テキスト全文
嚥下障害の概論と重要性
#1. 身体で覚える! 嚥下障害 豊田地域医療センター 荒川 裕香 Yuka Arakawa Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#2. 目次 01 嚥下障害概論 02 嚥下機能評価 03 実食実験 04 嚥下医療資源マップ Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#3. 目次 01 嚥下障害概論 02 嚥下機能評価 03 実食実験 04 嚥下医療資源マップ Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
嚥下障害の診療と事例
#4. 自分のクリニックで 消化器疾患と嚥下障害を 主に診療しています Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#5. 嚥下障害の診療をするようになったきっかけ 78歳女性 娘夫婦と孫2人の5人暮らし。 普段食事の際にむせることが多かった。 某日、お昼に自宅でうどんを食べてたとこ ろ、喉につまり顔面蒼白になったため家族 が救急車要請。 救急車内で心肺停止状態になり、来院後に 20分の蘇生処置でなんとか自己心拍が再開。 Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#6. 患者の咽頭には塊になったうどんが固着して おり、喉頭展開してマギー鉗子でなんとか摘 出した。 自己心拍再開後も意識障害は遷延し、約1ヶ 月の闘病を経て死亡した。 Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#7. 同居していたの長女さんの言葉 ずっと喉がゴロゴロしてて、食事をするたびにむ せたりすることはわかってました・・・かかりつ け医の先生に言っても、年齢だから仕方ないって 言われて、ゆっくり食べさせたりして様子をみて ました。 私がうどんさえ作らなければ・・・ 先生、誰に相談すれば、よかったのでしょうか Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#8. 誰に相談すればよかったか? ⇨即答できなかった 神経内科?リハ科?耳鼻科?歯科? 自分がかかりつけ医だった時、このような悲 しい事故が起きないような事前介入ができて いたか? ⇨自信がなかった Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
嚥下障害の原因と評価方法
#9. 日本人の死因別死亡率 Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#10. 嚥下障害をきちんと自分で 診断できるようになりたい! Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#14. 嚥下障害の原因疾患は多彩⇨総合診療医の出番 Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
嚥下機能評価の手法と注意点
#15. 嚥下障害患者のケアに大事なこと • 環境設定 リラックス、食べることに集中できる環境 美味しい、楽しい、家族とのふれあい • 食べやすい姿勢 首の位置が大切 姿勢は写真を撮って、安全条件表を作る • 食形態の見直し 本人の嚥下機能に合わせた食事 Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#17. 目次 01 嚥下障害概論 02 嚥下機能評価 03 実食実験 04 嚥下機能マップ Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#18. 反復唾液のみテスト 30秒で、できるだけたくさん唾液を飲み込ん でみてください Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#19. 反復唾液のみテスト 30秒で、できるだけたくさん唾液を飲み込ん でみてください 3回以上で正常 2回以下で要注意 Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#20. 摂食・嚥下機能評価 • 観察(体型、栄養状態、口腔内の問題) • 問診(不顕性誤嚥に注意) • 基礎疾患 • 反復唾液のみテスト(30秒で3回以上) • 改訂水飲みテスト3ml • 嚥下内視鏡検査(VE) • 嚥下造影検査(VF) Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
嚥下内視鏡検査とその解釈
#21. 嚥下内視鏡検査 正常例 Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#22. 嚥下内視鏡検査 嚥下障害 Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#23. 嚥下造影検査(VF) Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#24. どう説明しますか? 72歳男性 脳 塞後遺症にて嚥下機能障害あ り。ここ数年は何度も誤嚥性肺炎での入退院を 繰り返している。入院時に施行した嚥下内視 鏡、造影検査ともにゼリーでも喉頭侵入を認 め、経口摂取を続けることは窒息や肺炎のリス クが非常に高いことがわかった。 本人は食事を食べたがっている。 家族は悩んでいる。 Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#25. 今回の嚥下機能評価では残念ながら、経口摂 取は不可能との判断となりましたので人工栄 養に切り替えた方がよいと思われます。 鼻管にしますか、胃瘻にしますか、点滴にし ますか。 Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#26. 今回の嚥下機能評価では残念ながら、経口摂 取は不可能との判断となりましたので人工栄 養に切り替えた方がよいと思われます。 鼻管にしますか、胃瘻にしますか、点滴にし ますか。 Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#27. 嚥下機能評価の解釈に1番大事なこと ・嚥下機能評価はスコア化されている指標もあるために 誤解を招くことが多いが、その人の摂食嚥下に対する絶 対的な評価ではない ・場所、時間経過、精神状態、覚醒状態、病状、 栄養状態、リハビリにて結果は変わり得る ↓ 状態を点で見るのではなく、線で見ていくことができる のが家庭医の強み Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#28. こうお伝えしてみてはどうでしょうか 検査の結果、今の状態で口から食べると、窒息や肺 炎など命に関わる可能性が非常に高いことがわかり ました。今はまだ熱があって覚醒状態が悪いことも 少なからず影響しているかもしれません。リハビリ も行いながら、口から食べれる可能性が本当にない のかを探ってきましょう。そのためには低栄養では 戦えないので、人工栄養でサポートさせて もらえませんか。 Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
実食実験による嚥下機能の理解
#29. 目次 01 嚥下障害概論 02 嚥下機能評価 03 実食実験 04 嚥下機能マップ Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#30. 実食実験(かっ●えびせん) ・かっ●えびせんを1本食べてみてください Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#31. 結論:かっ●えびせんは美味しい それもあるけど・・・ Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#32. 結論:口腔内の衛生状態がいいと美味しい ・歯の欠損はないか?入れ歯は合っているか? ⇨調整が必要なら歯科に依頼 ・口腔内のトラブルがないか? (鵞口瘡、口内炎、味覚障害など) ・口腔内の衛生状態が悪いと食欲も減り、 先行期障害の原因になることも Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#34. 実食実験(かっぱエビせん) ・舌が麻痺したという想定で、舌を動かさず にかっぱえびせんを1本食べてみてください Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#35. 結論:舌が麻痺すると食塊形成すら困難 ・舌が麻痺すると食塊形成が困難になる ・食塊形成ができないと、頬に食べ物が溜まる Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#36. 結論:舌が麻痺すると送り込みができない ・前歯⇨奥歯⇨咽頭の送り込みが障害される 日本気道食道学会HPより Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
口腔内衛生と嚥下機能の関係
#38. 実食実験(プリン) 1口スプーンに取り、口を開けて食べてみて ください Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#39. 結論:口を閉じないとうまく飲み込めない ・顎が下がっているときは介護者が顎をあげ るなど、口唇閉鎖の意識はとても大事 日本気道食道学会HPより Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#41. 実食実験(プリン) ・プリンをスプーンで2mm厚にスライス ・プリンを1口分をスプーンでグチャグチャ に潰す どちらが食べやすいでしょうか? Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#42. 結論:スライス状の方が食べやすい 半固形のものは、潰すと液体になる。 →薄いスライスのものが断然食べやすい ※食事介助の時に、介助者が無意識に混ぜた り潰してしまっていることがないかどうかを チェックは大事 Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
嚥下医療資源マップと紹介先
#44. 実食実験(プリン) ・最後、残りのプリンを噛まずに一気に飲み 込んでみてください。 Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#45. 結論:口は大きくても、のどは狭い 大きな口を開けているからといって、その人 が大きいものが食べれるとは限らない ↓ 一口大は開口の大きさではなく、嚥下機能で 決まる ※介護者は人によって一口大の大きさが違う ことを理解する必要がある Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#46. 目次 01 嚥下障害概論 02 嚥下機能評価 03 実食実験 04 嚥下医療資源マップ Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#47. 患者さんの嚥下機能障害を疑ったとき、どこ に紹介すればいい? VE・VFはどこの医療機関でもできるの? Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
#50. 最後に ・厚生労働省の認定した資格保持者のみ嚥下 機能評価加算を算定できる ・新規胃瘻増設前には必ずVEによる嚥下機能 評価を行う Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.
VE資格取得の重要性と案内
#51. VEの資格は1日で取れます! ぜひ受講に行きませんか Copyright FUJITA SOUSHIN PROGAM All Right Reserved.