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ADA/EASD 2026 糖尿病コンセンサスの概要と目的
#1. 2026年10月 欧米合同改訂 研修医・非専門医の外来で使える ADA/EASD 2026 糖尿病コンセンサス 完全対応マニュアル 心・腎・肝・体重で選ぶ薬/日本の電子添文との違い 47スライド・無料 糖尿病専門医が解説
#2. ADA/EASD 2026 完全対応マニュアル 〜研修医1日目からわかる!心・腎・肝・体重で選ぶ薬と日本の注意点〜 このスライドでわかること ① 2026年10月改訂の核心:「血糖値だけ」から「心・腎・肝・体重の早期保護」へ ② 心不全・CKD・MASLD・肥満ごとに、どの薬を優先・併用するか ③ 欧米推奨をそのまま日本で使うと危ない「電子添文・保険適応の壁」 ④ 外来処方見直し3ステップと、架空症例3題・セルフチェック5問 三浦正樹|亀田総合病院 糖尿病内分泌内科|X:@DrMiura_Obesity 2026年11月作成|原典図表はCC BY 4.0に基づき日本語で再構成・臓器アイコンはAI生成(簡略化) 保存用の臓器別早見表・日本の電子添文対照表・架空症例つき Daviesら. ADA/EASD合意2026 Daviesら. Diabetologia訂正2026 2 / 47
#3. 利益相反(COI)と制作について 三浦正樹の講演料受領歴は14社です(次頁に続く)。 日本イーライリリー/ノボ ノルディスク ファーマ 田辺(既公表名:Mitsubishi Tanabe Pharma)/アストラゼネカ/アボットジャパン この資料の作成について、 企業からの依頼・報酬・資金提供は受けていません。 14社は本資料の協賛企業一覧ではありません。 AIは構成・文章・作図コードの補助に使用。臓器の絵はAI生成(架空・簡略化)。 しくみ図と表は作者が原典論文・電子添文をもとに設計し、コードで作図。 スマホは横向きで読むと見やすい 14社の講演料受領歴と、この資料の報酬は別に開示 3 / 47
利益相反(COI)と資料作成の透明性
#4. 利益相反(COI)|講演料受領歴の続き 三浦正樹の講演料受領歴(続き) デクスコムジャパン/大塚製薬/協和キリン/第一三共/バイエル ノバルティス/住友ファーマ/興和/ライフスキャンジャパン この資料の作成について、 企業からの依頼・報酬・資金提供は受けていません。 14社は本資料の協賛企業一覧ではありません。 14社の講演料受領歴と、この資料の報酬は別に開示 4 / 47
#5. 対象は、非妊娠成人の2型糖尿病外来 この資料で扱う 別の資料で確認する 研修医・非専門医の外来診療 ADA/EASD 2026年10月合意 日本の電子添文・指針との違い 1型・小児・妊娠糖尿病 シックデイ・周術期の細かな手順 個々の患者の固定用量 資料の範囲。欧米推奨と国内電子添文が異なる箇所は、国内基準を赤字・太字で明示。 日本の実臨床では、必ず国内の電子添文と保険適応を優先する Daviesら. ADA/EASD合意2026 JDS. 診療GL2024 5 / 47
#6. 目次|6つの章 1 まず結論と全体像(4つの柱・5つのS) p.7〜 2 臓器で選ぶ薬(心・腎・肝・肥満) p.12〜 3 日本の電子添文との違い・安全管理 p.20〜 4 架空症例で練習(3症例) p.27〜 5 インスリン・CGM・高齢者 p.33〜 6 まとめとセルフチェック5問 p.37〜 保存用の頁は、題に「保存用」と書いてある 6 / 47
外来処方の3ステップと臓器保護の重要性
#7. 外来で処方に迷ったら(3ステップ) ① 心・腎・肝疾患と肥満を先に確認する 心不全・CKD・CVD・MASLD・肥満の有無を初診時から確認 ② 臓器保護のエビデンスがある薬を優先する 心腎リスクがあれば、HbA1c目標内でもSGLT2i・GLP-1系を検討 ③ 日本の電子添文(eGFR・K・併用)を確認する 開始前のeGFR・血清K値と、DPP-4阻害薬の重複がないか点検 3ステップは作者の整理。詳しくは第2章・第3章の各頁へ。 迷ったら「心腎肝と肥満の評価 → 臓器保護薬 → 電子添文の確認」の順で Daviesら. ADA/EASD合意2026 JDS. 薬物療法アルゴリズム第2版 7 / 47
#8. 2026年10月、4年ぶりに欧米合意が改訂 2026年10月2日(金)公開・10月28日(水)一部訂正 米国糖尿病学会(ADA)と欧州糖尿病学会(EASD)が4年ぶりに合同改訂 FLOW・STEP-HFpEF DM・SUMMIT等を統合 セマグルチドの腎保護(FLOW)や肥満HFpEF・MASHの最新試験を反映 推奨の強さを「should」と「could」で明記 根拠が強い推奨(should)と、個別に検討する選択肢(could)を明確に区別 2022年版からの最大の進化は「臓器保護の早期化」と「新エビデンスの統合」 Daviesら. ADA/EASD合意2026 Daviesら. Diabetologia訂正2026 8 / 47
#9. 図で見る|2026年合意の4本柱と目標 2型糖尿病の人を中心におく(希望・背景を共有) ① 血糖の管理 ② 体重の管理 ③ 心血管リスク管理 ④ 心・腎・肝の保護 目標:合併症を防ぎ、生活の質(QOL)を保つ ① 原典Fig. 1の4領域を 診断時から同時に 評価する ② 心・腎・肝の保護薬は HbA1cの値によらず 優先して検討する ③ 5つのS(睡眠・座位 中断・運動)と体重 管理を土台にする Daviesら 2026 Fig. 1の4領域をもとに作者整理(CC BY 4.0)(臓器絵はAI生成) 原典Fig. 1の4領域(血糖・体重・心血管リスク・臓器保護)をもとに整理 Daviesら. ADA/EASD合意2026 9 / 47
#10. 24時間行動の「5つのS」(原典 Fig. 3) Stepping(歩数を増やす) Standing(座位中断) 日常の歩行を増やし 身体活動を高める 座りっぱなしを減らし 30分ごとに立ち上がる Sweating+Strengthening Sleeping(睡眠7〜8時間) 中〜高強度の有酸素運動 +週2〜3回の筋トレ 一晩7〜8時間を目安に 睡眠時無呼吸も評価 原典 Fig. 3(CC BY 4.0)の5項目(Stepping・Standing・Sweating・Strengthening・Sleeping)を整理。 薬物療法の土台として、睡眠・座位中断・運動の5項目を評価する Daviesら. ADA/EASD合意2026 10 / 47
心不全とCKDにおける薬剤選択のガイドライン
#11. 体重管理は「5〜7%以上」と「10〜15%超」 5〜7%以上の減量 10〜15%を超える減量 血糖・血圧・脂質が改善し 心血管リスク因子や インスリン抵抗性を軽減 発症早期なら糖尿病 の寛解も視野 MASH・肥満HFpEF・閉塞性 睡眠時無呼吸(OSA)も改善 原典 Fig. 2:チルゼパチド(SURMOUNT-OSA等)やセマグルチド、代謝手術、生活習慣介入を 個別に組み合わせる。 減量の幅によって、得られる代謝改善・臓器保護・寛解の効果が変わる Daviesら. ADA/EASD合意2026 11 / 47
#12. 図で見る|早期からの臓器保護(Fig. 4) 診断・処方見直し:まず併存症と体重を確認 心・腎・肝疾患や肥満あり → SGLT2阻害薬・GLP-1系を優先 低リスク・軽症 → メトホルミン 等から開始も可 3〜6か月ごとに見直し、未達なら早期に併用へ ① 「全員メトホルミン」 ではなく、併存症で 最初の薬を選ぶ ② 心・腎疾患があれば HbA1c目標内でも 臓器保護薬を使う ③ 合併症がない軽症は メトホルミン開始も 妥当な選択肢 Daviesら 2026 Fig. 4 をもとに作者作成(CC BY 4.0)(臓器絵はAI生成) 心・腎・肝疾患や肥満があれば、早期から臓器保護薬を優先する Daviesら. ADA/EASD合意2026 12 / 47
#13. 保存用|SGLT2阻害薬とGLP-1系薬の選び方 表:原典 Fig. 5 に基づくSGLT2阻害薬とGLP-1系薬の比較(★★=アウトカム試験の根拠) GLP-1系薬 日本の臨床ポイント ASCVD(心筋梗塞・脳卒中) ★★(推奨) ★★(推奨) 確立ASCVDはshould 心不全(HFrEF・HFpEF) ★★(全駆出率) ★★(肥満HFpEF) GLP-1にHF単独適応なし 慢性腎臓病(CKD) ★★(推奨) ★★(セマグルチド) フィネレノンも3本柱 MASLD・MASH(脂肪肝) ★(肝脂肪改善) ★★(肥満2型DM等)ウゴービにMASH効能あり 大幅な減量・血糖改善 +(中等度) ++(セマ・チルゼ) 併存症・目的 SGLT2阻害薬 10〜15%超で寛解も視野 原典 Fig. 5(CC BY 4.0)を日本語で要約。薬剤選択は国内電子添文の適応に従う。 患者の併存症(心不全・CKD・MASLD・肥満)に合わせて選ぶ・併用する Daviesら. ADA/EASD合意2026 13 / 47
#14. ASCVD(動脈硬化性心血管疾患)と高リスク例 確立したASCVD既往ではMACE抑制薬を推奨(should) 心筋梗塞・脳卒中等の既往例はGLP-1RAまたはSGLT2iを推奨(should)。危 険因子のみの高リスク例は選択肢(could) さらなるリスク低減には両クラスの併用を考慮(could) すでに片方を使っていて心血管リスクが高い場合は、忍容性等を踏まえも う一方の追加併用を考慮(could) ピオグリタゾンも一部の選択肢(could) インスリン抵抗性が強いASCVD例では選択肢だが、心不全では禁忌のため 除外する 確立したASCVD既往はshould、危険因子のみの高リスク例はcould Daviesら. ADA/EASD合意2026 14 / 47
CKD合併時の薬剤選択と日本の基準
#15. 図で見る|心不全(HFrEFと肥満HFpEF) 心不全(HF)を合併した2型糖尿病 駆出率(HFrEF・HFpEF)を問わず → SGLT2阻害薬を推奨(should) 肥満(BMI 30以上)+ HFpEF なら → セマグルチド・チルゼパチドも推奨(should) ① 心不全があれば、 まずSGLT2阻害薬を 第一選択で使う ② 2026年改訂で 「肥満+HFpEF」に GLP-1系が推奨された ③ GLP-1系は日本で 心不全単独適応がない ため2型DM等で使う Daviesら 2026 Fig. 4–5・国内電子添文をもとに作者作成(臓器絵はAI生成) 全駆出率にSGLT2阻害薬、肥満(BMI 30以上)+HFpEFにGLP-1系薬 Daviesら. ADA/EASD合意2026 PMDA. フォシーガ・ジャディアンス添文 PMDA. オゼンピック添文 PMDA. ウゴービ添文 15 / 47
#16. 心不全合併での使い方と、日本の注意点 SGLT2阻害薬は駆出率を問わず第一選択(should) HFrEF・HFmrEF・HFpEFで心不全入院を減らす。国内はフォシーガ・ジャディ アンス・ケレンディアに慢性心不全効能あり 肥満(BMI 30以上)+HFpEFにインクレチン薬(should) STEP-HFpEF DM(皮下注セマグルチド2.4mg)・SUMMIT(チルゼパチド)の 根拠に基づき推奨 注意:試験製剤と国内承認適応を区別する 国内でセマグルチド・チルゼパチドは心不全単独適応がないため2型DM・ 肥満症(ウゴービ・ゼップバウンド)適応内で使い、経口剤等へ外挿しない 試験で検証された製剤・用量と、日本の慢性心不全の承認効能を区別する Daviesら. ADA/EASD合意2026 PMDA. フォシーガ・ジャディアンス添文 PMDA. オゼンピック添文 PMDA. ウゴービ添文 PMDA. マンジャロ添文 16 / 47
#17. 図で見る|CKDの3本柱と日本のeGFR基準 CKD(eGFR低下・アルブミン尿)+ 2型糖尿病 ① SGLT2阻害薬 (RAS阻害薬と併用) ※国内eGFR基準あり ② セマグルチド (FLOWで腎保護) ※国内は2型DM適応 ③ フィネレノン(ケレンディア):アルブミン尿残存時 ※国内CKD:eGFR 25未満は慎重判断・原則K≦4.8 ① CKD保護は「SGLT2i・ セマグルチド・フィネレ ノン」の3本柱で守る ② 欧米はeGFR 20以上で 開始・透析まで継続、 日本は添文に従う ③ ケレンディアはCKDで eGFR 25未満は慎重判断 (心不全は開始禁忌) Daviesら 2026・PMDA電子添文をもとに作者作成(臓器絵はAI生成) SGLT2阻害薬・セマグルチド・フィネレノンで腎と心臓を両方守る Daviesら. ADA/EASD合意2026 PMDA. フォシーガ・ジャディアンス添文 PMDA. オゼンピック添文 PMDA. ケレンディア添文 17 / 47
#18. CKD合併での3本柱と、日本の電子添文の壁 ① SGLT2阻害薬(RAS阻害薬と併用) 原典はeGFR 20以上で開始し透析・移植まで継続。国内は製剤・効能別の電 子添文eGFR基準に従う ② セマグルチド(FLOW:主要腎複合+心血管死が相対24%減) HR 0.76。SGLT2i不耐容時の代替(should)や追加併用(could)。国内はCKD 単独適応なし ③ フィネレノン(ケレンディア) 国内添文:2型DM合併CKDは原則K≦4.8・eGFR 25未満は慎重判断(心不全 はK≦5.0・eGFR 25未満開始禁忌、K>5.5は共通禁忌) CKD診断は3か月以上の持続確認。国内は効能別のeGFR・K基準を守る Daviesら. ADA/EASD合意2026 PMDA. フォシーガ・ジャディアンス添文 PMDA. オゼンピック添文 PMDA. ケレンディア添文 18 / 47
MASLD・MASHに対する薬物療法の選択肢
#19. MASLD・MASH(脂肪性肝疾患)の薬選び 肥満合併2型DM+MASLD/確定MASHにGLP-1RA推奨(should) ESSENCE試験(セマグルチド)等でMASH改善・肝線維化抑制。国内は2026 年6月にウゴービに肝硬変のないMASH(中等度〜高度線維化)効能追加 ピオグリタゾン・チルゼパチドも選択肢(could) MASH合併2型糖尿病では、ピオグリタゾンやチルゼパチドも有効な選択肢 (国内は2型DM等の承認効能の範囲で使用) 非代償性肝硬変ではインスリンを使う 肝不全が進んだ状態では経口薬の多くが使いにくいため、イン スリンで管理する 肥満合併2型DM+MASLD、または生検等で確定したMASHに薬物療法を検討 Daviesら. ADA/EASD合意2026 PMDA. ウゴービ添文 PMDA. オゼンピック添文 19 / 47
#20. 保存用|欧米推奨と日本の電子添文の違い 表:欧米コンセンサス2026と日本のPMDA電子添文・JDS指針の重要ギャップ 薬剤・項目 ADA/EASD 2026(欧米) チルゼパチド(マンジャロ) 重度腎障害も用量調節不要 日本の電子添文・JDS指針(優先) 禁忌・9.2項なし、脱水AKI注意 セマグルチド(FLOW試験) CKD進行抑制で推奨(should) CKD単独なし(DM・肥満・MASH) フィネレノン(ケレンディア) CKDでアルブミン尿残存に推奨CKDはK≦4.8・eGFR<25慎重判断 SGLT2阻害薬(CKD・心不全)eGFR 20以上で開始・透析まで継続 製剤・効能別のeGFR基準に従う SGLT2阻害薬(術前休薬) 予定手術の3〜4日前から休薬 国内JDS指針は「術前3日前休薬」 日本の日常診療では、必ず右列(PMDA電子添文・日本糖尿病学会指針)を優先する。 欧米のガイドラインをそのまま処方すると、日本では適応外・禁忌になりうる Daviesら. ADA/EASD合意2026 PMDA. マンジャロ添文 PMDA. フォシーガ・ジャディアンス添文 PMDA. ケレンディア添文 20 / 47
#21. マンジャロ・GLP-1系の腎機能と重要有害事象 マンジャロと腎機能(国内電子添文8.12項) 腎機能障害の項(9.2)や禁忌・用量調節規定はなし。嘔吐・下痢による脱水 からの急性腎障害(AKI)に注意 胆道疾患・膵炎・網膜症・NAION(15.1項) 胆石・膵炎、急速な血糖改善時の網膜症悪化、NAION報告(因果関係は未 確定)に注意 全身麻酔・鎮静処置前の誤嚥リスク 胃内容物残留に配慮し、内視鏡や手術・全身麻酔前は休薬・絶食管理を麻 酔科等と共有 マンジャロは腎機能の禁忌・9.2項なし。脱水AKI・胆道・網膜症・麻酔前に注意 PMDA. マンジャロ添文 PMDA. オゼンピック添文 21 / 47
#22. 妊娠可能な女性への避妊説明(日米比較) 原典(must):妊娠可能な女性への事前説明 SGLT2阻害薬・GLP-1系薬使用中は適切な避妊と、妊娠希望時の事前切替( インスリン等)を説明 国内電子添文の避妊・休薬期間(9.4項) マンジャロは投与中+最終投与後1か月間避妊、セマグルチドは妊娠予定 の2か月前に中止 経口避妊薬の注意(国内10.2項・米国USPI 8.3) マンジャロ開始・増量初期は経口避妊薬の効果減弱のおそれ(米国は開始・ 増量後4週間の切替/バリア法) チルゼパチドは投与中+最終投与後1か月避妊と、開始・増量時の経口避妊薬注意を説明 Daviesら. ADA/EASD合意2026 PMDA. マンジャロ添文 PMDA. オゼンピック添文 22 / 47
DPP-4阻害薬とGLP-1系薬の併用禁止の理由
#23. DPP-4阻害薬とGLP-1系薬は、併用しない 同じインクレチン経路で、上乗せ効果は限られる DPP-4阻害薬にGLP-1受容体作動薬やチルゼパチドを足しても血糖改善の 上乗せは乏しいため併用しない 国内電子添文でも併用時の有効性・安全性は未確認 オゼンピック8.14項・マンジャロ8.16項に「DPP-4阻害薬との併用は臨床試 験成績がなく有効性・安全性は未確認」と明記 他院・他科からの処方お薬手帳を必ず確認 配合錠(SGLT2+DPP-4など)の中にDPP-4阻害薬が隠れていな いかも確認する GLP-1系薬・チルゼパチドを始める日は、必ずDPP-4阻害薬を中止する Daviesら. ADA/EASD合意2026 JDS. 薬物療法アルゴリズム第2版 PMDA. オゼンピック添文 PMDA. マンジャロ添文 23 / 47
#24. SGLT2阻害薬の休薬:シックデイと術前 日本の基準(JDS指針・電子添文) 欧米の基準(ADA・FDA) 発熱・下痢・嘔吐・絶食時は休薬 JDS指針:予定手術は「 術前3日前休薬」 血糖が高くなくても正常 血糖DKAに注意 予定手術は「術前3〜4日前休薬」 (エルツグリフロジン[国内未承認] 4日前) 食事と水分が戻るま で再開しない ※「SSTOP rule」等の非公式な造語は使わず、日本糖尿病学会のシックデイ・ルールとRecom mendationに従う。 シックデイは当日休薬。手術前は「国内JDS指針3日前/欧米3〜4日前」を区別する Daviesら. ADA/EASD合意2026 JDS. SGLT2適正使用指針 PMDA. フォシーガ・ジャディアンス添文 24 / 47
#25. 日本のアルゴリズム第2版との共通点と違い 日本のアルゴリズム第2版はStep 1〜4の順で検討 Step 1:病態(インスリン分泌・抵抗性/肥満)→ Step 2:安全性 → Step 3:Additional benefits(CKD・心不全・CVD併存)→ Step 4:患者背景 日本人の非肥満2型糖尿病ではインスリン分泌低下が多い Step 3の心腎保護優先は欧米と共通しつつ、非肥満例ではDPP-4阻害薬・ ビグアナイド・イメグリミン等も重要 イメグリミン(ツイミーグ)は日本独自の選択肢 インスリン分泌促進と抵抗性改善を併せ持つ。SU・GLP-1併用時は低血糖、 BG併用時は胃腸症状に注意 Step 1(病態)→ Step 2(安全性)→ Step 3(心腎等の追加利益)の順で検討 Daviesら. ADA/EASD合意2026 PMDA. ツイミーグ添文 JDS. 薬物療法アルゴリズム第2版 25 / 47
#26. 処方見直しで前もって確認する5項目 ① eGFR・アルブミン尿 SGLT2i・ケレンディア開始基準(HFはeGFR<25禁忌)を確認 ② 血清カリウム(K)値 ケレンディア開始前(CKD原則K≦4.8・>5.5禁忌)と4週後測定 ③ DPP-4i中止・避妊 GLP-1系開始時はDPP-4i中止、妊娠可能女性に避妊・切替説明 ④ シックデイ・術前休薬 絶食・嘔吐・下痢時の休薬と術前3日前休薬をお薬手帳で共有 ⑤ 高齢者下限・筋肉量 SU・インスリン併用時のJDS下限値と過度な体重減少を確認 患者さんには「心腎を守る目的」「発熱・下痢時の休薬」「手術3日前の連絡」をお薬手帳で共有。 新しい薬を足す前に、腎機能・カリウム・併用薬・休薬約束を揃える Daviesら. ADA/EASD合意2026 JDS. SGLT2適正使用指針 PMDA. ケレンディア添文 26 / 47
架空症例を通じた薬剤選択の実践
#27. 症例1|肥満とHFpEFがある2型糖尿病 ※教育用の架空症例です 60代・2型糖尿病。BMI 32 kg/m²、HFpEF(駆出率の保たれた心不全)で通院中。 現在:DPP-4阻害薬とメトホルミンを内服中、HbA1c 7.6%、eGFR 55。 労作時の息切れと体重増加があり、処方の見直しを相談された。 特定の患者情報ではなく、判断の過程を学ぶための架空症例です。 問い:どの薬を優先し、既存の薬はどう整理する? 27 / 47
#28. 症例1|SGLT2阻害薬+GLP-1系薬へ見直す ① 心不全保護としてSGLT2阻害薬を導入(should) HFpEFの心不全入院を減らすため第一選択で追加(国内はフォシーガ・ジャ ディアンスに心不全効能あり) ② 肥満(BMI 30以上)+HFpEFにGLP-1系薬(should) 皮下注セマグルチド・チルゼパチドを検討(※国内は2型DM・肥満症の承認 適応内で処方) ③ DPP-4阻害薬は必ず中止する GLP-1系・チルゼパチド開始時は、同じ経路のDPP-4阻害薬を中止 教育用の架空症例の解説。実患者の用量指示ではありません。 DPP-4阻害薬は中止し、日本の承認適応(2型糖尿病・肥満症)の範囲で処方する Daviesら. ADA/EASD合意2026 PMDA. フォシーガ・ジャディアンス添文 PMDA. オゼンピック添文 PMDA. マンジャロ添文 28 / 47
#29. 症例2|CKD(アルブミン尿)が続く2型糖尿病 ※教育用の架空症例です 70代・2型糖尿病。高血圧とCKDがあり、ARBとSGLT2阻害薬を内服中。 現在:HbA1c 7.2%、eGFR 38 mL/min/1.73m²、尿アルブミン/Cr比 450 mg/gCr。 血清カリウム(K)は 4.4 mEq/L。さらなる腎保護と血糖管理を検討。 特定の患者情報ではなく、判断の過程を学ぶための架空症例です。 問い:RAS阻害薬+SGLT2阻害薬の次の一手と、確認すべき検査値は? 29 / 47
#30. 症例2|セマグルチド・フィネレノンを検討 ① セマグルチドの追加併用を考慮(could/FLOW試験) SGLT2i使用中の2型DM+CKDへの追加選択肢(SGLT2i不耐容時はshould) ② フィネレノン(ケレンディア)の追加 2型DM合併CKD:eGFR 38・K 4.4(≦4.8)で開始可。4週後にKとeGFRを再検 ③ 脱水時のシックデイ休薬を改めて指導 嘔吐・下痢時の脱水(AKI予防)とSGLT2阻害薬等の休薬ルールを共有 教育用の架空症例の解説。実患者の用量指示ではありません。 2型DM合併CKDの基準(原則K≦4.8・eGFR 25未満は慎重判断)を確認し追加する Daviesら. ADA/EASD合意2026 PMDA. オゼンピック添文 PMDA. ケレンディア添文 30 / 47
高齢者における薬剤管理と注意点
#31. 症例3|高齢・痩せ型でSU薬による低血糖懸念 ※教育用の架空症例です 82歳・2型糖尿病。BMI 19.5 kg/m²、軽度認知機能低下あり(JDSカテゴリーII)。 グリメピリド(SU薬)2 mgとDPP-4阻害薬を内服し、HbA1c 6.6%、eGFR 42。 最近ふらつきがあり、半年間で体重が3 kg減っている。 特定の患者情報ではなく、判断の過程を学ぶための架空症例です。 問い:この患者にもSGLT2阻害薬や強い減量薬を足すべき? 31 / 47
#32. 症例3|下限値割れを防ぎ、SU薬を減量・中止 ① JDSカテゴリーIIの下限値(7.0%)を下回っている SU薬使用中でHbA1c 6.6%は下げすぎ。無自覚低血糖を疑う ② グリメピリドを減量・中止(脱処方)する 2026年合意でも、高齢者の過度の血糖降下回避と脱処方を推奨 ③ 過度な減量は避け、栄養と筋トレを優先 体重減少が進むフレイル症例ではサルコペニアを招く強い減量を控える( 心腎適応があれば脱水等に注意し個別判断) 教育用の架空症例の解説。実患者の用量指示ではありません。 フレイル・痩せ型の高齢者では「低血糖・筋肉減少の回避」を優先し個別判断する Daviesら. ADA/EASD合意2026 JDS・老年医学会. 高齢者GL2023 32 / 47
#33. 図で見る|インスリンを始める前の手順 経口薬で血糖目標に達しない(注射薬を検討) 安定2型DM:GLP-1系を優先 (体重増加・低血糖を防ぐ) 著明高血糖・ケトン ・急性失調・1型疑い 高血糖持続→基礎インスリン追加 (禁忌なければGLP-1系継続) 即インスリン開始 (インスリン優先) ① 安定2型DMでは、 インスリンの前に まずGLP-1系を検討 ② 急性代謝失調やケトン 陽性・1型疑いは迷わ ずインスリンを優先 ③ 安定2型DMの追加時は GLP-1系を継続(アウィ クリは過量投与注意) Daviesら 2026 ESM Fig. 1・JDS指針2026をもとに作者作成(臓器絵はAI生成) 安定2型DMはGLP-1系を優先、急性代謝失調・ケトン陽性・1型疑いは即インスリン Daviesら. ADA/EASD合意2026 JDS・老年医学会. 週1回インスリン指針2026 33 / 47
#34. 週1回インスリン(アウィクリ)の注意点 2026年合意で週1回基礎インスリン(イコデク)が収載 注射回数を減らせる選択肢として、1日1回持効型と並んでESM Fig. 1・Fig. 6に掲載 国内では市販後半年で重症低血糖28例が報告 「毎日打ってしまった」「1クリック=1単位と誤認し10倍量投与した(過量7 例)」事故が発生 2026年3月31日(火)JDS+日本老年医学会が指針改訂 認知症・独居高齢者・インスリン未治療例へは慎重に判断し、曜日固定と「1 目盛り=10単位」を徹底 ADA/EASD 2026で新登場。日本では市販後重症低血糖28例の教訓を守る Daviesら. ADA/EASD合意2026 JDS・老年医学会. 週1回インスリン指針2026 34 / 47
外来診療の改善点とセルフチェック
#35. CGM(持続血糖測定)の推奨と日本の保険 ADA/EASD 2026の推奨 日本の保険算定ルール インスリン使用者にはCGMを推奨 (should) 非インスリン使用者でも低血糖や 血糖変動管理に選択肢(could) 保険算定はインスリン 自己注射を行う 外来患者等が対象(区分は現行通 知確認) TIR >70%・TBR <4% を目安に管理 保険対象外(自費等)でCGMを使う非インスリン患者もいるため、AGP読影(高齢者は低血糖 回避最優先)の理解が役立つ。 原典は「インスリン使用者にshould/非使用者にcould」。日本の保険はインスリン自己注射者が対象 Daviesら. ADA/EASD合意2026 JDS. 診療GL2024 35 / 47
#36. 図で見る|高齢者で「減らしすぎ」を防ぐ理由 高齢者の過度・急速な 体重減少・低栄養 SU薬・インスリンで HbA1cを下げすぎる 筋量・骨量低下のおそれ (サルコペニア・転倒) ① 暦年齢だけで臓器保護 薬を控えたりせず、 フレイル等で個別化 無自覚低血糖・転倒・ 認知機能の悪化 ② 重症低血糖リスク薬は JDSカテゴリー別の 下限値を必ず守る 対策:栄養+筋トレ併用、JDS下限値を見て減量・脱処方 ③ 下げすぎている薬は ためらわずに減量・ 中止(脱処方)する Daviesら 2026・JDS高齢者GL2023をもとに作者作成(臓器絵はAI生成) 高齢者はサルコペニア(筋肉減少)と重症低血糖の両方を防ぐ Daviesら. ADA/EASD合意2026 JDS・老年医学会. 高齢者GL2023 36 / 47
#37. よくある誤解を、3つ修正する 「全員に最初からSGLT2阻害薬とGLP-1系薬を使う」 心腎疾患があれば暦年齢によらず保護薬を優先するが、併存症のない低リ スク例ではメトホルミン等からの開始も妥当 「マンジャロは重度腎障害で禁忌である」 国内電子添文に腎機能障害の禁忌や用量調節規定はなし(9.2項なし)。た だし嘔吐・下痢による脱水からの急性腎障害(8.12項)に注意 「セマグルチドは単剤でCKDや心不全の保険病名で出せる」 国内ではCKD・心不全単独の効能は未承認。2型糖尿病・肥満症・MASH(ウ ゴービ)の承認効能の範囲で使う 欧米の新しい推奨と、日本の電子添文・高齢者指針を正しく組み合わせる Daviesら. ADA/EASD合意2026 PMDA. マンジャロ添文 PMDA. オゼンピック添文 37 / 47
#38. 明日から、外来診療を3つ変える ① 初診・再診で「心・腎・肝・体重」をセットで確認 HbA1cだけでなく、eGFR・尿アルブミン・心不全徴候・FIB-4・BMIを評価する ② 心腎リスクがあれば早期からSGLT2i・GLP-1系を検討 DPP-4阻害薬からの切り替え時は重複処方を防ぎ、シックデイ休薬と避妊 指導を行う ③ 高齢者では「筋肉維持」と「脱処方」を意識する JDSカテゴリー別の下限値を守り、過度な減量や低血糖リスク薬の漫然継 続を見直す 4つの柱で評価する → 臓器保護薬を選ぶ → 電子添文と下限値を確認する Daviesら. ADA/EASD合意2026 JDS. 薬物療法アルゴリズム第2版 38 / 47
#39. セルフチェック|5問 Q1 24時間行動(Fig. 3)の「5つのS」に座位中断(Standing)は含まれる? Q2 肥満(BMI 30以上)+HFpEFに推奨されたインクレチン薬は? Q3 マンジャロは重度腎機能障害で「禁忌」? Q4 ケレンディア(2型DM合併CKDと心不全)のeGFR 25未満の扱いは? Q5 安定2型DMでインスリンを追加するとき、GLP-1系薬はやめる? 答えは次の頁。迷った問題は、各問の該当する章の頁を見直す 39 / 47
#40. セルフチェック|答え A1 含まれる(Standing=座位中断。Stepping・Sweating・Strengthening・Sleepingの5項目) A2 皮下注セマグルチド・チルゼパチド(should。国内は2型DM・肥満症の承認適応内で使用) A3 禁忌ではない(電子添文に腎機能の禁忌・9.2項なし。脱水による急性腎障害[8.12項]に注意) A4 2型DM合併CKDは慎重判断(5.2項・原則K≦4.8)、心不全効能は開始禁忌(2.6項・K≦5.0) A5 原則やめない(禁忌・不耐容なければGLP-1系継続。急性代謝失調・1型疑いはインスリン優先) 迷った問題は、該当する章のスライドで確認しよう Daviesら. ADA/EASD合意2026 PMDA. マンジャロ添文 PMDA. ケレンディア添文 40 / 47
#41. 亀田総合病院 糖尿病内分泌内科 専門研修・見学を希望の方へ 糖尿病・内分泌・肥満症を総合的に学べる環境です 見学申込:専門研修・見学のご案内(見学申込ページを開く) X:@DrMiura_Obesity(質問もお気軽に) このスライドについて 内容の誤りや改善点は、コメントか X でお知らせください 2026年11月版。ガイドライン・電子添文の改訂時に更新します 出典は各頁の下と、末尾の参考文献の頁から原典を開けます 作成:三浦正樹|亀田総合病院 糖尿病内分泌内科 部長 41 / 47
#42. 参考文献|原典を確認する 1 Davies MJ, Aroda VR, Bajaj M, et al. Management of type 2 diabetes, 2026. A consensus report by the ADA and the EASD. Diabetologia / Diabetes Care 2026(2026年10月2日(金)同時公開). DOI: 10.1007/s00125-026-06855-7(CC BY 4.0) ライセンス: Creative Commons CC BY 4.0 Davies MJ, Aroda VR, Bajaj M, et al. Correction: Management of type 2 diabetes, 2026. A consensus report by the ADA and the EASD. Diabetologia 2026(2026年10月28日(水)公開). DOI: 10.1007/s00125-026-06911-2 末尾のリンク行から、DOIまたは公式原典へ移動 42 / 47
#43. 参考文献|原典を確認する 2 日本糖尿病学会(Bouchi R, Kondo T, Ohta Y, et al.) 2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(第2版). 糖尿病 2023;66(10):715–733. DOI: 10.11213/tonyobyo.66.715 日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2024. 南江堂, 2024年5月. 2024年|日本糖尿病学会 公式ページ 末尾のリンク行から、DOIまたは公式原典へ移動 43 / 47
#44. 参考文献|原典を確認する 3 日本糖尿病学会・日本老年医学会 高齢者における週1回持効型溶解インスリン製剤のRecommendation(改訂版). 2026年3月31日(火)改訂. 2026年|日本糖尿病学会 公式PDF 日本糖尿病学会 SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation. 日本糖尿病学会 委員会報告. 日本糖尿病学会 公式PDF 末尾のリンク行から、DOIまたは公式原典へ移動 44 / 47
#45. 参考文献|原典を確認する 4 日本老年医学会・日本糖尿病学会 高齢者糖尿病診療ガイドライン2023. 南江堂, 2023. 2023年|日本糖尿病学会 公式ページ 医薬品医療機器総合機構(PMDA) マンジャロ皮下注(2型DM)/ゼップバウンド皮下注(肥満症)電子添文. PMDA 医療用医薬品情報検索(2499422G1024 / 2499422G7022). PMDA マンジャロ電子添文PDF PMDA ゼップバウンド電子添文PDF 末尾のリンク行から、DOIまたは公式原典へ移動 45 / 47
#46. 参考文献|原典を確認する 5 医薬品医療機器総合機構(PMDA) オゼンピック皮下注2mg(2型DM)/ウゴービ皮下注(肥満・MASH)電子添文. PMDA 医療用医薬品情報検索(2499418G4027 / 2492424G1022). PMDA オゼンピック皮下注2mg電子添文PDF PMDA ウゴービ皮下注電子添文PDF(肥満症・MASH) 医薬品医療機器総合機構(PMDA) ケレンディア錠(一般名:フィネレノン)電子化された添付文書. PMDA 医療用医薬品情報検索(2190044F1020). PMDA ケレンディア電子添文PDF 末尾のリンク行から、DOIまたは公式原典へ移動 46 / 47
#47. 参考文献|原典を確認する 6 医薬品医療機器総合機構(PMDA) フォシーガ錠(ダパグリフロジン)/ジャディアンス錠(エンパグリフロジン)電子添文. PMDA 医療用医薬品情報検索. PMDA 添付文書検索ページ 医薬品医療機器総合機構(PMDA) ツイミーグ錠(一般名:イメグリミン塩酸塩)電子化された添付文書. PMDA 医療用医薬品情報検索. PMDA 添付文書検索ページ 末尾のリンク行から、DOIまたは公式原典へ移動 47 / 47