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症例から学ぼう!甲状腺機能低下症(原発性甲状腺機能低下症)

投稿者プロフィール
Dr.KOTATSU

総合病院

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158

概要

原発性甲状腺機能低下症により異常行動・活動性低下を引き起こした仮想症例を通して、甲状腺機能低下症の理解に役立ちましたら幸いです。甲状腺機能低下症の診断ガイドラインをもとに作成しています。

◎目次

・ スライドの対象者

・甲状腺機能低下症とは

・症例提示

・主な現症

・血液検査所見

・画像検査所見

・治療経過

・甲状腺機能低下症の基礎知識

・本症例のポイント

・Take home message

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医/専門医

参考文献

  • 甲状腺疾患診断ガイドライン2021 (2022年6月2日 改定)

  • 日本臨床検査医学会ガイドライン作成委員会. 臨床検査のガイドラインJSLM2018.甲状腺機能亢進症・低下症.

  • 越智可奈子. 重度で長期の甲状腺機能低下症. 臨床検査. vol.67, no.3. 2023.

  • 荻原 理子. Common disease の処方箋ファイル 臨床経過から学ぶ 20 症例.medicine. vol.60, no.6. 2023.

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テキスト全文

  • #1.

    症例から学ぼう! 甲状腺機能低下症 原発性甲状腺機能低下症 KOTATSU@糖尿病専⾨医

  • #2.

    導⼊ ⽬次 スライドの対象者 導入 甲状腺機能低下症とは 症例提示 主な現症 症例 血液検査所見 画像検査所見 治療経過 甲状腺機能低下症の基礎知識 まとめ 本症例のポイント Take home message 症例 解説

  • #3.

    導⼊ このスライドの対象者 医学生 研修医・専攻医 指導医 レポート作成の参考に 基本的な疾患の勉強に レポート・スライド 作成の参考に レポート・スライド 指導の参考に 仮想症例を通じて一緒に勉強していきましょう! 内科専門医の先生からの補足コメントもあるので, 内科専門医試験対策にも◎ 症例 解説

  • #4.

    導⼊ 症例 解説 甲状腺機能低下症について 甲状腺機能低下症 ● 甲状腺機能低下症は、血中の甲状腺ホルモン作用が必要よりも低下した状態である. ● 症状は、無気力、疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、動作緩慢、記憶力低下、便秘などがある. 軽度で は症状や所見に乏しいことも多い. ● 甲状腺機能低下症が強くなると、傾眠、意識障害をきたし、粘液水腫性昏睡と呼ばれる. ● 甲状腺ホルモンは、代謝の調節以外にも、妊娠の成立や維持、子供の成長や発達に重要なホルモン なので、甲状腺機能低下症では、月経異常や不妊、流早産や妊娠高血圧症候群などと関連し、胎児や 乳児あるいは小児期の成長や発達の遅れとも関連する. 日本内分泌学会HP. 甲状腺機能低下症.

  • #5.

    導⼊ 症例 解説 症例:71歳 男性 確定診断名(主な病名および副病名) 1. 甲状腺機能低下症 【主訴】 異常行動・活動性低下 【現病歴】 入院2年前に幻覚妄想を主訴に近医を受診した.精査の結果、原発性甲状腺機能低下症と診断され、レボ チロキシンを処方された.その後症状は改善し本人は完治したと思ったため治療を自己中断していた. 来院2週間前までは普段どおり過ごしていたが、来院1週間前から動作緩慢や服薬間違いなどの異常行動 がみられるようになった. 症状は増悪傾向にあり当院救急外来受診となった.精査の結果、甲状腺機能低下症による意識障害と考 えられ加療目的に入院となった. 【既往歴】 肝硬変、肝細胞癌、食道静脈瘤、甲状腺機能低下症 【家族歴】 特記すべき事項はない 【生活社会歴】 ADLは自立、独居 \内科専門医が補足/内科専門医試験こぼれ話 癌の場合、頚部への放射線外照射などは注意、照射後数年で発症もある

  • #6.

    導⼊ 主な⼊院時現症 身体所見 意識 E4V5M6 体温 36.9℃ 血圧・脈拍 SpO2・呼吸数 眼瞼・瞳孔 胸部 142/88 mmHg、81/分 (整) SpO2 98 %(room air)、呼吸数 20/分 眼瞼結膜に貧血はなし、眼球結膜に黄疸はなし 心音: 心雑音を認めない 呼吸音: 整. cracklesやwheezesを認めない 表情筋の運動に左右差なし、構音障害なし その他 左右上下肢のMMTに低下・左右差なし 名前、生年月日、年齢、場所は答えられる 症例 解説

  • #7.

    導⼊ 症例 解説 ⾎液検査成績 生化学 血算・凝固 WBC: 2900 /μL TP: 7.3 g/dL TSH: 47.3 μIU/mL RBC: 398万 /μL Alb: 3.1 g/dL FT3: 0.78 ng/dL Hb: 10.6 g/dL AST: 58 IU/L FT4: 0.63 ng/dL Ht: 34.7 % ALT: 60 IU/L 抗TPO抗体: (ー) Plt: 5.2万 /μL LDH: 212 IU/L (ー) T-Bil: 0.9 mg/dL 抗サイログロ ブリン抗体: BUN 29.5 mg/dL Cr: 1.16 mg/dL 血糖: 206 mg/dL Na: 148 mEq/L K: 2.7 mEq/L Cl: 103 mEq/L

  • #8.

    導⼊ 画像検査所⾒ 画像所見 髄液検査 心電図 細胞数の増加を認めない 正常範囲内 心エコー 明らかな心のう液貯留はなく、特記すべき異常はなし 頭部CT 頭蓋内に急性期病変を認めない 症例 解説

  • #9.

    導⼊ 症例 解説 治療経過 甲状腺機能低下症 ● 以前に甲状腺機能低下症と診断された際の症状と類似した幻覚症状や認知機能低下を示していたこと、他の原 因がはっきりしなかったこと、採血で甲状腺機能低下症の所見を認めたこと、抗TPO抗体陰性、抗サイログロブリ ン抗体陰性などから今回の症状も原発性甲状腺機能低下症によるものと診断した. ● 入院日よりレボチロキシン50μg/日の内服を開始して動作緩慢や服薬間違いなどの症状は改善傾向にあり、TSH は低下、FT4は上昇した.リハビリテーションも並行して行い、ADLは改善傾向にあったものの独居である自宅退 院は難しいと判断し、リハビリとさらなる薬剤調整目的に転院となった. 退院時処方 ● レボチロキシン50μg/日 ● エソメプラゾール10mg/日

  • #10.

    導⼊ 症例 解説 甲状腺機能低下症の診断ガイドライン 原発性甲状腺機能低下症 基準: a および b を有するもの a. 臨床所見: 無気力、易疲労感、眼瞼浮腫、寒がり、体重増加、動作緩慢、嗜眠、記憶力低下、便秘、嗄声等いずれかの症状 b. 検査所見: 遊離T4低値(参考として遊離T3低値)およびTSH高値 【付記】 1. 慢性甲状腺炎(橋本病)が原因の場合、抗TPO抗体または抗サイログロブリン抗体陽性となる. 2. 阻害型抗TSH-R抗体により本症が発生することがある. 3. コレステロール高値、クレアチンキナーゼ高値を示すことが多い. 4. 出産後やヨウ素摂取過多などの場合は一過性甲状腺機能低下症の可能性が高い. 5. 小児では成長障害や甲状腺腫を認める. 甲状腺疾患診断ガイドライン2021 (2022年6月2日 改定)

  • #11.

    導⼊ 症例 解説 甲状腺機能低下症の診断ガイドライン 中枢性甲状腺機能低下症 基準: a および b を有するもの a. 臨床所見: 無気力、易疲労感、眼瞼浮腫、寒がり、体重増加、動作緩慢、嗜眠、記憶力低下、便秘、嗄声等いずれかの症状 b. 検査所見: 遊離T4低値でTSHが低値~基準範囲内 【除外規定】 甲状腺中毒症の回復期、重症疾患合併例、TSHを低下させる薬剤の服用例を除く. 【付記】 1. 特に中枢性甲状腺機能低下症の診断では下垂体ホルモン分泌刺激試験や画像検査が必要なので、専門医への紹介が望ましい. 2. 視床下部性甲状腺機能低下症の一部ではTSH値が10μU/ml位まで逆に高値を示すことがある. 3. 重症消耗性疾患にともなうNonthyroidal illness(低T3症候群)で、遊離T3、さらに遊離T4、さらに重症ではTSHも低値となり鑑別 を要する. 甲状腺疾患診断ガイドライン2021 (2022年6月2日 改定)

  • #12.

    導⼊ 症例 解説 甲状腺機能低下症の診断ガイドライン 慢性甲状腺炎(橋本病) 基準: a および b の1つ以上を有するもの a. 臨床所見: びまん性甲状腺腫大(萎縮の場合もある) ※ 但しバセドウ病など他の原因が認められないもの b. 検査所見:1. 抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体)陽性 2.抗サイログロブリン抗体陽性 3.細胞診でリンパ球浸潤を認める 【付記】 1. 阻害型抗TSH-R抗体などにより萎縮性になることがある。 2. 他の原因が認められない原発性甲状腺機能低下症は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いとする。 3. 甲状腺機能異常も甲状腺腫大も認めないが抗TPO抗体または抗サイログロブリン抗体陽性の場合は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いとす る。 4. 自己抗体陽性の甲状腺腫瘍は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いと腫瘍の合併と考える。 5. 甲状腺超音波検査で内部エコー低下や不均質を認めるものは慢性甲状腺炎(橋本病)の可能性が強い。 甲状腺疾患診断ガイドライン2021 (2022年6月2日 改定)

  • #13.

    導⼊ 症例 解説 甲状腺機能低下症の原因疾患 原発性 甲状腺機能低下症 ● 正常甲状腺組織の減少 ※頻度が多い疾患は太字とした ○ 慢性甲状腺炎(橋本病) ○ 無痛性甲状腺炎 ○ 亜急性甲状腺炎後(通常一過性) ○ 甲状腺手術後 ○ 放射性ヨード(131I)内用療法後 ○ 頸部への放射線照射後 ○ 萎縮性甲状腺炎 ○ 甲状腺形成異常(萎縮性、異所性) ● 甲状腺ホルモン合成障害 ○ ヨード過剰、ヨード欠乏 ○ 遺伝子異常(サイログロブリン遺伝子異常など ○ 薬物(抗甲状腺薬など) 中枢性 甲状腺機能低下症 ● ● 腫瘍などによる下垂体ないし視床下部の障害 遺伝子異常(TSH 遺伝子異常など) 日本臨床検査医学会ガイドライン作成委員会. 臨床検査のガイドラインJSLM2018.甲状腺機能亢進症・低下症.

  • #14.

    導⼊ 症例 解説 甲状腺機能低下症をきたす主な薬剤 機序 TSH 分泌阻害 甲状腺ホルモン合成・分泌阻害 甲状腺ホルモン代謝促進 甲状腺ホルモン結合蛋白増加 薬剤 副腎皮質ホルモン製剤,成長ホルモン製剤,オクトレオチド,ドパミン,ドブタミン,ベキサロテンなど 抗甲状腺薬,ヨウ素,ヨード含有薬剤(アミオダロン,造影剤,含嗽薬など),リチウム薬,インターフェロン ,性腺刺激ホルモン放出誘導体,分子標的薬, GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)など リファンピシン,フェニトイン,カルバマゼピン,バルビツレート,チロシンキナーゼ阻害薬,成長ホルモン 製剤,副腎皮質ホルモン製剤,プロピルチオウラシル, β遮断薬,ヨウ素造影剤,クロミプラミンなど オピオイド,エストロゲン,タモキシフェン,ラロキシフェン,ミトタン,クロフィブラート,ペルフェナジン ,5-FU(フルオロウラシル)など 甲状腺ホルモン吸収阻害 コレスチラミン,コレスチミド,水酸化アルミニウムゲル,沈降炭酸カルシウム,グルコン酸カルシウム,ポ リカルボフィルカルシウム,硫酸鉄,スクラルファート,活性炭(球形吸着炭・薬用炭),セベラマー,ポラプ レジンク,ラロキシフェン,シプロフロキサシンなど 免疫機序による甲状腺組織障害 アミオダロン,免疫チェックポイント阻害薬(イピリムマブ,ニボルマブ,ペンプロリズマブ,アテゾリズマブ) など 日本臨床検査医学会ガイドライン作成委員会. 臨床検査のガイドラインJSLM2005/2006.甲状腺機能亢進症・機能低下症.

  • #15.

    導⼊ 症例 解説 症状 甲状腺機能低下症 自覚症状 甲状腺機能亢進症 他覚症状 自覚症状 他覚症状 ● だるい ● 甲状腺腫 ● 汗が多い ● 甲状腺腫 ● 眠い ● 貧血 ● 疲れやすい ● 頻脈 ● 寒さに敏感 ● 徐脈 ● 動悸がする ● 皮膚の変化 ● 肌が荒れる ● 顔貌の変化(腫れぼったい) ● 手が震える ● 振戦 ● むみっぽい ● 皮膚温低下 ● 首が腫れた ● 心房細動 ● 毛髪が抜けやすい ● 頭髪の変化(薄くなる) ● 暑さに弱い ● 便秘 ● 眉毛外側1/3の脱毛 ● やせた ● 前頸部圧迫感 ● アキレス腱反射の遅延 ● 食欲が異常にある ● いらいらする 日本臨床検査医学会ガイドライン作成委員会. 臨床検査のガイドラインJSLM2005/2006.甲状腺機能亢進症・機能低下症.

  • #16.

    導⼊ 症例 解説 甲状腺機能検査 機能亢進 FT4↑または→、FT3↑、TSH↓ 抗TSHレセプター抗体 (TRAb、TSAb) 陽性 バセドウ病 陰性 無痛性甲状腺炎 亜急性甲状腺炎 甲状腺ホルモン過剰摂取 機能性結節 その他 機能低下 FT4↓、FT3↓または→、TSH↑ 抗Tg抗体 抗TPO抗体 陽性 びまん性甲状腺腫 陰性 慢性甲状腺炎 (橋本病) 機能正常 FT4→、FT3→、TSH→ 単純性甲状腺腫 (慢性甲状腺炎は否 定できない) その他の原因疾患 結節性甲状腺腫 甲状腺エコー 穿刺吸引細胞診 腺腫 癌 日本臨床検査医学会ガイドライン作成委員会. 臨床検査のガイドラインJSLM2005/2006.甲状腺機能亢進症・機能低下症.

  • #17.

    導⼊ 症例 解説 粘液水腫性昏睡の診断基準(第3次案) 必須項目 1.甲状腺機能低下症* 2.中枢神経症状( JCS で 10 以上,GCS で 12 以下) 症候・検査項目 1.低体温(35℃以下:2 点,35.7℃以下:1 点) 2.低換気(PaCO2 48 Torr 以下,動脈血 pH 7.35 以下,酸素投与:どれかあれば 1 点) 3.循環不全(平均血圧 75 mmHg 以下,脈拍数 60/分以下,昇圧剤投与:どれかあれば 1 点) 4.代謝異常(血清 Na 130 mEq/L 以下:1 点) ◎確実例: 必須項目 2 項目+症候項目 2 点以上 ◎疑い例: a.甲状腺機能低下症を疑う所見があり、必須項目の 1 は確認できないが必須項目 2 に加えて症候・検査項目 2 点以上 b.必須項目(1,2)および症候・検査項目 1 点 c.必須項目の 1 があり、軽度の中枢神経系の症状( JCS で 1~3または GCS で 13~14)に加えて症候・検査項目 2 点以上 *:原発性の場合はおおむね TSH が 20 μU/mL 以上となる.中枢性の場合はその他の下垂体前葉ホルモンにも注意を要する. JCS:Japan Coma Scale, GCS:Glasgow Coma Scale Score PaCO2:arterial carbon dioxide tension(動脈血二酸化 炭素分圧) Na:sodium. 越智可奈子. 重度で長期の甲状腺機能低下症. 臨床検査. vol.67, no.3. 2023.

  • #18.

    導⼊ 症例 解説 低T3 症候群(non-thyroidal illness:NTI) 甲状腺ホルモン ● ホルモン作用 分泌割合 T4 (サイロキシン) T3に代謝され作用をもつ 93% T3(トリヨードサイロニン) 強い生理作用をもつ 5% rT3(リバーストリヨードサイロニン) ほとんど作用をもたない 2% 末梢におけるT4の代謝 T4 5ʼ-iodinase T3 5-iodinase rT3 実際に甲状腺ホルモンとして作用を発現するのはT3であり、T3の約80%はT4から産生される.一方、rT3はほと んど作用をもたない.T3とrT3への代謝の割合を変化させ、調節されている. ● 重症疾患・低栄養・薬剤などに晒されると、5ʼ-iodinaseが低下しT3が低下、5-iodinase が上昇しrT3が増加する. これを非甲状腺疾患における低T3 症候群(non-thyroidal illness:NTI)と呼ぶ. ● 検査上、甲状腺機能亢進/低下双方のパターンをとりうるため、採血のタイミングによっては TSH高値、FT4低値に なり甲状腺機能低下症と誤診されうる.そのため評価には注意を要する. ● NTIの可能性がある場合は、原疾患の改善後に再評価する.NTIの可能性が低い場合は、数週~数カ月後に再 評価し、異常時は甲状腺機能異常と判断する.ただし、NTIの可能性がある場合でも、甲状腺機能低下症の症状 がある場合や、粘液水腫性昏睡が疑われる場合には甲状腺機能低下症の治療を優先する. 荻原 理子. Common disease の処方箋ファイル 臨床経過から学ぶ 20 症例.medicine. vol.60, no.6. 2023.

  • #19.

    導⼊ 症例 解説 治療 ● 通常はT4製剤のレボチロキシン(商品名:チラーヂンSなど)25~50g分1 起床時で治療を開始する. ● FT4、FT3 が基準範囲になるまで、2週間に1回血中FT4( or FT3)を測定し投薬量を調節する. ● 原発性甲状腺機能低下症の場合FT4、FT3が基準範囲になれば、2~3ヵ月に1回TSHを測定し、 TSHが高値であればレボチロキ シンを増量し、TSH が低値であれば減量する. ● 維持量が決まればTSHの検査は6ヵ月に1 回で良い. ● 出産後など、甲状腺機能低下症が一過性の可能性が高い場合には、やや少なめのレボチロキシンで治療し TSHが基準範囲になれば減量ないし中止してみる. ● 中枢性甲状腺機能低下症の場合は、FT4が基準値の中央~上限となるようにレボチロキシンの量を調整す る. 日本臨床検査医学会ガイドライン作成委員会. 臨床検査のガイドラインJSLM2018.甲状腺機能亢進症・低下症.

  • #20.

    導⼊ 症例 解説 本症例のポイント • 原発性甲状腺機能低下症により異常行動・活動性低下を引き起こした症例であった. • 甲状腺機能低下症は無気力、疲労感、寒がり、体重増加、動作緩慢、便秘などの非特異的な症状が多く診断が 難しいことが多い.特に高齢者では症状がないことも多く、より診断が難しい.貧血や低Na血症、心不全や不整 脈などでも甲状腺機能のチェックを考慮すべきである. • 原発性甲状腺機能低下症の診断には前述した症状に加え、FT4低値およびTSH高値を満たすことが条件とな る. • ただし、FT4低下、TSH 4.5~10mU/Lでは薬剤性やNon-thyroidal Illness(NTI)の可能性を考慮すべきである. NTIは重症疾患患者や低栄養などで起こる病態で、甲状腺機能低下、亢進双方のパターンをとりえて、NTIかどう か判断に迷う場合も多い.迷う場合で症状がなく、早急な介入の必要性が乏しい場合は原疾患改善後に再評価 を行うことで鑑別することができる.また、TSH高値でもFT4が正常範囲であり、再評価しNTIの可能性が低い場 合は潜在性甲状腺機能低下症と考える.

  • #21.

    導⼊ 症例 解説 本症例のポイント • 本症例では以前にも同様の症状で甲状腺機能低下症の診断がついていたことから診断は容易で、TSH・FT4の 数値から原発性甲状腺機能低下症を考えた. • 甲状腺機能低下症の治療は原因によらず不足した甲状腺ホルモンを補充することである.主としてレボチロキシ ンが投与される. • 投与量としては1.6μg/kg/日からの開始が目安とされており、病状のフォローはTSHで行い、治療開始後4~8週 間ごとに評価する. • レボチロキシンの必要量が2μg/kg/日以上の場合は吸収不良をきたしている可能性が高く、腸管病変や食事、併 用薬剤など原因を精査すべきである. • 潜在性甲状腺機能低下症の場合は顕性甲状腺機能低下症への進行の予防、症状の改善、心血管イベントリス クの改善などを期待して治療を検討する.しかし、潜在性の場合は治療が上記リスクを改善させるかどうかは不 明瞭な部分が多い.そのため年齢や症状、その他心血管リスクなどを鑑みつつ治療適応を考慮する必要があ る.

  • #22.

    導⼊ 症例 解説 本症例のポイント • 本症例では原発性甲状腺機能低下症として50μg/日から開始し、TSHを確認しながら調整をする方針とした.リハ ビリ転院となったため転院先で調整することとなった. • 今後は治療中断とならないよう指示ある限り内服は継続することを家族、本人ともに理解した様子であった.

  • #23.

    導⼊ 症例 Take Home Message 甲状腺機能低下症は無気力、疲労感、寒がり、体重増加、動作緩慢、便秘などの非特異的な症状が多 く診断が難しいことが多い.また、高齢者では症状がないことも多い 原発性甲状腺機能低下症の診断には症状に加え、FT4低値、TSH高値を満たすことが条件である レボチロキシンの投与量としては1.6μg/kg/日からの開始が目安とされており、病状のフォローはTSHで 行い、治療開始後4~8週間ごとに評価する 解説

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