テキスト全文
シックデイにおける薬の中止指示
#1. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 CASE 20 · 65歳女性 · シックデイ · 無料症例 「全部やめました」。
その電話、どう返す? 発熱と嘔吐で食べられない日。血糖は高くないのに、ある薬を止めないとケトアシドーシスが進む。 出題・監修 Dr.いわたつ / 糖尿病・内分泌内科 専門医・指導医・医学博士
#2. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 CASE 65歳女性 · 2日前から発熱・嘔吐 · かかりつけに電話 電話が鳴る——シックデイの一本 体温 38.5 ℃ 食事摂取 普段の半分以下 自己血糖(本人測定) 低め(高値ではない) 内服・注射 Met/SGLT2阻害薬/DPP-4/持効型インスリン10単位 本人の対応 「血糖が低めだから」とインスリンも含め全中止 食べられない日(シックデイ)。この処方の中に、こういう日こそ真っ先に止めるべき薬がある。
電話トリアージと薬の選択
#3. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 Q1 / 4 QUESTION 01 — 電話トリアージ 発熱・嘔吐で食事が半分以下。「血糖が低めなのでインスリンも含め全部やめた」と電話。まず何を指示する? A 基礎インスリンも含め全薬中止のまま、水分だけとって熱が下がるまで自宅で安静にして様子をみる B 血糖が高くないので問題ないと伝え、SGLT2阻害薬も含めて普段どおり全部を内服させる C SGLT2阻害薬とメトホルミンは休薬、基礎インスリンは止めずに量を指示し、当日受診させる D SGLT2阻害薬とメトホルミンだけ止め、ほかは普段どおりで半日様子をみて、改めて連絡させる ページをめくる前に、1つ選んでください
#4. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 A1 / 4 ANSWER 01 止める薬と、止めてはいけない薬を分ける。 A × 全中止のまま自宅で様子見 インスリン欠乏からDKAを誘発する最大の原因。今回の悪化そのもの B × 普段どおり全部継続 脱水下のSGLT2継続で正常血糖ケトアシドーシスが静かに進む C ◎ 正解 SGLT2・Metは休薬/基礎インスリンはゼロにしない+当日評価 経口薬(SGLT2阻害薬・メトホルミン)は止める。しかし基礎インスリンは自己判断でゼロにしない——食べなくても需要は残り、全中止はDKAを誘発する。嘔吐が続き食べられない以上、血糖・意識・呼吸・飲水の可否を確認し、その日のうちに評価につなげる。 D × 2剤だけ止めて半日様子見 仕分けは正しいが、嘔吐・摂取不良の今は待つ段階ではない
受診後の血糖とケトンの解釈
#5. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 EXAM その後も嘔吐が続き受診 · ぐったり・口唇乾燥・呼吸やや速い 血糖が高くないのに、アシドーシス 血糖 182 mg/dL(著明高値ではない) 尿ケトン (3+) 血中βOHB 3.8 mmol/L(診断閾値3.0以上) pH/HCO3− 7.28 / 15 mEq/L アニオンギャップ 22(開大) クレアチニン/K 1.4(普段0.9)/ 4.2 血糖が高くない——この数字をどう読むかで、対応が分かれる。
#6. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 Q2 / 4 QUESTION 02 — 受診後の解釈 血糖182・尿ケトン3+・βOHB 3.8・pH 7.28・AG開大。血糖がさほど高くない。どう解釈し、どう治療する? A SGLT2関連のeuDKAで入院。補液・K補正とブドウ糖併用でインスリンを持続投与する B 血糖が200未満なのでDKAは否定的と判断し、ウイルス性胃腸炎として制吐薬を処方して帰宅 C ケトアシドーシスとして入院・補液するが、血糖が高くないのでインスリン投与は当面見送る D 軽症DKAなので入院は不要。外来で経口補水を指導し、翌日にケトンとpHを再評価する ページをめくる前に、1つ選んでください
euDKAの治療と管理方法
#7. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 A2 / 4 ANSWER 02 診断の軸は、血糖ではなくケトンとpH。 A ◎ 正解 euDKAとして入院、ブドウ糖併用インスリン+補液+K管理 SGLT2阻害薬では血糖が著明に高くなくてもケトアシドーシスが進む。ケトーシスを止める主役はインスリンで、血糖が高くない分は開始時からブドウ糖を併用して低血糖を避ける。K<3.5ならKを先に補正。終了はβOHB<0.6かつ静脈血pH≥7.3を目安に。 B × DKA否定・胃腸炎で帰宅 euDKAを見逃す典型。ケトンとpHが語っている C × 入院・補液のみでインスリン見送り 補液だけではケトン産生は止まらない。主役はインスリン D × 外来で経口補水し翌日再評価 嘔吐持続・ケトン高値・AKIを伴い帰宅は危うい
#8. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 このアプリの核心 あなたの指示で、経過が変わる。 「食べないから全部やめて」 euDKA・DKAへ進行 基礎インスリン自己中断でケトン産生が止まらない 薬を仕分け・基礎は残す 安定して改善 SGLT2/Metは休薬、基礎は個別調整、受診基準を渡す どちらを選んでも「続きの判断」が待っている。
在宅シックデイの自己管理指導
#9. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 RECOVER 回復後 · 外来で 次のシックデイを、一人で乗り切れるように。 ブドウ糖併用インスリンと補液でケトーシスは解消し、腎機能も回復した。今度は在宅での自己管理を教える番だ。
#10. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 Q3 / 4 QUESTION 03 — 在宅シックデイ指導 回復後、次のシックデイに備えた自己管理を指導する。最も適切なのは? A 次に食べられない日は全ての薬を中止し、軽い症状でも必ず当日中に受診するよう統一する B 水分とこまめな血糖測定だけを指導し、薬は普段どおり続け、具合が悪ければ受診と伝える C 食べられない日は低血糖予防を優先し、基礎インスリンも完全に中止してよいと伝える D 経口薬は休薬、基礎インスリンはゼロにせず調整。血糖とケトンを測り、受診基準を渡す ページをめくる前に、1つ選んでください
入院中の薬剤見直しと注意点
#11. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 A3 / 4 ANSWER 03 血糖だけでなく、ケトンを見る。 A × 全部中止して必ず当日受診 基礎インスリンの全中止を習慣づけ、軽症まで受診させる過剰な一律化 B × 水分と血糖測定、具合が悪ければ受診 休薬指導・ケトン測定・具体的な受診基準が抜けている C × 基礎インスリンも完全中止 今回の入院を招いた誤りを指導として固定する最悪手 D ◎ 正解 経口薬休薬・基礎は残す+ケトン自己測定+受診基準を書面で SGLT2阻害薬ユーザーは血糖が高くなくてもケトンが上がる。水分と糖質は少量頻回、血糖とケトン(できれば血中βOHB)は2〜4時間ごとに測る。低血糖は約10gのブドウ糖で15分後に再確認。受診基準を連絡先とともにカードにすれば本人も家族も迷わない。
#12. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 MEDS 入院中 · 処方の見直し 脱水と腎障害。止めるのは、糖尿病の薬だけか。 クレアチニンは普段の0.9から1.4へ。血糖の薬以外にも、脱水の日に腎臓へ負担をかける薬がある。
脱水と腎障害時の薬剤仕分け
#13. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 Q4 / 4 QUESTION 04 — 薬剤の仕分け 脱水と急性腎障害を伴うシックデイ。一時休薬を検討する薬の考え方として最も適切なのは? A 降圧薬は血圧維持のため、RAS阻害薬や利尿薬も含めて一律に全て継続したまま補液する B SGLT2阻害薬・メトホルミンは休薬。RAS阻害薬・利尿薬・NSAIDsは体液量と腎機能で判断 C SGLT2阻害薬とメトホルミンだけ休薬し、RAS阻害薬・利尿薬・NSAIDsは評価せずに継続する D 乳酸アシドーシスの心配は少ないと考え、腎機能が落ちてもメトホルミンだけは継続する ページをめくる前に、1つ選んでください
#14. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 A4 / 4 ANSWER 04 脱水の日は、腎臓に効く薬も仕分ける。 A × 降圧薬も含め一律に全継続 脱水下のRAS阻害薬・利尿薬継続はAKIを悪化させうる B ◎ 正解 SGLT2・Metは休薬、RAS阻害薬・利尿薬・NSAIDsは個別に検討 脱水とAKIの下では、SGLT2阻害薬とメトホルミンは休薬。RAS阻害薬・利尿薬・NSAIDsも腎前性腎障害を悪化させうるため、血圧・体液量・心不全の有無・K・腎機能を見て一時休薬を検討する。一律に止めるのでも、一律に続けるのでもない。 C × 2剤だけ休薬し他は評価せず継続 糖尿病薬以外の腎リスク薬を見落としている D × メトホルミンだけは継続 脱水・AKIは乳酸アシドーシスの誘因。休薬が原則
シックデイの重要なメッセージ
#15. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 TAKE HOME TAKE HOME MESSAGE シックデイは、止める薬を知っていれば防げる。 01 食べられない日はSGLT2阻害薬を必ず休薬。血糖が高くなくてもeuDKAが進む 02 経口薬は止める判断が中心。基礎インスリンは自己判断でゼロにしない(=DKA誘発の最大原因) 03 診断の軸は血糖でなくケトンとpH。血中βOHB測定が尿ケトンより優れる 04 受診基準は数値で渡す。Met・RAS阻害薬・利尿薬・NSAIDsも脱水下は休薬を検討 教育目的の一般的な医学情報(架空症例)。診療は最新のガイドライン・電子添文・個々の病態で判断を。
#16. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 DM Compass Training CASE-BASED DIABETES TRAINING いま解いたこのシックデイ症例は、スマホで最後まで無料で体験できます。登録も不要。 症例 外来・病棟 23症例(継続追加) 判定 4択 → ◎○△× + 専門医の思考解説 分岐 選んだ指示で経過が変わる 品質 参考文献つき・専門医が順次監修 dm-compass-training.vercel.app 実際のプレイ画面
次のステップと症例体験の案内
#17. DM COMPASS TRAINING — 考える症例 VOL.6 NEXT STEP 症例を、選びながら診る。 このシックデイ症例は、無料・登録不要でそのまま最後まで体験できます。 スマホのカメラで、下のQRを読み取ってください。 症例を体験する DM Compass Training Dr.いわたつ 公式サイト プロフィール・ご依頼 医療アプリまとめ MedApp Market 個人制作の医学教育教材(全症例架空)/研修医・看護師・薬剤師・管理栄養士の方も、ご意見はコメントで