テキスト全文
感染性心内膜炎の基礎知識と概要
#1. 全職種向け
基礎から不明熱の鑑別まで
循環器医が説明します 感染性心内膜炎 循環器内科医“うし先生”の
疾患解説シリーズ
#2. 注釈 【自己紹介】
某市中病院勤務の循環器内科医師のうしです。
だいたい中堅くらいです。
【動画のモットー】
細かいデータ<わかりやすさ
【ペット】
オカメインコ
いいねやチャンネル登録
お願いします!
#3. このシリーズでは
全職種向けに
疾患ごとの病態など解説します!
(実臨床を元に不要な所は解説しません)
医師・看護師国家試験! 内科病棟患者対応! 看護実習の病態生理! 生理検査・臨床検査技師のスキルアップ
感染性心内膜炎の病態とリスク因子
#5. 感染性心内膜炎(IE) 【どんな病気か】
心臓の弁などに細菌が付着し
全身に菌が飛び散る難治性の病気
#6. 感染性心内膜炎(IE) 【病態】
心臓の弁や欠損孔などに細菌が付着・繁殖
全身に大小様々な菌塊を飛ばす
・致死率20-30%?
・有病率は肺塞栓と同等?
(10万人に10人弱)
ブドウ球菌or連鎖球菌など
進行早い! 進行ゆっくり!
感染性心内膜炎の症状と臨床所見
#7. 人工物・弁はリスク 感染性心内膜炎(IE) 【原因とリスク】
・アトピー性皮膚炎
・弁膜症/人工弁置換術後
・人工物挿入
(ペースメーカー、CVカテーテル)
・血液透析/免疫抑制状態
・歯科治療?/不衛生?
・IEの治療歴
通常の歯磨きでも
一過性に菌血症に! 実臨床では
一番多い?
#8. 感染性心内膜炎(IE) 【症状】
発熱
弁破壊→心不全(息切れ)
塞栓症(→膿瘍)
肝膿瘍
右季肋部痛 心筋梗塞→胸痛 脾腫・左背部痛 腎梗塞→背部痛
血尿 肺塞栓→呼吸苦 関節炎 動脈塞栓
→チアノーゼ 脳塞栓↓
麻痺・意識障害 熱と全ての症状が出うる!
感染性心内膜炎の検査方法と診断基準
#9. 感染性心内膜炎(IE) 【検査】
⓪身体所見
①血液培養(3セット)
②心エコー
③経食道心エコー
------------------------------------------
④胸腹部造影CT
⑤頭部MRI/胸腰椎MRI
塞栓膿瘍評価 診断
#10. 感染性心内膜炎 【心エコー】 僧帽弁に菌塊!
#12. 感染性心内膜炎 【診断】
血液培養からそれらしい菌(グラム陽性球菌)
+
心エコーで疣贅
百聞は一見に如かず!
感染性心内膜炎の治療法と抗菌薬選択
#13. 感染性心内膜炎(IE) 【治療】
手術(弁の菌を切除±弁修復)
長期間抗菌薬
菌塊10mm
心不全
抗菌薬難治性
#15. 抗菌薬は何を選べばいい? ・頭蓋内病変(髄液移行性と投与量)が
考慮されていない
・海外にある良いペニシリンがない
セフトリアキソン(2g q24hr)+バンコマイシン(Cmin 15-20mcg/ml) で開始し、菌種が判明したらガイドライン見て変更 *頭蓋内病変あれば髄液移行性を考慮しセフトリアキソン(2g q12hr)が無難 血培陰性から4-6週間!
感染性心内膜炎の診療の流れと注意点
#16. 経食道心エコーをしたら良い ・疣贅か正常構造物(腱索の一部)か非感染性かは紙一重
・事前確率がそれなりにないと検査不適
・経胸壁心エコーで疣贅なければ急がない 悪性リンパ腫、Libman-Sacks病など グラム陽性球菌菌血症なら早期に経胸壁心エコー
持続菌血症なら経食道心エコーも考慮
#17. 感染性心内膜炎の診療の流れ ・他疾患(肺炎や胆管炎など)否定的で尿路感染疑いで入院
・血液培養からグラム陽性球菌検出
・ただしに経胸壁心エコーでIEの可能性あり(弁膜症なし)
→抗菌薬変更+待機的に経食道心エコー+全身造影CT+頭部MRI
(セフトリアキソン(2g q24hr)+バンコマイシン(Cmin 15-20mcg/ml))
・菌種 MSSA、全身塞栓(-)だが頭部に微小塞栓あり
弁膜症なしで菌塊 8mmくらい。
→外科医にも報告しセフトリアキソン(2g q12hr)へ。
→血培3日おき採取し陰性から6週間
・心不全がないか、弁膜症がないか1週間後あたり心エコー再検 例)発熱+意識障害
#18. 感染性心内膜炎の診療の流れ ・膿瘍があればドレナージを検討
・心不全があればラシックス静注などで利尿を併用
・多少のアレルギーがあっても極力抗菌薬は継続
例)発熱+意識障害
感染性心内膜炎のまとめと重要ポイント
#19. まとめ(最低限これだけ) ・心臓の菌が飛び散って全身に塞栓を作る
・不明熱の原因になるが緊急性が高いことも
・疑ったら経胸壁→経食道心エコー
・頭蓋内病変が大事
・全身の塞栓と菌種をみて抗菌薬や治療期間を