#4.
はじめに / 7分 2 今日話すこと 01 あとから読まれても、
判断が伝わるカルテ 02 「なぜ検査をしなかったか」
の残し方 03 自分とチームを守る、
記載の型 全部を書く話ではありません。カルテに何を残すか、の話です。
#5.
はじめに / 7分 3 投票 検査をしなかった理由を、カルテに書く習慣はありますか。 A 書いている B ときどき書いている C 書いていない
#6.
いま手が挙がらなくても、気にする必要はありません。
この問いには、最後にもう一度もどります。
#7.
前提 / 8分 4 協力医とは 医療過誤が争われるとき、患者側にも医師がつき、医学的な知見を提供します。その役割が協力医です。
医療機関を責める仕事だと思われがちですが、そうでもありません。
訴えの多くは、説明の行き違いや、患者さんの気持ちが背景にあります。
#8.
前提 / 8分 5 協力医として、カルテを読んでいて思うこと 訴えられた先生の多くは、特別変な診療はしていないことが多いです。普段どおりに診療しているだけです。
医療調査の依頼を受けて調べても、医療水準として問題がないと判断する案件が、1割くらいあります。そのときは「医学的に大きな問題はありません」とお伝えします。無駄な訴訟を起こさないことも、協力医の仕事であると思っています。
腕がいい悪いで訴えられるわけではありません。記録が残っている人と、残っていない医師がいる。差は、そこだけでした。
#9.
前提 では、なぜ訴えられるのか。
腕の差ではありません。
残っている記録の差です。
#10.
前提 / 8分 6 カルテを読むのは、あとから検討する第三者です 何か起きたあと、カルテを読むのは第三者です。
その人が、当時あなたが何を考えていたかを、検証できるか。見られるのは、そこです。
最近は、診療した研修医の記録だけではなく、指導した側の記録も問われます。
#11.
前提 / 8分 7 検査を増やす、という話ではありません 訴えられたくないから、検査を増やす。それは答えになりません。
数の問題ではありません。
その時どう考えて、その方針にしたか。残るのは、そこだけです。
#12.
前提 / 8分 8 医者の当たり前は、弁護士・裁判官の当たり前ではありません CTを撮らない。それも、医者としての判断です。
その判断を審理するのは、裁判官や弁護士です。医学の常識は、法廷では常識ではありません。
自分の常識を、一度疑う。そして、判断は言葉にして残す。
撮らなかった理由を適切に記録することは、CT検査を行うことと同じ効果があります。
#13.
症例クイズ 冒頭の頭痛の患者さん。
あなたは、頭部CTを撮りませんでした。
数か月後、別の病気が見つかって、争いになります。
そのカルテに、いま何が残っていますか。
#14.
9 演習 ① このカルテに、一行だけ足すなら あなたなら、何を書きますか。
頭部CTを撮らなかった理由が、あとから伝わる一行を。
30秒、考えてみてください。
#15.
構造 / 10分 10 証拠の非対称 やったこと 撮った画像、採った採血、やった処置。
これは、自動的に残ります。 やらなかったこと 撮らない、使わない、様子をみる。
書かなければ、記録に残りません。
#16.
やった判断は、記録として残ります。
やらなかった判断は、言葉にしないと記録に残りません。
#17.
構造 / 10分 11 「やるべきだった」ではなく「なぜ、やらなかったか」 あとになると、みんな「あれをやるべきだった」と足し算で考えます。
でも、やらなかったことにも、その時の理由があったはずです。法廷の場で問われるのは、やらなかった理由です。
「やらなかった事実のみ。記録がない」と「こう考えて、やらなかった」。この差が大きいんです。
#18.
書いていないことは、
やっていないことになります。
#19.
12 演習 ① 解説 残せる一行の、例 「神経所見なし、red flag なし、画像適応なしと判断」
これだけで、CTを撮らなかった理由が残ります。
診察の全部を書かなくていい。こう考えていた、という手がかりが残ればいいんです。
#20.
残すのは、過程じゃありません。
確認したことと、決めたこと。それだけです。
#21.
手元の一行 / 8分 13 全部を書く必要は、ありません 忙しい外来で、全部を記録するのは無理です。私もそう思います。
いるのは、勘所だけ。
「こういうとき、こう確認した」。その一行があれば十分です。
#22.
手元の一行 / 8分 14 その一行が、あとで効きます 何を考えて、やらなかったのか。一言でいいんです。
その一行が、あとから「ちゃんと診ていました」を支えます。
#23.
手元の一行 / 8分 15 残す一行の、型 「~のため、~しないと判断」 理由と、選んだ方針。この二つが入っていれば十分です。
長く書く必要はありません。
#24.
症例クイズ 今度は、発熱の患者さん。
あなたは、抗菌薬は使わない、と判断しました。
その判断、あなたならどう一行で残しますか。
#25.
16 演習 ② この判断を、一行にするなら 発熱、でも抗菌薬は使わない。
その理由を、「~のため、~しないと判断」の型で。
30秒、考えてみてください。
#26.
17 演習 ② 解説 残せる一行の、例 「ウイルス性を疑い、全身状態安定のため、抗菌薬使わず経過観察と判断」
使わなかった理由と、様子をみる方針が残ります。
病名まで確定しなくていい。その時そう考えた、が残ればいいんです。
#27.
忙しいからこそ、
勘所だけを残す。
#28.
差異 / 10分 18 見にくいカルテは、後で不利になります カルテを読むのは、協力医や裁判官です。
どちらも、その科の専門家ではありません。
専門用語は、家族に説明するくらいの言葉に開く。それだけで、読む人に届きます。
たどり着けない記載は、無かったものとして扱われます。
#29.
差異 / 10分 19 コピペで、長いカルテ 前の記録が毎回いちばん上にコピペされて、今日の一行にたどり着くまでが長い。
読む側は、そこで疲れます。「これはひどいな」と思うカルテは、裁判官にも同じに映ります。
「Stable」「do」だけでは、なぜそう判断したのかが残りません。
#30.
20 演習 ③ この記載、どう直しますか 「#1 do Stable」
毎日、これだけがコピペされています。
あなたなら、今日の一行をどう足しますか。
#31.
21 演習 ③ 解説 直した、一行の例 「解熱し全身状態改善、経過良好のため現行方針を継続と判断」
「do」の一言を、判断の一行に変えるだけです。
読む側が、今日の診療にたどり着けます。
#32.
差異 / 10分 22 同意書が、フォーマットのまま 難しい手術でも、様式のまま追記がないと、「聞いていない」と言われます。
説明したことは、説明したと書いて、はじめて残ります。
コンサルしたなら、答えてくれた先生の名前も書いておきます。
#33.
差異 / 10分 23 あなたを守るのは、一人の記録ではありません 看護記録、リハビリ記録、麻酔記録。
診療録にないことが、そこに残っていることがあります。
この仕事で一番助けられたのは、実は看護記録でした。チームの記録が、あなたを支えます。
#34.
守るのは、自分のカルテだけじゃありません。
チームのカルテです。
#35.
指導する立場 / 7分 24 指導する立場も、問われます 最近は、診療した本人だけでなく、指導した側の責任が問われることが増えています。
若手が書いたカルテも、チームの記録です。
そこに何を残させるか。それも問われます。
#36.
指導する立場 / 7分 25 若手のカルテを、どう確認するか 処置や検査は、たいてい残っています。
足りないのは、やらなかった判断の理由です。
「なぜ、それをしなかったか」。そこを一行、足させる。それだけで変わります。
#37.
26 演習 ④ 指導医として、何を足させますか 研修医のカルテ:「発熱。経過観察。」
あなたが指導医なら、この一行に何を足させますか。
30秒、考えてみてください。
#38.
27 演習 ④ 解説 足させる、一行の例 「重症感なく、red flag なし。ウイルス性を疑い経過観察と判断」
足りないのは、なぜ経過観察にしたか、です。
理由が一行あるだけで、チームの記録が変わります。
#39.
忙しいからこそ、勘所だけを残す。
自分と、チームのために。
#40.
帰結 / 10分 28 今日のまとめ 1 差がつくのは、腕ではなく記録。 2 やらなかった判断こそ、なぜかを一行。 3 全部は書かない。勘所と、読みやすさ。
#41.
丁寧なカルテと、チームの連携。
それが、めぐって、トラブルの少ない診療につながります。
この仕事をして、一番強く感じたことです。
#42.
帰結 / 10分 29 もう一度、聞かせてください 検査をしなかった理由を、カルテに書く習慣、ありますか。 A 書いている B ときどき書いている C 書いていない 今日から、一行だけ。
#43.
帰結 「~のため、~しないと判断」。
この一行を、習慣に。
#44.
帰結 / 10分 30 もし、手ごたえがあれば 同じ「伝わる説明」の話で、続けられたらと思っています。
訴えられない同意書。
理解されるインフォームドコンセント。
シリーズ化は未定です。まずは今日の一回を。
#45.
Q & A いただいた質問に回答します 1/9 No. 質問 回答 1 胸部X線などで、「所見があるようにも見えるけれど、自分では確信が持てない」ということがあります。
その場合、「異常なし」と書くのも怖いですし、「〇〇疑い」と書くと重く見えすぎる気もします。
こういう不確実な所見は、どのように残すのがよいでしょうか。 「〇〇疑い」と書いても、重く見えすぎるということはありません。所見を疑ったことに加えて、外部読影や画像診断科に相談したこと、その結果まで記録するとよいです。 2 理由を書いたことで、あとから「その判断が甘かった」と逆に突っ込まれることはないのでしょうか。 判断が甘かったと指摘される可能性はあります。ただ、何も書かなければ「何も考えていなかったのではないか」という、より根本的な指摘を受けます。その時点で考えたこと、判断の根拠をそのまま記録してください。 3 致し方ないことかも知れませんが、司法において医学の専門でない人が決定権を持っていることに大きなストレスを感じます。昨今のいろいろな報道の結果、先生の言葉を借りると「医療が萎縮する」方向ばかりに進んでいるような気がします。この点は先生はどのようにお感じでしょうか 医学的な問題と法的な問題は異なります。医療が萎縮する方向に進むことは懸念しています。協力医として、医学的に問題がない案件には明確に問題がないと伝えています。医師側も、何かをしないと判断した場合は、その理由を残してください。記録があれば、協力医も当時の判断をくみ取れます。
#46.
Q & A いただいた質問に回答します 2/9 No. 質問 回答 4 ・さきほどnext actionの話がありましたが、assesmentを広げて書くと、どこまで対応するべきなのか、確率の高さなどにも左右されるとは思われますが、これには対応していないのではないか?などの指摘はないのでしょうか。例えば可能性の低い事案をassesmentしたときに本当に可能性が低い場合に当てはまったときに後から指摘されるとなぜ記載はしたのに対応していないのではないかと言われるのではないでしょうか。
・神経学的所見などでも陰性なしとまとめて書くか、細かくそれぞれの所見をかくべきでしょうか。例えば脳卒中などでめまい患者の微細な脳梗塞などで脳神経内科、脳外科Drと同等の診療ができるわけではなく、診療のqualityとしてはどのように考えるべきでしょうか。いわゆる見逃しと呼ばれる場合だと考えられますが、、 可能性を記載したからといって、すべてに対応しなければならないわけではありません。結果を見てから「対応していなかった」と検討されることはありますが、それを恐れるのではなく、当時の医学的判断と根拠を記録してください。
専門外で心配な場合は専門科へ相談し、経過観察と判断する場合は、いつもと変わらないなど、その根拠を具体的に残すとよいです。すべての症例でCTや専門科相談が必要ということではありません。
#47.
Q & A いただいた質問に回答します 3/9 No. 質問 回答 5 意外と使わない方が良い文言等はありますか?私たちが気にせず使っている用語で何かあれば教えていただきたいです。
IC記事にも専門用語は書かない方がいいですか?
相手の反応は出来るだけ口語で記載した方がいいですか?理解良好という言葉はよくないということも聞いたことがあります。 専門用語を書いてはいけないということではありませんが、弁護士や裁判官など専門外の人にも伝わるよう、できるだけ簡単な表現にするとよいです。患者・家族の反応は、特に印象に残った反応を記録してください。ただし、相手を批判するような表現は避け、中立的に記載してください。 6 頭部外傷後の注意書きを渡し、記載事項について説明した。
というカルテ記載は有効ですか。 その記載自体はよいと思います。ただし、大切なのは注意書きの内容です。注意書きに必要な説明事項が十分に含まれているかを確認し、内容を充実させてください。 7 SOAPの記載としてSの記載はどこまで重要となりますでしょうか。また裁判官の方針はガイドラインに基づくのでしょうか。 裁判ではガイドラインが参照されます。基準になるのは現在の最新ガイドラインではなく、診療が行われた当時の医療水準・ガイドラインです。
#48.
Q & A いただいた質問に回答します 4/9 No. 質問 回答 8 看護記録と医師のカルテの内容が異なっている場合にはどちらが評価されるのでしょうか。 基本的には医師記録が中心になります。ただし、看護記録の方が詳細に記載されている場合には、看護記録が重要視されることもあります。医師記録だけでなく、看護記録を含むチーム全体の記録が検討されます。 9 診療内容や病状説明をAIで要約してカルテに取り込むような運用も今後増えてくると思いますが、そういったカルテを協力医として取り扱われたことはありますか? AIで要約されたカルテを協力医として扱った経験は、現時点ではありません。一方で、患者さんが自身のカルテをAIに読み込ませ、その結果をもとに相談に来ることは増えています。今後は注視が必要です。 10 以前、看護記録に自分が言っていないことを自分の発言として記録されていたため自分で修正したことがあるんですが、その後看護師長から「看護記録なので医師は追記・修正してはいけない」とお叱りを受けました。診療録・看護記録の立ち位置・役割の違いはどのような解釈になっているのでしょうか。 医師が看護記録そのものを修正することはできません。その記載が将来争いになった際に医師に不利になる可能性がある場合は、看護記録を書き換えるのではなく、自分の認識が異なることを別のメモや自由記載欄などに残す方法が考えられます。 11 遅滞のない診療記録の記載が義務だと思われますが、過去から振り返ってどの程度まで振り返って記載することは許容されますか? 何も記録せず、あとから過去を振り返って書くことは避けるべきです。緊急対応中でもまず一言残し、落ち着いたあとに詳細を追記してください。
#49.
Q & A いただいた質問に回答します 5/9 No. 質問 回答 12 コピーペーストを繰り返した結果、明らかに誤った記載がカルテに残っている場合、その医師の記載が丸ごと信用に値しない、と判断されることはあるのでしょうか? そのように見られる可能性はあります。コピーペーストはなるべく避けた方がよいと思います。過去の経過を共有する必要がある場合は、冒頭にサマリーを置いたり、週に一度サマリーを更新したりする方がよいでしょう。 13 外傷の精査のためのCTで、悪性腫瘍が見逃された症例で訴訟になるのは受け入れがたいですが。そのような可能性がある旨は記載し、説明したら問題とはならないのでしょうか。 外傷目的のCTであっても、画像上に悪性腫瘍を疑う所見が残っているのであれば、認識する必要があります。外傷治療が落ち着いたら専門科へ紹介する、精査を勧めるなど、次の対応まで患者さんに説明し、その内容を記録してください。 14 患者には説明していない思考過程も記載すべき、ということは大変勉強になりました。「患者さんと相談の上、〇〇は施行せず」という記載をしていましたが、それでは不十分ということに気付かされました。
Q. 事後記載をする場合、どれくらいの期間までが有効と判断されますか?トラブルになりそうになって後から記載するケースもありそうです。 「患者さんと相談の上」だけでなく、患者さんとどのような内容を話し、なぜその方針になったかを書いてください。トラブルになりそうになってからの後付け記載は避け、その場で経緯を残すことが大切です。
#50.
Q & A いただいた質問に回答します 6/9 No. 質問 回答 15 可能性は否定できない
というフレーズはやはり使わないほうが無難でしょうか。
法曹界では「強い相関がある」と認識されると聞きましたので、、 「可能性は否定できない」という表現は、カルテ上使ってよいと思います。鑑別診断の一つとして一般的に使われる表現です。ただし、法的な場面では「可能性があると認識していた」と読まれることは理解しておく必要があります。 16 画像所見、特に単純X線写真の所見を記載する際に、「所見があるように見えるが自分では確信が持てない」場合の記載方法にいつも悩みます。どのような記載が望ましいでしょうか。 確信が持てない場合は、そのことを率直に記載してください。そのうえで、外部読影に出した、画像診断科へ相談したなど、次にどのような対応を取ったかを記録し、実際に行動につなげることが重要です。 17 上級医や科の責任者にきちんと相談、報告した旨はどのように記載すればよいか?医師の名前も記入すべきか。 相談した医師の名前も記載すべきです。直属の指導医に相談したのか、部長や院長など、どの立場の医師に相談したのかは、あとから判断過程を確認するうえで重要です。 18 検査や入院を勧めたけれど、患者さんが希望されなかった場合、「本人希望で帰宅」だけでは不十分でしょうか。
説明したリスクや、再診の目安、代替案まで書いておいた方がよいですか。 「本人希望で帰宅」という記載に加えて、患者さんがなぜ検査や入院を希望しなかったのか、その理由を一言添えるとよいです。
#51.
Q & A いただいた質問に回答します 7/9 No. 質問 回答 19 必要と思われる検査を患者さんが拒否した際は、そのような記載があれば後に問題にはなりませんか。 必要な検査を勧めたこと、その必要性やリスクをどのように説明したかが記録されていれば、後から問題になりにくいと思います。患者さんが拒否した事実だけでなく、医療者側が必要と考えた検査と説明内容を残すことが重要です。 20 重症で帰宅希望の場合念書を記載いただきますが、内容の指定やこれが必要などの項目はありますでしょうか。また念書のサインがあれば問題ないのでしょうか。 念書にサインがあるだけでは十分とは限りません。念書に何が書かれているかが重要です。どのような状態になったら必ず再診するよう説明したかも記録してください。 21 病状説明のカルテはどれくらい細かく書けばいいですか?また、患者側のリアクションについても記載した方が良いでしょうか。
病状説明後の患者家族の反応の記載例が知りたいです。 誰に説明したのか、患者本人や家族の続柄を記載することが重要です。特に大きな反応を示した人については、その続柄と反応を丁寧に残してください。 22 時間がない中で説明記録をしないといけない中、普段のカテの説明は同意書に沿って従ってと書いておけばよいか。 「同意書に沿って説明」と書いてよいかどうかは、同意書の内容によります。必要な合併症や個別リスクが十分書かれているかを確認し、不足があれば補う必要があります。
#52.
Q & A いただいた質問に回答します 8/9 No. 質問 回答 23 通常診療の説明時間範囲内で、かつ説明義務違反と指摘されにくい方法を教えて下さい 私自身は、最悪の場合に起こり得ることを一つは伝えるようにしています。たとえば造影剤であれば、ショック状態になる可能性も伝えます。後からトラブルにならないために重要だと思います。 24 頭部外傷後の注意書きは、病院ごとに用意されていることがほとんどですが。それでも内容の記載が必要ですか? 病院の注意書きの内容を確認し、その内容で十分なら定型の注意書きを使用して構いません。ただし、その患者さんに固有の注意点がある場合は、注意書きに追記し、同じ内容をカルテにも残してください。 25 明らかにトラブル患者の診療拒否について診療義務はどこまで適応されるのでしょうか。暴力などがなければ拒否してはいけないのでしょうか。 医師個人の判断で直ちに診療拒否するのではなく、どのような場合に診療を断れるのかを病院内で事前にすり合わせておく必要があります。院長や事務部門へ相談し、病院としての共通認識と、診療できなかった理由を記録してください。 26 紙カルテです。看護師から医師への報告を受けた際に、「指示なし」とまで記載されてしまうことがあります。指示は後からのつもりで終わらせるのですが、指示なしまでの記載が必要でしょうか。 看護師から報告を受け、追加指示を出さなかったのであれば、そのことも含めて残した方がよいです。報告後に医師がどう判断したかが分かる記録が大切です。
#53.
Q & A いただいた質問に回答します 9/9 No. 質問 回答 27 本来であれば、カルテは修正されるべきではないのかもしれませんが、カルテを後日追記、修正したい場合は何日まで許容されるのでしょうか?修正するのが遅すぎるなどと判断されてしまう目安となる日数などあれば教えていただきたいです。 元の記録は修正しないでください。過去の記載箇所に戻って書き換えるのではなく、新しい記録として追記してください。電子カルテでは修正履歴も開示されるため、元記録の書き換えは避けるべきです。 28 有事再診という記載はどの程度有効なものですか。 一定の意味はあります。ただし、「何か」が曖昧だと争いになります。「この症状が出た場合」など、再診が必要となる具体的な状態を一つか二つ示すとよいです。 29 当日書いたカルテを(例えば午前の外来で)、午後の空いた時間で修正(追記)することは問題ないですか 当日中の追記は問題ありません。午前中に書いた元の記録はそのまま残し、午後に精査して新たに分かったことや補足事項を、追記として記録してください。 30 患者に謝罪をするなとよく言われますが実際にそうなのでしょうか。 何について謝罪するかを分けて考える必要があります。医療行為の内容や過失をその場で認めて謝罪するのではなく、説明の仕方や態度によって患者さんを不快にさせたことについて謝るのはよいと思います。内容は「後日精査します」と伝えるのがよいでしょう。
#54.
Q & A いただいた質問に回答します 10/11 No. 質問 回答 31 説明した後で、同じ質問を繰り返す患者さんへの対応を教えてください。 同じ内容の質問であることを、患者が認識していない可能性があるので、同じ内容であっても数回はカルテに質問内容と回答を記載してください。同じ質問が一定程度繰り返されるようであれば、カルテを参照しながら同じ質問が繰り返されている事実を説明します。それでも納得されない場合は、カルテ記載を根拠に院長などに対応を相談するのがよいでしょう。 32 外来カルテは外来終了後にまとめてあとから記載することも少なくありません。できるだけ当日中に全部記載するようにしていますが、時間が確保できず難しいこともあり、翌日以降に追記する形で作成するケースもあります。これも問題視されることはあるのでしょうか。 カルテ記載をするまでの空白時間に、急変などがあると問題視される場合があります。忙しくても、著変なし、などの一言を診療中に記載して、あとから【診療サマリー】と題名を付けて、カルテ記載を追記するとよいと思います。追記は、あくまでも追記なので、診療中に一言記録を残すことが重要です。
33 当直時に研修医からコンサルトを受けた際に、全例指導医が再診察するわけではなく、電話コンサルで聞いた内容と、画像があれば画像確認で判断することもあります。直接診察していないがゆえに、研修医の所見から総合判断することになりますが、その場合には、指導医としてどのような文言をカルテに記載することが望ましい、などはありますでしょうか。 まず、電話で相談を受けた旨を記載します。できれば電話が来ただいたいの時間も記載するとよいでしょう。そのうえで、研修医からの相談の内容、画像などほか資料の確認の有無、指導医としての判断内容を記載します。その後、出勤した際に、経過を必ず確認することと、確認した結果をカルテに記載してください。これらがないと、研修医の判断に問題があった際、指導医にも責任が問われる可能性があります。相談された患者に関しては、出勤後必ず指導医も診察することが望まれます。
#55.
Q & A いただいた質問に回答します 11/11 No. 質問 回答 34 例えば薬剤の副作用を説明する際に、全部の副作用を羅列することは難しいので、「A,B,C.などの副作用・合併症について説明した」と、「など」をよく使用します。説明を受けてないと言われることがないように、という意図も少なからずあり、「など」を使用することがありますが、一方で、「など」は医療側の意図と、裁判官が受ける印象が異なる可能性も懸念されます。
カルテに記載する際に、この表現はしない方が良い、というのはありますでしょうか。 など、という表現は便利ですが、どの範囲を示すかが曖昧であることが多いです。聞いていないと言われる副作用は、発生率が低い事象であることが多いので、発生率は低いが発生すると重症化するような副作用を1つ入れておくとよいです。裁判では添付文書が証拠となるので、良く説明する薬剤に関しては、添付文書を再確認しておくとよいと思います。 35 発熱のカルテ記載についてですが、ウイルス性でも全身状態が安定してなかったら抗菌薬使うことになるのかと捉えられないのかが振り返ってみて気になりました。 そういうことはありません。ウイルス性で状態が安定していなかったら、抗菌薬ではなくほかの手段となるので、該当ウイルスの治療レジメンに従った治療を行い、カルテに記録する流れとなります。ウイルス性疾患に抗菌薬は有効ではない程度の医学知識は、少なくとも弁護士は持ち合わせています。
#56.
ありがとうございました。 Q & A 武田 美貴(元画像診断医/医療事故裁判の意見書作成)
合同会社ナルカス