を確認する ・原因薬剤:NSAIDs、甘草(漢方などに含有)、ステロイド、       シクロスポリン、エリスロポエチン、経口避妊薬、       交感神経刺激薬(抗うつ薬など)、分子標的薬など

  25. 健康診断で高血圧 ー 基本の対応 ー ・『治療抵抗性高血圧を疑った時のチェックリスト』確認 ・稀な二次性高血圧を確認  高血圧対応フローチャート 3種類以上の降圧薬併用も目標血圧に達していない 治療目的 ー 二次性高血圧の確認 ー 降圧目標 治療方法 脳卒中・心疾患による 死亡リスクを下げるため 生活指導+薬物療法 スクリーニング 確認する疾患 □ 睡眠時無呼吸症候群 □ 腎実質性高血圧 □ 腎血管性高血圧 □ 原発性アルドステロン症 □ 甲状腺機能亢進症/低下症 □ 薬剤誘発性高血圧 血算、Cr、Na、K、Ca GLU、HbA1c LDL-Chol、TSH 尿一般定性、尿沈渣、心電図

  26. 3種類以上の降圧薬併用も目標血圧に達していない場合は 稀な二次性高血圧の原因を確認することとなる 合わせて『治療抵抗性高血圧を疑った時のチェックリスト』を用いて 二次性高血圧以外の要因で治療効果が 得られていない可能性がないか確認する 特に治療抵抗性高血圧患者の80%が適切に内服できていないとの 報告もあり、処方通りに服薬できているか注意して確認する 稀な二次性高血圧を確認 * Hypertension. 2017 Apr;69(4):678-684.

  27. 治療抵抗性高血圧を疑った時のチェックリスト * 高血圧診療ガイド2020 一部改変 

  28. ●Cushing症候群  中心性肥満、満月様顔貌、多毛症が頻度の高い所見である  スクリーニング:1mgデキサメタゾン抑制試験           (前日23時にデキサメタゾン1mg内服、翌日8-9時にコルチゾール測定)          早朝コルチゾール>1.8μg/dLで専門医へ紹介  ●褐色細胞腫  頭痛、動悸、発汗過多を三徴とする  スクリーニング:24時間蓄尿における尿中メタネフリン分画   *降圧薬の多くが検査結果に影響を及ぼすため、予め確認する  ●大動脈縮窄症  前胸部〜背部の血管雑音、上下肢の血圧差で疑い、検査は胸腹部CT、MRA、血管造影   ●副甲状腺機能亢進症  高カルシウム血症、低リン血症で疑い、検査はintact PTH 稀な二次性高血圧の原因疾患

  29. 『高血圧治療ガイドライン2019』の記載を中心に 健康診断後の高血圧の対応をまとめました。 ご自身の働いているセッティングによって 今回紹介した手順と異なる点も多いかと思います。 総合病院であれば「稀な二次性高血圧」が受診する 検査前確率が高いかもしれません。 医療機関へのアクセスが良い地域であれば 生活指導のみで頻回にフォローする場合もあります。 それぞれのセッティングで高血圧の診療を行なうにあたり、 本スライドが参考になれば幸いです。

  30. ・高血圧治療ガイドライン2019 ・高血圧診療ガイド2020 ・ホスピタリストのための内科診療フローチャート 第2版 ・ジェネラリストのための内科診断リファレンス ・トップジャーナルから学ぶ総合診療アップデート 第3版 ・動脈硬化御三家 Gノート2018 参考文献

  31. 参考文献

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