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九州大学大学院医学研究院 循環器内科学
心不全治療のガイドラインは、急性心不全・慢性心不全それぞれのガイドラインがこれまで約5年ごとに改訂されてきました。それらをベースとして、日本循環器学会・日本心不全学会の合同ガイドラインとして統合されたのが「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」です。
本スライドでは、同ガイドラインが作成された背景からその“読み方”、今後期待される心不全治療までをまとめました。
<目次>
・急性・慢性心不全診療ガイドラインの変遷
・2017年改訂の理由
・2017年改訂の重要なポイント
・他科の先生方に意識して頂きたいこと
・将来の見込み 〜今後期待される治療
・専門医以外の先生方へのメッセージ
・若手循環器内科医の先生方へのメッセージ
<参照>
日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン 急性・慢性心不全診療ガイドライン (2017年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/06/JCS2017_tsutsui_h.pdf
※本スライドは、Antaa編集部によるインタビューをもとにスライド化したものです。
・聞き手:福田 芽森先生(循環器内科専門医、日本循環器学会情報広報部会委員)
・スライド制作:Antaa編集部
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筒井 裕之(九州大学大学院医学研究院 循環器内科学) インタビュー 2017年改訂版のポイントから、今後の心不全治療まで どう読み、どう診る? 急性・慢性心不全診療ガイドライン
本スライドについて 本スライドは、日本循環器学会・日本心不全学会の「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」について解説したものです。 同ガイドラインの合同研究班の班長を務める、九州大学循環器内科学の筒井 裕之先生にその背景や“読み方”をインタビューした内容をまとめました。 2 https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/06/JCS2017_tsutsui_h.pdf 日本循環器学会 / 日本心不全学会合同ガイドライン 急性・慢性心不全診療ガイドライン (2017年改訂版) 聞き手:福田 芽森先生(循環器内科専門医、日本循環器学会情報広報部会委員) スライド制作:Antaa編集部
3 インタビュイー略歴 筒井 裕之(つつい ひろゆき) 九州大学大学院医学研究院 循環器内科学 教授 九州大学 昭和57年卒 日本内科学会認定 認定内科医 日本循環器学会認定 循環器専門医 日本循環器学会認定 Fellow(FJCS) 成人先天性心疾患暫定専門医 欧州心臓学会認定 Fellow(FESC) 臨床研修指導医 医学博士 日本循環器学会 / 日本心不全学会合同ガイドライン「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」合同研究班班長
目次 P.5 急性・慢性心不全診療ガイドラインの変遷 P.8 2017年改訂の理由 P.11 2017年改訂の重要なポイント P.16 他科の先生方に意識して頂きたいこと P.18 将来の見込み 〜今後期待される治療 P.21 【メッセージ】専門医以外の先生方へ P.23 【メッセージ】若手循環器内科医の先生方へ 4
5 急性・慢性心不全診療ガイドラインの変遷
急性・慢性心不全診療ガイドラインの変遷 背景:心不全ガイドラインは、急性心不全・慢性心不全それぞれのガイドラインが、約5年ごとに改訂されてきた。 6 急性心不全治療ガイドライン(2000年初版, 06年 & 11年改訂) 慢性心不全治療ガイドライン(2000年初版, 05年 & 10年改訂) 急性 慢性
急性・慢性心不全診療ガイドラインの変遷 別々に改訂を続けていた急性・慢性心不全のガイドラインを統合したのが、急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版) (日本循環器学会・日本心不全学会の合同ガイドラインとして、2018年に発行) 7 × → 急性・慢性 急性 慢性
8 2017年改訂の理由
2017年改訂の理由 1. 薬物治療、非薬物治療の進歩 2. 新たな心不全分類に基づく治療アルゴリズムの一般化 9 旧ガイドラインにおいては、NYHA心機能分類など、重症度に応じた薬物治療指針が示されていた。 一方海外では、2012年頃から左室駆出率(LVEF)による心不全分類に従った治療アルゴリズムが一般化。
2017年改訂の理由 3. 急性/慢性心不全を一本化しようとする海外の流れ 急性期には、やはり急性期の治療(利尿薬、強心薬の静注、あるいは補助循環)が必要である。⇒ 改訂版でも「X. 急性心不全」(p.75〜)として独立した章を設けた。 一方で、急性心不全の3/4は慢性心不全の急性増悪であり、急性心不全が安定することで慢性心不全を生じる。 このように急性心不全と慢性心不全の病態は連続的なものであり、ガイドラインの一本化によりシームレスな記述が実現した。 10
11 2017年改訂の重要なポイント
2017年改訂の重要なポイント 心不全とそのリスクの進展ステージを4段階で分類 リスクの段階から評価する 心不全リスク ⇒ ステージA, B心不全発症 ⇒ ステージC, D 臨床現場では患者さんにも説明しやすく、降圧薬の意義などを説明する際にも有用 12 出典:急性・慢性心不全診療ガイドライン (2017年改訂版)
2017年改訂の重要なポイント 参考:心不全ステージ分類と NYHA 心機能分類の対比 13 出典:急性・慢性心不全診療ガイドライン (2017年改訂版)
2017年改訂の重要なポイント なぜ、リスク段階から評価するモデルを採用したのか? 高血圧や糖尿病のある方は、心筋梗塞等にならないように… 心筋梗塞等を経験された方は、心不全にならないように… 慢性心不全を経験された方は、急性増悪を繰り返すことで 難治化が進行するから、それを防げるように… 各ステージから次のステージに進行しないように予防することが、心不全の病態の理解、治療で最も重要な考え方である。 14
目標設定を目の前のところで行うことで、行動変容を促すとともに、次のステージへの進行を予防する。 2017年改訂の重要なポイント もちろん、リスクの説明だけでは行動変容には至らない 15 多職種で同じ話をすることでご納得いただき易くなる。 (例) 心筋梗塞を予防するために血圧をコントロールする。 (例) 「看護師さん、PTさんからも 聞かれていると思いますが…」
16 他科の先生方に意識して頂きたいこと
他科の先生方に意識して頂きたいこと 「心不全は “左室駆出率低下病” ではない!」 左室駆出率の如何にかかわらず、 背景となる心疾患があって心不全の症候がある場合は、 心不全と診断を付けることができる。 左室駆出率は、治療のアプローチを考えるために用いる。 17
18 将来の見込み
将来の見込み 心不全の治療は、日進月歩で進歩している 目下の目標は、2021年のフォーカスアップデート版発行。 HFrEFの薬物治療として追加推奨を検討中。→ ARNI(アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬)→ イバプラジン 二次性僧帽弁閉鎖不全症の非薬物療法として追加推奨を検討中。→ MitraClip®: 19 出典:急性・慢性心不全診療ガイドライン (2017年改訂版)
将来の見込み 「XIV.今後期待される治療」(p116〜)も参照。 20 出典:急性・慢性心不全診療ガイドライン (2017年改訂版) ivabradine(If チャネル阻害薬) sacubitril/valsartan(ARNI) vericiguat(sGC活性化薬) omecamtiv mecarbil(心筋ミオシン活性化薬) 経皮的僧帽弁接合不全 修復システム(MitraClip®) ヒト(自己)骨格筋由来細胞シート (ハートシート®) 和温療法
21 非専門医の先生方へ
専門医以外の先生方へのメッセージ 心不全は循環器の専門医以外も幅広く診る疾患であるが、必ずしも他科の先生方がガイドラインの全てを読む必要はない。 専門医へ相談する前に対応しなければいけない場合もあるため、急性心不全の治療はぜひ読んでください。 必要なところを読んだ上で、そのまま自身の患者さんに当てはめてよいかどうか、専門医にご相談いただきたい。 特に初発の心不全、合併症のある心不全、重症な心不全については、循環器内科専門医までご相談を。 22
23 若手循環器内科医の先生方へ
若手循環器内科医の先生方へのメッセージ 循環器診療では薬物治療と非薬物治療とのハイブリッドが主流になりつつあるが、心不全治療の基本は薬物治療。 心不全はジェネラルな循環器診療では避けては通れない。 ⇒ 患者さんも多い ⇒ 虚血性心疾患や不整脈とも密接に関連している 若手循環器内科医の先生方には、 ガイドラインを活用して、積極的に 心不全診療に取り組んで頂きたい。 24