#4.
内科的emergency
絶対に見逃してはいけない疾患のひとつ!
#5.
この病態を疑ってから
30分以内 に治療を開始する
Door to antibiotic time <30min.
レジデントのための感染症診療マニュアル 第3版 p.430
#6.
Door to balloon time : 90min.
Door to frosemide time : 60min.
Door to antibiotic time : 30min.
#7.
Q. 適切な抗菌薬投与が遅れるのはどんなとき?
腰椎穿刺手技
腰椎穿刺前の頭部CT撮影
Classic triadを認めない非典型例
前医での抗菌薬曝露 INTENSIVIST Vol.8 No.4 2016 p.788
#8.
8 目標 髄膜炎を確実に認知できる
30分以内に治療開始できる
髄液所見を正確に解釈できる
#9.
細菌性髄膜炎の病態 9 ①髄腔内に細菌が侵入
・血行性 (脈絡叢)
・直達性 (耳・副鼻腔) ②細菌成分がcytokine storm惹起
・血液脳関門透過性亢進
・炎症細胞浸潤, 蛋白漏出 ③頭蓋内圧亢進, 脳浮腫進行
・血管原性浮腫による
・髄液循環障害による ④種々の臨床症状
・意識障害
・頭痛
・脳虚血症状
・etc. 髄腔内では宿主免疫応答が機能せず細菌が急速に増殖 神経感染症 神経内科 Clinical Questions & Pearls 中外医学社 p.78-79 https://www.radiomind.org/2019/02/ventricular-system-overview-brain.html
#10.
0. 髄膜炎を疑う.
1. 背景因子, 病歴の把握.
2. 身体所見 + 神経診察.
3. 血液培養, 血液検査の提出.
4. デキサメタゾン, 抗菌薬投与.
5. 頭部CT適応の検討.
6. 腰椎穿刺施行. Q. 「ERで髄膜炎を疑ったらどのように対応すべきか?」
#11.
頭部CT 腰椎穿刺 ステロイド 抗菌薬 初期対応の実際 血液培養, 血液検査, 血ガス ABC approach, モニター装着, 静脈路確保 問診, 診察
#12.
0. 髄膜炎を疑う. 12 頭痛 意識障害 発熱 項部硬直 85.9-87% 82-84.3% 66-95.3% 77-97% 髄膜炎の4徴 1つも症状が無い:1%
症状1つのみ:4%
症状2つ以上:95% 神経感染症 神経内科 Clinical Questions & Pearls 中外医学社 p.78-79
#13.
その他の症状 13 痙攣 全般性痙攣多い, CT異常との関連あり, 予後不良因子の一つ 神経巣症状 失語, 片麻痺, 四肢麻痺, 脳神経障害など
脳梗塞, 脳浮腫, 硬膜下膿瘍, Todd麻痺などによる びまん性紅斑→点状出血→壊死性紫斑
髄膜炎菌菌血症 > 肺炎球菌, MSSA, etc. 敗血症症状 全身状態不良, sick appearance 皮疹 神経感染症 神経内科 Clinical Questions & Pearls 中外医学社 p.78-79
#14.
例えば… ERでの「主訴:意識障害」へのアプローチ 14 頭部MRI, 持続脳波検査 頭部CT, 髄液検査, 血液培養 髄膜炎のフローとは順序が違う! 血液培養, 血液検査, 血ガス ABC approach, モニター装着, 静脈路確保 問診, 診察
#15.
✓ 非典型的な症状で鑑別から外さない
✓ 細菌性髄膜炎が鑑別に挙がる主訴の時は, 髄液検査の優先度をよく考える
#16.
1. 背景因子, 病歴の把握. 16 年齢50歳がcutoff
基礎疾患免疫不全及び慢性消耗性疾患: 糖尿病, アルコール中毒, 脾摘後, 悪性腫瘍, 慢性腎不全, 重症肝障害, 心血管疾患, 化学療法, 免疫抑制薬, 放射線療法中, 免疫不全症候群 目的:
・起因菌推定→抗菌薬決定
・症状, 経過の推定 神経感染症 神経内科 Clinical Questions & Pearls 中外医学社 p.78-79
#17.
1. 背景因子, 病歴の把握. 17 数時間で急速に進行する急性劇症型基礎疾患の無い50歳未満成人に多い
数日かけ進行性に悪化する型基礎疾患のある高齢者に多い軽微な発熱, 軽微な意識障害(傾眠), 髄膜刺激徴候の欠如 神経感染症 神経内科 Clinical Questions & Pearls 中外医学社 p.78-79
#18.
50歳以上, 基礎疾患, はRed flag !!! 細菌性髄膜炎として非典型的な
症状経過を呈しやすい
#19.
2. 身体所見 + 神経診察. 19 髄膜刺激徴候の診察
神経巣症状, 脳ヘルニア徴候 の検索
#20.
20 前向き研究で得られた髄膜刺激徴候の尤度比 JAMA The Rational Clinical Examination 論理的診察の技術 身体診察のみで細菌性髄膜炎を
診断, 除外することはできない!
#21.
神経巣症状, 脳ヘルニア徴候の検索 21 神経巣症状あれば頭部CT 脳ヘルニア徴候あれば腰椎穿刺禁忌 ①Vital signs:
Cheyne-Stokes呼吸, Cushing現象, 疼痛刺激での除脳/除皮質肢位, 意識変容
②瞳孔:
瞳孔不同, 瞳孔散大, 頭位変換眼球反射消失, 固定した共同偏視
③麻痺:
顔面神経麻痺, 片麻痺, 四肢麻痺
④脳神経障害, 皮質症状:
視野障害, 眼球運動障害, 失語 限られた
時間内での
#22.
3. 血液培養, 血液検査の提出. 22 血液培養2set
・ABMの50-90%で培養陽性
・髄腔到達に先行する菌血症
・髄液検査未実施の起炎菌同定
・必ず抗菌薬投与前! 血液検査
・血算/生化学
・凝固検査
・血清procalcitonin
・血液ガス
神経感染症 神経内科 Clinical Questions & Pearls 中外医学社 p.78-79
#23.
4. デキサメタゾン, 抗菌薬投与. 23 Door to antibiotic time : 30min.
#24.
4. デキサメタゾン, 抗菌薬投与. 24 ・デキサート 6.6mg /2A
+ NS 50mL 全開
・必ず抗菌薬の前あるいは同時 に投与 ・髄液中cytokineを減らし 髄液の炎症を抑える
・肺炎球菌性髄膜炎の 死亡率を減少させる
・難聴や神経学的後遺症 を減少させる Cochrane Database Syst Rev 2015:CD00405 神経感染症 神経内科 Clinical Questions & Pearls 中外医学社 p.78-79
#25.
細菌性髄膜炎における感染症トライアングル 25 患者背景 起因菌 抗菌薬 感染臓器 髄膜
#26.
抗菌薬治療①:基本 26 16-49歳
かつ
免疫不全/慢性消耗性疾患なし 肺炎球菌(PISP, PRSP含む)
インフルエンザ桿菌
髄膜炎菌 セフトリアキソン 2g
+ NS 50mL 全開
バンコマイシン 1000mg + NS 100mL 1時間かけてdiv 患者背景 起因菌 抗菌薬 神経感染症 神経内科 Clinical Questions & Pearls 中外医学社 p.78-79
#27.
抗菌薬治療②:50歳以上の高齢者 27 50歳以上
かつ
免疫不全/慢性消耗性疾患なし セフトリアキソン 2g
+ NS 50mL 全開
バンコマイシン 1000mg + NS 100mL 1時間かけてdiv
アンピシリン 2mg+ NS 50mL 全開 患者背景 肺炎球菌(PRSP ⇧)
インフルエンザ桿菌
MRSA, Listeria monocytogenes 起因菌 抗菌薬 神経感染症 神経内科 Clinical Questions & Pearls 中外医学社 p.78-79
#28.
抗菌薬治療③-1:免疫不全/慢性消耗性疾患あり 28 16歳以上の成人
かつ
免疫不全/慢性消耗性疾患あり セフタジジム 2g
+ NS 50mL 全開
バンコマイシン 1000mg + NS 100mL 1時間かけてdiv
アンピシリン 2mg+ NS 50mL 全開 患者背景 肺炎球菌(PRSP ⇧)
MRSA, Listeria monocytogenes
P. Aeruginosa, ESBL E. coli
インフルエンザ桿菌 起因菌 抗菌薬 神経感染症 神経内科 Clinical Questions & Pearls 中外医学社 p.78-79
#29.
抗菌薬治療③-2:免疫不全/慢性消耗性疾患あり 29 16歳以上の成人
かつ
免疫不全/慢性消耗性疾患あり 患者背景 肺炎球菌(PRSP ⇧)
MRSA, Listeria monocytogenes
P. Aeruginosa, ESBL E. coli
インフルエンザ桿菌 起因菌 ESBL産生E. coliが懸念される場合
メロペネム 2g
+ NS 50mL 全開
バンコマイシン 1000mg + NS 100mL 1時間かけてdiv 抗菌薬 神経感染症 神経内科 Clinical Questions & Pearls 中外医学社 p.78-79
#30.
抗菌薬治療④:脳外科手術/VPシャント 30 最近の脳外科手術, 外傷
脳室シャント術の既往 セフタジジム 2g or
メロペネム 2g
+ NS 50mL 全開
バンコマイシン 1000mg + NS 100mL 1時間かけてdiv 患者背景 MRSA, MSSA, CNS
P. aeruginosa
好気性GNR 起因菌 抗菌薬 神経感染症 神経内科 Clinical Questions & Pearls 中外医学社 p.78-79
#31.
ERでの抗菌薬選択 31 ★ セフトリアキソン 2g or メロペネム 2g
+ NS 50mL 全開
バンコマイシン 1000mg + NS 100mL 1時間かけてdiv
±
アンピシリン 2mg+ NS 50mL 全開 セフタジジムはすぐに用意できない・・・ という場合,
#32.
5. 頭部CT適応の検討. 32 目的 頭蓋内病変, 頭蓋内圧亢進を疑う所見が無いことを
確認するため. CT適応 60歳以上, 免疫不全, 1週間以内の痙攣, (中枢神経疾患既往,) 意識障害, 局所神経学的異常, 乳頭浮腫 すべて無ければ頭部CT省略可能! Clin Infect Dis 2004;39:1267-84
日本細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014 日本神経学会 p.54
#33.
5. 頭部CT適応の検討. 33 目的 頭蓋内病変, 頭蓋内圧亢進を疑う所見が無いことを
確認するため. CT適応 60歳以上, 免疫不全, 1週間以内の痙攣, (中枢神経疾患既往,) 意識障害, 局所神経学的異常, 乳頭浮腫 実際は頭部CT撮像が必要な場合が多い Clin Infect Dis 2004;39:1267-84
日本細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014 日本神経学会 p.54
#34.
6. 腰椎穿刺施行. 34 髄膜炎に対して感度も特異度も高い検査は, 腰椎穿刺以外に存在しない!
#35.
腰椎穿刺のチェックリスト 35 ✓ 脳ヘルニアに至る頭蓋内圧亢進がない
✓ 血小板減少, 凝固障害, DOAC内服がない
✓ 脊髄硬膜外膿瘍を疑わない
✓ 腰椎穿刺の同意書を取得した
#36.
髄液検査のスピッツ 36 一般: 1cc
細胞数, 分画
生化学: 1cc
糖, 蛋白
培養: 2cc
細菌, 結核菌, 肺炎球菌抗原 保存: 2-4cc
HSV-PCR, VZV-PCR真菌抗原, ADA, etc. 1 1 2 2 ・初圧の測定を忘れずに!
・核酸検査, 抗原検査提出用に保存検体の採取が望ましい
#37.
髄液所見 37 神経感染症 神経内科 Clinical Questions & Pearls 中外医学社 p.70 4 4
#38.
腰椎穿刺の検査精度 38 Am J Emerg Med. 2007 Feb;25(2):179-84
JAMA.2006 Oct 25:296(16):2012-22
#39.
治療開始基準 39 免疫機能の正常な成人細菌性髄膜炎で細胞数上昇を認めない症例がある 細胞数 > 5 蛋白 > 40 髄液/血清糖比 < 0.36
のいずれかや他の敗血症, 髄膜炎の徴候あれば治療が検討される Can J Infect Dis Med Microbiol. 2014;25:249-51.
#40.
その他検査項目 40 髄液中肺炎球菌抗原腰椎穿刺前に抗菌薬投与済でも検出可, Gram染色陰性例で考慮
血清プロカルシトニン高値で細菌感染, 真菌感染を示唆するがカットオフ値は確立されていない
髄液CRP髄液CRP > 0.01mg/dLは細菌性髄膜炎に対し感度87%
髄液乳酸値感度/特異度ともに高い 神経感染症 神経内科 Clinical Questions & Pearls 中外医学社 p.78-79
#41.
41 GPC: Streptococcus pneumoniae GNC: Neisseria meningitidis GPR: Listeria monocytogenes GNR: Haemophilus influenzae Gram染色 ・「迅速かつ信頼性のある結果が十分に確立」できる場合のみ, 臨床判断に使用する
・Gram染色で推定された菌に対する選択薬を投与する UpToDate: Clinical features and diagnosis of acute bacterial meningitis in adults
#42.
Consultation 脳神経内科
#43.
治療されない症例の6-8割が死亡✓ アシクロビルの投与が遅れた例で予後不良✓ Door to acyclovir time <6h, ※急性増悪例は除く 単純ヘルペス脳炎 1週間以内の経過で進行する精神神経症状
✓ 細菌性髄膜炎とoverlapする意識障害, 頭痛, 発熱
✓ 人格変化, 言動異常, 異常感覚, 幻臭 確定診断: HSV-PCR (Sn 98%, Sp 94%)
アシクロビル 10mg/kg
✓ 250mgあたり100mL以上で希釈
✓ 2h以上かけて投与 単純ヘルペスウイルス脳炎診療ガイドライン2017
#44.
Take home messages 髄膜炎は内科emergency, 疑ったら即治療.
患者背景から経過, 起炎菌を予測し最適治療を決定.
身体所見の限界を理解し髄液検査結果を正しく解釈.