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サル痘の概要と症状、感染経路
#1. 概要と症状 感染経路 オルソポックスウイルス属 げっ歯類など動物との接触感染 中央~西アフリカで流行 ヒト-ヒトは主に接触・飛沫感染 4類感染症 医療機関では空気予防実施を推奨 【疑い例】 潜伏期: 5-21日 (通常6-13日) 全痂皮が剥がれるまで感染性あり 下記の①~③の全てを満たす 発熱、リンパ節腫脹、発疹など PPE装着なく粘膜との接触や同居家 ① 他疾患で説明困難な急性発疹 発熱1-5日後に発疹が出現 ② 発熱、頭痛、背部痛、脱力感、 発疹は顔面や四肢に多い リンパ節腫脹の1つ以上の症状 2-4週で自然軽快するが小児等で重症化 族は高感染リスク 1mをこえる接触やPPE装着下の接触 は低感染リスク ③ 発症21日以内の常在国滞在歴、 21日以内のサル痘報告国に滞在歴 あり他者と濃厚接触、 21日以内にサル痘報告国に滞在歴 がある者と日本で濃厚接触 *濃厚接触には性的接触も含まれる 上記に該当者を診察時は保健所に相談 医療機関入院時はすべての皮疹が消失 するまで感染予防が必要 診断 治療と予防 鑑別診断: 水痘、麻疹、梅毒など 日本で薬事承認された治療薬なし サル痘の発疹は手掌と足底にも出現し 欧州ではTecovirimatが承認 水痘との鑑別に有用 Cidofovir、Brincidofovirが有効? 水疱や膿疱の内容液、蓋、組織をPCR 天然痘ワクチン: 約85%の発症予防 抗原/抗体検査では特異的診断不可 動物や感染者との接触を避ける 医療機関では換気良好な部屋に収容 N95・手袋・ガウン・目の防護具着用 石鹸での手洗いやアルコールが有効
#2. 症状 発熱 頭痛 悪寒・関節痛 リンパ節腫脹 回復期の皮疹 消失まで2-4週間 回復期はかゆみがある 痂皮が剥がれ落ち新しい皮膚が 形成されるまで感染力あり 潜伏期 症状から皮疹まで 皮疹消失まで 5-21日 1-5日 2-4週 皮疹 口から始まり 顔や四肢へ広がる 紅斑→丘疹→水疱→膿疱→痂皮化 痛みもあるがない場合もある すべての皮疹の時相が同一 合併症 細菌性の皮膚感染症 脳炎 肺臓炎 結膜炎/角膜炎 合併症の発生時期は不明 https://doi.org/10.1093/ofid/ofac310
サル痘と水痘の比較と診断方法
#3. サル痘 NIID参照 水痘 5~21日 (通常7-14日) 10~21日 (通常14日) 発疹がでる1-5日前 発疹がでる1-2日前 子供は発疹が初発症状 顔面から始まり体幹部へ拡大 平坦→水疱→膿疱→痂皮化 2-4週間で治癒 頭皮から始まり体幹部→四肢に拡大 紅斑、丘疹、水疱、痂皮が混在 数日で治癒 あり なし 死亡率 0~11%(小児で高い傾向) 稀 (免疫不全者は死亡リスク) 診断方法 水疱内容物や痂皮を用いた 遺伝子検査やウイルス分離 水疱内容物や痂皮を用いたPCR IgM/IgG抗体 対症療法 対症療法、重症例はアシクロビル 感染症法 4類 5類 感染対策 接触・飛沫予防、天然痘ワクチン エアロゾル発生時は空気予防を考慮 空気予防、水痘ワクチン 予想発症日7日前からアシクロビル内服 潜伏期 発熱 発疹の特徴 リンパ節腫脹 治療
サル痘のワクチンと曝露リスク
#4. Vaccines and immunization for monkeypox 曝露リスク 曝露内容 曝露後予防ワクチン 高 • • • PPE装着なく粘膜、皮膚、体液、飛沫に曝露 PPE装着なく感染者の衣服や寝具に曝露 感染者と感染可能期間中に同居 中 • 直接接触はないがPPE装着なく感染者と同一室内に滞在 低 • • PPEを装着して感染者と接触 室外で感染者と粘膜や飛沫曝露のない接触 曝露前予防が推奨される方 リスクの高い医療従事者 サル痘の研究者 サル痘検体を扱う検査技師 上記に該当しない場合 曝露前のワクチン接種は非推奨 Vaccines and immunization for monkeypox: Interim guidance, 14 June 2022 推奨 曝露後4日以内に接種 (無症状者は14日以内) 推奨 ワクチン種類 ACAM2000 LC16 MVA-BN 非推奨 ワクチン 天然痘での適応 MVA-BN EU カナダ アメリカ アメリカ 供給量が少ない 4週間間隔で2回接種 LC16 日本 アメリカ なし 乳幼児~成人まで使用可 ある程度の副反応は必須 アメリカ 18-64歳に適応 免疫不全者、アトピー 妊婦、授乳婦に使用不可 ACAM20 アメリカ サル痘での適応 特徴
自宅でのサル痘伝播予防策
#5. 自宅でできるサル痘の伝播予防 接触を避ける 肌や顔を接しない 飛沫をあびない 性的接触を避ける 患者の皮膚病変部 はガーゼ保護 リネンに注意 リネンの共用を 避ける 通常の洗剤で可 常温の洗濯で可 洗濯は一緒でOK 清掃と手洗い 手袋着用し清掃 アルコールなどで 消毒 清掃後は石鹸で 手洗い 食器洗浄は通常の 洗剤で可 十分な換気 常に換気を行う 患者や同居者の マスク着用