#4.
糸球体 PAS染色 腎生検診断Navi 改訂第2版 片渕律子著
#5.
糸球体 PAS染色 腎生検診断Navi 改訂第2版 片渕律子著
#6.
膜性腎症 メサンギウム細胞の核↓ 血管内腔 血管内腔 血管内腔 上皮下に高電子密度の沈着物を認める
#7.
IgA腎症、顕微鏡的多発血管炎 メサンギウム細胞の増加 細胞性半月体 線維性半月体 線維細胞性半月体 www2.kuh.kumamoto-u.ac.jp/sannaika/jinqa14b.html 日本腎臓学会編、腎生検病理アトラス改訂版 東京医学社
#8.
糸球体の病変 蛋白尿(主にアルブミン尿)、 血尿(糸球体性血尿:赤血球円柱、変形赤血球)が認められれば ⇒糸球体の病変を考える
#9.
尿細管・間質 腎生検診断Navi 改訂第2版 片渕律子著
#10.
尿細管・間質 腎生検診断Navi 改訂第2版 片渕律子著
#11.
腎疾患の分類 糸球体 尿細管・間質 臨床症状 無症候性蛋白尿、慢性 急性(尿細管)間質性腎 腎炎症候群、急性腎炎 炎や急性尿細管障害・ 症候群、急速進行性腎 壊死は急性腎障害 炎症候群、ネフローゼ 症候群など 血管 腎硬化症であれば慢性 腎臓病 (動脈硬化) 血尿 糸球体性血尿(変形赤 血球、赤血球円柱) 一般的にない 一般的にない 蛋白尿 ネフローゼレベルまで 様々、 アルブミン尿がメイン 多くても1g/gCr程度、 一般的にない β2MG、NAGなどがメイ ン
#12.
症例① 主訴 現病歴 内服薬 既往歴 75歳女性 両側下肢浮腫 1週間前に発熱を認め近医受診。精査の結果、尿路感染症の診断 となったため入院。抗生剤加療が開始となった。タゾバクタム・ピペ ラシリン 4.25g 8時間毎で加療開始となった。 加療2週間後に徐々に両側下腿浮腫と腎機能障害を認めた。 アムロジピン 5mg/日 高血圧症、2型糖尿病
#13.
<血算> WBC Hb Plt <生化学> 6800 /μL TP 11.1 g/dL Alb 22.9万 /μL <尿定性> 8.4 g/dL 潜血 陰性 4.2 g/dL 蛋白 (1+) AST 26 U/L <尿沈渣> ALT 24 U/L 赤血球 1 /HPF ALP 98 U/L 尿路上皮 0 /HPF γGTP 75 U/L 硝子円柱 0~4 /HPF BUN 25 mg/dL 尿蛋白/Cr比 1.02 g/gCr Cr 1.7 mg/dL 白血球 5~9 /HPF CRP Na K 0 mg/dL 140 mmol/L 3.9 mmol/L <尿生化学> β2MG NAG 30 μg/L 11.1 IU/L
#14.
腎臓のどこに病変があって、どう対応しますか?
#15.
腎生検所見 間質にリンパ球と好酸球の浸潤を認める
#16.
急性間質性腎炎の疫学 ⚫ 腎生検全体の1~3%の割合で診断される。このうち急性腎障害に限定す ると13~27%と上昇する。(急性腎障害でよく紹介になる。) ⚫ 急性間質性腎炎の原因として薬剤が最も多い。特に抗生剤が多い。 ⚫ 一部の研究から近年は高齢者で増加している。 ⚫ 高齢者は薬剤を大量に内服していることが多く、急性間質性腎炎の原因 は薬剤が最も占めているので、増加している。 Up to date
#17.
急性間質性腎炎の原因 急性間質性腎炎の原因薬剤 原因 頻度 薬物 70~75% 30~50%は抗生物質 全身性 10~20% サルコイドーシス ※稀ではあるが IgG4関連腎疾患も シェーグレン SLE 感染症 4~10% レプトスピラ症 レジオネラ 連鎖球菌性腎症 TINU 5%未満 ●NSAIDs(COX-2阻害薬も含む) ●ペニシリンとセファロスポリン系 ●リファンピシン ●ST合剤 ●シプロフロキサシン(頻度は低いが他のキノロン系) ●フロセミドやブメタニド(ループ利尿薬やサイアザイド系) ●シメチジン(頻度は低いが他のH2拮抗薬) ●アロプリノール ●オメプラゾールやランソプラゾールなどのPPI ●インジナビル ●5-アミノサリチル酸製剤(メサラジンなど) ●免疫チェックポイント阻害薬(イピリムマブやニボルマブなど) Up to date
#18.
薬剤性急性間質性腎炎の機序 ⚫ どの薬剤でも起こる可能性がある。 ⚫ 薬剤性急性間質性腎炎は用量依存性ではなく、同じ薬剤の 2回目の暴露で発症する。 ⚫ さきほども述べたように抗生剤の他にはNSAIDs、PPI、免疫 チェックポイント阻害薬、ST合剤、メサラジンなどに注意が必 要です。 Up to date
#19.
⚫ 薬剤やその代謝産物がハプテンとなり尿 細管基底膜のタンパク質と結合し抗原と なる ⚫ 樹状細胞に抗原提示され、尿細管基底 膜を抗原とし、免疫応答が惹起される ⚫ 尿細管細胞をT細胞が主体となって攻撃 ⚫ 病理所見としては間質にT細胞、好酸球 が浸潤し、尿細管にもリンパ球が潜り込 む(尿細管炎) Clin J Am Soc Nephrol. 2022 17(8): 1220-1233.
#20.
尿細管にリンパ 球が潜り込む 間質に好酸球 が浸潤 Intern Med 63: 3203-3208, 2024
#21.
急性間質性腎炎の症状 身体所見 尿所見 血液検査所見 ・基本的に多くは無症状(=検査値で偶然わかることも!) ・嘔気嘔吐や倦怠感が急性、亜急性に出現することがある ・51%が乏尿になる ・正常なこともある(ネフローゼ症候群は1%未満) ・腎機能障害が起こる(血清Crが増加) 特異的な所見に乏しく、検尿所見も乏しい→血尿も蛋白尿も伴わないことが多い。 (蛋白尿はあっても軽度なことが多い) Up to date
#22.
薬剤性急性間質性腎炎 ⚫薬剤性急性間質性腎炎(AIN)は参考所見として発熱(27%)、発疹 (15%)、好酸球増加(23%)も参考になる所見。=古典的徴候 ⚫発熱、発疹、好酸球増加のすべてを満たすのは10%程度しかいない。 ⚫薬剤性の場合は投与から3~5日後に発症ことが多いが、数週間後、数 か月後に起こることもあるので否定はできない。 ⚫NSAIDs誘発のAINは18か月後に起こったとする報告もある。 ⚫尿中に好酸球が検出されることがある。 Up to date
#23.
薬剤性急性間質性腎炎の尿中好酸球 尿中好酸球は感度、特異度いずでも高くないことが判明して いるので、参考程度に。 Nat Rev Nephrol. 2010 6(8): 461-470.
#24.
急性間質性腎炎の尿所見まとめ ⚫ 白血球円柱(WBC cast)を認めることがある。 (他の腎炎とか感染症でも認めるので特異的で はない。) ⚫ 蛋白尿はあっても軽度で1g/gCr(g/日)未満 のことが多い。 ⚫ FENa 1%以上であることが多い。(Naが尿細 管で再吸収できない。)※FEUNも参考になりま す。 ⚫ 尿中β2MGや尿中NAGが上昇することがある。 ⚫ 尿中に好酸球を認めることがある。 WBC cast Up to date
#25.
薬剤性急性間質性腎炎のアプローチ 1 Drug induced AIN=薬剤性急性間質性腎炎 1. Drug induced AINを示唆する 2 2. 原因と考えられる薬剤の中止 3 3. 3~5日間腎機能をモニタリング 4 4. 改善がない、遷延している場合は腎 臓内科にコンサル 5 5. 禁忌がなければ腎生検 6 6. 線維化が75%未満でステロイド 投 与開始(PSL 1mg/kg/日) Clinical Journal of the American Society of Nephrology 12(12):p 2046-2049, December 2017.
#26.
症例② 60歳男性 主訴 なし 現病歴 左小細胞肺癌に対して、CBDCA+nab-PTX+ATEZ (アテゾリムマブ, 抗PD-L1抗体)を2コース施行。 3コース目前に入院としたが、腎機能が1.69mg/dL (もともと0.9mg/dL)と上昇していた。 内服薬 ニフェジピン 20mg/日
#27.
<血算> WBC Hb Plt <生化学> 8800 /μL 9.7 g/dL 16.9万 /μL <尿定性> TP 7.7 g/dL 潜血 (-) Alb 3.6 g/dL 蛋白 (-) AST 19 U/L <尿沈渣> ALT 16 U/L 赤血球 ALP 297 U/L 尿路上皮 0 /HPF γGTP 97 U/L 硝子円柱 0 /HPF BUN 14 mg/dL 尿蛋白/Cr比 0.15 g/gCr 1~4 /HPF Cr 2.09 mg/dL 白血球 CRP 1.79 mg/dL <尿生化学> Na K 132 mmol/L 3.5 mmol/L β2MG NAG <1 /HPF 5738.2 μg/L 25.3 IU/L
#28.
腎臓のどこに病変があって、どう対応しますか?
#29.
腎生検所見 リンパ球の間質浸潤 リンパ球の間質浸潤 薬剤性急性尿細管間質性腎炎
#30.
ICI-AKIの臨床所見 ⚫ ICI-AKIはまれではあるが重篤な合併症である。 ⚫ 多くが無症状で血清クレアチニンの上昇(=急性腎障害)であるが、蛋白尿の上昇や 浮腫をきたすことがある。 ⚫ プロトンポンプ阻害薬、抗菌薬、NSAIDsなど薬剤性腎症をきたす薬剤を服用してい る場合が多く、区別することは困難であり、ICI-AKIがまれであることを考えると、多く が後者である可能性がある。=AKI in patients receiving ICI therapy ⚫ ICI-AKIの推定発症率は1.5~5%と報告されている。 ⚫ 病理所見として急性間質性腎炎が多い。 Up to date
#31.
ICI-AKIの推定発症率 ICI-AKIは2.2%、重度のAKIは0.6%程度認める Kidney Int. 2016 Sep;90(3):638-47.
#32.
AKIの時期 CTLA-4+ 他のirAE PD-1/PD-L1阻害 発症あり 濃尿 白血球円柱 急性間質性 腎炎の割合 ※尿中好酸球はごく一部の患者しか認められない ICI-AKIは平均4か月後で濃尿、白血球円柱が半数に出現する Kidney360. 2020 Jan 14;1(2):130-140.
#33.
ICI-AKIの発症のリスク因子 ICI-AKIはPPIの併用、もともとの腎機能低下※、併用療法で多い ※eGFR 60mL/分/1.73m2未満と定義 Kidney360. 2020 Jan 14;1(2):130-140.
#34.
ICI-AKIの診断基準 確定診断 腎生検 可能性が高い ・連続した異なる時点の採血で血清Crが50%以上増加or 透析が必要 ・他に原因がない ・尿中白血球が5HPF以上 ・ほかの臓器でirAEがすでに発症している(皮膚や消化管) ・好酸球が500/μL以上 Up to date
#35.
ICIsのメカニズム 腫瘍 リンパ節 腫瘍細胞 CD80/86 CTLA-4 PD-L1,L2 樹状細胞 PD-1 活性化T細胞 活性化T細胞 Front Immunol. 2024 Feb 23;15:1353339.
#36.
ICI-AKIのメカニズム ①自己抗体の産生 ③組織特異的T 細胞が活性化 ②近位尿細管細胞 にPD-L1が発現 ④薬剤特異的T細 胞(PPIやNSAIDs、 抗菌薬)が活性化さ れる Front Immunol. 2024 Feb 23;15:1353339.
#37.
ICI-AKIの病理所見 リンパ球の浸潤 形質細胞や好酸球 CD4+T細胞 ICI-AKIは主に急性間質性腎炎の所見を認める Kidney Int. 2016 Sep;90(3):638-47.
#38.
ICI-AKIはCD8が他の原因薬剤の急性間質性腎炎より多い? Kidney Int. 2016 Sep;90(3):638-47.
#39.
ICI-AKIの糸球体病変 ICI-AKIで腎生検施行し糸球体病変を認めた44例のうちわけ 病型 Pauci-immune GN / vasculitis 頻度 27% 特徴 半月体形成、ANCA抗体が陽性のことも MCD/FSGS C3腎症 24% 11% ネフローゼ症候群 補体活性化、腎予後不良 ※そのほか、IgA腎症、膜性腎症、AAアミロイドーシス、抗GBM抗体、TMAなど ICI-AKIで糸球体病変はまれではあるが半月体形成が多い Kidney Int. 2025 Jan;107(1):21-32.
#40.
• • • 尿所見なし • • まず ICI中止 脱水と閉塞、ほかの原因薬剤を除外 ペメトレキセド、シスプラチンなどの明らかな腎障害を発症する 薬剤中止 NSAIDs、RAS系阻害薬、SGLT-2阻害薬中止 血清Cr、尿蛋白のモニタリング 膿尿 白血球円柱 尿細管マーカー上昇 治療 • 先に治療先行 腎生検が禁忌 • プレドニゾロン 0.8~1mg/kg/日開始 • AKI Stage 3以上であれば短期間のメチルプレドニ ゾロンのパルス 急性間質性腎炎でなければ中止 フォロー • 1週間に10mgずつ漸減 • 4~8週間かけてoffに • 腎機能の改善が遷延したら漸減速度を緩める Kidney Int. 2025 Jan;107(1):21-32.
#41.
腎生検の適応 米国臨床腫瘍学会 全米包括的がんネットワーク 代替となる AKIの原因がない場合 CTCAE グレード 2 以上(=血清 は、腎生検は行わず、ステロイド治 Crがベースラインの1.5 倍以上に 上昇)の場合、腎生検の実施を考 療を開始することを推奨する。 慮することを推奨する。 米国腫瘍腎臓学会 KDIGO AKI stage 2、3 では、禁忌がなけれ ば腎生検を推奨する。特に以下の場合に推奨 される。 •AKIの別原因が存在する(例:シスプラチン、 VEGF阻害薬など他の腎毒性抗癌薬の併用) •尿検査から糸球体疾患が疑われる •RTA(尿細管性アシドーシス)が疑われる •輸液など保守的治療後も血清クレアチニンが ベースライン比 1.5 倍以上で持続する場合 Kidney Int. 2025 Jan;107(1):21-32.
#42.
治療(ASON statement) KDIGO AKI Stage1 KDIGO AKI Stage2 KDIGO AKI Stage3 定義 血清Cr 1.5〜1.9倍 or ≥0.3 mg/dL 増加 血清Cr 2.0~2.9倍 血清Cr 3.0倍以上、透析 初期対応 ① ICI中止 ② 他のAKI原因を除外 ・脱水、尿路閉塞の是正 ・他の腎毒性薬(NSAIDs、 RAA 系、SGLT2iなど) ・他の間質性腎炎をきたす可能性 のあるPPI、NSAIDs、抗菌薬の中 止 ③ 3日以内に回復すればICI再開 可能 ① ICI中止 ① ICI中止 ② 腎生検を推奨(禁忌がなけれ ② 腎生検を強く推奨(禁忌がなけ ば) れば) ③ ステロイドを早期に開始(3日以 ③ ステロイドを緊急で開始 内) ステロイド ① ステロイドは開始しない ① PSL 0.8~1mg/kg/日(最大 60~80mg/日) ② 1~2週間で漸減開始 ③ 4~8週間で漸減終了 ① mPSL 500mg×3日間 ② PSL 0.8~1mg/kg/日 ③ 第二選択にMMF、インフリキシ マブ Kidney Int. 2025 Jan;107(1):21-32.
#43.
ICIs再開の適応 ステロイドに反応した ステロイドに反応しなかった ICI-AKI診断時に急性間質性腎炎の ICI-AKI診断時に急性間質性腎炎の ステロイドに反応せず、腎機能が改善 リスク誘発薬を使っていた リスク誘発薬を使ってなかった しなかった場合。 (PPI、NSAIDs、抗生剤など) ここが最もリスクが高いグループ。 腎臓内科としては再チャレンジは原則 再チャレンジ要件 再チャレンジ要件 禁忌(特に KDIGO AKI Stage 2–3 • 腎機能がベースラインまで改善し • 腎機能がベースラインまで改善し は危険。) てる てる • プレドニゾロン10mg/日以下 • 急性間質性腎炎のリスク薬剤 • プレドニゾロン10mg/日以下 再チャレンジ時のステロイド投与 再チャレンジ時のステロイド投与 • リスク薬剤を中止したなら、ステロイ • PSL 10mg/日を最初の2サイクル ドなしで再チャレンジ可能 で予防的に使用→再発がなけれ • PSL 10mg/日を最初の2サイクル ば漸減中止 で予防的に使用→再発がなけれ ば漸減中止 ※例外として、患者中心の多職種カン ファレンスで決定する がん治療の有効な代替手段がない ICI が唯一の可能性で腎代替療法 (透析など)を受ける覚悟がある場合、 腎障害進行のリスクを承知の上で ICI を続けるという選択肢も存在する。 Nephrol Dial Transplant. 2024; 39: 1785-1798.
#44.
症例③ 76歳女性 主訴 発熱、食思不振、両側下腿浮腫 現病歴 1か月前に前医でCOVID-19肺炎に対してレムデシビルで加療された。 受診2週間前から水様性下痢、発熱、食思不振が出現。敗血症と診断 され、タゾバクタム・ピペラシリンとバンコマイシンが開始された。 その後腎機能が急激に低下し、血清Cr 6.1mg/dLと高値となった。 内服薬 アムロジピン 5mg/日
#45.
<血算> WBC <生化学> <尿定性> 11400 /μL TP 6.4 g/dL 潜血 (1+) Hb 10.9 g/dL Alb 2.3 g/dL 蛋白 (1+) Plt 26.0万 /μL AST 26 U/L <尿沈渣> ALT 17 U/L 赤血球 5~9 /HPF ALP 89 U/L 顆粒円柱 1~4 /HPF 189 U/L 硝子円柱 1~4 /HPF 尿蛋白/Cr比 0.91 g/gCr 白血球 1~4 /HPF γGTP BUN Cr CRP Na K 49 mg/dL 6.1 mg/dL 17.5 mg/dL 143 mmol/L 3.6 mmol/L <尿生化学> β2MG NAG 26622.1 μg/L 9.1 IU/L
#46.
腎臓のどこに病変があって、どう対応しますか?
#47.
腎生検所見 リンパ球の尿細管浸潤 尿細管細胞の剥離 リンパ球の間質浸潤 薬剤性急性尿細管間質性腎炎 +急性尿細管障害/壊死
#48.
急性尿細管壊死の疫学 ⚫ 急性尿細管壊死の原因は虚血性と薬剤による腎毒性の2つがある。 ⚫ 急性尿細管壊死は急性腎障害の最も一般的な原因の一つで、血清Crの上昇、顆粒 円柱(granular cast)、FENa 1%以上、FEUN 35%以上となることも特徴的。 ⚫ 虚血性は通常7~21日間継続し、ほとんどの場合はもとの腎機能まで改善することが 多い。 ⚫ 明らかな虚血性の急性尿細管壊死の場合は腎生検しません。 Up to date
#49.
急性尿細管壊死の病理 <腎病理所見> 尿細管上皮細胞の脱落および細胞破片によ る尿細管内腔の部分閉塞を示す。 回復期における複数の有糸分裂は、尿 細管細胞の再生を示す。 Up to date
#50.
急性尿細管壊死の機序 ⚫ 虚血により低酸素状態になる ⚫ ATPが枯渇し、基底膜から近位尿細管 細胞が脱落する(一部はネクローシスと なるが、実はほとんどがアポトーシス) ⚫ 白血球の浸潤を来し炎症性サイトカイ ンが放出され尿細管細胞の損傷を促 進する ⚫ 遠位尿細管は脱落した細胞により円柱 を来し、多くが閉塞する N Engl J Med. 2007;357(8): 797-805.
#51.
急性尿細管障害/壊死を来す薬剤 種類 薬剤 Preventative Strategies 抗生剤 アミノグリコシド系(ゲンタマイシン、アミカシン、ネオマイシン) 1日1回投与にする、eGFRで投与量を調整する、トブラマ イシンに変更 バンコマイシン(タゾバクタム・ピペラシリンを追加すると増強) TDMを行う、タゾバクタム・ピペラシリンの併用は避ける アムホテリシンB リポソーム製剤を使用する、外液を十分に投与し虚血を防 ぐ シドホビル、アデホビル、テノホビル、フォスカルネット eGFRで投与量を調整する 鎮痛薬 NSAIDs(COX2阻害薬も含む) 高リスク患者には避ける 化学療法 シスプラチン 十分な輸液を行う、できるだけ使用する量は制限する イホスファミド eGFRで投与量を調整する、できるだけ使用する量は制限 する ペメトレキセド eGFR 45未満には避ける 造影剤 ヨード造影剤 低、等張性ヨード造影剤を使用する、外液で十分な輸液を CNI シクロスポリン、タクロリムス mTOR阻害薬に変更する、使用する量を制限する BP製剤 パミドロネート 投与時間を2時間以上かける ゾレドロネート(ゾメタ®) デノスマブに変更する、eGFR 30未満 or AKIは禁忌 Clin J Am Soc Nephrol. 2022 17(8): 1220-1233.
#52.
急性尿細管壊死の所見 所見 顆粒円柱 FENa 輸液負荷 BUN:Cr 尿浸透圧 尿量 granular cast 多く認める。(腎前性のAKIでは基本的に認めない。) ATNでは2%以上となることが多い。 腎機能が改善することが多い。(※心不全や肝硬変による ATNは避ける。) ATNはBUNも増加するので10~15:1。(※腎前性AKIでは BUN/Cr値が大きくなる。) 450mOsm/kg未満が多い。(※尿細管でのADHの作用が障 害されているため) 乏尿や無尿になることがある。 Up to date
#53.
急性尿細管壊死のアプローチ 1. 血行動態を安定化させること 適切な体液管理のために昇圧剤や利尿薬を使用する 2. 腎毒性となり得る薬剤の回避 ①可能であればNSAIDs、ヨード造影剤、アミノグリコシド、 バンコマイシン、バンコマイシン+ゾシンの併用、アムホテリシン は避ける(ATNを悪化させる可能性がある) ※解離の診断やACSの救命に必要な場合はその限りではない ②ACE阻害薬、ARBは敗血症、ショック、重度の膵炎などに使用 は中止する。 ③SGLT2阻害薬は中止する。 Up to date
#54.
症例③ 抗生剤はすぐに中止し外液の投与で腎機能が改善してきました、 血清Cr 3mg/dLとこれ以上の改善が遷延していたため、5日後に 腎生検を施行しました。 その結果、急性間質性腎炎の所見もあったためプレドニゾロン 50mg/日(1mg/kg)から開始し、2週間後には血清Cr 1.5mg/dL まで改善しました。 生検では線維化も少なかったためもっと改善が期待できると考えて います。
#55.
Take home message ⚫新規薬剤(特に抗生剤)を開始したら、3~5日後にフォローし、腎機 能が遷延、増悪していれば腎臓内科にコンサルトしてください。 ⚫腎生検しないと治療できないし、遅くなると線維化するので、早めに 相談してね。
#56.
参考文献 ●Up to date ① Clinical manifestations and diagnosis of acute interstitial nephritis ② Treatment of acute interstitial nephritis ③ Etiology and diagnosis of prerenal disease and acute tubular necrosis in acute kidney injury in adults ④ Pathogenesis and etiology of ischemic acute tubular necrosis ⑤ Possible prevention and therapy of ischemic acute tubular necrosis ⑥ Overview of toxicities associated with immune checkpoint inhibitors
#57.
参考文献 ① Nephrol Dial Transplant. 2024; 39: 1785-1798. ② Kidney Int. 2025 Jan;107(1):21-32. ③ Kidney Int. 2016 Sep;90(3):638-47. ④ Front Immunol. 2024 Feb 23;15:1353339. ⑤ Kidney360. 2020 Jan 14;1(2):130-140.
#58.
#59.
#60.
Castのまとめ RBC cast WBC cast Castの分類 赤血球円柱 (RBC casts) 白血球円柱 (WBC casts) 円柱内部に3個以上の赤血球が含まれている 増殖性の糸球体腎炎を示唆する所見(ただし、尿細管からの脱落した赤血球 でも円柱が形成されるので、必ずしも糸球体性ではない) Epithelial cell cast 円柱内部に3個以上の白血球が含まれている 間質性腎炎を示唆する所見(ただし、活動性の糸球体腎炎や腎盂腎炎でも認 めることがあるので、必ずしも間質性腎炎だけではない) 上皮円柱 (Epithelial cell casts) 円柱内部に3個以上の尿細管上皮細胞がある 急性尿細管障害/壊死を示唆する所見 顆粒円柱 (Granular casts) 円柱内部に顆粒成分が1/3以上の占める(円柱内部の細胞が変性しタンパク 質が凝集して形成されたもの) 急性尿細管障害/壊死を示唆する所見 ろう様円柱 (Waxy casts) 顆粒円柱が長時間尿細管内にとどまっていることを示唆する 幅広円柱 (Broad casts) 顆粒円柱やろう様円柱の最終形態で高度に腎機能が障害され尿細管腔が拡 大している 硝子円柱 (Hyaline casts) 無構造で細胞成分を含んでない 運動後や脱水時にもみられるため病的意義はない 脂肪円柱 (Fatty casts) 円柱内部に1個以上の卵円形脂肪体や3個以上の脂肪顆粒を認める円柱 ネフローゼ症候群などの高度な蛋白尿を示唆する所見 ※卵円形脂肪体は蛋白を大量に細胞内に取り込んだことで変性し脱落した 尿細管上皮細胞やマクロファージのこと Granular cast Fatty cast Broad cast Up to date
#61.
薬剤中止後 7日以内 ●緊急性が高い場合 ・可能な限り腎生検が先 ・mPSL 500-1000mg 3day →PSL 1mg/kg AINの誘因 を中止 YES 腎代替療法 の適応 NO ●腎生検 (禁忌がなければ) ●ステロイド治療 Crをモニター (3-7日間) 改善 経過観察 Crをモニター (1-2週間) ●緊急性が低い場合 ・可能な限り腎生検が先 ・PSL 1mg/kg ※ただし、NSAIDs誘発性AINに ステロイドは効果がない ・初めのPSL 1mg/kgは2週間継続 ・10mgまで3~5日毎に10mgずつ減量 ・10mg以下はかなりゆっくりと ・合計治療期間は4-12週間
#62.
Epithelial cell casts https://doi.org/10.14932/jamt.17J1-3iv
#63.
Granular casts https://doi.org/10.14932/jamt.17J1-3iv
#64.
WBC casts https://doi.org/10.14932/jamt.17J1-3iv
#65.
RBC casts https://doi.org/10.14932/jamt.17J1-3iv
#66.
急性間質性腎炎の原因薬剤 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • βラクタム系抗生剤 ST合剤 フルオロキノロン系抗生剤 マクロライド系抗生剤 リファンピシン PPI H2ブロッカー NSAIDs PD-1阻害薬 PD-L1阻害薬 CTLA-4阻害薬 ベバシズマブ ループ利尿薬 サイアザイド系利尿薬 アシクロビル インジナビル アタザナビル フォスカルネット フェノバルビタール カルバマゼピン フェニトイン イソファミド ペメトレキセド リチウム アロプリノール メサラジン Clin J Am Soc Nephrol. 2022 17(8): 1220-1233.
#67.
治療のアルゴリズム 最低でもこの時点で 腎臓内科にコンサル AIN=急性間質性腎炎 Up to date