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甲状腺クリーゼを見逃さない|初期対応・誘因・緊急造影検査の判断

投稿者プロフィール
Dr.Ito

順天堂大学医学部附属静岡病院

7

0

概要

甲状腺クリーゼは、甲状腺ホルモンの高値だけでは診断できません。意識障害、発熱、頻脈、心不全などの臨床所見から、全身状態を総合的に評価する必要があります。

本スライドでは、日本の診断基準、抗甲状腺薬・無機ヨウ素・ステロイドなどによる初期治療、治療中断や感染症などの誘因を整理しました。

さらに、ヨード造影剤による甲状腺機能悪化のリスクを解説し、甲状腺中毒症患者に緊急造影検査が必要となった場合の判断を、架空症例を通して考えます。

救急・一般診療で役立つ実践的なポイントを、図解とフローチャートでまとめた全30枚です。

※医療従事者向けの教育資料です。第三者による医学監修は受けていません。

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テキスト全文

甲状腺クリーゼの病態と誘因

#1.

検査値から病態を読み解く内分泌診療 甲状腺クリーゼを 見逃さない 初期対応・誘因・緊急造影検査の判断 初期対応 誘因 緊急造影 医師・研修医・看護師などの医療従事者へ 第2弾|甲状腺クリーゼ 第三者による医学監修は受けていません

#2.

THYROID STORM / SERIES 02 02 甲状腺中毒症とクリーゼは同じではない クリーゼは、甲状腺中毒症を背景とした全身の破綻 出典:TS01 / TS03 / TS05 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 甲状腺中毒症 ホルモンの過剰な作用 代償の破綻 生命を脅かす 複数臓器の機能不全 ホルモン値の高さだけでクリーゼとは判定しない

#3.

THYROID STORM / SERIES 02 03 なぜ全身が破綻するのか ホルモン作用・誘因・臓器障害を一つの流れで捉える 出典:TS02 / TS03 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 背景:甲状腺中毒症 代謝・循環への負荷 誘因:感染・治療中断など 身体的ストレス 代償の破綻 → 多臓器障害 病態は多因子性。この図は定量モデルではない

日本の診断基準と症状

#4.

THYROID STORM / SERIES 02 04 見逃したくない臓器のサイン 中枢神経1項目+非中枢4項目。発熱と頻脈は別に数える 出典:TS01 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません ① 中枢神経 不穏・せん妄 意識障害など ② 発熱 ≥38℃ ③ 頻脈 ≥130/分 ④ 重症心不全 肺水腫・心原性ショックなど ⑤ 消化器・肝 悪心・嘔吐・下痢/総ビリルビン >3 mg/dL 症状の別原因と、クリーゼの併存をともに考える

#5.

THYROID STORM / SERIES 02 05 日本の診断基準:組み合わせで判定 必須条件を確認し、非中枢の4項目を別々に数える 出典:TS01 / TS02 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 必須条件:FT3 または FT4 が高値 確実例 a 中枢神経+非中枢1項目以上 確実例 b 非中枢4項目中3項目以上 疑い例 a:必須条件+非中枢2項目 疑い例 b:必須項目を確認できず、甲状腺の病歴・所見と 確実例の症状条件を満たす場合(詳細はノート) 疑いが強ければ、検査待ちで必要な初期対応を遅らせない

#6.

THYROID STORM / SERIES 02 06 日本の基準とBWPS:何が違う? どちらも臨床判断を支える道具であり、代替にはならない 出典:TS01 / TS03 / TS05 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 重症疾患では、スコアだけで診断しない

治療法:抗甲状腺薬とヨウ素

#7.

THYROID STORM / SERIES 02 07 FT3・FT4だけでは決められない ホルモン値の大小と、臓器障害の重さを分ける 出典:TS01 / TS05 / TS06 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 検査 FT3・FT4/条件・経過 診察 意識・呼吸・循環・体温 病歴・誘因と合わせて臨床判断 「極端な高値でないから大丈夫」とは言えない

#8.

THYROID STORM / SERIES 02 08 最初の対応は並行して進める 全身の安定化と、診断・誘因検索を同時に進める 出典:TS02 / TS03 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません クリーゼを疑う:救急・内分泌・ICUへ連絡 全身の安定化 気道・呼吸・循環 意識・体温・血糖 検査・誘因検索 甲状腺機能・臓器評価 感染・薬剤歴など 並行して進める:検査完了を待って全身管理を始めない 輸液も心不全・循環動態に応じて調整する

#9.

THYROID STORM / SERIES 02 09 抗甲状腺薬:合成を抑える 合成亢進に対する治療を、投与経路とともに選ぶ 出典:TS02 / TS03 / TS08 / TS11 / TS12 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません MMI 経口 60 mg/日 MMI 静注 30 mg/日 PTU 経口 600 mg/日 重症・意識障害・ 消化管吸収への懸念 → 静注MMIを検討 MMIとPTUは代替 合成亢進が対象/無顆粒球症・肝障害に注意 静注量は日本ガイドラインの記載。添文の1回量とは区別 成人クリーゼの日本ガイドライン例。症例の予防投与量ではない

#10.

THYROID STORM / SERIES 02 10 無機ヨウ素:投与順序を曖昧にしない 日本の推奨と、海外資料の順序を区別する 出典:TS02 / TS03 / TS05 / TS13 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 日本 2016/2017 抗甲状腺薬 + 無機ヨウ素:同時投与 2026 共同コンセンサス 抗甲状腺薬 無機ヨウ素:1時間後 日本:Gravesクリーゼ/2026:ヨウ素使用時の提案(GRADE評価なし) 日本GL:KIとして経口約200 mg/日。電子添文の通常量とは別

ステロイドとβ遮断薬の役割

#11.

THYROID STORM / SERIES 02 11 ステロイド:相対的な不足にも備える 副腎への対応と、T4からT3への変換抑制を意図する 出典:TS02 / TS03 / TS14 / TS15 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 共通の目的:相対的副腎不足への対応 + T4 → T3 の変換抑制 ヒドロコルチゾン 100 mg静注/8時間ごと 計300 mg/日 デキサメタゾン 計8 mg/日 静脈投与 1回量ではない/代替 副腎不全の証明を待つ治療ではない/血糖・感染などを監視 日本ガイドラインの成人初期治療例。経過に応じて再評価

#12.

THYROID STORM / SERIES 02 12 β遮断薬:心拍数より循環を先に見る 重症心不全・ショックでは、徐拍が循環を破綻させ得る 出典:TS02 / TS05 / TS09 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません まず循環評価 血圧・灌流・心機能/低心拍出かを確認 禁忌を確認 ランジオロール:心原性ショックは禁忌 チームで判断 適応・薬剤・監視方法を個別に検討 短時間作用薬も安全を保証しない 循環専門医・集中治療医と、適応・禁忌・監視方法を共有

#13.

THYROID STORM / SERIES 02 13 集中治療:甲状腺以外も治療する 臓器支持と誘因治療が、甲状腺への治療を支える 出典:TS02 / TS03 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 全身管理・誘因治療:初期から継続 呼吸・循環・代謝を支える 冷却/解熱:サリチル酸系を避ける 感染・原疾患への治療 体液量は循環に応じて調整 難治例:血漿交換・手術などの救済治療を専門チームで検討 救済治療は一律の検査値や経過時間だけで決めない

#14.

THYROID STORM / SERIES 02 14 治療アルゴリズム:3本の柱を並行に 合成亢進型を想定:3つの治療を並行し、繰り返し再評価する 出典:TS01 / TS02 / TS03 / TS09 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません クリーゼを疑う → 全身評価・専門チーム招集 全身管理 気道・呼吸・循環 冷却・代謝管理 ホルモンへの介入 抗甲状腺薬・ヨウ素 ステロイド 誘因治療 感染・原疾患 治療中断の背景 並行して継続・再評価:循環を確認し、β遮断薬は自動追加しない 教育用:診断確定・緊急性除外・自動処方には使用できない

誘因の確認と治療中断の影響

#15.

THYROID STORM / SERIES 02 15 誘因を先に一覧で押さえる 治療中断・感染・身体的ストレス・ヨード負荷を確認する 出典:TS02 / TS03 / TS04 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 甲状腺中毒症を背景に 代償が破綻 服薬不規則 治療中断 感染症 手術・外傷 急性心血管/脳血管疾患 ヨード負荷など 誘因は複数重なることがある

#16.

THYROID STORM / SERIES 02 16 「飲んでいない」の理由を確認する 治療中断は重要な誘因。責めずに経緯を把握する 出典:TS02 / TS03 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 何を・いつまで 飲んでいたか 副作用・通院・費用 継続困難の背景 服薬再建と 支援の方法を共有 既往あり=治療継続中、とは限らない

#17.

THYROID STORM / SERIES 02 17 原疾患そのものが誘因になり得る 重篤な急性疾患は、症状の別原因にもクリーゼの誘因にもなる 出典:TS01 / TS02 / TS03 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 重篤な急性疾患 症状の原因 意識障害・頻脈など クリーゼと所見が重なる 身体的ストレス 背景に甲状腺中毒症 クリーゼの誘因になり得る 原疾患の治療と、甲状腺側の評価を並行する

#18.

THYROID STORM / SERIES 02 18 ヨード負荷:二つの反応を分ける 急性の抑制反応と、後から起こり得る合成亢進は別 出典:TS04 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません ヨード造影剤による負荷 甲状腺の背景により異なる反応:全員が順に進む図ではない Wolff–Chaikoff効果 急性の合成抑制 通常は抑制からエスケープ Jod-Basedow現象 自律性機能などを背景に ヨードを利用した合成亢進 造影剤投与 = 直後の甲状腺クリーゼ、ではない

造影検査のリスクと判断基準

#19.

THYROID STORM / SERIES 02 19 造影後の悪化は、遅れて現れることがある 造影剤関連の機能亢進:症状・徴候は多くが造影後3〜10週 出典:TS04 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 造影時 直後〜入院中 数週後も注意 背景・重症度 治療方針を確認 急変は即時評価 安全期間ではない 機能亢進の症状・徴候 多くは3〜10週 模式的な時間軸/クリーゼはまれ/発症時期には個人差 3〜10週は機能亢進の発現の目安。クリーゼの潜伏期間ではない

#20.

THYROID STORM / SERIES 02 20 予定検査と救命の緊急検査を分ける 造影のリスクと、検査を延期するリスクを比較する 出典:TS04 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 顕性甲状腺機能亢進+造影検査の必要性を評価 予定検査・代替可能 ICMを避け代替を検討 ETA推奨4:強い/根拠は低 救命の緊急検査・代替困難 延期リスクを含めチーム判断 必要な治療・監視と並行 緊急時の造影前ATD開始はETA本文の記述 固定の待機時間を設け、救命対応を遅らせる図ではない 甲状腺中毒症があるだけで、緊急検査を一律に中止しない

#21.

THYROID STORM / SERIES 02 21 予防投与:確立した万能策はない 予防投与の対象と、エビデンスの限界を区別する 出典:TS04 / TS10 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 少数研究・対象の違い・代替指標中心という限界 「予防投与でクリーゼを確実に防げる」という結論にはならない 未治療の顕性亢進症の治療と、予防研究を混同しない

#22.

THYROID STORM / SERIES 02 22 架空症例:急性腹症と甲状腺中毒症 架空の教育用症例:緊急造影の判断に必要な情報を考える 出典:TS01 / TS04 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 架空の教育用症例 成人/急性腹症で救急受診 診療チームは救命のため 造影CTが必要と判断 数値・既往歴・投薬・転帰は設定しない 臓器所見を追加して評価する 架空の教育用症例/検査値だけでクリーゼを確定・除外しない

教育用症例と判断フロー

#23.

THYROID STORM / SERIES 02 23 あなたなら、どう判断する? 架空の教育用症例:救命に必要な造影CTをどう判断するか 出典:TS01 / TS04 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 甲状腺中毒症がある。 救命に必要な造影CTを、どう判断する? 追加で何を確認し、誰と相談しますか? 架空の教育用症例/緊急性・甲状腺の重症度・代替手段を考える

#24.

THYROID STORM / SERIES 02 24 原疾患の症状か、クリーゼの併存か 架空の教育用症例:腹部症状や頻脈を一律に帰属させない 出典:TS01 / TS02 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 症状を確認:意識・体温・心拍・心不全・肝消化器 明らかな別原因 その所見を除外 病名だけで 一律に除外しない 誘因と判別困難 日本基準の注1に従い クリーゼ症状として 扱う 情報が不足 所見を追加して確認 検査値だけで 確定・除外しない 架空の教育用症例/臓器所見と原因を確認し、診断基準に照合

#25.

THYROID STORM / SERIES 02 25 治療と予防を分けて、個別に判断する 架空の教育用症例:特定の予防処方を正答にしない 出典:TS04 / TS10 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 治療の適応 甲状腺中毒症の原因・重症度から評価 予防の限界 一律の標準法ではない/対象と根拠を検討 検査の判断 緊急性・代替手段・延期リスクをチームで評価 必要な治療と監視を計画する。予防投与で安全を保証しない 架空の教育用症例/投薬・検査の実施結果や転帰は設定しない

#26.

THYROID STORM / SERIES 02 26 造影前後:誰が、何を追うか 直後の全身監視と、遅発性の甲状腺評価をつなぐ 出典:TS04 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 造影前 主科・内分泌・ICU 緊急性/病態/薬剤を共有 直後・入院中 看護・主科・ICU 意識・体温・循環を追う 継続評価 内分泌・主科・薬剤部 治療と検査計画を引き継ぐ ETA推奨13:高リスク例の3〜4週の検査を提案(弱い/根拠は低) 全例一律ではない。症状時は待たず、治療後の検査時期は個別設定 内分泌・主診療科・救急/ICU・看護・薬剤部で共有

Take Home Messagesと参考文献

#27.

THYROID STORM / SERIES 02 27 緊急造影が必要なときの判断フロー 原疾患の緊急性と甲状腺リスクを並行評価する 出典:TS01 / TS04 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 緊急性・呼吸循環・甲状腺重症度を並行評価 救命に必要で、代替・延期が困難か? 予定・延期可能 緊急・代替困難 代替検査・時期調整 甲状腺機能の評価と治療 多診療科で判断 救命検査と必要な治療・監視を並行 検査後:即時の症状変化と遅発性の機能悪化を追う 教育用:診断確定・緊急性除外には使用できない

#28.

THYROID STORM / SERIES 02 28 Take Home Messages 検査値だけでなく、臓器障害と時間軸で判断する 出典:TS01 / TS02 / TS04 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません 1 クリーゼはホルモン値の高さだけで診断しない 2 全身管理・甲状腺治療・誘因治療を並行する 3 治療中断と重症疾患を、重要な誘因として探す 4 造影後の機能悪化は遅発性もあり、クリーゼとは別 5 救命検査は一律に中止せず、多職種で判断する 次の行動につながる情報共有と、経過観察を

#29.

THYROID STORM / SERIES 02 29 参考文献:診断・治療 原典の版と、確認できた範囲を区別する 出典:TS01 / TS02 / TS03 / TS05 / TS06 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません TS01 日本甲状腺学会|診断基準 第2版(2012) TS02 JTA・JES|クリーゼ診療GL 2017 Digest TS03 Satoh et al.|日本の治療GL(2016) TS05 Taylor et al.|共同コンセンサス(2026) TS06 Akamizu et al.|全国調査・診断基準(2012) 投与量・禁忌は施設の採用手順と最新電子添文も確認

#30.

THYROID STORM / SERIES 02 30 参考文献:造影・症例判断・電子添文 書誌と原典リンクはスライドノートにも収載 出典:TS04 / TS08 / TS09 / TS10 (文献一覧29–30頁・ノート参照) 第三者による医学監修は受けていません TS04 Bednarczuk et al.|ETA造影剤GL(2021) TS13 PMDA|ヨウ化カリウム 電子添文(2024/12) TS08 PMDA|メルカゾール注 電子添文(2025/6) TS09 PMDA|オノアクト 電子添文(2026/8) TS10 Pelewicz et al.|造影前予防研究(2021) 追加電子添文 TS11–15:9〜11頁のノート・参考文献別紙に収録

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