テキスト全文
Aラインの定義と適応について
#1. Aline
(観血的動脈圧測定) 1 学習目標:適応を判断できる / 波形を読める
#2. 目次 2 1 Aラインとは 定義・適応 p.3 2 動脈圧波形の基本 正常波形・ダンピング・フラッシュテスト p.4–7 3 波形から読む病態 循環血液量減少・AS・AR p.8–10 4 測定部位の違いと穿刺 末梢/中心動脈圧・穿刺部位の選択 p.11–12 5 ゼロ点較正とレベリング 基準点は右房の高さ p.13 6 観血的 vs 非観血的血圧 どちらの値が正確なのか p.14 7 Take home messages まとめ p.15
#3. Aラインとは 持続的に血圧モニタリングするために動脈内に留置されているカテーテル 3 昇圧薬使用時など、連続的な圧モニタリングが必要
頻回の採血・血液ガスフォローが必要
熱傷などでマンシェットを巻けない モニタリング・採血が必要な場面で用いる。
正常波形と異常波形の特徴
#4. 正常波形の特徴 収縮期血圧 拡張期血圧 1回拍出量 1 2 3 4 1 立ち上がり 急峻に登る → 心収縮力が十分 2 山の形 尖りすぎない(オーバーシュートなし)
→ 収縮期血圧を正しく表示 3 ディクロティックノッチ 大動脈弁の閉鎖によるくぼみがある 4 下り方 早めに下がり、緩やかでない
→ 血管抵抗が高くない 4
#5. 異常波形① アンダーダンピング 真の収縮期血圧 真の拡張期血圧 評価への影響 先が尖る(オーバーシュート)
収縮期血圧・脈圧:過大評価
拡張期血圧:過小評価 原因 トランスデューサーの異常
エアーの混入、長すぎるチューブ
頻脈、高い心拍出量、低体温など 5
#6. 異常波形② オーバーダンピング 真の収縮期血圧 真の拡張期血圧 評価への影響 山が丸くなる(なまる)
収縮期血圧・脈圧:過小評価
拡張期血圧:過大評価 原因 回路内の空気混入、血栓
加圧バッグの圧力低下
接続の緩み・ねじれ
動脈スパズム、先あたり 6
波形から読み取る病態の解析
#7. フラッシュテスト(square wave test) 適正:振動が1〜2回で収束 高圧フラッシュ アンダーダンピング:振動が多く、なかなか収束しない オーバーダンピング:振動がなく、ゆっくり戻る 手順 波形が表示されていることを確認
フラッシュデバイスのタブを引き、
1〜2秒、高圧フラッシュ
解放後の振動の収束を観察 判定 適正:1〜2回で収束
アンダー:振動が多い
オーバー:振動なし・ゆっくり戻る 7
#8. 波形から読む病態① 循環血液量減少 PPmax PPmin 呼吸に合わせて脈圧が周期的に変動 FloTracモニター 圧波形解析することで
SVV(一回拍出量の呼吸性変動の変化率)
が分かる。
SVV >13%で輸液反応性があると言える
SVVを使える条件 不整脈がないこと
完全陽圧換気
1回換気量 8 mL/kg 以上
呼吸数が一定
8
#9. 波形から読む病態② 大動脈弁狭窄症(AS) 赤:AS(立ち上がり緩徐・脈圧小)
灰:正常(参考) 波形の特徴 遅脈(立ち上がり緩徐)
脈圧が小さい(小脈)
収縮期血圧は低め ポイント 左室流出路の狭窄で1回拍出量を増やせない
冠灌流圧(拡張期血圧)を保つ
頻脈・過度の血管拡張は避ける 9
#10. 波形から読む病態③ 大動脈弁閉鎖不全症(AR) 収縮期血圧↑ 拡張期血圧↓ 脈圧大 波形の特徴 脈圧大:収縮期↑・拡張期↓
急速に上がり急速に下がる ポイント 拡張期の逆流で拡張期血圧↓
冠灌流圧の低下に注意
IABPは中等度以上で禁忌 10
末梢動脈圧と穿刺部位の選択
#11. 末梢動脈圧と中心動脈圧 大動脈 上腕動脈 橈骨動脈 近位の動脈から離れるほど 反射波の影響で収縮期圧が上昇
動脈硬化があると、より顕著 敗血症など末梢血管抵抗が低いとき 反射波の影響が少なくなる
血圧は低く表示され、マンシェット圧と乖離する 11
#12. 禁忌・穿刺部位の選択 禁忌:穿刺部の感染・血管損傷、重度の末梢循環不全 凝固異常は要注意。
Allen testは虚血の予測能が低く、参考程度にとどめる。 12
ゼロ点較正と観血的血圧の比較
#13. ゼロ点較正とレベリング 右房 第4肋間・中腋窩線 トランスデューサ 同じ高さに合わせる 10 cm ずれると
表示血圧は約7.5 mmHg変わる ゼロ点較正とは トランスデューサに基準となる大気圧を教える操作 レベリング 基準は大動脈起始部に近い右房の高さ 仰臥位であれば第4肋間腔の中腋窩線で合わせる
体位変換のたびに再確認する 13
#14. 観血的 vs 非観血的血圧 どちらの値が正確なのか? 観血的(Aライン) 連続した値と波形が見える
橈骨動脈など末梢の圧
誤差がキンク・気泡・加圧不足・ゼロ点ミスで出る
合併症:感染・出血・仮性動脈瘤 非観血的(カフ) 間欠的な値(触診法・水銀血圧計・オシロメトリック法)
体動や不整脈に弱い
上腕での圧を反映する
14 結論
どちらが真の値かに答えはない。
誤差の出方を知って使い分ける必要がある。
#15. Take home messages 15 ・Aラインの特徴を知り、適切に使えるようになる。
・正常波形と異常波形の違いが分かる。
・観血的・非観血的の値を適切に判断できる。