#4.
⾎⼩板減少なら⾎⼩板輸⾎︕と 条件反射で判断してしまうと, 病状が悪化してしまうことすらあります. ⾎液疾患に苦⼿意識のある⽅こそ 今回のスライドで気軽に勉強していきましょう︕
#5.
ケース 55歳 男性 数⽇前からの腹痛と倦怠感のため,夜間の救急外来を受診. 既往歴に特記事項はない. 具合が悪そうだったので採⾎検査をおこなってみると, 検査室から「⾎⼩板が5,000/μLです」という 電話がかかってきた… 夜間で詳しい検査もできないけれど どうしたらいいんだろう… ※架空の症例です.
#6.
重篤な急性の⾎⼩板減少 (たとえば<20,000/μL) 凝固異常メイン 溶⾎性貧⾎ +腎障害メイン その他 3つの切り⼝で診断を絞っていこう
#7.
凝固障害メイン型 プロトロンビン(PT)時間延⻑ FDP上昇 フィブリノゲン(Fib)低下 ア ン チ ト ロ ン ビ ン ( AT ) Ⅲ 低 下 播種性⾎管内凝固症候群(DIC)を疑う ※FDP: フィブリノゲン・フィブリン分解産物 ※フィブリノゲンは低下しないことも多い
#8.
播種性⾎管内凝固症候群(DIC)って︖ • 救急における急性の⾎⼩板減少で頻度が⾼い. • いろいろな背景疾患により引き起こされ, 敗⾎症が多い. • 全⾝の⼩⾎管に⾎栓が多発し臓器障害を起こす. • 線溶系が反応し⾎⼩板も凝固因⼦も消費される. →PT延⻑, FDP上昇, フィブリノゲン低下, アンチトロンビン低下 DICは重篤な背景疾患と関連するため診断意義がある. 背景疾患は何か︖感染巣はあるか︖に⽬を向けることが⼤事.
#9.
溶⾎性貧⾎+腎障害メイン型 ヘモグロビン(Hb)低下 乳酸脱⽔素酵素(LDH)上昇 ビリルビン(Bil)上昇 クレアチニン(Cre)上昇 ⾎栓性微⼩⾎管障害症(TMA)を疑う
#10.
⾎栓性微⼩⾎管障害症(TMA)って︖ • 全⾝の微⼩⾎管での⾎栓形成により臓器障害が起きる 疾患の集まり. • ⾎栓に引っかかって⾚⾎球が壊れる︓溶⾎性貧⾎ →ヘモグロビン低下, LDH上昇, ビリルビン上昇 • ⾎栓によって腎機能が障害される︓急性腎障害 →クレアチニン上昇
#11.
TMAを構成する疾患 • ⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP) TMAは⾎⼩板 輸⾎で症状増悪の 可能性あり! • 溶⾎性尿毒症症候群(HUS) 志賀毒素産⽣⼤腸菌関連HUS 補体関連HUS • その他のTMA (薬物, ⾻髄移植, 妊娠など) TTPは致命的な疾患だが⾎漿交換が著効するためTMAを発⾒することは重要. 夜間は病型を区別することはできないので TMAと分かれば合格.
#12.
その他の⾎⼩板減少 特発性⾎⼩板減少性紫斑病(ITP)︓⾎⼩板減少以外に変化が少ない. ⾎液腫瘍︓⽩⾎病(⾼齢者は⾻髄異形成症候群が多い)は 貧⾎を伴いやすいが, ⽩⾎球が正常値であることもある. 薬剤性︓⾎⼩板のみ抑制の場合と、多系統の⾎球を抑制する場合がある. これらは⾻髄検査などで精査する⽅針で 夜は判断保留にしておく.
#13.
実は⼤切なこと 偽性⾎⼩板減少症 の 可 能 性 を 忘 れ ず に . =実際は⾎⼩板数が低下しておらず, ⾎⼩板が凝集し 低値に⾒えてしまうこと. • クエン酸の採⾎管で採⾎を再施⾏すること • ⾝体診察で体表や粘膜に紫斑を探すこと で, 本物の⾎⼩板減少かどうかを判断しよう.
#14.
ケースの続き 腹痛・倦怠感+⾎⼩板減少(5,000/μL)の患者に対し, • 腹腔内感染症による敗⾎症性DIC • TMA(TTPやHUS) を想定して採⾎検査をみてみると, Hb 8.5 mg/dL, LDH 2320 IU/L, Bil 4.8mg/dL, Cre 4.83 mg/dLで凝固能は正常であった. 何らかのTMAを疑った. 緊急⾎漿交換の適応の 可能性もあるため, ⾄急⼊院調整をしながら 内科医師にコンサルテーションを⾏うことにした.
#15.
Take home message 凝固能(PT, FDP, Fib, AT-Ⅲ)に注⽬してDICを診断. DIC疾患は背景疾患を必ず検索しよう. Hb低下, LDH上昇, Bil上昇, Cre上昇の場合はTMAを疑う. TMAの病型までは夜のうちに絞ることができない. DICの特徴もTMAの特徴も有さない場合は, ⾎液腫瘍やITP, 薬剤性の精査に進もう.